「瞳子と」「乃梨子の」バレンタイン講座へようこそ
「まもなくバレンタイン、お姉さまにはじめてチョコをあげるのにどうしたらいいか分からないかたも多いのではないでしょうか。乃梨子さんも含めて」
「まあ、いまだ独り身の人間に言われたくはないだろうけどな」
「そ、そんなことありませんわ。今回ロザリオをゲットいたしますから全然問題ないですわ」
「何が問題ないかまったくわからないけども、きりがないから先に進んでくれ」
「ええ。日本にはバレンタイン3倍返しという美しい風習がありますわね。これはかかった金額ではなくお相手の満足に対するものですから、お好みをきちんと把握することでいくらでも費用対効果を上げられるものですわ」
「あんた、本当にお嬢様なのか…」
「何をおっしゃいます。これは瞳子のこれまでの経験から得た綿密な分析によるものですわ。祥子お姉さまも清子お母様も単なる金額ではなく、わたくしの配慮に感動してお返しを下さるのですもの」
「それは、わからんでもないけど」
「ちなみに去年は、かっぱえびせんとチョコボールを差し上げました」
「安っ」
「このところ、祥子お姉さまは『えびのような味』がお好みなのです」
「あ、そう。そんじゃ、見返りはなんだったの」
「え。それは…………………ぼそぼそぼそ」
「ろ、六万円のにせ餃…」
「しっ。声が大きいですわ」
「ああ。しかし、挿絵の謎も解けて何だかすがすがしい気分だよね」
「と、とにかく、贈り物はお金よりも心ということですわよ」
「いや、暴利だろ。いくらなんでも…。
まあ、いいけど。そんで、ロザリオを釣上げるためのリサーチのほうはどうなのさ」
「そ、それはまだですわ。お好きなのがハンバーグということくらいで…」
「そうかそうか。
まあ、そういうわけで、まったく参考にならなかったと思いますけど、彼女が肉チョコレートで玉砕しないことを一緒に祈って下さいね」
「そんなこといたしませんわよ」
「ごきげんよう」