がちゃS・ぷち
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No.3871
作者:ヘススナバス
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2018-02-26 21:46:07
萌えた:1
笑った:3
感動だ:1
『ぶっかけちゃうぞ部屋にいるしっかり者の』
【No:3868】【No:3869】の続き。
マリみてと城下町のダンデライオンのクロス的な何か。
蔦子さんと途中で別れ、3人で帰っていると見覚えのある人影を見つけた。
「あ、岬に遥!今帰りなの?」
「うん、部活の助っ人頼まれて遅くなっちゃった。」
「僕は図書館で本読んでただけなんだけどね。」
1人は櫻田岬ちゃん。リリアン中等部2年生。能力は7人の分身を生み出せるというものだ。その7人の分身を使っていろいろな部活の助っ人を引き受けている優しい子である。
もう一人は櫻田遥君。岬ちゃんと双子で花寺の中等部2年生。能力はあらゆる可能性の確率を百分率で予知できるというものだ。朝、傘を持っていくか迷った時にその能力にお世話になったなぁ。
「ところで葵お姉ちゃんはともかくあか姉とゆみ姉がこんな遅くに帰るって珍しいよね。なにかあったの?」
岬ちゃんがそう尋ねた。
「実はね…」
私は2人に事の顛末を話した。
「へーゆみ姉があの祥子様のねぇ…」
「あれ?岬ちゃんは祥子様のこと知ってるの?」
「うん。演劇部にすっごい縦ロールの先輩がいてその人が祥子様の親戚だって言ってたんだー。」
岬ちゃんが手で縦ロールを表現しながら言った。
祥子様の親戚って話よりすっごい縦ロールのことが気になるぞ。
「そういえばうちの高等部の生徒会長がその小笠原さんの従兄だって聞いたな。」
遥君がそう思い出すように言った。
おそるべし小笠原一族。
「その辺は修兄さんと祐麒さんが詳しいかもしれないよ。その生徒会長とよく一緒にいるみたいだし。」
「祐麒がねぇ…」
弟よ、何があってそんなことになったんだ…。
「それでそれでゆみ姉は妹になるの?」
「いやいや私じゃ釣り合わないでしょ!」
岬ちゃんの質問に間髪入れず答えた。
「そうかなぁ…まあいいや。じゃあ私が高等部に上がってゆみ姉に妹いなかったら私妹にしてよ!」
おいおい、なにを言い出すんだこの子は…
「岬!私を捨てるの!?」
茜ちゃんは茜ちゃんでなんかショックを受けてるし。
「捨てるも何も実姉妹でスールになるって面白味も何もないじゃん。」
「私には岬以外いないのに〜!」
茜ちゃんが岬ちゃんに縋り付いて泣いている。
この往来でどう止めたものか…
「ほら茜。カメラに撮られてるわよ。」
葵様がそう言うと、茜ちゃんは縋り付くのをやめ葵様の陰に隠れた。
流石葵様だ。
そうしてみんなで歩きだし、お互いの家の近くまで来た。両家は隣同士なのだ。
「じゃあここで茜ちゃんまた明日ね。葵様ごきげんよう。岬ちゃんと遥君もまたね。」
「祐巳ちゃん。明日から大変だと思うけど頑張ってね。困ったことがあったら協力するから。」
「ゆみ姉、スールの件考えておいてね!」
「祐巳さん、無理はしないでね。」
「祐巳には私がついてるから大船に乗ったつもりでいなさい!」
葵様、岬ちゃん、遥君、茜ちゃんから言葉をもらい家に入った。
祐巳が家に入るのを見届けた後
「それで遥。結果はどうだったの?」
葵お姉ちゃんが遥に聞いた。
「…何が?」
「能力使って祐巳ちゃんが妹になる確率調べたんでしょ?」
遥そんなことしてたんだぁ…これは気になるなぁ。
「で、いくつだったの?」
岬が遥の腕をつかみ先を促す。
「95%。」
「たかっ!」
私は思わず言ってしまった。これは時間の問題ということかぁ。
妹になるとしても祐巳が納得して決断してくれればいいなぁと思いながら家に入った。
それから私は蔦子さん、茜ちゃん、志摩子さんの力を借りながらなんとか学校生活を送っている。
祥子様と連弾したり、祥子様がわざわざ台本を届けてくださったり、白薔薇様や令様と踊ったり、志摩子さんと葵様がぎんなんを拾っているのを目撃したりといろいろあったが比較的平和である。
そうして薔薇の館へ行くのも少し慣れてきたある日、白薔薇様と二人っきりになる機会があった。
「そういえば祐巳ちゃんさー王女サマたちとはどういう関係なの?」
白薔薇様が唐突に訪ねてきた。
「ただの幼馴染ですよ。」
「へー実は知らないうちに葵さんと姉妹の契りを交わしてたのかと思ったよ。」
