【3247】 夢が叶うまでシロップまみれの祐巳薔薇の館爆発  (星灯 2010-08-11 12:19:44)


冬の季節。とある日曜日に起きたとある出来事。今回のお話はそんな寒空の下で起きた…… 喜劇? それとも悲劇?


―――私立リリアン女学園。迷える子羊が集いしマリア様のお庭。


リリアン…… それは、マリア様のご加護を求め全国各地から選りすぐられた、個性豊かな乙女達が蹂躙跋扈する茨の園。
その中でも特に【クレイジー】で【アレ】な乙女で構成されていると評判の生徒会、みんな大好き山百合会。


本日の舞台である山百合会本拠地、薔薇の館にて。


今日は休日。本来なら誰も居ない筈の此処、薔薇の館に三人の山百合乙女が居たりなんかする。
溜まった仕事を片付けに? 休日会議? 当然の様にそんな殊勝な心がけは微塵も無く、此処でしか出来ないある事をしにわざわざやってきたのだ。


その三人の乙女とは、


白薔薇である私、佐藤聖。その妹の藤堂志摩子。


そして、


我が山百合会の看板娘にしてみんなのアイドルであるツインテールっ娘、福沢祐巳ちゃんもその中の一人だ。






『夢が叶うまでシロップまみれの祐巳、薔薇の館爆発!』






「……あのぅ、何故に私はこんな格好をしているのでしょうか?」

真紅のメイド服にその身を包み、正にメイドさんな祐巳ちゃんの第一声。
何時もの三倍は可愛い姿(白薔薇姉妹承認)で、まぁ当然と言っちゃあ当然の疑問を私達に向かって直球で投げつけてきた。

「んー、祐巳さんにぴったりの衣装だと思うわよ?」

うんうん、志摩子の言うとーり! 祐巳ちゃんには清楚な格好がとても良く似合うのさ。
メイド服が清楚かどうかはこの際、置いとくとしてだね。

「いやいや! 私が問題にしているのはそういう事ではなくて」

ふむ。やっぱり、胸元セクシーなメイド服は邪道だったかな。特に祐巳ちゃんのお胸だと残念な事になっちゃうし。

「あら、私は好きよ。胸元残念なメイドさん」
「……うぅ、なんでこの姉妹は、人が気にしているところをこうもあっさりと攻めるのかなぁ」

発想を逆転させるんだ祐巳ちゃん! こう考えれば良い。 貧乳はステータスだ! と。希少価値なんだ! と。

「私にとってはバッドステータスなんです!!」

祐巳ちゃん+ナイムネ+メイド服=絶対可憐! だから負けない!!
理論的には完璧だと思うんだけどなぁ。

「理論ってナニ!?」

しかし、完璧な筈のメイドさんな祐巳ちゃんを見て、それでもまだモノ足りなさを感じてしまう。
私の理論に穴が在るとでも言うのだろうか…… メイドさんに欠かせないモノ……?


……うん、ネコミミか。


「お姉さま、メイドさんにネコミミはそれこそ邪道です」

えー。

「それに祐巳さん。なんなの、そのスカートの丈の長さは。長すぎるわ」
「えっ、いや、その」
「下着が見えるか見えないくらいぎりぎりの長さが私の好みよ」
「おーい、志摩子さーん。帰ってこーい」

誰に似たんだか、人の話を聞かないにも程がある我が妹。
そんな暴走気味の志摩子とは対照に、祐巳ちゃんは浮かない顔している。どったのかしら?

「訳も分からないまま此処に連れてこられたんですよ。不安にもなります……」

あはは、ごめんごめん。

「実はね、祐巳さんに手伝って欲しいことがあるの」
「手伝い?」

そ、だから志摩子に頼んで、祐巳ちゃんを休日の薔薇の館に御招待させてもらいましたという訳なんだな。

「……なんだか、とてつもなく嫌な予感がするのですが」

恐怖と諦めが入り混じった、そんな悲しい微笑みをする祐巳ちゃん。
どうやら、私達白薔薇姉妹の事をトラブルメーカーかなんかだと認識しているみたいだ。


まぁ、否定できないんですけどもねっ!!


「うーん…… しかもこの格好で?」
「えぇ、その格好で」

おやまぁ祐巳ちゃんたら、いったいなにを悩んでいるんだい?
おねーさん達はとても優しいからね、別に無茶な事をさせるつもりはこれっぽちも無いのヨ?

「わ、わかりましたっ! わかりましたから、そのなにかを揉むような手つきで近づいてくるのは止めてくださいっ!!」

うふ、それじゃあ手伝ってくれるのね。おねーさん、とっても嬉しいわ。

「だって、断ると後が怖いんですもの(お仕置きの有無的な意味で)」
「まぁ、祐巳さんったら。そこまで酷くないわよ(お仕置きの強さ的な意味で)」


「「……」」


「……で、私はなにをすればよろしいのでしょうか」

私達の指導に従って、ちょっとした特訓をしてもらいたいんだけど。

「と、特訓!?」

うん、特訓。蓉子と祥子、あのにっくき紅薔薇姉妹をぎゃふんと言わせるための特訓をさっ!!



―――次の日。



「おかえりなさいませ、お嬢様」

私と志摩子のセクハ…… じゃなくて技術指導の成果が今ここに爆誕っ!
元々才能があったのか、たった一日の指導で随分とメイドさんらしくなった祐巳ちゃん。

「鞄をお持ちいたします」
「あら、ありがとう」

私達のことを【エロ薔薇】とか【万年発情期】だとか、好き勝手言いたい放題な紅薔薇さんちの性悪姉妹。
あんた達だって、祐巳ちゃんの愛らしいメイド服姿を見たらうろたえるでしょーに……

そんな想いから始まりましたこの作戦、コードネーム『祐巳ちゃんがメイドさんになったら可愛くね?』大作戦なのですが、

「お飲み物は紅茶でよろしいでしょうか?」
「ええ、良くってよ」

……うーん、反応いまいち。
やっぱり祥子はお金持ちだから、家でメイドさんとか見慣れているのかなぁ。

「それは違いますわ、お姉さま」

んー? どゆこと?

