がちゃS・ぷち
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No.3746
作者:イチ
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2013-07-22 21:06:02
萌えた:0
笑った:17
感動だ:0
『コンビニ外食周りを驚かせる』
〜マリア像までの並木道〜
私はその日いつもよりも早く家を出ていた。
というのも、新年度が始まるせいか気合いが入りすぎて、落ち着いていられなかったからだ。
ちなみに、令ちゃんは自主練のため私よりも先に家を出ていた。
「ごきげんよう、由乃ちゃん」
歩いていると不意に声を掛けられた。
一瞬誰だろう?なんて思ってしまったけど、ちゃん付けされたからには、声の主は上級生だ。
上級生だとしても、私に声を掛けてくるのは令ちゃんか祥子様ぐらいだ。
まぁ、1年生のとき、妹にしたい1年生bPになんて選ばれたから、それで声を掛けられる事はあったけど、
ある時期から全くなくなった。
それに、令ちゃんは、練習で今は道場に居るはずだ。
という事で、声の主は祥子様だ。
挨拶をしようと振り返った私だったけど、そこで衝撃的な光景を目の当たりにした。
「ご…」
「由乃ちゃん、どうかして?」
「い、いえ。ごきげんよう、祥子様。今日は、お早いですね」
「ええ。気分転換のためにね。最近、体が重い感じがしてたのよ。
それで、家の者には精神的なものじゃないかと言われて、それで早めに家を出てみたの」
「そ、そうですか。桜の季節ですしね…(いや、精神的っていうか、体が重く感じる原因は見たまんまよね…)」
「それじゃあ、由乃ちゃん。私は、もうちょっと校内を散策するわね。ごきげんよう」
「あっ、はい。ごきげんよう、祥子様………こうしちゃいられないわっ!!」
私が向かった先は、道場だった。
〜中庭〜
私は令ちゃんを中庭に連れ出した。
祥子様を令ちゃんに見せる為だ
「でっ、由乃。何なの、急に?中庭まで連れ出して。せめて、道着を着替えたかったんだけど」
「さっきも言ったけど、一大事なの!!……あっ、あれ!!あれ、見て!!!」
「ん?…あれは、さち………えっ、祥子なの!?何で?」
「私に聞かないでよ。というか、それを令ちゃんに聞いて欲しくて呼んだんだけど」
「私が聞くの!?」
「当たり前でしょ!!私達が聞けるわけないじゃない!!」
「祐巳ちゃんに聞いてもらうのは?あれで、祥子は祐巳ちゃんにはベタ惚れだから」
「ダメ!!それに、一番の問題は祐巳さんよ」
「そう?」
「そうよ!!あの姿の祥子様を祐巳さんが知っていればいいけど、いきなりだと衝撃ありすぎよ。
もしかしたら、ショックで寝込んじゃったり、ロザリオ返してしまうかもしれないわ!!」
「祐巳ちゃんなら受け容れてくれると思うけど…」
「だとしてもよ、衝撃はかなりのものよ。だから、一刻も早く事情を聞いて、対策を練るのよ!!」
「ま、まぁ、由乃の言い分も分からなくはないわね。分かったわ」
「お願いね、令ちゃん」
「う、うん…」
〜薔薇の館〜
まだ人が少ないとはいえ、祥子が自分の変化についてどう思っているかわからなかったため、私は祥子を薔薇の館へ誘った。
由乃には、祐巳ちゃんが薔薇の館へ来ないようマリア像の前で捕まえるよう頼んだ。
「令、どうかして?私は丁度良かったけれど」
「ちょっとね。そういえば、祥子。春休みはどうだった?」
「春休み?特に、いつも通りね」
「そ、そう。祐巳ちゃんと出かけたりはしなかったの?」
「いいえ。そうしたかったのは山々だけれど、お互いの都合が合わなかったのよ。ただ、電話は頻繁にしていたわね」
「何を話したの?」
「特別な事はないわよ。その日あった事とかを話したわね。そうそう、祐巳からビック○ックというものを教えてもらったの」
「へぇ…(段々、理由が見えてきたかしら)。それで?」
「もちろん、食べてみたわ。思いのほか美味しくてちょっとした衝撃だったわね」
「もしかして、毎日食べたり?」
「いいえ、そんな事はないわ。食べすぎはよくないもの」
「うん、そうよね(あれ、違った…)」
「他に祐巳ちゃんに教えてもらったことは?」
「他に?やけに今日は聞いてくるわね」
「えっ、いや、私たち姉妹と違って、普通の姉妹はどういう感じで過ごしているのかなぁって思って」
「そうね。確かに、令と由乃ちゃんは普通の姉妹とは違うわね。そうねぇ、後は…ポテトチップスというものが美味しいと聞いたわね」
「へぇ…(よし!!今度こそ)。それで毎日食べちゃったり?」
「いいえ、そんな事はないわ。食べすぎは良くないもの」
「う、うん。そうよね(あれ、違った…)」
その後も、祥子の口からは祐巳ちゃんから聞いたと言って、ケン○ッキーフライドチキン、コンビニスイーツなどの高カロリー食品の名前が次々に挙がった。
だが、いずれも毎日同じものばかり食べたという事はないとの事だった。
何で毎日食べていないのに、こうなってしまうのか。
こうなった理由がよく分からなかったので、私はもう一つの事について聞いてみる事にした。
「ねぇ、祥子。最近、鏡とか見てる?」
「令、今日は変な質問をするわね。鏡…そういえば、最近見てないわね。ちょっと前から、朝の支度も家の者がしてくれるようになったからかしらね」
「そうなんだ…(間違いない。自分の変化に気付いてないわね)」
こうなると、私はどうすればいいか見当がつかず、ひとまず由乃の元に戻ることにした。
「祥子、ちょっとここで待っててもらっていい?すぐ戻ってくるから」
「ええ、いいわよ」
私が部屋を出ようとすると、誰かの言い争うような声が聞こえてきた。
何事かと思っていると、ドアが開いた。
「ダメェ〜〜〜!!」
そう叫んだのは由乃で、僅かに開かれたドアから体をのぞかせていた。
誰かを入れないように必死に体でガードしているようだった。
「何してるの?由乃」
「何って、み、見て分かるでしょ。あっ、もっ、もうダメ」
由乃が倒れこむと同時に入ってきたのは…祐巳ちゃん(?)だった。
私がハテナマークを使った理由は、祐巳ちゃんが祥子と同様に……だいぶぽっちゃりしていたからだった。
「お姉さま!!」
「ゆ、祐巳なの…?」
「お、お姉さまなのですか?」
2人は互いを確認し、そして…あまりの衝撃に気絶した。
祥子がぽっちゃりした原因は、祐巳ちゃんから教えてもらった高カロリーな食べ物をローテーションで春休み中ずっと食べていたからだった。
確かに、同じものを毎日食べてはいなかった。
また、由乃の話によると、祐巳ちゃんを待っていたら、登校してきた当の祐巳ちゃんもああなってしまっていたため、取り敢えず薔薇の館に連れてきてはみたが、
2階へいかないのを不審がられ止めきれなかったとの事だった。
どうやら、春休み明けという事で祥子と薔薇の館で待ち合わせをしていたらしい。
もちろん、その後2人は一生懸命ダイエットに励み、いつも通りの生活に戻った。
ほんと、忙しい朝だった。
(コメント)
イチ >一部訂正しました。(No.20862 2013-07-24 21:18:25)
イチ >多くの方に読んで頂き、嬉しい限りです(No.20864 2013-07-31 22:05:48)
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