がちゃS・ぷち

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No.2409
作者:朝生行幸
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2007-11-25 21:30:09
萌えた:1
笑った:17
感動だ:0

『ちょっと痛いおともだち』

「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ……」
 黄薔薇のつぼみ島津由乃が、関連各クラブに配布するプリントの枚数を確認しているのは、ここ薔薇の館。
「いぃ、むぅ、なぁ、やぁ……」
 いかにも彼女らしい、やや古典的な数え方をしている。
 それを微笑ましい表情で見詰める同僚、福沢祐巳と藤堂志摩子の二人。
「よし、これで合ってるわね。じゃ、ちょっと席を外すから、ここをお願い」
 言うなり由乃は、慌しい足取りで、階段を駆け下りて行った。
「……なんだか、彼女らしいね」
「そうね」
 残された祐巳と志摩子は、互いにぼそりと囁いた。

「ちゅう、ちゅう、たこ、かい、な」
 紅薔薇のつぼみ福沢祐巳が、仕事で用いる備品の数をチェックしているのは、ここ薔薇の館。
「ちゅう、ちゅう、たこ、かい、な……っと」
 いかにも彼女らしい、普通では有り得ない数え方をしている。
 それを少し複雑な表情で見詰める同僚、島津由乃と藤堂志摩子の二人。
「うん、不足分はこれだけだから……。じゃ、ちょっと申請してくるから、ここをお願いね」
 言うなり祐巳は、たどたどしい足取りで、階段を駆け下りて行った。
「……なんだか、彼女らしい……って言っていいのかな?」
「そうね」
 残された由乃と志摩子は、互いにぼそりと囁いた。

 白薔薇さまは一体どんな数え方をするのだろうと、興味津々で彼女の様子を窺う祐巳と由乃。
 丁度志摩子は、何かを勘定しているらしく、電卓を叩きながらペンを走らせていた。
 しばらくすると、書類に目を落としたまま、指折り数えだし始める。
 来たか? と思いつつ、二人して志摩子を注視する。
 しかし、呟くように口を動かしているため、声がよく聞こえない。
 仕方なく、志摩子の声を聞き取ろうと身を乗り出した祐巳と由乃の耳に飛び込んだのは。

「ぼ、ん、さ、ん、が、へ、を、こ、い、た」

 それを聞いて、思わず脱力する祐巳たち。
(おいおい良いのか? 実家がお寺のキリシタンさん?)
(正しくは、“こく”のではなくて、“ひる”ものだけどね)
 二人の心のツッコミを知ってか知らずか、
「ぼ、ん、さ、ん、が、へ、を、こ、い、た」
 と、繰り返し数え続ける志摩子の姿は、普段と全く変わり無いものなのだった。

「坊さんが、屁をこいた……、と」


(コメント)
朝生行幸 >うわすっげぇ久しぶり(汗)。 他には、どんな数え方がありましたっけ?(No.15912 2007-11-25 21:30:41)
しろくま >おかげ様ブラザーズ「数え歌」(No.15913 2007-11-25 22:57:38)
雪姫 >私だけかもしれませんが、『ひと、ふた、み、し、ご、ろ、な、く、ひとと』と意味のない数え方をします。確か、『人が二人死ぬ頃、泣く人ありし』という心中歌が語源かと。詳しくは、知りませんが。(No.15915 2007-11-26 12:40:09)
素晴 >イチゴ、ニンジン、サンダル、ヨット、……ごめんなさい嘘です。1、2、サンマの尻尾、ゴリラの肋骨、菜っぱ、葉っぱ、腐った豆腐、とか言ってました。(No.15916 2007-11-26 22:39:59)
素晴 >しかし志摩子さん、その数え方はお父さま譲りかお姉さま譲りか……。(No.15917 2007-11-26 22:43:27)
mim >いつの間にかリリアンに定着していた数え方:「せ、い、さ、ま、の、お、ん、な、ず、き」(No.15918 2007-11-26 23:26:55)
菜々し >「1、2、サンマの尻尾、ゴリラの息子、菜っぱ、葉っぱ、腐った豆腐」でした、うちの方は。(No.15920 2007-11-27 01:52:39)
通りすがり >『だ、る、ま、さ、ん、が、こ、ろ、ん、だ』は駄目?(No.15921 2007-11-27 04:03:38)
さんたろう >「無花果、人参、山椒に、椎茸、牛蒡、零余子、菜っぱ、葉っぱ、胡瓜が、十銭」、数え方というより数え歌ですね。あと、「いー、ある、さん、すー…」という数え方は一部の方にはお馴染みかも(^^;(No.15923 2007-11-27 12:05:36)
朝生行幸 >そうそう、だるまさんをすっかり失念してました。(No.15995 2008-01-01 21:30:41)

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