がちゃS・ぷち
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No.1229
作者:琴吹 邑
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2006-03-06 05:25:56
萌えた:14
笑った:1
感動だ:22
『幸せでいて欲しいから』
「ちょんまげ」
祐巳ちゃんからもらったクリスマスプレゼントのリボンを使い、私の頭で楽しそうに遊ぶ江利子。
されるがままになっている私。
ここは薔薇の館。
クリスマスパーティもおわり、今館に残っているのは、私と江利子だけ。
賑やかだった館が、二人だけと言うこともあり、すごく寂しく感じる。
「最後は、きゅーぴーちゃんと」
江利子は満足したのか、私の髪形をきゅーぴー人形のようにして、江利子は私の隣に座った。
「今日は、楽しかったわね」
「そうね。蓉子がやきもち焼いているところも見られたし」
その言葉に、私は肩をすくめる。
「あなたの所は良いわね。最初から孫付きだったから、こんな思いをすることもないでしょう」
「言い方悪いけど、由乃ちゃんには楽しませてもらっているわよ。令を挟んで弄ると反応がかわいくてね。手術がうまくいってから、制限なしに弄れるようになったのがいいかな。」
「あなたに弄られる、由乃ちゃんは大変ね」
「ま、それが孫の務めだし」
「かわいい反応と言ったら、祐巳ちゃんも負けてないわよ」
その言葉に江利子はクスリと笑う。
「あれは反則。あんなに表情が顔に出たら賭け事とか弱いだろうね」
「確かにそうね」
その言葉を境に沈黙が訪れる。
それは堅苦しい物ではなく。余韻を楽しむために訪れた柔らかいもの。
「今日は、楽しいパーティだったわね」
「そうね。本当に楽しいクリスマスパーティだった」
余韻を破ったのは江利子の言葉。
クリスマスパーティーは楽しかった。
妹たちも楽しんでくれただろう。でも、今回のクリスマスパーティーだけは、それは二の次だった。
私は聖にクリスマスパーティーを楽しんで欲しかった。
いばらの森の件で感傷的になっているであろう聖に。
だから、飾り付けをいっぱいし、少しでも賑やかになるようにしたのだ。
だから、聖がパーティーの間中楽しそうに笑っていたのが嬉しかった。
「江利子もありがとう」
「私は何もしていないわ。面白そうなことに顔をつっこんだだけ」
そういう風に言うが、令にケーキを用意させたり、私の気が回らないところで、色々助けてくれたのだ。
皮肉屋なこの友人は絶対に口に出さないだろうけど。
私はもう一度肩をすくめると、本題を切り出した。
「明日の件だけど大丈夫?」
「ばっちりよ。聖の方は大丈夫なの?」
「一応あけておいてっていってある」
「そう、それはよかったわ。じゃあ、明日は11時に蓉子の家ね」
「ええ」
明日は聖の誕生日。
サプライズパーティをするのだ。
去年の事なんか思い出す暇が無いように、楽しいことで塗りつぶしてあげたいから。
だから………
江利子と一緒に驚かすのだ、ハッピーバースデーと。
(コメント)
にゃ >この二人の関係って結構面白いなぁ。 この後、一週間で免許を取る聖さま……教習所では『白い悪魔』と呼ばれたとか……(No.7681 2006-03-06 15:13:20)
琴吹 邑 >先代の関係は結構複雑かなと、書いてて思いました(No.7684 2006-03-06 21:14:45)
沙貴 >切り取った一場面in薔薇の館。台詞の掛け合いが凄く自然な気がします。(No.7700 2006-03-06 22:54:11)
投 >危うく最初の一行目で笑に入れる所だった……最後まで読むと、ほんのりと胸があったかくなるようなお話ですね(No.7710 2006-03-06 23:28:49)
琴吹 邑 >かけあいが自然との評価は嬉しいです。ありがとうございます。ほんのりとあたたくって評価も嬉しいです。そう言う方向が基本路線なので。(No.7768 2006-03-08 21:55:01)
琴吹 邑 >文中では書きませんでしたけど、蓉子さんキューピーの髪形ではかっこつかないのでは内心思ってたり(No.7769 2006-03-08 21:56:01)
風 >家に帰って思い出し、愕然とする蓉子さまが……(笑)。>キューピー(No.7914 2006-03-12 08:12:49)
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