【3643】 心を決める藤堂蓉子  (環 2012-04-07 10:09:48)


初めまして。
いつも楽しく読ませて頂いてます。
いつも読んでばかりいたのですが、僕も書けたらいいなと思い拙い文章ではありますが書いてみました。
お見苦しい書き方ですが温かい目で見てもらえたら嬉しいです。


* * *

昼寝をしていたのであろうか?
気がつくと縁側で、ウトウトとしていたらしい。
辺りを見渡すと、ここは庭なの?と勘違いしてしまいそうな何とも広大な景色が目の前に映った。
「え?ここはどこなの?」
記憶を辿っても、今いる場所がどこなのかが分からなかった。
背伸びをしながら、立ち上がると黒い磨かれた廊下から今曲がったであろうある人物と目があった。

「し…志摩子?」
「あら?お姉さま、起きたのですね?」
そう言って此方に近づいてくる人物にある種の聞きなれない言葉に違和感を覚えた。
「え?お姉さまって?」
辺りをキョロキョロと見渡しても、志摩子のお姉さま(グラン・スール)の『聖』はいない。
「うふふ。お姉さまは夢でも見てたのですか?」
「お姉さまって…志摩子、聖はいないじゃない?」
「え?」
『何を言ってるの?』と、志摩子は人差し指を唇にあて、小首を小さく傾げながら考えている。
(わ!何て可愛い)と思った。
私の知っている『藤堂志摩子』という印象は、一種近寄りがたい雰囲気があった。
でも目の前にいる志摩子は、何だかポワポワ〜としていて可愛らしい。
「せいって何ですか?」
「ちょ?志摩子何を言っているの?」
相変わらず志摩子は、のほほんとしている。

「じゃ、お姉さまって誰の事よ?」
『え?』と、小さく口をあけて驚いている。
少しの沈黙があって、やや真剣な目をしてとんでもない事をサラっと発した。

「お姉さまとは蓉子お姉さまの事です」
「へ?」
何とも間抜けな返事をしてしまった。
言ってはいけないがまるで『祐巳ちゃん』見たいな顔していたであろう…
「蓉子お姉さまって、志摩子は私の妹じゃ…」「だって藤堂蓉子なんですから」
「………」
今、志摩子は何と言った?藤堂蓉子?藤堂?
きっちり10秒は沈黙があったと思う。
「えええええ〜〜〜」
私の大絶叫が響きわたり、何だか私は力が抜け、その場で意識が遠のいていった。
遠くで、『お姉さま、お姉さま』と志摩子の叫んでいる声が聞こえている気がした。

* * *

目を覚ますと『夢』だった…何てことは無く、遠くの方からお経の声が聞こえていた。
お日様の眩しい日差しが部屋の窓から射している。
雀の声なのだろうか?部屋の外から『チュンチュン』と聞こえる。
どうやら、私は気絶したまま眠っていたらしい。
何となく朝だという気はした。

次第に意識が覚醒してきて、近くからフローラルの香りだろうか?いい匂いがした。
ふと、視線を横にずらすとそこには…。
「し、志摩子!」
ビックリした私は思わず布団を跳ね除け、ぴょんと飛び起きた。
「なななな」
『何で』と、言いたいのだけれど、余りの出来事に言葉がでない。
私の大声のせいで、幸せそうに寝ていた志摩子も「…ん…う〜ん」と、目を覚ました。
そして目の前にいる私に気付くと顔を赤らめながらも可愛く「お姉さま、おはようございます」と、私に飛びついてきた。
「わっわわわ」
「きゃっ」
余りもの勢いに二人して重なるように、何だかすごい状況になってしまった。
私の胸の辺りに、『むぎゅ』っていう圧迫感を感じるし、顔には志摩子のやわらかい髪の毛が覆いかぶさっていた。
「痛ぅ…」
「お…お姉さま、大丈夫ですか?」
志摩子がゆっくりと身を起こし、大きな瞳で心配そうに上目遣いで聞いてくるものだから、心臓が早鐘の如く鐘をならし、思わず鼻血が部屋の天井まで噴出しそうになった。
「ええ、大丈夫よ。」
「…よかった」
そう言って安心したのであろう志摩子は、花が咲くほど微笑んだ。
(違う。違うのよ!何で私がドキドキしないといけないのよ!
そりゃ、志摩子は美人でお人形さんみたいだけれど、出来ればあんな事や色々な事をしたいけれど……。
嫌、嫌、嫌。私は同姓には興味ないはずよ!そりゃ一時、『聖』の事をいいなとは思った事はあったけれども…ぶつぶつぶつ…)

この出来事がきっかけで、『このまま此処で藤堂蓉子として暮らす人生もいいかな?』何て考えてしまう私がいた。


* * *

最後まで読んで頂きありがとうございました。


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