【3791】 パエリアが大好き書き直したもの  (篠原 2013-10-19 00:46:31)


【短編祭りEx】


「というわけで、パエリアです」
「唐突ですね、お姉さま」

 テーブルの上には色のついたライスの上に魚介類やらなにやらが載っている一皿がデンと置かれていた。

「聞いてちょうだいよ、日出実」
「聞いてますけど」
「引いちゃったのよ、パエリアを」
「そのようですね。今更ですが」
「今更なのよ」
「しかしお姉さま、パエリアとか作るんですね。ちょっと意外でした」
「そんなわけないじゃない。さっき伊勢タンで買ってきたのよ」
「タンって……ああ、字が違うので一瞬わからなかったですよ。いせた――」
「大人の事情なんだからそこは突っ込まないの」
「はい」
「あと、交流掲示板見たら食べたくなっちゃって」
「ああ、なるほど」

 ちなみにここは新聞部の部室です。念のため。

「もくもく、うん、これはなかなか」
「もくもく、なかなかですでね。ちょっと味が濃いですけど」

『ご馳走様でした』

「さて、テーマ回収したところで、これは【No:3789】『満ち足りた日々』の『Ex』になります」
「また唐突ですね。なんですかExって?」
「遅刻組がいるならExがあってもいいじゃない」
「はあ……?」

「おっと、その前に、bqex様、」

『終了後にお手間をかけてすみませんでした』

 深々と頭を下げる二人。

「遅刻の時点で通常投稿扱いなのでスルーされてもよかったのですが」
「まあそれも含めて『計画通り』なんでしょうけどね。しかしExまでは予想できまい。クックック」
「お姉さま、悪役みたいです」
「コホン、このExはシャレなのでスルーの方向でよしなに」
「よしなに」

 再び一礼。

「それでExって何をするんですか?」
「ええと、確か作品の解説とかするんじゃなかったかしら」
「なるほど」

 なにやらパソコンで調べていたらしい日出実さん、納得したように頷きます。

「例えば遅刻した言い訳とか、作品の解説とか、本来作品内ですべきなのにしていなかった設定の説明とか、遅刻の言い訳とか、あるいは遅刻の言い訳とかですかね」
「……日出実、何か怒ってる?」
「いえ、最近出番が全然無いとかで怒ってたりしたら祐巳さまのご友人……某なんとかさんに失礼ですよ、お姉さま」
「お、おう」
「それで遅刻の理由ですが」
「まだ続くの? その話題」
「あの作品を書く為にいろいろ調べようとしてたらしいのですが………羅針盤回したりしてて気が付いたら日付が変わっていた、なんてことは」
「いやいや、まさかソンナ、マサカマサカ……」
「そんな馬鹿なことあるわけないですよね」
「デスヨネー」
「え? 台本?」

 ここで台本が日出実さんに手渡されます。

「はい。えーと、では私が適当に台本読みますので、お姉さまは適当にリアクションをお願いします」
「適当でいいんだ? って台本あるの? なんで日出実が台本読む方なのよ?」
「私にアドリブでリアクションとか無理ですので、そこはお姉さまにお願いしたく」
「え、私もアドリブってあんまり……」

「最初のツッコミどころは注意書きの(オリキャラ?)ですかね」
「そ、そうですね」
「知っている人には説明するまでもないことなので説明しませんが」
「……わかる人だけわかればいいや的な態度が多いわよね、この作者」
「オリジナルを装ったクロスになるのでしょうか」
「別に装っているわけでもないのでしょうけど」

「次に登場人物について、まずは以下をご覧ください」

 白薔薇:翔鶴 ― いすず ― ひびき
 紅薔薇:赤城 ―(青葉) ―(若葉)
 黄薔薇:金剛 ― マヤ  ―(サツキ)

「明らかに見慣れない名前があるんだけど」
「()内は未登場の方々です」
「設定あったなら登場させましょうよ!」
「ただでさえ遅刻なのにこれ以上拡げるとか無理です」
「使えないわね。でも、どおりで人数バランス悪いと思ったのよね」
「ちなみに青葉さんはもと新聞部員のパパラッチで、かつては『リリアンの狼』と呼ばれたそうですが、取材する側からされる側になってしまったのだとか」
「だから使いましょうよ! そういう面白設定」

