*注
この話は題名通りのパラレルワールドです。
原作通りの姉妹でなければダメ!という人は見ない事をお勧めします。
「…Zzz……」
「ほら…起きて…もう…」
「う、うーん…あと五分…」
「何言ってるの昨日もそんなこと言って遅刻したでしょう」
長身の少女はベッドにうずくまり布団からでようともしない少女を起こそうとするがなかなか起きてはもらえない。
「もう知らないわよ。置いていくわよ」
「今起きる〜」
のっそりと少女は起き上がる。
「貴方が起きるのが遅いから朝食の時間は無いわよ」
ようやく起き出した少女に鞭打つ一言に再び少女はベッドに伏した。
「うう〜置いてかないでよ〜」
ツインテールを揺らして懸命に走る少女を後目に長身の少女は表情を変えることなく淡々と走る。
「時間が無いのは貴方のせいなのよ。それくらいは我慢しなさい」
「ごめんなさい…」
心底申し訳無さそうに走る少女に逆に悪いと思ってしまった長身の少女は表情を少しばかり緩める。
「言い過ぎたわ。許して頂戴」
「はい!下は私が悪いから」
二人息を切らして通学路を駆ける。
プリーツを乱さないようになどとは遅刻すれすれのこの時間帯にそんな甘い事は言ってられない。
「ハァ…ハァ……ま、間に合ったよ〜」
「ええ、間に合って良かったわ」
ギリギリ数分残しての登校は今日が初めてではないようで長身の少女は余裕のようでツインテールの少女も息は切らしているものの、表情が明るい。
「貴方ももう高校生なのだから朝がギリギリというのはそろそろお止めなさい」
「うん…でも朝は弱くて…。ありがとう、いっつも付き合ってくれて…」
頬を赤くしながらうつむいて呟くツインテールの少女。
「気にしないで。私が好きでやってることよ。…それに、貴方一人だと心配だから」
「私そんなに頼りないかな…」
少し悲しそうにまたもうつむいてしまった少女に
「貴方が一人で歩いてたら。汚らわしい男が貴方に何をするか分かったものじゃないもの」
とさっきの少女にもずっと小さな声で呟いた。
そして、二人揃ってマリア様にお祈りをする。
「お待ちなさい」
凛と響く声が二二人の足を止める。
「そっちのツインテールの貴方」
「ふえ?わ、私ですか?」
首を傾げてまるで頭に?が見えるかのようであった。
「ええ、そうよ」
そう言って黒い長髪が特徴的な少女は長身の少女に自分のカバンを押し付けるように預けてツインテールの少女に近づく。
「タイが乱れていてよ。服装の乱れは心の乱れよ」
優しく少女に微笑む。
少女は微笑まれ耳まで真っ赤にした。
「祐巳ちゃん。顔真っ赤よ。熱でもあるの?」
そういうと長髪の少女は祐巳に唇が触れそうな距離まで顔を近づけ互いの額合わせる。
さらに真っ赤になる祐巳。
「あわわわ…」
コロコロと表情をかえる祐巳。それが面白がったのか長髪の少女も『大丈夫そうね』と微笑んだ。
そして、その横ではカバンを押し付けられプルプルと震える長身の少女がいた。「祥子、どういうつもり?さっさと祐巳から離れなさい」
「あら、可南子いたのね」
気がつかなかったというように答える祥子に可南子は怒りを覚えた。
「さあ、祐巳いくわよ。これ以上祥子に関わってたら日が暮れるわ」
祐巳の手を強引に引っ張りながら校舎へと向かう可南子。
「い、いたいよお姉ちゃん。ごきげんよう祥子様」
祐巳を引っ張っていった可南子に不快感を覚えてた祥子だか祐巳の笑顔をみた途端にそんな考えはどこかに飛んでいった。
「待っていてね祐巳ちゃん。必ず貴方をあの針金から救って妹にしてみせるわ」去っていった細川姉妹を後目に決意をする祥子だかすでに時間は遅刻なのだった。
…これで小笠原家は大丈夫なのだろうか? 祥子の第で没落しないのを祈るばかりである。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう祐巳」
教室に入るなり祐巳は体に衝突する物体を感知した。
「うーん!やっぱり祐巳の抱き心地はリリアン1だね〜」
「ちょっと聖さん、急に抱きつかないでよ」
「いいじゃない。別に減るもんじゃないし」
くふふ、と笑う聖に祐巳は困ったような表情を浮かべる。
「こら!聖!祐巳さんが困ってるでしょう」
「蓉子。焼き餅?」ぷちっ… がつ!
「あんまりふざけたこと言ってると仕舞にはぶつわよ」
余りに痛かったのか祐巳からはなれるように崩れ落ち、地面と口付けをする聖。
もう殴ってるよ…とは怖くて言えない聖だった。
「ごきげんよう祐巳さん」
まるで何事も無かったかのように祐巳に挨拶をする蓉子は真面目なのか不真面目なのか微妙な所である。
「大変ね。祐巳さん」
「もう慣れたよ…なんて達観した意見は私無理だよ江利子さん」
彼女たちが高校生になってまだ1ヶ月にもみたず祐巳が聖の抱き枕状態になってからはまだ一週間にもみたない。常人よりも適応力が大きい祐巳でも聖のような美人に抱きつかれては二百年は動いていけるといわれる心臓の寿命が日々縮められているのではと思うのもしかたないのかもしれない
つづく…予定