私は賢者蓉子。三賢者(通称Magi)のうちの一人、赤の賢者(マギ・キネンシス)である。
私達は今、黄の賢者(マギ・フェティダ)こと、江利子の提案でキリストの生誕祭に向かっている真っ最中……のはずだった。前回(No.74)までは!
前回、バカ・ギカンティアこと、聖の暴飲のせいで、資金が底を尽いてしまった。
さらにこのバカは、『無名(MuNa)』『並の中の並(God of Nami)』の称号を持つ並の賢者(マギ・カツーラ)に手を出しやがって(No.83参照)、おかげで私達は賢者桂に睨まれて、下手にこの国を出ようものならば、どんな目にあうか分からない。
今、私達の弟子達とその小姓達、六哲人(ソフィスト)が賢者桂をなだめる為に桂のもとに向かっている。桂の友、祐巳ちゃんがいるから何とかなるだろうが、それまでは、全く動けない。
……まったく、なんで私の周りには江利子や聖みたいな問題児しか集まらないのだろうか。江利子が究極の凸ちんなら、聖は究極のバカちんだ。
「蓉子、何か言った?」
満面の笑顔で問掛けてくる江利子。
「別に何も言って無いわよ。」
何とか動揺を抑えて返事をする。
あ、あぶないところだった。さすが、『予言者』『魔導神』の称号を持つだけの事はある。あと少しで心を詠まれるところだった。
ちなみに、私の称号は『紅焔の月(ルナリィアス・ブレイズ)』『賢者の中の賢者(Got of Magi)』、聖の称号は『ローエングリン』『軍神』である。
「これからどうしようかしら。」
私のつぶやきに江利子が異様なハイテンションで高らかに宣言する。
「どうするも、こうするも、やることは一つしか無いじゃない。バイトをするのよ!」
「「ば、バイトぉ〜?」」
「そうよ!バイトよ!どうせ、この国に何日か居ることになるんだから、まずは資金を稼がないと。」
「でもさぁ、そんなに簡単に仕事って見つかるの?」
こちらは聖の意見。
「だから、職案に行って探すのよ!それに、私達は三賢者なんだから、直ぐに見つかるわよ。」
確かに、資金がなければ何も始まらない。
「そうね。それしか無いわね。」
こうして、私達は職案に向かう事になった。
to be continew next……