【2641】 持ち主は誰?  (アリとキリギリスのキリギリス 2008-06-07 20:42:24)


ストパニとのクロス

【No:2620】→【No:2633】の続き。。


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「それはどういう意味かしら?」

ギリギリギリ―――
祥子の手にさらに力が入る。

「お、お姉さま?!(い、痛い・・・ちょ、やめて。ほんと痛い。まじで・・・壊れる!)」

祥子から受ける肩の痛みに、祐巳の顔は蒼白に。そして尋常じゃないほどの汗が流れ出ていた。

しかし。
それもつかの間だった。

「小笠原さま。私の祐巳にひどいことなさらないで」

そう言うと、静馬はふわりと祐巳を抱きしめた。

「べ、別に私はひどいことなど・・・!
そ、それに花園さま。私の祐巳とはどういう意味でしょう?祐巳は私の妹です!」

叫ぶ祥子の声に、祐巳は震え上がった。

「かわいそうな祐巳。もう大丈夫よ」

震える祐巳を静馬はきつく抱きしめ直す。
そしてそっと額にキスを・・・「花園さま!お戯れが過ぎましてよ!」しようとするも、祥子の声に遮られてしまう。

「祐巳も祐巳よ。いつまでも花園さまに抱きついていないで、こっちにおいでなさい!」

祥子が静馬から祐巳を離そうとする。
が、祐巳はいやいやをするように頭を横に振ると、力強く静馬に抱きついてしまった。
痛みに怯えたのだ。トラウマってやつ。

「ゆ、祐巳・・・?!」

祐巳が拒絶した―――
祥子の頭は真っ白になった。

「(ハッ!しまった!)お、お姉さま!ち、違います!」

呆然と立ち尽くす祥子の姿を見て、祐巳は我にかえった。
祥子の元へと駆け寄ろうとするが、静馬の腕がそれを許さない。

「し、静馬お姉さま。はなして!」

祐巳はバタバタと手を動かした。
しかし、静馬の腕には更に力が入る。

「祐巳。嬉しいわ。もう逃がさなくってよ」

怯えた祐巳が自ら抱きついてきた―――そのことに静馬はとても喜んでいた。
祐巳から抱きつくことなど滅多にないのだ。
だから、祐巳を放す気などさらさらなかった。

「ちょ、ちょっと!静馬お姉さま?!」

「大人しくして」

そう言うと、静馬は祐巳の顎をクイッと上げた。
ゆっくりと静馬の顔が祐巳に近づいていく―――

(何度見ても綺麗なお顔―――って!ちがーーう!
この状況は・・・まずい!でも・・・うう、体が動かない)

静馬の醸し出す雰囲気にのまれ、祐巳は動くことができなくなった。
頭の中がピンク色に染まりかかる。
もう何も考えられない―――

と、その時。
静馬の名を呼ぶ声が聞こえた。

「花園さま!!!!」

祥子が、聖が、由乃が、それに普段温厚な志摩子でさえ、大声で叫んでいた。
その声に静馬は驚いた。
その隙を逃さず、祐巳は静馬の傍から離れた。

(お姉さま!!
それに白薔薇さま、由乃さん、志摩子さんも!
ずっと何にも言わないから見てみぬ振りかと思ってたけど、やっぱり助けて・・・)

祐巳は感激でうるんだ瞳で祥子たちを見つめた。
が、しかし。

「祐巳(さん・ちゃん)は私のものです!」

(はい?今、何か不吉な言葉が聞こえたような・・・
それに何だか目つきが・・・おかしい)

「え、えっと!」

これ以上続けてはいけない。
そう感じ取った祐巳は、後先考えることなく声を出していた。

「どうかして?祐巳」

「え、えーっと・・・そうだ!案内!
静馬お姉さまに校内を案内しないと!さぁ、早く行きましょう」

祐巳は勇んでドアに手をかけるものの、静馬がそれを遮る。

「別にいいわ」

「は?!」

「校内案内なんてしなくていいわ」

「ど、どうして?!学校が見たくてリリアンに来たんでしょう?」

「祐巳に会いに来たのよ。学校なんてどうでもいいわ」

心底興味なさそうに静馬は言った。






その時・・・

蓉子は怒っていた。聖の「祐巳は私のもの」発言に。
令は悲しんでいた。由乃の「祐巳は私のもの」発言に。
そして、江利子は楽しんでいた。目をキラキラと輝かせながら。

「ふふふ。さすが祐巳ちゃんね」


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