ジメジメしていた嫌な梅雨が終わった。
今年の梅雨は別の意味でもとてもつらい梅雨だった。
お姉さまとのすれ違い、本当につらくて押しつぶされてしまいそうだった。
でも、もう大丈夫。 元気いっぱい。
……ふっふっふふふ。
思わず、頬がにやけてしまうのがわかる。
今年の夏はいつもの夏とは違う!
そう、お姉さまの別荘にお呼ばれしているのだ!
しかも二人っきりなのだ(〃▽〃)きゃー。
学期末試験も何とかクリアー。
課題を出されて撃沈して、楽しいはずの貴重な夏休みを補習でなんて悲しすぎる。
青春の無駄遣いである。
もし、それにそんなことになったらお姉さまとの素敵な夏休みがパーである。
紅薔薇の蕾があまり酷い点数を取るわけにはいかないからと勉強したかいがあった。
勉強って、しておくもんだよね……。
そんなことを考えながら、私は薔薇の館に向かう。
もう、お姉さまは来てるだろうか。
来てたら、いいな。
「な、何してるの……由乃さん」
薔薇の館に着いた私は、目を疑った。
脚立に登った由乃さんが、薔薇の館をネオンや電飾で飾っているのだ。
それは、まるでどこかのクラブとかうっかりするとパチンコ屋さんだ。
「え、これ。 ああ、第3期だからね」
「はぁ?」
第3期は確かに……この辺から始まるはずなんだけど……。
「祐巳さん、新しい制服とか用意されてるから来てサイズ合わせとかしておいてね」
「あ、うん。 ……って、なんで制服っていうか、薔薇の館をこんなにしちゃってお姉さまに見つかったら大変なことに」
「え? 祥子さまならさっき中に入っていったけど?」
「へ?」
お姉さまはすでに中に!?
でも、こんなありさまを見てお姉さまが何も言わないわけは……。
「いいから、祥子さま待ってるわ。 っと、こんなもんで外は終わりかな」
そう言いながら、由乃さんは何が何だかわからない私の背中を押して館の中へ。
……ミラーボール!?
「何驚いてるの? 第3期なんだから」
由乃さんはそれが当然のような顔をして、どんどん階段を登っていく。
変わり果てた薔薇の館の姿だった。
外も変わってしまったけど、中も全然別物だった。
歴史を感じさせる、かつての佇まいは完全に姿を消し、そこはミラーボールとカラフルなライトで彩られた空間。
一体、何が起きてるの?
「あら、祐巳。 やっと来たのね」
会議室……だったはずの部屋のドアを開けるとそこには……。
青い髪の毛、一見するとリリアンの制服に似てるけれど、思いっきりパンツが見えそうなミニスカートの制服に身を包んだお姉さま。
う、嘘だ……こんなの……。
「祐巳、あなたの分もあるわ。 着替えてらっしゃい」
渡された制服は、お姉さまの制服に負けず劣らずスカートが短くて……これ、常時パンツが見えちゃいますよ……こんなの。
それは、すでにスカートの役を果たしていない。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。 これは、これはどうなってるんですかっ!」
「「「第3期なのよ」」」
お姉さまと、由乃さんとそして姿を現した志摩子さん。
……どうして、志摩子さん体操服? しかも、何故ブルマ!?
リリアンの体操服は確か……。
「第3期なのよ……祐巳さん。 これはしかたのないことなのよ」
そう言った志摩子さんはどこか諦めたような顔をしていて。
気がつくと、お姉さまも由乃さんもやっぱりそんな感じで……。
「もう! 第3期ってなんなのよ。 こんなの違うよ。 こんなのいつもの薔薇の館じゃ……お姉さまじゃ……由乃さんじゃ……志摩子さんじゃないよ!!」
私は泣いていた。
こんなの、違う。
いつもの薔薇の館に戻して。
いつものお姉さま達に戻して!
「祐巳……」
私はお姉さまに優しく抱きしめられた。
「しかたないのよ、祐巳さん。マリア様がみてるアニメ第3期は18禁アニメになってしまったの」
そう言った由乃さんの声は少し震えていて。
「エンディングテーマも18禁ソングの女王、KOTOKOさんなの」
……そんな。
エンディングの優雅な音楽と映像が、ハイテンポなダンスミュージックがBGMのMADムービーみたくなってしまうと言うの?
「そう、だから祐巳。 別荘でもお昼寝じゃ終わらないの」
え、じゃあ……お姉さまと……いや、その……嬉しくないんじゃなくて……こ、心のじゅ、準備が……。
そ、それに18禁アニメになっちゃったら良さんとか見れなくなっちゃうし。
「あ、大丈夫。 中の人は平気な年齢だから。 って、祐巳さん誰の心配してるの?」
あ、それは……こっちの話で。
ていうか、貞操のピンチ……あ、何か微妙にお姉さまの目が怪しい。
ほ、本当に18禁アニメになるからなんですよね?
「視聴率の低迷、朝8時30に移動→地上波の枠が取れずOVAに。 ときたらお色気路線に変更して生き延びるしかないのよ。 売れなくなったアイドルは脱ぐのが宿命……」
いろんな所からお叱りの言葉をもらっちゃうから、そう言う発言は控えようよ由乃さん……。
きっとOVAが売れたら地上波で復活するよ。……たぶん。
「ごきげんよう……って、志摩子さんなんて格好を!!」
入ってきたばかりの乃梨子ちゃんが鼻血で虹を作って撃沈。
凄い破壊力だ。
さすがは連邦の白い悪魔、恐るべし。
でも、本当に18禁アニメでエンディングダンスミュージック全開な第3期がやってくるのかな。
それは、コバルト10月号で明らかになる!?
乞うご期待。
※この作品はフィクション以前のただの悪のりです。
アニメ『マリア様がみてる』第3期は多分こんな話にはなりません。
なお、不適切な発言は暴走気味な由乃さんが勝手に(私の頭の中で)喋ったので私は知りません(爆)
しかし、KOTOKOがエンディングってどうなるんでしょ……から勝手に悪のりしました。
さすがにトランスやシンセがガンガン鳴ってる曲がエンディングになったりしないですよね?
凄く心配です(爆)