※ご、誤解しないでよ! 私はBLが好きなんじゃなくって、一瞬でもでてる『マリみて』メンバーが好きだから今回も予告というか宣伝というか恒例行事のネタバレSS投下に来たんだからね!
薔薇の館には歴代の山百合会メンバーが勢ぞろいしていた。
「ついにきたわね」
蓉子さまが『集英社BOOKNAVI』の打ちだしを見て言った。そこにはこう書いてあった。
2013年11月30日 お釈迦様もみてる 蛍のヒカル 今野緒雪・著/ひびき玲音・画
「一応柏木さんと祐麒くんの高校生BL話はここで一区切り。ここで『お釈迦様もみてる』が終わるのか、まだ続くのか」
おそらく漫画だったら額のあたりに縦線が入ったり、実際の人間ではありえないようなブルーのグラデーションがかかったりしているような表情で聖さまがうなる。
「なんやかんやといいながら、ここでスピンオフも終了ということになれば我々の出番は、ない」
それは一同覚悟していたことだった。だが、蓉子さまが言葉にしたことで突然現実のものとして突きつけられた感じがする。
「御安心なさい、これから私と山辺さんの愛の新婚生活のスピンオフが――」
江利子さまの言葉は全員の無言の物理的ツッコミで阻止された。
「スピンオフも含めてラストにいつ出たか、覚えてる?」
蓉子さまは一同を見回す。
「コバルトのオマケでついてくるペーパーとか、映画のオマケでついてきたの小冊子なんかは入れるの?」
聖さまが確認する。
「あれはなしで」
本当にどうでもいい情報ですが桂さんは映画の出番を他の人に取られましたが小冊子には出てました。
「では最近出た順に『お釈迦様もみてる オン ユア マークス』【No:3741】の人」
祐巳、瞳子が手を上げる。
「『お釈迦様もみてる 清き一票』【No:3708】」
手が上がらない。
「『マリア様がみてる フェアウェルブーケ』【No:3634】」
由乃さん、志摩子さん、乃梨子ちゃん、菜々ちゃん、祥子さまが手を上げる。
「『お釈迦様もみてる 超難解問題集』【No:3573】」
聖さまが手を上げる。
「『マリア様がみてる ステップ』【No:3400】……『お釈迦様もみてる S-キンシップ』【No:3262】……『お釈迦様もみてる スクールフェスティバルズ』【No:3180】」
蓉子さま、江利子さま、令さまがここで手を上げる。
「ちなみに蔦子さんと真美さんは『マリア様がみてる フェアウェルブーケ』【No:3634】、可南子ちゃんは『マリア様がみてる 私の巣』【No:3094】、桂さんは『マリア様がみてる リトルホラーズ』の短編【No:2977】……」
「本編にあまり関係ないキャラをとりあげちゃうと収拾がつかないからこの辺で。もしシリーズが終わってしまったらこれが最後の雄姿になるのか」
「先生はもう一生食べていけるくらい『マリみて』で儲けちゃったから誰も買わないものを書き続けても困らないお方だしね」
「あっけないものね」
しみじみと一同がそれぞれの思いに浸ろうとすると。
「だ・か・ら! 私と山辺さんの――」
「そんなのはどうだっていい! 最後に出演の可能性があるんならきっちり『マリア様がみてる』をアピることを考えなさい!」
ピシャリ、と蓉子に言われる。
祐巳はどうせ家でパンを食べている辺りで出番が終わるだろうにどうやってアピールすればいいのか必死に考えたがわからなかった。
「祐巳」
そこへ祥子さまが声をかけてきた。
「私は、いえ、このSSを読んだすべての『マリみて』ファンは、もしあなたが『お釈迦様もみてる 蛍のヒカル』でパンを食べていたら、その表面には『マリア様がみてる』とジャムやバターで書いてあるものとして扱うことにするわ」
「お、お姉さま。でも、そんなの挿絵になんてありませんよ」
「心の目で見れば大丈夫、よ」
祐巳はああ、また『何の成果も得られませんでした』出演になるんだな、と覚悟した。
そして。
「だから、山辺さんと私が付き合ってるんだから何とかして――」
祐巳以外で出演の可能性がある江利子さまがこれじゃあまったくあてにならないということを理解し、諦めて『マリア様がみてる』とパンにジャムで書き始めるのだった。