がちゃS・ぷち

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No.3869
作者:ヘススナバス
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2018-02-10 09:37:09
萌えた:0
笑った:5
感動だ:0

『祐巳は私が守る!手助けは無用です誰も止められない』

【No:3868】 の続き
マリみてと城下町のダンデライオンのクロス的な何か


「「あ、葵様!ごきげんよう!」」

私と蔦子さんは慌てて挨拶をして頭を下げた。
しかしどうしてここに…委員会と茜ちゃんは言っていたけれど。
ちなみに普段は葵姉さまと呼んでいるがリリアン内では姉は特別な意味を持つから外すことにしている。
茜ちゃんはおねえちゃんと呼んでいるけれどだれもが関係性を知っているので問題ないだろ。・

「ごきげんよう。それはね、祐巳ちゃん。
今日は委員会が先生のご都合で中止になったのよ。何人かに連絡しそびれたらしくて私が連絡係として待っていたの。
志摩子ちゃんと一緒にいたのもそういう理由よ?」

心を読むとはさすが第一王女!
そういえば志摩子さんと同じ委員会だったんだっけ。

「心を読んだんじゃなくて顔を読んだのよ?祐巳ちゃんは顔に出すぎだし。」

なっ!私は慌てて顔を覆ったが時すでに遅し。みんなに笑われてしまった。

その後、葵様の言葉に付け足すように志摩子さんが
「私が最後だったらしくて待っていてくださったお礼に薔薇の館でお茶をご馳走しようと思ったの。」
と言った。
なるほどそういうことか。

「そろそろ上にいきましょう?遅れてしまうわ。」

と志摩子さんが続けて言って歩き出したのでので私たちはそれについていった。

「それで茜はどうしてここに?」

歩きながら葵様は茜ちゃんに聞いた。

「私は祐巳の付添い。ちょっと心配だったしね。」
「そうなの?やさしいわね。」

葵様がにっこりそう言うので茜ちゃんの顔が少しひきつっている。
私を盾にするという目的もあったからね。

「お姉さま方の意地悪!」

そんな声が扉の向こうから聞こえたのでびっくりしてしまった。

「祥子様いらっしゃるみたいね。」

え!?ということは今のは祥子様…

「わかりました!今すぐ連れてきます!」

その声と同時に急に人が飛び出てきた。
私がぶつかると思って目を閉じた瞬間
「危ない!」
と叫ぶ声とともに奇妙な浮遊感があった。
そしてビターン!という大きな音が響いた。

私は助かった。茜ちゃんが能力を使って助けてくれた。
ただ飛び出てきた方、祥子様が薔薇の館で思いっきりヘッドスライディングしてしまったのだ。とても痛そうだ。

「だ、だ、だ大丈夫ですか!?」

私を抱きかかえていた茜ちゃんに降ろしてもらい私は慌てて祥子様に駆け寄った。

「ちょっと祥子!大丈夫!?令!救急箱持ってきて!」
「は、はい!」
「令ちゃん!私も手伝う。」
「ふ、ふふ…お腹いたい…あの祥子がビターン!って…」
「いやー見事なもんだねーあっぱれだよ!」

扉の中からいろんな声が聞こえてきた。
お腹抱えて笑っていらっしゃる方もいるようだが。

「あ、茜!2人抱えることはできなかったの!?」
「む、無理だよー!急だったんだもん!」

葵様と茜ちゃんは小声で何か言い合っているし、志摩子さんと蔦子さんは茫然としている。
なんかとんでもないことになってしまったなぁ。

祥子様の治療を終えてみんなが席に着いた。幸い(?)鼻血と、ちょっとしたすりむきで済んだようだ。

「それで葵さん達はなぜここにいらっしゃったの?」

まず紅薔薇様である水野蓉子様がそう尋ねた。

「私は志摩子ちゃんにお茶に誘われただけなんだけど…」
「へー志摩子ったらやるわね!あの葵さんをナンパなんて。さすが白薔薇の蕾ね!」

葵様がそう答えると、黄薔薇様である鳥居江利子様が茶々を入れた。
志摩子さんはあたふたしている。こんな志摩子さんは貴重だなぁ。

「私の教育の賜物だね。」
うんうんと頷いてそうおっしゃったのは白薔薇様である佐藤聖様。
三人の薔薇様勢揃いである。

葵様と薔薇様の会話に耳を傾けていると突然肩に手を置かれて
「ちょっといいかしら?」と小声で話しかけられた。
びっくりして振り向くと鼻にガーゼを詰めた祥子様がいらっしゃった。

