がちゃS・ぷち

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No.3689
作者:イチ
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2012-09-12 22:39:31
萌えた:3
笑った:20
感動だ:2

『笑いの特別でないただの午後』

(注意)
@乃梨子の扱いが良くないです。乃梨子ファンの方ゴメンなさい。
A捉え方により、若干の百合要素があります。



〜放課後・薔薇の館〜

私が忘れ物を取りに部屋に入るやいなや、由乃さんが声を上げた。
隣には菜々ちゃんがニコニコ顔で座っていた。
うわぁ…

「祐巳さん、事件よ!!」
「私、忘れ物を取りに寄っただけなんだけど…」
「祐巳さん、じ・け・ん・よ!!」
「そうです、事件なんです!!!」
「……降参。それで、何があったの?由乃さん話してもらえる?」
「いいわ。話は、ちょっと前に遡るの」

――――――――――――――――――――

〜昼休み・更衣室前〜

「あっ、志摩子さん。ごきげんよう」
「由乃さん、ごきげんよう」
「前の時間体育?」
「いいえ、違うわ」
「じゃあ、こんなところで何やってたの?」
「それが…」
「志摩子さん、力になるわ。遠慮なく言って」
「ありがとう。それが…体操着が見当たらなくて探していたの。ここにある可能性は低いのだけれど…」
「体操着?珍しいわね」
「えっと…」
「ああ、ゴメン。志摩子さんでもそういう事あるんだなって思って」
「そうね。しっかりしないといけないわね」
「いや、そう意味ではなくてね」
「?」
「まあ、兎に角よ。私も探すわ。大船に乗ったつもりでいてね!!それじゃあ!!」
「えっ、ええ…」

――――――――――――――――――――

〜放課後・薔薇の館〜

「確かに事件だね。でも、それって…乃「シャラップ!!」
「わっ、何?ビックリした〜」
「祐巳さん、確かに彼女の線もありよ。
でもね、考えてもみて。同じ山百合会の仲間として、真っ先に疑うのは如何なものかと思うの」
「うん、由乃さんの言うとおりだね。ゴメンね、乃梨「祐巳さん!!だから、ダメだって」
「あっ、ゴメン」
「それで、どうするの?」
「どうするも何も、犯人を見つけるため捜査会議を始めます!!菜々、用意して頂戴」
「アイアイサー」
「えっ?」
「では早速始めます。菜々よろしく」

机の前には、ホワイトボードが出された。
そして、既に捜査方針一覧が書かれていた。
準備万端だったらしい。

「では、ここからは私、有馬菜々が進行を務めます。
ロサ・キネンシスは、容疑者をどうお考えですか?」
「そこにも書いてあるけど、【@外部犯A内部犯B灯台下暗し】の3案ででいいと思う。
でも、@は無いかな、リリアンはしっかりしているから。それに、リリアンの生徒というのも無いと思う。だから、Bかな」
「私も同意見ですが、お姉さまは如何お考えですか?」
「私は、Aだと思うわ。だって、志摩子さんファン多いけど、本人の醸し出す雰囲気のせいで話しかけづらいじゃない?
それで、勢いあまって志摩子さんの私物を欲しくなり、犯罪に手を染めた!!とか」
「なるほど。確かに、一般的にはありえる話ですが、ここはリリアンですから、そこまではしないかと」
「何なのよ、そんなに否定して。祐巳さんと菜々は、そんなにあの人を疑いたいわけ?」
「いえ、そういうわけでは…」
「そうだよ〜。それに、由乃さん。灯台下暗しの線を忘れてるでしょ?」
「忘れてないわ。でもね、あの志摩子さんが体操着を置き忘れたりすると思う?」
「う〜ん、それはそうなんだけど、志摩子さんって偶に抜けているなぁって感じることない?」
「まあ、あるけど…ん〜…」