「祥子さまをもっとよくご覧になってください」

えっと…… 祐巳ちゃんから紅茶を受け……
うぉ! 受け損ねて紅茶こぼした!? 熱さに驚いてテーブルに足ぶつけた! あまりの痛さに笑顔が歪んでる! コントだコレ!?

「おそらくは降って湧いたチャンスを活かす為、平静を装ってるのです」

こんなに動揺している祥子を見たのは初めてだわ。うふふ、こいつぁ楽しくなってきやがったぜぇ!



―――そして30分経過。



「……ところで」
「な、なんでしょう? お嬢様」

お尻を触ったり、スカートを捲ったりと、祐巳ちゃんを積極的にさんざんいぢくり回した祥子。
見てる私達にとっては実に楽しい30分だったのだが、セクハラを受ける祐巳ちゃんにとってはたまったものではない筈。

ただまぁ、これだけで祥子のドス黒い欲望が満たされる訳も無いのでして。

「私の言葉、貴方にとってはマリア様の御言葉にも等しい…… そう思わないかしら?」

なにを言っているんだ、おまえは。

「主人である私、そして私を崇め心酔する祐巳。薔薇の様に気高く美しい二人の主従関係……」

ロザリオの誓いはどこいった。

「私に絶対の忠誠を誓う貴方は、私の言葉を神聖なるモノとして丁重に扱わなければならないのよっ!!」

祐巳ちゃんの両肩をがしっと掴む祥子。
タガが外れちゃったらしく、眼が異常にぎらぎらと輝いている。はぁはぁしている。

「良いこと祐巳、これは命令よっ! いますぐメイド服をお脱ぎな 「おまちください、祥子さま!」

おおっと! ここで志摩子のまったコールだー!!

「なによ、志摩子! 私のやる事に文句でもあるの!?」
「ええ、祐巳さんの恋び…… 友人として一言、祥子さまに言いたいことがあります」

正に一触即発な状態、薔薇の館の空気が熱を帯びてぴりぴりとしている。
そんな中、志摩子はいったいどの様にして祥子と決着をつけるつもりなのだろうか……

「どこぞのコスプレAVじゃあるまいし、メイドさんからメイド服を奪うなんて愚か者のすることですわ」

つっこむとこ、そこっ!?

「大丈夫、メイドさんの魂であるヘッドドレスとガーターベルトは残しておくから」

祥子もその返しはどうかと思う。

「……下着はどうするおつもりですか?」
「もちろん残しておくわよ」

がっちりと堅い握手を交わす二人。どうしよう、こいつら馬鹿だっ!

「それは良かった。それで下着の色は何色を?」
「純白。それ以外は決して認めない」

下着の色なんて、エロければ何色でも良いじゃないのさ。

「お姉さま、それは違います」
「下着の色がメイドさんのこれからを決める、そう言っても過言では無いのですわ」

メイドさんの下着ってすごいのな。
つーか、志摩子は何故にそっち側にいるの?

「個人的には、黒くてアダルティな下着をオススメしたいのですが」
「黒っ!? 清純な祐巳に黒は似合わないんじゃないかしら」
「だからこそです。真っ赤な顔して恥かしげにうつむく、そんな祐巳さんを見たくありませんか?」

どうしよう、こいつらやっぱり馬鹿だっ! だけどそんな馬鹿…… 私嫌いじゃないぜっ!!

……って、あれれ? 祐巳ちゃんどこいった?


―――ガチャ


ん?


―――ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ ガチャッ!


「こら貴方達! 揃いも揃って、なにぎゃーぎゃー騒いでいるの!?」

うぁお! 蓉子!?

「なによ、人の顔見て悲鳴をあげるなんて失礼な」

いや、こちらにも心の準備ってモノが。

「……あら、私に会うのにどうして心の準備が必要なのかしら?」

薄ら寒い微笑みを浮かべて迫る蓉子さん。ちょ、やめてっ! その顔で近づいてこないでっ!!

「あら、お姉さま。ごきげんよう」
「ごきげんようじゃないわよ! いったいこの大騒ぎはナニ!」

まぁまぁ落ち着いて、そんなに怒ることないじゃないのさ。

「今、私達は祐巳の将来に関わるとても大切な話をしているのです」
「ですから邪魔をしないでください、蓉子さま」

えっ? そんな話してましたっけ?

「そんなこと言ったって、祐巳ちゃんが困ってるじゃない」

あれま、消えたと思ったらいつの間に。ふむ、どうやら祐巳ちゃんが蓉子を連れてきたのか。

「まったく……」

愛しの祐巳ちゃんの大ピンチ救いに来たヒーローってとこかな。蓉子ったら何時も美味しいとこを持ってこうとするんだから……

「何度いったら判るの! 祐巳ちゃんをどーにかしていいのは私だけなのよっ!!」

違った。

「いいえ! 祐巳は私のモノです。そうよね、祐巳?」
「祐巳さんと赤い糸で結ばれているのは私です。ね、祐巳さん?」

おっと、私を忘れてもらっちゃあ困る。

「……うふふ、どうやら貴方達には身体にわからせる必要があるみたいね」
「「望むところですわっ!」」

よっしゃ、どっからでもかかってこいやーーーっ!!!










「あーん、どうしてこうなるのーーーっ!!!」

.Fin


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