『筋書きのない人生の変わり目 【No:132】』から始まる、がちゃSレイニーシリーズ。
『身を焦がす未練いっしょに暴走 【No:742】』くま一号さんの続きを書いてみたり……。
☆最初に謝っておきます。 はっきり言って後先考えてません。
「結婚式ね。」
「ぎゃう。ゆゆ祐巳さまいきなり抱きつかないでください!」
――――――――――――――――――――――――――
|☆さて、瞳子はどうする?
|
| >祐巳さまから逃げ出す
| じっとしている
| 悲鳴を上げ、祐巳を痴漢の現行犯で警察に突き出す
| 振り向いて、祐巳さまの唇を奪う
| 怪しげな踊りを踊る
| 白ポンチョミラクルターン
|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
祐巳は瞳子をぎゅっと抱きしめた。
もう離さない、ただただ無言で腕の中の少女の感触を確かめていた。
ようやく、もう一度話が出来る。
今度は、間違わない。
しかし、腕の中の瞳子は祐巳を振り払って駆けだした。
「瞳子ちゃん!!」
瞳子に突き飛ばされ、しりもちをつく形になってしまった祐巳はあわてて立ち上がり瞳子を追いかけようとした。
その時、強烈な急ブレーキの音と衝撃音が祐巳の耳に届いた。
☆
ピッピッと、規則正しい電子音と生命維持装置の作動音が薄暗い室内にやけにはっきり聞こえる。
沈痛な表情でベットに寝かされた少女をずっと見つめる祐巳さまに、私は声をかけることが出来なかった。
あの現場に私達は遅れて到着した。
片輪が脱輪し、電柱に激突している巨大なトラック。
路面に散乱したガラス片とゴムの焦げた臭い、そして路面にくっきりと刻まれたブレーキ跡。
そのすぐ側で、ぐったりと動かない瞳子を抱きかかえ、必死に名前を呼びかけている祐巳さまの姿があった。
「……瞳子ちゃん! ……瞳子ちゃん! ……瞳子ちゃん!」
すでに涙声で、動かない瞳子に必死に呼びかけていた。
不幸な事故だった。
祐巳さまを振り払って闇雲に駆けだした瞳子は、赤信号を無視して車道を横切った。
そこにいささか速度超過気味のトラックがやってきて運転手は急ブレーキをかけた。
しかし、トラックの右前輪はその急ブレーキに耐えられず脱輪。
いわゆる欠陥車両というやつであるが、
そのせいで大きくスピンする形になったトラックは電柱に激突し、くの字にへし曲がった。
運転手も重症でこの病院のどこかで治療を受けているという。
瞳子は間一髪トラックに轢かれずにすんだ。
轢かれていれば間違いなく即死だっただろう。
だが、避けた際に激しくガードレールに頭を強打し、意識不明の重体となってしまった。
祐巳さまは時折、ううっと嗚咽を漏らすと涙を流していた。
その姿はあまりに痛々しく、見ていられなかった。
瞳子の家からきた婆やという人は、瞳子の両親と連絡を取り、医師の話を聞き時々様子を窺いに来ていた。
瞳子の両親は瞳子が言っていた通り、やはりカナダにいるそうだ。
知らせを受け、一番早い飛行機で帰国するという。
私は、祐巳さまと二人無言でこうして意識の戻らない瞳子を見ていた。
「……私のせいだ」
ずっと無言だった祐巳さまが最初に言った言葉はそれだった。
ただ呼吸を繰り返すだけの瞳子を見つめて、ずっと自分を責め続けていたのだろう。
「祐巳さまのせいじゃありませんよ……」
そう、これは多分今回のことに関わった全ての人のせい。
瞳子を追いつめてしまった人達。
お節介をしようとしていた私達。
瞳子の気持ちに築かなかった祐巳さま。
素直になれなかった瞳子。
だから、一人だけが悪いなんて事はきっと無い。
多分、運が悪かったのだ。
「自分を責めても、何もいいことはありませんよ」
私の背後からその声は聞こえた。
「福沢様と二条様、ご挨拶が遅れました。 私は……」
それはようやく各方面と連絡を取るのに終われていた婆やさんだった。
私の叔母よりも年上に見える彼女は、きっと忙しくあちこちを飛び回る瞳子の両親の代わりに、
常に瞳子の側にいたのだろう。
実際に会うのは初めてだが、瞳子の話は両親のことよりも彼女のことが多い。
