がちゃS・ぷち

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No.2901
作者:奈々氏
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2009-03-19 20:31:35
萌えた:1
笑った:21
感動だ:2

『気付けば』

「あれ?祐麒、何飲んでるの?」

 自室から降りてきた祐巳は、キッチンでグラスを傾ける弟を見つけた。彼の手にしたグラスには何やら乳白色な液体が注がれていた。

「ヤ○ルト?」
「いや、違うよ。大体ヤク○トならさ、これくらいの小さな容器に入ってるのが普通じゃないか」

 これくらいといいながら、右手の親指と人差し指を10cm程開いて見せる祐麒。

「えっと…じゃあぁ○ョイ?」
「ジョ○なら一般的なのはパックに入ってるだろう?ピク○ックみたいにさ」
「ん〜じゃぁ…分かった!ピ○ク○だ!」
「惜しいっ」
「えー、分かんないよ」
「んじゃヒント@、このSSの作者が中学生の頃、良く行く近所のパン屋さんで100円で売ってた」
「そ、そんなんじゃますますわかんないってば」
「ヒントA、作者は当初、これよりもコーヒー牛乳を好んで飲んでいたが、クラスの大半がこれを愛飲していた為、変更した」
「うー、もっと分かり辛くなったぁ。もっと簡単なヒントは無いの?」

 泣き出しそうになった姉の表情に、祐麒は暫し考えると次のヒントを話し出した。

「某アニメの主人公の名前に似てる。そのアニメとは作者が小学生の頃に見ていた物で、主人公の女の子はビーズを撃つ機械を使って悪と戦っていた」
「……」

 ここまで言っても分からなかったのか、既に祐巳は涙目である。

「よ、よし、じゃぁ最大のヒント!その主人公の父親は画家で、その娘は父親の絵のヌードモデルだった」
「ぇええ、ヌ、ヌード!?それって誰かに見せてたりするの?」
「そりゃ本職の画家だからな、展示会とかでその絵を発表してたみたいだよ」
「ぅええ、やだなぁ知らない人に裸を見られるなんて…あんたはそんな事してないでしょうね?」
「ばっ馬鹿言え!する訳ないだろ!」
「どうだか。あんた、花寺でもシスコンで通ってるみたいじゃない。まさか私の部屋の壁に穴なんか開けたりしてないでしょうね」
「ばーか、俺と祐巳の部屋は向かい合わせだろうが。どうやって穴なんか開けるんだよ」
「それもそうか」
(ったく、部屋が隣なら良かったのに…)
「ん?何か言った?」
「へ?い、いや、何も…」
「ま、いいわ。それよりちょっとそれ頂戴。話してたら喉渇いちゃった」

 言って祐巳は祐麒の手からグラスをひったくると、中の液体を飲み干した。

(ゆ、祐巳と関節キス…)

 狙ってなのか天然なのか、いやこの場合は後者であろう。わざわざ祐麒が口を付けていた場所に自らの薄桃色の唇を付けている。
 ごくりと祐巳の喉が動くたびに思春期真っ只中の祐麒の心はビートを激しく刻んでいくのだった。

「祐巳ちゃん、ちょっと来てー」

 その時、母の彼女を呼ぶ声が聞こえてきた。

「はーい、どうしたのお母さん」

 即様反応し踵を返した祐巳だったが、テーブルの足に蹴躓いてしまった。

「危ない!」

 祐麒が叫び、祐巳の体が床と衝突しようかというその瞬間。なんと彼女の姿が突如として掻き消えたのである。














 ところ変わってここはM駅周辺にある、とあるビルの屋上。通常なら立ち入り禁止となっているそこに祐巳は立っていた。


「ま、マミーー!」



 それは母に助けを求める叫びだったのか、それとも自分が口にした飲料の名前だったのかは、祐巳にしか判らない。



 ちなみに、祐巳はこの一時間後に小笠原祥子によって救出されるのだが、それはまた別のお話。


(コメント)
寝ぼすけな目覚まし時計 >夕方にあんなアニメが放送できたなんて昔はいい時代だったんだなぁ。 しみじみ。(No.17486 2009-03-20 01:21:01)
奈々氏 >寝ぼすけな目覚まし時計 様、コメント有難うございます。確かに仰る通り、あの時代は良かったですよね 出来ることならタイムマシンに乗ってあの時代に行って見たい(No.17490 2009-03-20 21:53:04)

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