いったいこの人は何を言っていらっしゃるのやら。
「そんなわけないじゃないですか。もし葵様が妹をもたれたら全国で大騒動ですよ。」
それにそもそもつくる気ないみたいだしなぁ。
「それもそうかーよかったね祥子。」
白薔薇様の目線の方向へ振り替えると祥子様がいらっしゃった。
「なにをおっしゃっているのやら。祐巳にお姉様がいないことは確認済みでしょう。」
そういえば祥子様にお姉さまがいるか聞かれてたんだった。
「実は嘘ついていたかもよ?」
白薔薇様はニっと笑っておっしゃった。
「祐巳はうそをつける子じゃないでしょう。それは百面相というあだ名を付けた白薔薇様が一番わかっているのではなくて?」
「ちぇ、つまんないの。」
白薔薇様はそう言ってコーヒーを飲んだ。祥子様はちょっと勝ち誇った顔をして自分の席に着いた。
そういうところはちょっとかわいらしいと思う。
私が祥子様のお茶を準備していると紅薔薇様、志摩子さん、黄薔薇ファミリーが続々と入ってきた。
そうして薔薇の館で作業していると桜組からカレーの差し入れがあった。一つ多いというトラブルはあったもののカレーそのものは美味しかった。
私は美味しいという感想しか言えなかったけどみんなはこうした方がいいとかしっかりアドバイスしていてちょっと落ち込んだ。
「あれ、何時?」
「じき三時。あ、そうか」
「誰がいく?」
何か薔薇様たちが話している。嫌な予感がするがカレーをどうするか聞かなければ。
「あのー残ったカレーどうします?」
「いやー祐巳ちゃん。ちょうどいいところにお使いお願い。正門で待っている人を迎えにいってほしいんだ。カレーはその人にあげるから。」
どうやら遥君の話にあった花寺の生徒会長が来る日らしい。
祥子様をちらっと見るとちょっと目線を下に落としていた。
そういえば祥子様の身内なのに踊るのが嫌なのだろうか。ためしに祐麒と踊る姿を想像したがコメディにしかならないので途中で打ち切った。身内は身内で複雑なのかもしれない。
白薔薇様に促され生徒会長の名前だけ言われて慌てて薔薇の館を出たが、肝心の生徒会長の顔を知らないことに気が付いた。
まあリリアンの校門に花寺の人はあまりいないだろうから何とかなるかなと思いながら校門に歩いていくと花寺の制服を着た二人組を見つけた。
(あれ?生徒会長ひとりじゃなかったのかな。)
そう考えながら近づき
「すみません。柏木さんでしょうか?」
と声をかけた。
「あ、はい。」
そう片方の人がこたえて振り向いた。
もう片方の人も振り向いたがそこで私は思わず声を上げてしまった。
「し、修くん!?なんでここに…」
「おー祐巳。茜から聞いてはいたけど本当に生徒会の手伝いしてるんだな。」
そこには柏木さんと一緒に茜ちゃんのお兄さんである修くん(本人にそう呼べと言われたのでそう呼んでいる)がいた。
「修、知り合いか?」
柏木さんが修くんにそう聞いた。
「ええまあ。祐巳は祐麒の姉ですよ。」
「なるほど。ユキチの…確かにそっくりだな。ああ、挨拶が遅れてすみません。花寺の生徒会長の柏木優です。」
「あ、はい。こちらこそ遅れてしまいまして。私は福沢祐巳です。」
私はそう挨拶を返した。
ユキチというのは多分祐麒のことだろう。本当に知り合いだったんだ。
「本当は柏木さん一人で来るはずだったんだが荷物運びとして連れてこられたんだよ。」
修くんの能力は瞬間移動である。自身と触れたものを移動できるもので確かに荷物運びとしては最適だろう。
「じゃあそろそろ案内してもらっていいかな?ここでは目立ってしまうようなのでね。」
柏木さんがそう言うので周りを見てみるとリリアンの生徒がチラチラ見ていた。確かにこの二人と一緒というのは目立つだろう。しかも一人は王族である。
「あ、はい。では。」
そう言って歩き出すと途中で祥子様らしき人を見たが一瞬だったので気のせいだったのだろうか…
「このまま普通に行ってもつまらないだろうか。」
靴を履きかえた所で柏木さんが何か言い出した。
「はあ。」
私は情けない返事をしてしまった。
「修の能力で一気に薔薇の館内へ行くのはどうだろうか。」
なにを言い出すんだこの人は。
「そうと決まれば実行だ。修頼んだぞ。」
そう柏木さんが言うと修くんは私と柏木さんの腕をつかみ跳んだ。
一瞬で薔薇の館に着いて最初に見たものは紅茶を吹きだし私にぶっかけた蓉子様だった。
(コメント)
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