がちゃS・ぷち
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No.394
作者:水
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2005-08-19 17:58:03
萌えた:3
笑った:8
感動だ:4
『蕾の錬金術師』
「時代は今、錬金術よね!」
いきなり由乃さんがこんな事をいいだした。 手元には何かのコミック本。 祐巳は牽制の為、一応つっこみを入れてみる。
「そのブームって、もう終わりつつあるんじゃ……」
「そんなことはどうでも良いの。 とにかく錬金術なのよ!」
やおら立ち上がると、由乃さんは柏手を鳴らし始めた。 『パシン、パシン』と。 とうとうお気の毒な事になってしまったみたい。
由乃さん、かわいそう……
祐巳が悲しくて涙していると、志摩子さんが由乃さんにやさしく語りだした。
「由乃さん? その柏手が何のつもりかは解らないけれど、錬金術と言ったら普通研究室に篭ってするものよ。 ガラスの実験器具を使って水銀を金に変えるの」
言いながら志摩子さんは流しの方に向かう。 戻って来る時には、何かひと抱えもあるモノを持っていて。 包みを開くと、それをテーブルに据えた。
ガラス器具。
それから志摩子さんはテキパキと用意をして。 やけに手慣れている。
「へーっ、なにか本格的ね!」
由乃さんは身を乗り出して、大きな瞳をキラキラさせてジッと見つめてる。
「なんでこんなモノがここに……」
「こうしてココに水をそそいで…… あとは火をつけるの」
そう言って志摩子さんはアルコールランプに火を灯した。
水が沸騰してゆくのを三人で見つめる。
沸騰したお湯がガラスの管を通って……
そうして出来上がったものは――
「「う〜ん、美味しい!」」
「そう、良かったわ」
たちこめる良い香り。 深い琥珀色の液体。 それはコーヒー。
「あれってサイフォン、だっけ? あれで淹れると確かに違うわね」
「アルコールランプが決め手なのよ」
「志摩子さん、やっぱり聖さまに淹れてあげてたの?」
「そうなの。 最初はお姉さまに教わって……」
本当に美味しいコーヒーに自然、会話も弾む。 三人ともニコニコ。
「あれ? そういえば何の話してたんだっけ?」
由乃さんが夢中になってる間に、コミック本は由乃さんの鞄に祐巳がこっそり仕舞っておいた。
「えっと、忘れちゃった。 ねえねえ志摩子さん、私にも上手な淹れ方教えて?」
「ええ、良いわよ祐巳さん」
「あっ、次は私が淹れるのよっ」
薔薇の館には穏やかな刻が流れ続ける。
(コメント)
joker >親友が由乃と同じ事をしてた場面を思い出した……。(No.1296 2005-08-19 20:01:42)
マリみて放浪者 >錬金術は等価交換が原則です。たとえ親友が殺されても人体錬成は考えないでください。 松平瞳子より(No.1297 2005-08-19 20:03:37)
マリみて放浪者 >瞳子よりとした理由が解った方は解答をお願いします。(No.1298 2005-08-19 20:05:25)
柊雅史 >分かりますけどネ(^^) 兄さんじゃなくてお姉さま、ですネ(笑(No.1300 2005-08-19 22:08:04)
マリみて放浪者 >お姉さまはまだどうかと思いますよ。(No.1301 2005-08-19 23:27:02)
柊雅史 >なんだってー! おかしいな、私の記憶では既に・・・。(No.1302 2005-08-19 23:59:02)
マリみて放浪者 >瞳子がスールの契りを結んだとの話は本編では聞いてませんが。(No.1304 2005-08-20 01:25:00)
ケテル・ウィスパー >瞳子(等価)交換・・・・・・・・・失礼しました・・・・・。(No.1316 2005-08-20 23:49:09)
水 >由乃「等価交換ね…… じゃあ令ちゃんで」(No.1318 2005-08-21 03:37:07)
くにぃ >令「由乃〜ぅ」(No.1331 2005-08-21 22:57:12)
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