祥子様に誘導されてみんなに声が聞こえないところへ行くと
「あなたお姉さまはいて?」
といきなり言われた。
「いませんけど…」
そう答えると
「結構」
そう言って祥子様はみんなのところへ行った。
そこでこう宣言した。

「私この子を妹にします!」
鼻にガーゼを詰めながらであるからか、りりしさとどことなくコミカルさを兼ね備えての宣言を
夢を見ているような気分で私は眺めていた。

突然のスール宣言から飛び交う話を聞くに祥子様は男嫌い。王子が令様でなく花寺の生徒会長だとあかされる。シンデレラ嫌。
妹もいない人に発言権無し。妹連れてくればいいのでしょう!偶然いた私を妹に。という流れだということが分かった。

「祐巳大丈夫…?」

心配そうに話しかけてくる茜ちゃん。大丈夫なのかすらもわからない状況である。

「わかんない。」
「そうだよねぇ…ロザリオ授受なんて初めてだからわからないよねぇ。ていうか本当にいいの?」
「ロザリオ授受!?だ、だれが!?」
「へ?祐巳と祥子様に決まってるじゃない。」

いつの間にかそんな話に…どうしよう、こんなんでいいのか?うーん…

「お待ちになって。お姉さま方。祐巳さんのお気持ちをお忘れではないですか。」

はっと気が付くと志摩子さんが薔薇様方にそう言っていた。
薔薇様に気持ちを尋ねられ私は…
「祥子様の妹にはなれません。」
そう言った。

しかし私が薔薇様方も悪いのではないかと祥子様をかばってやいのやいのしていたところ白薔薇様が
「祥子が祐巳さんを妹にできるかで賭けをしましょう。祥子が出来なかったらそのまま祥子がシンデレラ。妹にできたら姉の穴を埋めるのが妹ってことで祐巳さんがシンデレラね。」

なんかとんでもないことを言い出して初の薔薇の館訪問が終わった。

その日は私、茜ちゃん、葵様、蔦子さんで帰ることになった。
「怒涛の展開でパネルの許可忘れちゃったけど祐巳さんが祥子様の妹になれば交渉も楽そうだわ。」
「蔦子さんは私が負けると思ってるの?」
「うん。祥子様の方がエネルギーありそうだし」

うぐ、確かにそうだけど・・・

「私は祐巳ちゃんと祥子さん意外と合うと思うわよ?」
「えーそうかな?祐巳いじめられそうじゃない?」
「私は葵様に1票。」
みんな勝手なことを言っている。

「そういえば葵様は妹をつくられないのですか?」

蔦子さんがふいに聞いた。確かに葵様の妹なら引く手あまただろう。

「私はつくらない方がいいと思うから…」

葵様がちょっと声を落としてそう言った。

「葵様の妹になりたい人は多そうですしその人たちにとっては残念ですね。」

それに気づかなかった風を装い私は明るめの口調で言った。
葵様にはばれていそうだけど。

「うちのクラスでも葵お姉ちゃん大人気だよね〜私と同じ王族なのに人気の差にちょっと落ち込むかも…」

「茜さんと祐巳さんはいろんな顔見せてくれるから被写体として私からは大人気よ。」

そう話しながら歩いていると
そんな時
「お待ちなさい。」
デジャブかな?背後から憧れの人の声が聞こえた。

「祥子様…」
「覚えていらっしゃい。必ずあなたの姉になって見せるから。」

そう宣言し蓉子様と一緒に帰って行った。
たとえ鼻にガーゼが詰まっていてもその姿は誰から見てもとてもかっこよかったのであった。


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