「お嬢様をどうか許してあげてください。
お嬢様は小さい頃から、旦那様と奥様に連れられ大人社会の中で生きてきた物ですから
自分の感情を押し殺して、自分を偽るのが上手になられてしまって」
彼女が瞳子を見る目は、母親かおばあちゃんのそれに近いように思えた。
瞳子の子供時代。
婆やさんは、昔話をするように瞳子の小さいときのことを語ってくれた。
忙しい両親に連れられ行動するときは常に瞳子の周りは大人だけだった。
我が儘を言うことも許されず、常に良い子で居なくてはならない。
いつしか、瞳子は子供らしい笑顔をあまり見せなくなった。
婆やさんはそれがすごく悲しかったという。
「それでも、私に学園での話をしてくださるときは、時々可愛らしい笑顔を見せてくださったんですよ」
私は直感した、瞳子にとって両親でもなく常に無条件で味方で居てくれるのは彼女だけだったんだ。
「私も、リリアン出身なんですよ」
だから、学園の話をしやすかったんでしょうねと彼女は笑った。
家では笑顔を無くした瞳子。
きっと、そんな瞳子が唯一笑顔で居られる場所がリリアンだったんだろう。
だから、両親に最初で最後の我が儘を言って此処に残ったんだ。
「旦那様と奥様は何もわかっていらっしゃいません。 お嬢様のお気持ちなど……」
瞳子の両親は事故の知らせを聞いて、「だからあれ程、一緒にこっちへ来るべきだと言ったのに」と言ったそうだ。
「先ほどは、私も少々旦那様に無礼な言葉を吐いてしまいました」
電話口で婆やさんは瞳子の両親と喧嘩してしまったそうだ。
雇い主である瞳子の両親と喧嘩などすれば、最悪クビになるかも知れない。
しかし、黙っていることが出来なかったのだと婆やさんは言った。
「う……」
「瞳子ちゃん!?」
「瞳子!?」
「お嬢様!?」
婆やさんの話を聞いている最中に、瞳子がかすかな呻き声を上げた。
祐巳さまが傍らのナースコールを握りつぶさんばかりにひっ掴んだ。
「う…うう……」
それから1分も経たない間に医師や看護婦が駆けつけた。
私達は廊下に追い出される形になり、瞳子の意識が戻ることを祈るしかなかった。
祐巳さまはロザリオをぎゅっと握りしめて。
婆やさんはしっかりと手を合わせて。
私は、志摩子さんと行ったお寺のお守りを握りしめて。
それからしばらく経って、
額の汗をぬぐいながら部屋から出てきた医師から瞳子の意識が戻ったことを知らされた。
しかし……。
「……福沢祐巳さま? 二条乃梨子さま?」
意識の戻った瞳子は、私達のことを覚えていなかった。
瞳子が私をフルネームでさま付けで呼ぶ。
その違和感が、瞳子が全てを忘れてしまったと思い知るのに十分だった。
知らない人を見る目で私達を見る瞳子。
祐巳さまは、まるで死刑宣告を受けたように言葉を失っていた。
☆
瞳子は、数日で一般病室に移された。
元々、頭を強く打ったこと以外、大した外傷もなかった。
帰国した両親は医師の説明を受けると、瞳子のカナダ行きを当面取りやめる事にした。
私を含め、山百合会の面々は何度も病室に足を運び、少しでも瞳子の記憶が戻らないかと色々な話をした。
祐巳さまはあれからほとんど毎日ここに通い詰めている。
それは、私も同じなのだけれど。
山百合会の方は、残りのメンバーで何とかやってくれている。
「心配しないで、乃梨子。 好きな人の仕事を代わるのは苦じゃないわ」
「そうそう、それが仲間って物よ。 まあ、私と令ちゃんに何かあったときはよろしくって事で」
「梅雨の時期は、志摩子と乃梨子ちゃんに随分負担かけちゃったからねぇ。 ねっ、祥子」
「わ、わるかったと思ってるわよ。 そういうわけだから、乃梨子ちゃんは瞳子ちゃんの所に行ってあげて」
それから、「祐巳をよろしく頼むわね」と紅薔薇様は付け加えた。
「瞳子にはイチゴ牛乳っと」
私は瞳子と祐巳さまを病室に残し、自動販売機の所まで飲み物を買いに来ていた。
記憶を無くした瞳子は、まるで別人のようだった。
見た目も髪の毛を下ろしているため違って見えるが、
何よりにこにことたおやかな笑みを浮かべ、穏やかな表情をしている瞳子など、
今までは想像もつかなかった。
あれが、本来の瞳子の姿なのだろうか?
