がちゃS・ぷち

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No.2253
作者:砂森 月
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2007-05-08 02:15:19
萌えた:1
笑った:2
感動だ:0

『細いんですよね輝かしい未来はっちゃけた感じで』

【No:2049】→今作
久々に花寺の歌姫です



「ま、仕方ないだろ」
 既に一部始終を柏木先輩から聞いていた部長は、あっさりとそう返してきた。
 昼休み、少しでも練習しておこうとお弁当を食べてすぐに音楽室に向かった稔は、同じく音楽室に来ていた部長に朝の出来事を報告して。で、返ってきた答えがこれ。
「そうは言うけどね」
「そりゃ、付き合い長いから気持ちは分からんでもないけどさ。相手が相手だろ」
「それは分かっているんだけどね」
 余程の事情があれば別だけれど、あの柏木先輩に逆らえる人はそうそう居ないと思う。そもそも中等部生の私が声をかけられること自体異例なんだから、それ自体はまあいいんだけれど。
「……やっぱりあれか。理由の方が」
「うん。予想ついちゃうだけにね」
 学園祭まで残り約2週間。そのメインイベントを考えれば手伝いの内容は容易に見当がつくのだけれど。
「よりによって、なんでミスコンかなぁ」
「そこまでは俺達にはわからんさ。その後の流れは予想付くけどな」
「そだね」
 思い出したくもないけど、お年頃に入った男の子達ってある種の潤いを求めるから。毎年同じ事をやるとも思えないし、柏木先輩に陳情に群がる一般生徒の図が目に浮かぶ。
「全く、何を考えているのやら」
「そう言うなって。手伝いならそう大変な目にも遭わないだろうに」
「どうだか」
「あれか、模範演技でリリアンの制服着て『みなさんの妹にして下さい』って言わされるとか」
「ちょっと、やめてよ」
 それは色んな意味でシャレにならないから。でも有り得ないと言い切れないあたりが辛い。
「で、練習に来たんだろ。どうする?」
「やめとく。気持ち乗らないから練習にならないと思うし」
「そっか」
 全く、こんな気分で歌っても気持ち入るわけないし。私も何をしに音楽室まで来たのだか。
「そうそう、やっぱり噂になってたぞ」
「あー」
 それはもうやっぱりとしか言いようが無くて。私も耳にしたけど、どうしてナンパとかになるんだか。あ、そう考えればこっちにいた方が雑音から遠ざかれるか。
「柏木先輩、一応そっちの噂もあるからな」
「あくまで噂、でしょう」
「綾瀬の場合はどっちでも危ないかもしれないが」
「言わないでよ」
 放課後まさにその人に会いに行くというのに、何を言ってくれるかなこの人は。
「福沢先輩がお気に入りなんて噂もあるけど」
「だから、いいってば」
「実は2号候補兼ねてとか」
「野口君?」
「すまん、調子乗りすぎた」
「まったくもう」
 結局、お昼はそんな話ばかりに終始して。話し込んでいる内に予鈴がなったので、念のため抜ける日が多くなりそうなことだけ確認して2人とも教室に戻った。
 ……なんか、余計な不安が増えただけの気がする。


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