そんな時、ドアノブが回る音がした。

「ごきげんよう」
「乃梨子ちゃん…」
「ロサ・フェティダ達もご勉強ですか?」
「えっ、ええ、そうよ」
「私もです。志摩子さんを待ちがてら、教室でやっていたんですけど、部活動で使うからって事で教室から追い出されてしまったんです」
「乃梨子ちゃん、偉いね」
「いえ、ロサ・キネンシスそんな事ないですよ。志摩子さんを待っているついでですから」
「ううん、それでも偉いよ〜。私なんか後回しにしちゃうもん」
「祐巳さん!!そうじゃないでしょ」
「ああ、そっか。って、直接聞くの?疑うのは良くないんじゃ…」
「祐巳さん!!まあ、私に任せて」
「うっ、うん…」
「何ですか?」
「聞きたい事があるの。ねぇ、乃梨子ちゃん、人は大なり小なり過ちを犯すものよね?」
「ええ、まあ。何の話ですか?」
「いいから聞いて」
「はぁ…はい」
「私も人は過ちを犯すと思うの。でも、みんな更生出来ると思うわ。だから本当の事を言って!!」
「…あの、何の話ですか?」
「ここにきても、しらばっくれる気なのね。手荒な真似はしたくはなかったけど…。
菜々、取調べの準備を。乃梨子ちゃんは、こっち」
「了解です、ボス」
「うわっ、止めてください。取調べって一体何の話ですか!!
それに、こんなデスクライトどっから持ち出して来たんですか〜!!眩しいですって」
「取調べと言ったら、これでしょ?」
「そんな事聞いてないです!!私の容疑は一体何なんですか〜!!」
「強情ね。いいわ…乃梨子ちゃん、志摩子さんの体操着を勝手に持ち出したわよね?
モフモフするために!!」
「!?何ですか、それは。私は、クンカクンカ派ですし、濡れ衣もいいとこです!!それに、そんな姑息な真似はしません!!」
「えー、だって、他に居ないもの」
「ロサ・フェティダ、理由がおかしいです!!」
「だって、ねぇ…。それに、今の反応を見ると、怪しいわよ?」
「そ、そんな事ないです。何て、うら、じゃなくて、破廉恥なヤツが居るなあと思っただけです」
「う〜ん、怪しい…。祐巳さん、菜々はどう思う?」
「そうだね、何かやりかねない雰囲気はあるけど…この反応見る限りでは可能性だけで、実行犯ではないと思うよ。
つまりは、白なんじゃないかなぁ。白薔薇姉妹だけに」
「……こほん。私もロサ・キネンシスと同意見です」
「ん〜、じゃあ釈放かしら。乃梨子ちゃん、ゴメンね」
「私も同じく、ゴメン」
「乃梨子様申し訳ありません」
「当然です!!全く、酷い目に遭いましたよ。こうやって冤罪って生まれるんですね」

事態がまとまり掛けていたとき、またもやドアが開いた。

「ごきげんよう」
「あっ、志摩子さん」
「ごきげんよう、由乃さん。祐巳さん、菜々ちゃんも。乃梨子、待たせてしまったわね」
「すいません、折を見て教室へ戻るつもりだったんですが、ロサ・フェティダが…」
「由乃さんが?」
「いや…。ああ、それより、体操着は見つかったの?」
「ええ、おかげさまで」
「どこにあったの?」
「私の勘違いだったわ。ゴメンなさいね」
「どういう事?」
「恥ずかしいのだけれど…体育の授業が終わった後、着替える時間が無かったから制服の下にずっと着ていたの。
それで、うっかり忘れていたの。ゴメンなさいね、由乃さん」
「メガネ、メガネって感じですね」
「?」
「菜々、黙ってなさい」
「すみません」
「見つかってよかったね、志摩子さん」
「ありがとう、由乃さん」

その後、ロサ・キネンシスは瞳子を迎えに行き、
黄薔薇姉妹は何事も無かったかのように薔薇の館を後にした。


「乃梨子、大変だったようね」
「はい。ただ、暇つぶしの相手にされただけですし、逆にこっちもいい暇つぶしになりましたから。
じゃあ、志摩子さんそろそろ…いい?」
「ええ――乃梨子…」
「志摩子さん…」

正直なところ、ロサ・フェティダが冗談でも私を疑ったのは妥当だと思う。
実際問題、私は志摩子さんの事好きだから。
ただ、ロサ・フェティダ達は知らない。
私がそんな事をする必要が無い事を。


(コメント)
環 >楽しく読ませてもらいました。 (゚∀゚)アヒャヒャ(No.20661 2012-09-13 19:10:34)
一見さん >うんうん、志摩子さんならじゅ〜ぶんにありえるな〜♪(No.20662 2012-09-13 21:43:06)
やなる哲 >クンカクンカ〜白薔薇だけに、の辺りのツッコミが追いつかない感じがよかったですw(No.20663 2012-09-14 11:58:41)
bqex >ロサ・クンカクンカ……新しい薔薇さまですわ。(No.20667 2012-09-15 02:21:25)
イチ >多くの投票&コメありがとうございます。ロサ・クンカクンカ良いですねw(No.20669 2012-09-16 21:16:08)

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