三人分の紙パックを抱え、瞳子の病室まで戻ると廊下に祐巳さまが立っていた。
「どうかされたんですか?」
医師の巡回時間にしては早すぎるし、
病室内から慌ただしさを感じないから瞳子に何かあったわけでも無さそうだ。
「……あ、乃梨子ちゃん」
私に気がつくと、祐巳さまは力無く顔を上げた。
「……瞳子ちゃんじゃない」
祐巳さまはつらそうな表情を浮かべ、私にそう言った。
「……それ、どういう意味ですか」
私は、祐巳さまが発した言葉にいらつきを感じた。
「……ぜんぜん違うの、別人みたい」
病院の廊下に乾いた音が鳴り響いた。
そう、私が祐巳さまの頬を打った音だ。
祐巳さまは力無く、その場に崩れ落ち、言葉を無くしたままずっと私を見つめていた。
「当たり前です! 祐巳さまは瞳子がどんな目にあったと思ってるんですか!
今の瞳子は私達のことも覚えてない、今まで瞳子が瞳子として生きてきた全てを忘れてしまったんです。
だから、だから……」
それは、八つ当たりに近かったかも知れない。
今の瞳子は、私が好きだった今までの瞳子じゃなくなってしまったんだ。
医者は、もしかしたらこのまま瞳子の記憶は戻らないかも知れないと言われた。
入学してから、ずっと私の側にいた瞳子はもうどこにも居ない。
それでも、あんな事故から瞳子が生きて戻ってきてくれただけでも幸運だったんだと、
自分で納得しようとしていた。
「……すみませんでした。 祐巳さま」
私は叩いてしまったことを詫び、祐巳さまに手を貸し立ち上がらせた。
「ううん、ごめんね……少し自信無くなってたんだ。
もう、元の瞳子ちゃんに戻ってくれないんじゃないかと思って」
「私達が弱気になってちゃダメですよ」
「そうだね。 乃梨子ちゃんの言う通りだね」
追いつめられていたのは私自身だ。
なのに、この先輩は叩いたことを咎めもせず、手を取り前に進もうとしてくれる。
瞳子……私、あんたが祐巳さまを好きな理由ちょっとわかった気がするよ。
だから、絶対瞳子の記憶を元に戻してみせる。
あの小生意気で、お節介で、意地っ張りな瞳子に戻してみせる!
