【1046】 恋の相関図ようやく実力を発揮  (OZ 2006-01-22 00:08:26)


卒業式まであと少し、3年生は色々と感慨深いものが多々ある。  が・・・

「ま、まあ、ね? 容子も江利子も落ち着いて、ね。お願い。」少し困ったように・・・でも、少し嬉しいような。
薔薇の館、現在2人の少女、いや、リリアン高等部の薔薇様の威厳等も考えると美女2人と言った方が間違いないだろう。

「私は聖を大好きなのよ、そして聖も同じ思い。」
「あら、そんなこと言われても、私だって小さい頃から聖を大好きよ、そして聖も同じ、なんたって容子とは歴史が違うわ。」
「ふふん!! 江利子、愛に年の差が関係ないように、付き合いの差なんて関係ないわよ!! いわゆる量より質よ!!実際、聖は彼方より私になついているじゃない。」
「あ〜〜ら、優等生の容子ちゃんは、お勉強のしすぎでお頭がおかしくなっちゃたのかしら? 良い精神病院知っているから教えましょうか?」
「何ですって!? 彼方こそ私のお邪魔虫をせずに、あのひげもじゃ熊五郎と勝手にいちゃいちゃしてれば良いのではなくて。」
「ふん、山辺さんと聖は別よ!! 」

「 う・わ・き・も・の・・」
「何ですって!?」
「何よ!!」
 ギリギリッ 歯を食いしばりながら、ガンを飛ばしまくる2人。

「ま、まあ、良いじゃない? 皆で楽しく今までどおり楽しくやろうよ、ね?」
その言葉に反応した2人は、ゆっくりと、まるで鬼のような顔で私を見た、いや、睨んだ。
ゴゴゴゴゴゴーーーーー  (こんな擬音が聞こえた)

「「そもそも浮気者すぎる聖が悪いのよ!! さあ!! どっちが好き!!選びなさい!! さあ!! さあ!! さあ!! 」」
「そ、そんな事いったって・・・」
「「さあ!! さあ!! 」」たらりと汗が流れる。

そ・そんな・・えらべないよ〜〜〜  よ〜〜  よ〜 ・・・



「う!! うああ〜〜!!」ガバッと!! 布団から飛び起きた。
 白薔薇様こと、佐藤聖はなんとも不思議な夢を見ていた。
目が覚めて、見えるのはいつもの見慣れた自分の部屋、きょろきょろと室内を何度か確認し。
「はあ・・・夢か、かなり怖かった、けど、容子と江利子が私をめぐってけんかなんか絶対ないしね。」
でも、夢を反芻し、もし、そんな状況になったらちょっと嬉しいかも・・・ なんて、 きゃ!! 聖ちゃんたら欲張屋りさん。
   ・・・・・
 「やべ!! 自分で思って恥ずかしくなった ・・・・・・ でも・・ 実際私はどうなのかしら・・・ 」
  ・
  ・
  ・
 私は祐巳ちゃんが大好き、志摩子が大好き、そして由乃ちゃんが好き、令が好き、容子が好き、江利子が好き、カメラちゃんが好き。 ああ、忘れてた、祥子も好き、皆、大好きな友であり、可愛い妹たち。

 「う〜〜ん、 やっぱわかんないや、ま、私にとっては皆可愛い女の子!!」
  自分なりに、半ば無理やりっぽく結論づけた。
そして、制服に着替え、思った。
「高校生活もあと少し!! 今日も可愛い祐巳ちゃんをギュッと抱きしめられたらそれでOK!! それが第一〜〜!!」
なんとも自分勝手な決着をつけた聖さまは薔薇の館に向かった。

 ゆ〜みちゃんを『ギュ』  ゆ〜みちゃんが『わぎゃ!』 ああ・・楽しみ・・・ ルンルンルルン

 ビスケット扉を開けると、そこには容子が窓際に一人、椅子に座って外を眺めていた。

いつもとは違う、なんとも不思議な、なんと言うか、妖艶な、しかも、今日に限って、お香のような香りが漂っている薔薇の館、誰かの趣味であろうし、まあ、気にも留めない。

「ごっきげんよ〜〜 どったの、容子? 卒業を控えてなんかさみしくなっちゃった?」
私の存在に気づいた容子は、
「聖・・・ そうね、今更なんだけど、心残りのことがあってね。言いたいけど、言えない、なんとも、もどかしい言葉、いえ、心なのよ。」
あまりにもしんみりとする容子に、なんだか、自分も感化されたのか。
「容子らしくないよ、言いたい事は言ったほうがいいよ、身体に悪いからね、ね?」
「そうね、本当、私らしくないわね、じゃあ、言っていいのかしら?」
「う・うん・? 良いんじゃないの?」
「ありがと・・・」

  容子は深呼吸をし、
「お友達的なものとは違うのよ、 聖・・・ 彼方、彼方が好きなの!!」

!!!?

