【2612】 敵手登場  (通行人A 2008-05-05 02:24:59)


ケロロのクロスです。
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企画SS
【No:2598】
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今回の作品は途中で視点が祐巳から乃梨子に切り替わります。





13.出発の日




今日は乃梨子と志摩子さんが別荘に出発する日

志摩子「祐巳、ドロロの事よろしくね。」

祐巳「うん、といっても泊まりの来客があって、ほとんど相手にしてあげられないけどね。」

志摩子「いいのよ。」

乃梨子「私、お客さんに挨拶しなくていいの?」

祐巳「いいのよ。
   お客様って言っても祝部の・・・お母さん方の従兄弟が、
   来年リリアンの高等部受験するから、
   そのために学校説明会に行く付き添いだもの。」

乃梨子「祐・・・お姉さまの従兄弟来年からリリアンに来るの?」

祐巳「わかんない・・・
   たぶん、候補の1つだと思う。
   あの子の頭なら滑り止めにって考えてるのが妥当だろうし
   それにあの子、実家が京都だから、
   もしこっち来るとしたら家に下宿することになると思うから。」

乃梨子「そうなんだ、お姉さま、先、行ってくるね。」

志摩子「それじゃあ行ってくるわね。」

祐巳「うん、2人とも気をつけてね。
   行ってらっしゃい。
   皆によろしくね。」

そう言って2人をお見送りした。
それと、入れ替わるようにして、ボストンバックを持ったおかっぱ頭の少女がやって来た。

祐巳「ごきげんよう。
   お久しぶりだね、とばりちゃん。」

とばり「こんにちは・・・
    いえリリアン風にごきげんようと言ったほうがいいかしら
    お久しぶりです、祐巳姉さん。」





祐巳・・・お姉さまと別れて、私たちはM駅まで向かった。
私たちが到着すると既に由乃さまと黄薔薇様が居た。
私たちは祥子さまが来るまでお喋りをしていた。
私は、お姉さまとどんな仏像を見に行ったとか、
由乃さまたちが行った富士登山で、
山小屋で一緒だったおばさんのいびきが五月蝿かったとか、
そんな話で盛り上がっていると祥子さまがやって来た。

由乃「祥子さまも来た事だし、はやく切符を買いに行きましょう。」

祥子「交通手段は車って行ってあったでしょう。」

由乃「いいえ、聞いてませんけど」

令「祥子、私も聞いてないよ。」

志摩子「私も・・伺っておりません。」

そう言うと皆の視線が私に向いた。

乃梨子「私は、お姉さまとその話題になった時、
    お姉さまが、毎年自家用車だから、
    『来るまで』と『車で』を勘違いしたんじゃないかって
    教えてくれましたから知ってましたよ。」

祥子「あぁ、そういう事だったのね。
   やだわ。
   もぅ。」

その後皆で笑いあった。

皆が先に車に向かって、私も向かおうとしたら、祥子さまに話しかけられた。

祥子「祐巳ちゃんの事、お姉さまって呼ぶようになったのね。」

乃梨子「ええ、お姉さまからのお願いで、まだ慣れませんけどね。」

祥子「そう・・・」

乃梨子「私からも1ついいですか?」

祥子「何かしら?」

乃梨子「どうしてお姉さまの事『祐巳ちゃん』って呼ぶんですか?
    実の姉妹なのに。」

それを聞いたとたん祥子さまの表情が強張った。

祥子「あなた、どこでその事を?」

乃梨子「この間、お姉さまが話してくれました。」

祥子「そう、あの子が・・・、
   あの子がね、そう呼んでくれって、
   リリアンでは呼び捨てには特別な意味があるから、
   けじめをつけないとって
   まあ、頭に血が上ってヒステリーを起こすと時々、呼び捨てにしちゃうんだけどね。」

乃梨子「そうだったんですか。」

祥子「あなたに祐巳ちゃんのことお姉さまって呼ぶようにしつこく注意してたのも、
   今思えば単なる八つ当たりかも知れなっかったわね。ごめんなさいね。」

乃梨子「いえ、もういいんですよ。こちらこそ変な質問して申し訳ありません。」

祥子「謝る必要なんてないわ。
   それより、これからもあの子のことお願いね。」

乃梨子「もちろんです。
    言われるまでもなく。」

由乃「2人とも〜、はやく〜」

祥子「行きましょうか。」

乃梨子「はい」

私たちは車に乗り出発した。



この時、私は知らなかった。
私にとって、生涯の天敵とも呼べる2人
その内の1人と旅行先で出会うことを
そして、もう1人が今、お姉さまの家に滞在していることを。



【No:2613】へ続く


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