ちょっと反則気味ですが、【No:1054】の続きです。
あの終わりかたで納得している方は読まない方が吉です。
ちょっと位反則でも良いと言うかたのみよんでくれれば幸いです。
生きたいと願った。
死にたくないと思った。
でも、私が願ったのは、決してこんな形で生きていく事じゃなかったはずなのに・・・
「う・・・ぅうん・・・」
けだるげな声を上げ、静かに身体を起こす。
頭がボーっとしているから、眠たげに目をこする。
暫くそうして、私は辺りを見回す。
「・・・あれ・・・? ここ、どこ?」
外を見る。
カーテンが有る所為で景色は見えないが、もうすぐ日が沈むのだろう。
空は薄く、茜色に染まっていた。
横たわっているベッドの周りはカーテンが引かれ、病室のようだった。
「・・・あぁ」
そうだ、飛行機が落ちて・・・
病院に運ばれたのだろうか? なんにしても生き残る事はできたらしい。
そんな事を考えながら、窓に引かれたカーテンを開く。
予想通り、空は茜色に染まり、かすかに闇がさし始めている。
一緒に飛び込んできた景色は、ほのかに懐かしく、しかしありえない風景を写している。
「ぇ?」
懐かしい、ありえない。
茜色に染められたそれは校庭。
まばらに居る生徒は運動部だろうか?
それは、懐かしいあの高等部に入るより以前。
お姉さまにあうより、瞳子にあうより以前。
「ここ・・・は・・・」
鮮明に思い出す。
この景色。
規律に厳しく、厳格なこの学校ではあまり来ることはなかったけど、それでも何度かお世話になったこの場所。
「中等部の、保健室・・・」
呆然と、私はそれだけ呟いた。
どれだけそうしていたのだろう。
ずいぶん長かったような、それで居てそれほど時間もたっていないような。
「あら祐巳さん? 目を覚まされたのですね?」
「・・・シスター?」
私の意識は、部屋に入ってきたシスターの声で引き戻された。
「私、何で・・・?」
こんな所にいるの?
そうたずねたかった。
でも声がでなかったか。
「HRの最中にね、突然倒れたんですよ。
駄目ですよ、体調が悪いのに無理をしては」
「あ、はい。すみません」
心配そうな顔をしているシスターにそう答えて、考える。
飛行機が落ちて、ここに運ばれた?
そんなわけが無い。
なら、ここはドコ?
私は・・・ダレ?
私の記憶はドコまでがホントウ?
私は・・・・・・イマドコニイルノ?
帰り支度を済ませ、心配して送っていこうかというシスターの申し出を断り、私は街に出る。
公衆電話から、今から帰ることをお母さんに伝え、とぼとぼと歩く。
私の知っている声。私が知っている人。
・・・私を知らない人。
私はダレ?
何故ここにいるの?
だって・・・これなら・・・
あの人たちにあえないなら・・・
今、生きている意味がない。
私は独りで生きていけるほど強くない。
でも、今私は孤独だ。
誰も私を知らない。
そして、私はあの人たちにあえない。
だって、あの人たちは、お姉さまは、瞳子は、遠い未来(あした)に生きているんだから。
ふらふらと歩いていた街中で、立ち並ぶビルの片隅で。
独りだけ置いていかれた過去(じかん)の中で。
暫く、暗く染まった世界に包まれながら。
酷い孤独を感じながら。
私は、声も無く、動きも無く、唯静かに。
涙を流し続けた・・・
はい、超祐巳逆行。
能力もカウンセラー設定も全て出てきませんが、続けるならそっちも有効に使おうかと思います。
・・・評判悪ければ続けないと思うけど。