「へ? へ!? い、いま、いまなんて?」
「彼方が、好き!!っていったの お、お願い、何度も言わせないで!!」
顔を真っ赤にし、ちょっと顔をぷっくりしている容子、私は混乱したが、とりあえず今の容子は、その、なんと言うか、はっきり言って、か、可愛い。
や、やばい!! 世間一般の常識では、白が赤にちょっかいをするのが普通、でも今は違った、なんと!! 赤が白を惑わすのだ!!

「よ、容子・・・」
「聖・・・」
私は容子の真っ赤に染まった笑顔(まるで、マーメイドの歌声に誘われる船のごとく)に誘われるがまま、ふらふらと容子のもとに近づいていく。

 お互いの唇が近づいていく。
「容子・・・」  超どきどき!!
「聖・・・」 

ドバン!! お互いの唇があと、1cmの位なところで、突然扉が激しく開かれた。

「容子!! 抜け駆けは無しって事じゃなかったかしら?」
チッ!!  容子はあからさまに不快な顔をする。
あ、あの容子さん?
「ふん!! 江利子、ええっと、あの、その、先手必勝なのよ!!」
「あのね・・・ 気合は判るけど、でもね、その言葉は由乃ちゃんのアビリティーよ・・・」
「え、ええ!? そうなの・・ ごめんなさい・・・」

 なんとも真面目だ。

江利子は私にぴったりとくっつくと、
「こうなったら言うけど、聖、正直、私と容子はね、彼方のことが好きなの、どうしたらいいのかしら? ていうか、どうして欲しい?」
真っ直ぐに目を見て言う。
「そ、そんなこと、言われても・・・」なぜか、汗がたらたらと流れてくる。なんとも言いがたく目を背けた、が。
「聖!!こっちを見なさい!! 私と容子、どっちが好き!!」 江利子が睨む。

「え、えっと〜〜 あ!! 志摩子が祐巳ちゃんに襲い掛かっている!!」
「「なんですって!!」」一斉に窓の外を見る2人。

私は2人の隙を見て、なんとか薔薇の館を抜け出した。
なんだかんだ言っても祐巳ちゃんは山百合会のアイドル、名前を出すだけで効果がある。
「ああ・・ 怖かった、今まで攻めるのには物凄く楽しみと自信を覚えてたのに・・・ とりあえず祐巳ちゃんに感謝!! 攻められるのがこんなにきついなんて・・・ やっぱ、私は攻め専門がしょうにあってるね・・・」
などと、ぶつぶつ言っていた時。
 
「 せ〜い〜さ〜ま〜〜 」
祐巳ちゃんの声が聞こえた。
「 せ〜い〜さ〜ま〜〜 」 
グラウンドの脇に見えるは、愛しの祐巳ちゃん、そして、その祐巳ちゃんが私を呼んでいる!! 
私は今癒しを求めている!! そして、私の癒し袋をいっぱいにしてくれるのは、愛しの祐巳ちゃんしかいない。
「い、今行くよ!!祐巳ちゃん!!」
心情的には良くあるベタな海岸風景。

せ〜い〜さ〜ま〜  うっふっふ〜〜〜
ゆ〜み〜ちゃ〜ん〜  はっはっは〜〜〜   うぎゃ!!

・・・ 私は、穴(いわゆる落とし穴)に落ちた・・・

「まったく、祐巳ちゃんを使えば本当に簡単に捕まえられるんだから。」
「へ!? へ!? 何? 祐巳ちゃんも、グル? 」
「聖様!!ごめんなさい!! わ、私!!お姉様の、まだ見ていないんですけど・・・容子様がお姉様のものすごく良い写真をくれるって言うから、そ・その・・欲しくて・・・ ごめんなさい!! 」ゆ! 祐巳ちゃん!!
祐巳ちゃんはそのまま走り去った、容子から貰ったという写真を後生大事に胸に抱えながら。

その後、私はまるで漁船に吊り上げられるマグロのようにズルズルと、穴から引き上げられ、そして、縛られた。

「「さあ、取り直しね、さあ!! どっちが好き!!選びなさい!! さあ!! さあ!! さあ!!」」
ずい、ずずい、とせまられ、私は腹を決めた!!
「選べない!!」
「「へ?」」
「だって、私は、容子も江利子も大好き、どちらを選べなんていわれても・正直困る。」
「彼方はいつもそうやって逃げるのね?」
「ごめん、2人とも・・・」
「ねえ、ねえ、容子、だったら・・・ 」ゴニョゴニョ

