がちゃS・ぷち

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No.168
作者:柊雅史
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2005-07-06 02:53:24
萌えた:34
笑った:1
感動だ:4

『菜々、恋物語の卵』

※薔薇のミルフィーユのネタバレ、かもしれません。


由乃さまとの二度目の邂逅も、スリリングなものだった。
「ただいまー♪」
ふんふんと鼻歌を歌いながら上機嫌に玄関を開けた菜々に、たまたま通りかかった一つ上の姉が目を丸くする。
「珍しい、菜々が鼻歌歌ってるよ」
「なによ、それ。私だって鼻歌くらい」
「そりゃ、歌うだろうケドさ。珍しいじゃない。なに? 何か良いことあった? さては男でしょう。今朝、おめかしして出かけてたもんねー」
にやにや笑う姉に、菜々は「そんなんじゃないよ」と口を尖らせる。
「今日は学校の先輩と会ってたの」
「それでなんでそんなに上機嫌?」
「そりゃ……楽しかったから」
思い出すだけで、貴重な体験に頬が緩みそうになる。
初めて出会った時の、いきなりの妹宣言。
それに続いて、今回の令さまお見合い騒動アドベンチャーである。
こうも楽しいことが続けば、誰だって上機嫌になると思うのだ。
最後まで「男でしょ!」と疑ってた姉を無視して、菜々はトントントンと階段を軽やかに上がっていった。
「どうしてこう、お姉ちゃんってすぐに男の子とくっつけたがるかなぁ」
菜々は通っている学校が学校なので、そっち方面には本当に興味がないと言うのに。
今は恋愛なんかより、楽しいことをめいいっぱい楽しみたい、と菜々は思っているのだ。
「今度会う時は、どんなことが起こるのかな」
ちょっと前までは、名前も知らない相手だったけど。
今はもう、次に会う時が楽しみで仕方がない。
「島津由乃さま、かぁ……」
ベッドに寝転んで、菜々はふにゃっとだらしない笑みを零す。
なんだか心臓がどきどき鳴っている。
そんなに楽しみか私、と菜々はちょっと苦笑した。


菜々がそのどきどきの正体に気付くのはまだ先のお話。
今はまだ、その感情はじっと菜々の心の中で温められている段階だった。


(コメント)
OZ >菜々ちゃんはホントにかわいいですね。「ふにゃっと」所では自分もふにゃっと していました。(No.557 2005-07-06 03:09:22)
ケテル・ウィスパー >いいキャラですよね〜、菜々は。 単語登録しなきゃな〜まんまだと変換できないですし。(No.560 2005-07-06 03:18:07)
春霞 >え? 一発目から変換できた私の辞書はどうなっているのでしょう。 ウィルスか、萌えウィルスに感染したのか? (No.573 2005-07-06 20:08:51)
琴吹 邑 >ATOK16には「菜々」登録されているみたいですね。人名辞典に登録されているのかもしれませんけど。(No.585 2005-07-07 11:17:59)
春霞 >いや、ごく普通の MS-IMEですが…? 変換キイの最初の選択肢が『菜々』ですたよ。 (No.610 2005-07-10 01:20:42)
柊雅史 >うちのMS−IMEも菜々はなかったです。無意識の内に登録していたのでは! 黄薔薇の呪いです。(No.722 2005-07-13 02:01:15)

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