「あ、どうも、恐縮です。青葉です。取材……いえ、会議行ってきまーす」

 なんか通り過ぎて行きました。

「……………」
「……リリアンの狼?」
「次行きましょう」
「何あのノリ……」
「登場人物候補は他にもたくさんいたそうです。千歳さん、深雪ちゃん、潮ちゃん、時雨ちゃん、霞ちゃん等々」
「見事にスルーしてくれて。名前は基本、そのまま人名として使えるものをってことよね」
「薔薇さま以外は、ですね」
「翔鶴とか無理やりにも程があるものね」
「それは髪の色で選んだらしいです」
「鶴の白いイメージからじゃなかったのね」

 ※ 白くない鶴もいるのです。

「それから、テーマが『食べる』だったので赤城さんの登場は必然だったと」
「設定全然生きてないけどね。そういえば、作者はちゃんと計量しない派だそうよ」
「どうでもいいですね」
「どうでもいいわね。あと主役は金剛さん、だったのよね? 確か」
「そのはずでしたが、どうしたものやら。それとカレンという名前に方に心当たりのある人は多分正解。とのことです」
「何それ?」
「さあ?」

「ちなみに、一番出したかったのは猫のタマだったそうです」
「猫、なんだ」
「猫なのニャー」
「……日出美」
「な、なんですか、今のは台本に……」
「もう一回言って」
「嫌ですよ!」

 真っ赤になって首を横に振る日出実。

「いいじゃない、もう一回、もう一回だけ」
「嫌ですってば。目がコワイですよお姉さま」
「ハッ、そういえば昔獣耳シリーズが流行った時の猫耳が何故かこんなところに!」
「絶っ対にやりませんよ!」
「ほーら、日出実。ほらほら」

 実に良い笑顔でせまる真美さんである。

「ですから………その……あの、収録終わってからで……いい?」

 なんでモジモジしてるんですかね、日出実さん。

「じゃあちゃっちゃと終わらせるわよ。ていうかもう終わりでいいんだっけ?」
「いえ、……もう猫の話題したくないんですけど、黄薔薇さまがクッキーあげようとして猫を追いかけまわして迷子になったり、捕まえた猫を薔薇の館に連れ込んで皆に微妙な顔されたりとかいうネタが有ったり無かったり」
「だから書きなさいってばそういうの……微妙な顔?」
「彼女達にとって猫というのは、まあ、あまり良い印象がないようで……」
「そうなの? あ、鯖の鰓が破裂したとかどうとか言ってたヤツ?」
「何それ、怖い」

 ※ 出会わずに済むならそれに越したことは無い存在、とでも申しておきます。

「あともう一つ、どうでもいいような設定がありました。金剛さんにはハルナさんという義理の妹がいて、このハルナさんに会う為に日本に来たという無駄に重めな設定が」
「それどうでもいいの!? むしろその設定メインで1本書けそうな話じゃないの?」
「まともな技量の作家さんならそうでしょうね」
「あー」
「ちなみにハルナさんとはちゃんと会えて仲良くしてるそうですので」
「ひょっとして最後の突然綺麗にまとめようとしてる感じの文章って……」
「このあたりのネタを取り込んだ上での『満ち足りた日々』だったのかもしれませんね」
「ほんっとに使えないわね」

「さて、こんなところでしょうか」
「ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました」
「まあ、読んだ人いるかどうかは疑問ですけどね。ほら、本編も投票0でしたし」
「でも投票0って結構凄くない? 昔何度か0かもと思ってたのもあったけど、結局達成できなかったのよね」
「なんで嬉しそうなんですか?」

 ……………検索中です。

「……他にも何作かありますね。がちゃS初というわけではないです」
「なんだぁ、ちょっとがっかりね」
「だからなんでそこでがっかりしてるんですか」

「ではこのあたりで、1年後にまたお会いできるといいですね」
「1年間は書く気ないんですね。しかもできるといいですねって……」
「それでは皆さん、ごきげんよう」
「ごきげんよう」

 一礼する二人。





  :
  :
  :


「さあ、日出実。収録終わったわよ」
「な、なんですか」

 猫耳+尻尾を持ってにじり寄る真美さん。

「約束どおり、これを付けて猫言葉でしゃべってもらうわよ」
「尻尾増えてる!? あれは台本に書いてあっただけで、ちょっと待っ……きゃー」


 閉幕。


一つ戻る   一つ進む