……あ、それじゃふりだしか。
祐巳さまの妹になれるぐらいには素直な瞳子になってもらう。
私は、そう心に決め、祐巳さまともう一度瞳子の側へ戻った。
☆
あの事故から1ヶ月が瞬く間に過ぎていった。
結局、瞳子は記憶が戻らないままリリアンに戻ってきた。
期末試験を受けていない瞳子は、事情が事情だけに冬休みの間補習授業を受けた。
これで何とか進級には問題ないと言うことだ。
時期的に、蕾は時期生徒会役員の選挙の準備に追われていたため、
瞳子は、まるで祐巳さまの妹のように祐巳さまの選挙の準備を一緒にしていた。
こんな時、以前の瞳子ならどうしていただろう。
あの事故が無くて、瞳子が無事に祐巳さまの妹になっていたのなら。
私と祐巳さまは選挙の準備の合間を縫っては瞳子を色々な場所に連れて行った。
ミルクホール・演劇部の部室・写真部。
特に写真部では、蔦子さまが撮った瞳子の色々な場面を見せた。
その中には学園祭で祐巳さまに手を引かれエイミー姿で走って居る写真もあった。
瞳子は写真に写る自分を真剣に見て居たが、何も思い出せないようだった。
写真の中にいる自分の髪型に違和感があったのか、今は下ろしている髪を時折弄っていた。
「その髪型、してみる?」
それは私の希望だったかも知れない。
それで瞳子の記憶が戻る訳じゃないのに。
きっと私は、私の知る瞳子の姿をもう一度見たかっただけだと思う。
私の申し出に瞳子は頷いて、宿直室のドライヤーなどを借りて瞳子のいつもの髪の毛を再現することになった。
「これで、よいのでしょうか?」
見慣れたいつもの髪型。
しかし、それがひどく懐かしく感じる。
瞳子はその渦巻き状の部分をバネのように伸び縮みさせている。
「瞳子ちゃん!」
一緒に瞳子の髪型をセットした祐巳さまは思わず瞳子を抱きしめていた。
私は先を越されてしまったので、じっとその光景を見ていた。
「ゆ、祐巳さま……く、くるしいです」
不思議な違和感があった。
それは、まるで……。
一月も、終わり二月になった。
今年の生徒会役員選挙は何事もなく無事終了した。
クラスの話題もバレンタインデーの話になってきたりする。
去年、好評だったという蕾の宝探しを今年もやりたいと新聞部の部長が持ちかけてきた。
正直なところ、今の山百合会はそれどころじゃないはずなのだが……。
瞳子の記憶は相変わらず戻る気配がない。
穏やかな笑顔で話す瞳子にもだんだん慣れてきてしまった。
私はそれが嫌で、つい瞳子につらくあたってしまうことが幾度とあった。
蕾の宝探しについての話し合いは、結局去年通りの内容で行われる事になったそうだ。
「えーーーーーーーーーーーー!? カードを見つけた人と私がデート!?」
志摩子さんと一緒の帰り道。
私は思わず、叫んでしまった。
「そうよ、乃梨子聞いてなかったの?」
志摩子さんは「話はちゃんと聞いてないとダメよ」といって蕾の宝探しについて説明してくれた。
なんでも、企画の内容は校内に蕾がバレンタインカードを隠し、それを参加者が探し出す。
そのカードを見事見つけられた人は、カードの蕾と半日デートすることが出来るのだという。
「費用は新聞部が出してくれるわ。 だから心配はいらないわ」
ちょっと待ってください志摩子さん……費用の問題じゃないです。
志摩子さん以外の女の子とデートなんて……。
私が、あれこれ悩んでいると志摩子さんは楽しそうにくすくす笑いだした。
「もちろん、私も参加するわよ? ちゃんと見つけてあげるから安心して」
その言葉で、私の気持ちは絶望から幸運にひっくり返っちゃうのだから我ながら単純だと思う。
バレンタイン……楽しみだなぁ。
よし、頑張って志摩子さんにチョコレートを贈ろう。
そう決めたら、その日は久しぶりに心が軽くなった気がした。
「ねえ、瞳子はバレンタインどうするの?」
「ああ、乃梨子さん……そうですね、薔薇様達にもよくして頂きましたし、
山百合会の皆様に渡したいと思っています」
「祐巳さまにも?」
「もちろんですわ。 あと、乃梨子さんにも」
「そう……」
以前の瞳子なら、きっと祐巳さまには意地はって渡さないような気がする。
記憶を無くしたおかげで、瞳子は祐巳さまに素直になることが出来た。
でも、それじゃ意味無いんだよ……。
「バレンタインの日に、私……瞳子ちゃんにロザリオを渡そうと思ってる」
由乃さまが剣道部、三年生は今日は登校していない。
志摩子さんは環境委員の仕事で遅れてくることになっている。
瞳子は今日は病院で早めに帰った。
薔薇の館には祐巳さまと私だけ。
「今のままの瞳子にですか?」
「うん、瞳子ちゃんが記憶を無くしたのは私のせいだもん……」
「それで、瞳子は本当の瞳子は喜ぶんでしょうか?」
私の言葉に祐巳さまはそれ以降口を開かなかった。
二人っきりの会議室に重苦しい空気が漂う。
祐巳さまはどんなつもりで瞳子を妹にするつもりなのだろう。
自らの贖罪のため? 記憶を無くして変わってしまった今の瞳子も好きになったから?