江利子の提言に「まあ、いいんじゃない。 それが最良かもね。」爽やかな笑顔をしつつ、私のほうを見る2人。
でも、2人の視線は何か妖しく、そして、ギラギラと輝いていた。
 背筋になんか嫌な汗が流れてきた・・・ 「あ、あの、な、何? 私の意見は?」

「ねえ、聖、彼方は私と江利子、どっちも好きなのよね? 」
「え、ええ、そう思ってもらってもいいわ。だから、ね? この縄、解いてもらえない?」
「良いわよ、でも、これから行くところでね。」
「どこ?」
「「 い・い・と・こ・ろ・ 」」
「そ、そんな、あ、あの、何か怖いよ・・・」

容子と、江利子はとても楽しそうに聖をズルズル連れて行く。
「い、いやあ〜〜 助けて、祐巳ちゃん〜〜〜 」

  うふふ・・・ たっぷり可愛がってあげるわよ、せ・い・



   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「う!! うああ〜〜!!」ガバッと!! 私は毛布から飛び起きた。
 イテテ、何か身体が痛い、言ってみれば筋肉痛みたいに。
 「な、なんだ!?」

 白薔薇様こと、佐藤聖はなんとも不思議な夢を見ていた。
目が覚めて、見えるのはいつもの見慣れた自分の部屋、きょろきょろと室内を何度か確認し。
「はあ・・・夢か、かなり怖かった、けど、容子と江利子が私をめぐってけんかなんか絶対ないしね。」
でも、夢を反芻し、もし、そんな状況になったら、なぜか今は、ちょっと怖いと思った・・・


「聖、おはよう、はい、コーヒーよ。」
「ああ、ありがとう。」
ワイシャツ一枚姿の容子から、私はさも当然にコーヒーを受け取り、少し口に含んだ・・・ ん!?
「よ!容子!!」
「色々言う前に、少しは恥じらいを感じなさいな。」
「へ?」
というか、毛布から出た私の上半身は、その、生まれたままの姿だった。
「うひゃあ〜〜 !! 」何とか毛布を引き寄せる、恥ずかしくて、どこかに隠れたいような気分だった。
しかし、毛布を引き上ると、あらわになった足が4本見える。 ん、4本? なぜ?
ドキドキしながら、そろりと毛布を開き、見た、「うえ!?」江利子が私の腰のちょっと上あたりに抱きつき、寝息を立てていた。
しかも全裸、って言うか、私も全裸だ・・・

 な・なんなんだ、よく考えろ!! え〜〜っと、祐巳ちゃんが私を呼んで、落っこちて、その後、引きずられて・・・ その後の記憶が、無い。
い、いや!!記憶が無いわけではない、私の本能が記憶を封印しようとしている、そう感じた。

「う〜〜ん、あ、聖 おはよう 」
「あ、ああ・・ おはよう、え、江利子・・・」 江利子は私の顔見てから、容子に言った。
「ああ、容子、おはよう。 なんだか身体が重くて痛いわ。」
「当然じゃないの江利子、途中から聖を独り占めしていたんだから!!」
「あら? そうだったかしら?」
「そうよ!! 私だってもっと色々したかったのに。」
「ごめん、ごめん、次は容子に主導権をあげるから、ね?」

 聖を独り占め? 色々したかった? 主導権? 
そ、そんな!! 記憶がだんだんと思い出され、私は物凄く、いや、超物凄く恥ずかしくなってきた。
う、うそ、 そんなこと無いよね、私は攻め専門のはずなんだから、これは、夢?夢であってほしい。
しかし、次の言葉で止めをさされた。

「でも、まさか聖があんなに可愛くなっちゃうなんて。」 私を見ながら、うっとりする容子。
「ホント、まさか泣いちゃうなんて思ってもいなかったわ。」 私を見ながら、舌なめずりする江利子。

私・・・ 食べられちゃったんだ ・・・

「あら、真っ赤になっちゃって、聖ったらホントに可愛いんだから」妖艶な笑みをしつつ、じりじりと向かってくる容子。
「ホント、まるで私たちを誘っているかのよう・・・」淫靡な笑顔しつつ、同じく、じりじり向かってくる江利子。

 「ふふふ・・・ ねえ?江利子、朝1で、もう1ラウンドいってみない?」
 「激しく賛成、こんな素敵な朝食は初めて。」
 「あ、あの・・・ 」 私の今の気持ちは空腹のライオンとトラの檻に入れられた子ウサギ


 「「 いっただっきま〜〜す!! 」」




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