がちゃS・ぷち

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No.1891
作者:琴吹 邑
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2006-10-04 00:55:11
萌えた:1
笑った:1
感動だ:2

『なぜか気になるお節介な友達』

のんびりだらだら まりおね第5話―――このお話はまりみて×ONEのクロスオーバ作品のつもりです。

【No:1524】【No:1718】【No:1719】−【No.1783】

 コーヒーを二つ買って、そのまま、空いてる席に座る。
「飲んで」
「あ、ありがとう」
 その言葉に、蓉子はとまどったように私にお礼を言った。
「別に」
 お礼を言わないといけないのは本当はこっちの方なのだが、素っ気ない言葉だけが私の口からこぼれていた。
 暖房の入った店内。BGMは、最近流行のJPOPがかかっているようだが、私には曲名がわからない。
 店内の喧噪とは切り離されたかのように、私たちのテーブルだけは沈黙が訪れていた。
 ただお互いに黙々とコーヒーをすする音だけが、響いている。
「今日は、楽しみましょうね」
 そんな沈黙に耐えきれなくなったのか、蓉子がぽつりとそう言った。
 その言葉は、先ほどバスに乗る前とは全く違って、何かを決意するような何かを思い詰めたものだった。


 あのことは、私だけではなく、蓉子にも暗い影を落としている。
 そのことに少し胸が痛む。
 でも、あのことは私にとって、人生をかけた決意だったのだ。だから、あのことに対して蓉子に謝ると言うことは絶対にしない。
 それは、私の気持ちと栞の気持ちを否定してしまうモノだから。だから、私はそうねだけ小さく答えた。
 そんな素っ気ない返事だったが、蓉子はその答えにうれしそうに微笑みをうかべた。

「そろそろ行きましょうか」
 蓉子は、腕時計を確認し、少し名残惜しそうに、そう言うと、空の紙コップが乗ったトレイを手に取った。

 お茶……といってもコーヒーだが、飲んでぼんやりしていただけだが、意外と時間がたつのが早いと思った。
 栞以外の人と一緒に過ごす時間が、これほどまでにはやく過ぎるのは、最近の私にとって、珍しいことだった。
 ましてや、私と蓉子はろくにしゃべりもせず、あれ以来無言でコーヒーを飲んでいただけだというのに。
 私の中で、何か変わりかけているのかもしれない。もしかしたら、そのきっかけはこのお節介な友人なんだろうなと、立ち上がる蓉子をみながら、そんなことを考えていた。


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