この話は「未来の白地図」を完全に無視しております。
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「さっちゃんは、祐巳ちゃんと一緒にいろんなことをしたいんだよ。
それを阻むことの方が、僕には酷だと思えた。そういうことさ」
柏木さんの言葉が蘇ってくる。
まさか、「いろんなこと」の中に「これ」も入っていたなんて……
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昨日、お姉さまが遊園地で倒れた。
めったにないデートでということで私がはしゃいでいる間に体調を崩されたのだ。
結局デートは中断となり、ホケンとして付いてきた柏木さんの車でお姉さまをご自宅までお送りしたのだ。
その過程でまた柏木さんに格の違いを見せ付けられた。
夜になって、お姉さまから電話がかかってきた。
『祐巳、心配かけたわね』
『お姉さま、お体は大丈夫なんですか?』
『えぇ、休んだらいつもと変わらなくなったわ。優さんは少し大げさなのよ。
ところで祐巳、明日はなにか予定があって?』
『いいえ、特にありませんが』
『よかったわ。では明日の昼に薔薇の館に来てくれない?』
『わ、わかりました。行きます。よろこんで!』
わーい!お姉さまとデートのやりなおしだぁ!!
お昼ってことは二人で昼食会かな?
たのしみ、たのしみ
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そして、今日、私がビスケット扉を開くと……
なぜか、大勢の人がそこにいた。
山百合会のメンバー、先代薔薇さまたち、瞳子ちゃんに可南子ちゃん、
そして柏木さんに花寺生徒会メンバーまでが……
お姉さまはというと、これ以上ないような幸せそうな笑顔で私に言った。
「祐巳、待っていたわ」
「お姉さま、そのお姿は?」
お姉さまは、カスリの着物に赤い襷たすき、髪には手拭いを巻いていた。
「バカね、誰かが倒れたあとはこれをやるのが紅薔薇の伝統なのよ。
もっとも、この伝統は祐巳が作ったのだけれども」
「……」
「こういうこともあろうかと、試験中、山百合会の活動がない時からずっと優さんに徹夜で特訓を受けていたのよ。
祐巳も早く着替えなさい。祐麒さん、早く渡して!」
祐麒は
「祐巳、すまない」
と言うと、見覚えのある風呂敷包みを私に渡した。
ということは……
昨日、お姉さまが倒れたのは、その特訓のせい?
お姉さま、もしかして狙ってました?
<安来ぃ〜>
薔薇の館中の爆笑のなか、私は思いました。
「柏木さん、頼むから阻んでぇ〜!!」