【87】 遠い過去あなたと二人で  (OZ 2005-06-23 19:17:01)


快晴、今日は娘と二人で近くのスーパーへ、買物へ来ています。
息子も誘ったのだが、断られた。
やはり年頃の男の子が、お母さんと仲良くお買物、っていうのは恥ずかしいというか、抵抗があるのでしょう。
最近、娘の祐己はリリアンの生徒会活動で大忙し、息子の祐麒も花寺の生徒会で大忙し、祐一郎さんはそんな二人に鼻高々。
私もそれについては誇りに思っています。
実際私もリリアン出身の身、当時と変わらず未だに栄華を誇っている山百合会の、しかも、あの紅薔薇の一派に!  
一派って、違いますね。

(訂正)紅薔薇の一員になって居るのですもの。

でも、やはり、立派に成長したとはいえ、私にとってはかわいい、娘と息子。
こっそりと、後ろから買い物籠にお菓子を入れようとしている祐己。
私が じと“ と見ると 苦笑いを浮かべながらおずおずと商品を返しに行く、この癖は小さな頃からぜんぜん変わらない。
こんなことで、時期紅薔薇様が務まるのかしら・・・

私はよく、祐己に今の学園のことや、祐己のお姉さまのことを聞いていた、自分が生活していた頃と、どんな違いが在るのか、純粋に知りたかったから。
祐己の話では、私の頃と体制はほとんど変わっていないようで、なんだか安心しました。

買い物を終えて、二人で歩く帰り道、自ら買い物袋を率先して持ってくれる祐己、こんなとこはやっぱり優しい。

しかし、何かと「あのね、あのね、お母さん!」なに、祐己ちゃん?
『あの時、お姉さまがね』とか『そしたら、お姉さまがこう仰ったの』こんな話ばかり、楽しげな娘を見るのはとても、嬉しいが、
ちょっと寂しい(クスン)
 
談笑しつつ歩いていると、見るからに高級な黒塗りの車が二人の隣に止まった。

「祐己ちゃん? 祐己ちゃんよね!!」車の中から呼ばれ、祐己はそちらを見た。祐己はその声の出所を見ると。
「清子おば様!!」
ごきげんようと。挨拶しつつ、すごく嬉しそうに駆け寄る。
 
 (ええー!何でそんなに嬉しそうなの?祐己はママよりその方が好きなの?ねえ?ママは悔しいは、グスン!)

でも、私は祐己の母親、毅然としなくては。
  
コホン とひとつ咳払いをして
「福沢祐己の母で、みきと、申します、いつも娘がお世話になっています」
 
「小笠原清子と申します、娘さんにはうちの祥子さんがいつもお世話掛けてしまって、」いえ、こちらこそ っと頭を下げる
ん?ちょっと待って?
『さやこ』って仰ったかしら? 『さ・や・こ』
少し何か、思い出に近い思いがあったような・・・?

私は、これでもかっと言うほど記憶をひねり出してみたが、どうにも思い出さなかった。

「よかったら、祐己ちゃん、また家に遊びに来てね」
「ありがとうございます、ぜひ近いうちに寄らせていただきます」とてもうれしそうな祐己
「すみません、避暑地に連れて行ってもらったりと、いつも娘がお世話掛けます、親の私が言うのもなんですが見てのとおり、この子はおっちょこちょいで、何かとご迷惑をおかけしては居ませんでしょうか?」
「ちょ、ちょっと、お母さん!!」
顔を赤らめて抗議する祐己を見て ふふっと微笑んだ後 私に目をやり
「いえいえ、祐己ちゃんはとても素敵なお嬢様ですよ、本当、祥子さんにも見習って欲しいくらい」

清子さんはお出かけの途中だったので、たわいの無い会話を2・3した後、私たちと分かれた

「素敵な方ね。」
「でしょ?さすがにお姉さまのお母様って思うでしょ?
「本当に。」

私は夕食のとき、なんとなく祐己に聞いてみた 祐己がリリアンで一番好きな所はどこかと

夕食の片付けも終わり、私は祐一郎さんとお茶を飲み、ぼーっとテレビを見ながら祐己の言葉を思い出した
『私の一番好きな所かあ、そうね〜 マリア様の前もいいけどやっぱり古い温室かな。そうそう、ぽかぽか陽気があまりに気持ちよくて、お姉さまと居眠りしちゃったこともあるんだよ』古い、か。私の頃はまだ新しかったのに、時間がたっているものね
そのとき、私は、はっと何かが引っかかった気がした

「か、母さん、何だいその地引網を引くような格好は!?」ズルズル、
「ちょっと待ってくださいな」今、いいところまできているから ズルズル、ズルズル。

   温室  居眠り  お姉さま  そして さやこさん・・・

「母さん?」「・・・すべてを思い出したわ、遠い昔あなたと二人で・・・」
そのときリビングの電話が鳴った
「もしもし、わたくし小笠原・」「さーこさま!!」私はつい、電話に向かって叫んでしまった。
「ああ、みきさんなのね、昼間何か引っかかることがあって、でも、思い出せて良かったわ」
「ええ、私もさーこさまのこと、思い出せてとても嬉しいです」
その後2人は、まるでリリアンに通っていたときのように、とても楽しくおしゃべりをした。


「ねえ、みきさん。」
「なんです、さーこさま?」
「遠い昔、私たちは姉妹にはならなかった、でも時間がたち、今、お互いの娘が姉妹になってるなんて、とても素敵なことね。」

「・・・ええ、本当に素敵ですばらしいことです。さーこさま。」

FIN


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