それとも、今の瞳子に前の瞳子を重ねてみているから?
でも、そんなの嫌だった。
祐巳さまには、絶対に本当の瞳子にロザリオを渡して欲しかった。
「……ふぅ」
ふいに見えた人影に誘われるように私は屋上にやってきた。
屋上の一番高い場所、給水塔のある場所でぼんやりしゃがんでいたのは瞳子だった。
私は、声をかけようと近づいたが、ふと見えた横顔に私は息を呑んだ。
もう随分みていない瞳子の表情。
溜息を繰り返す、悩み事を抱えた瞳子の表情。
あの日以来、瞳子はいつも穏やかな微笑みを讃えていた。
私の頭の中で、バラバラに散らばっていたパズルのピースが組み合わさっていくようだった。
「瞳子」
「あっ……の、乃梨子さん」
私の姿を確認した瞳子はあわてていつもの表情に戻った。
「あんた、記憶戻っていたんだ」
「えっ? な、何を……」
「もう、芝居はやめてよ。 本当は随分前に記憶戻ってたんでしょ?」
「……ばれてしまいましたか。 乃梨子さんには敵いませんわ」
問いつめた私に、瞳子は素直に白状した。
瞳子は冬休みの頃から記憶が戻っていたのだそうだ。
「お父様にもお母様にも嘘をついていました。 婆やには気づかれてしまいましたけど」
「心配したんだぞ……」
私は瞳子のおでこを指ではじいた。
「痛いです……乃梨子さん」
「騙した罰だ」
「ごめんなさい……」
「それじゃ、みんなに謝りに行こ」
私は瞳子の手を引き、薔薇の館へ向かおうとした。
しかし、瞳子は動かない。
「お願いです……皆さんには言わないでください」
振り返って瞳子の顔を見ると、瞳子は泣きそうな顔をしていた。
「瞳子の記憶が戻ったら……瞳子はカナダに行かなくちゃいけなくなります。
それに、祐巳さまとも……一緒にいることが出来無くなっちゃいます」
瞳子は私の袖をぎゅっと握りしめて絞り出すように言った。
祐巳さまは記憶を無くした瞳子だから側に置いてくれるのだと。
瞳子の記憶が戻ったら、元に戻ってしまうと。
「それは……」
それは違うと言おうとした私は見てしまった。
ボロボロと涙を流し、全てに怯えるような弱々しい瞳子の姿を。
だから、それ以上何も言えなくなってしまった。
私だけは味方だから。
そう瞳子に教えるために、ただ優しく瞳子を抱きしめ、瞳子が泣きやむのを待つしかなかったのだ。
―――――――
えっと、ごめんなさい。
勝手にROM人的分岐をまたしても勝手に作ってしまいましたw
……微妙に、ROM人が書くと瞳子がひどい目にあう確率高いですね。
でも、瞳子好きなんですよ。