がちゃS・ぷち

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No.2164
作者:朝生行幸
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2007-02-21 23:51:42
萌えた:1
笑った:8
感動だ:1

『これが私の選ぶ道テンションがた落ちで』

「うぉおおおおおおおお!!!!!」
 花寺学院生徒会室、通称“ガラクタ小屋”にて、唐突に雄叫びを放ったのは、役員メンバーの一人、高田鉄だった。

 はっきり言って、今現在の花寺生徒会はヒマだった。
 妙なクラブが乱立しては淘汰されていく春先はゴールデンウィークまでの期間並びに体育祭、文化祭の時期は結構忙しいのだが、基本的にここは独立独歩の気風なので、直接生徒会が関わる部分は意外と少ない。
 それ故に、ヒマを持て余した一同、生徒会長を始めとする所謂花寺四天王、すなわち福沢祐麒、小林正念、高田鉄、有栖川金太郎の四人は、特にやることも無く、帰っても特にやることも無いので、いつものように生徒会室に集まっては、適当に時間をつぶしているのだった。
 ちなみに薬師寺兄弟は、受験のため、最近はあまり顔を見せない。
 そんな中、手持ち無沙汰を解消するべく、宿題をする者、明日の予習をしている者、ぬべらぼ〜としている者と、四者三様の状態。
 で、話は最初に戻って、明日の予習で世界史の教科書を見ていた高田が、叫び声を上げたのだ。
「なんだよ鉄っちん、急に大声だして」
 胡乱な目付きで、高田を見る祐麒。
 そんな視線もものとせず、教科書の一部を指差しては、興奮している高田。
「見ろよココ、すげーなぁ、俺もこんな国に生まれたかったぜオイ」
 まるで要領を得ないが、高田の興奮は収まらない模様。
「何のこった?」
「だってよ、“オトコ帝国”だぜ、“オトコ帝国”、“オトコ王朝”とも言うらしいけどな。ここでは、“オトコの皇帝”が支配してて、なんとビックリ“オトコの武帝”なんて人が居たってんだからタマランぜ。ちくしょー、もっと昔に生まれるんだったよ、こりゃもう一生の不覚ってヤツだな」
 結局何のことだかサッパリだが、高田が指差したページを見た一同は、彼が何故ハイテンションなのか、ようやく理解できた。
「なぁ鉄っちん……」
「なんだ? お前もここに生まれたかったのか?」
「そうじゃなくてだな。いいか、よく聞いてくれ」
「うん?」
 聞く態勢になった高田に、祐麒が言った。

「それは、“漢帝国(かんていこく)”って読むんだ」

 夕日に染まる窓の外、シラケ鳥が南の空へミジメに飛んでいった。




※漢帝国:前202年(高祖皇帝劉邦)〜後220年(献帝劉協)のおよそ400年(一度王莽によって15年ほど断絶、光武帝劉秀によって再興)に渡って、中国を支配していた統一王朝の一つ。


(コメント)
朝生行幸 >劉秀以降は“後漢(ごかん)”と呼ばれますが、五代にも“後漢(こうかん)”があるので注意が必要です。(No.14487 2007-02-21 23:53:36)
にゃ >そうきたか!こういうクスッと笑える話、いいですね〜(No.14488 2007-02-22 00:04:54)
mim >雄man帝国かと思った(No.14489 2007-02-22 00:19:02)
さんたろう >"I am the brain of my muscle."(脳は筋肉で出来ている)…ってすいません、今Fateやってるもんでw(No.14490 2007-02-22 08:52:24)
ROM猫 >「俺はホモじゃない、漢の味方だ!」・・・ですか?(笑)(No.14491 2007-02-22 14:09:41)
ROM猫 >そういえば、柏木以外は触れられてませんね。<その手のネタ(No.14492 2007-02-22 14:09:49)
素晴 >順序が逆ですが、由来からすると、おとこ帝国も間違いとまでは言い切れないのではないかと思ってみたりみなかったり。(No.14493 2007-02-22 21:56:00)
朝生行幸 >でも、漢の滅亡には、大小と無く女性の影がちらついているんですよね。(No.14707 2007-03-13 21:46:13)

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