がちゃS・ぷち
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No.1074
作者:ケテル・ウィスパー
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2006-02-04 00:48:06
萌えた:1
笑った:2
感動だ:11
『気づいた時には』
「……残念ですが…お断りさせていただきます」
菜々は深々と頭をたれて由乃に謝った。
入学式の後の公孫樹並木でようやく菜々を見つけた由乃は『私の妹になってほしい』とロザリオを渡そうとしたのだった。
時としてかなり無理やりな理由をつけて何度か会っている由乃としては、断られるとは思ってもみなかったのだが、菜々は少し冷めた目をして断った。
「………理由…聞かせてくれるかしら?」
「……招いていただいたクリスマス会でのこと、覚えていらっしゃいますか?」
「ええ、当然でしょ」
「会自体は大変楽しかったです。 お招きいただいて感謝しています。 ただ、あの時、支倉令さまが他の大学を受験されると由乃さまに告白された時……事前に聞かされていなくて驚いたとはいえ、その瞬間他の事に目が行かなくなられましたね。 私はそれを見てどう考えたと思います?」
菜々は正面から由乃を見据える、その強い意志を持った瞳に押されそうになる。
言葉が出てこない、怒りから? 由乃はブルブル震えだしそうになる手を押さえて首を横に振る。
「この人の世界は”支倉令さま”なんだ”支倉令さまが中心”なんだ、そういう狭い範囲の関係で満足できてしまうんだ。 紅薔薇のつぼみも白薔薇さまも同じですね。 お二人もそうでしたけれど”親友”だと言っていらっしゃいましたけれど、自分に言い聞かせるために、お互いにそのことを確認し合うために言い合っている、ただそれだけの虚構の関係なんだ。 私にはそう感じられました。 そして由乃さまは”支倉令さまが居てくれれば他はなにもいらない”んだと……」
「そ、そんなこと…「無いって言えますか?」」
由乃と菜々の間を桜の花びらをはらんだ風が抜ける。 晴れやかとはいい難い二人の雰囲気に下校する生徒達は遠巻きにして通り過ぎて行く。
「支倉令さまも考え無しにしていらしたと思いますけれど、無責任に甘やかしていらしたんじゃないですか? 由乃さまが本当の親友や友達を作れないのをどこかで安心している令さまがいる。 由乃さまもそれに甘えて今のままでいいやと思っているた」
淡々と話す菜々、言葉の端々になぜか若干の憎悪が含まれている。
「そういう関係もあるでしょうね、二人で完結できるならそれもいいでしょう。 でも知っていましたか? 人間の死亡率って100%なんですよ。 ”支倉令”という温室はひょっとしたら1秒先には無くなるんです。 温室の中でしか生きられない、咲けない花はその時どうなるんですか? 私は、そんな者のお守りはごめんです」
「……私だけならともかく……令ちゃんの…!」
由乃はキッと菜々を睨み付けると手を振り上げる、しかし由乃のそれに反応できない菜々ではない、平手が当たる前に片手だけで完全にガードしてしまう。
「…スール制についてとやかく言う気はありません。 ただ私は、そんな狭い範囲で満足することは出来ませんから。 せっかく高等部に来て、中等部以上に自由に動き回れるようになったのに『少数の人間関係で満足しなさい』なんて、そんな縛りは願い下げです」
(コメント)
ケテル・ウィスパー >さて問題です。 誰かここから由乃と菜々を姉妹にしてみてください。 ホントは『強制指名型リレーSS』にしようと思ったんですけど、やめました。(No.6040 2006-02-04 00:49:51)
春霞 >乃梨子をも越えるクールッぷり&毒舌ぶりがたまりません。 ああん、もっと苛めて (をい (No.6041 2006-02-04 00:56:46)
春霞 >ところで菜々の独白の 『紅薔薇のつぼみも白薔薇さまも同じ〜云々』 の所が今一つ解り辛いです。 (No.6042 2006-02-04 01:00:50)
にゃ >『黄薔薇のつぼみ』問題に真正面から向き合う……これは厳しいなぁ。ネタは思いついても文にする能力がないのが悔しい……(No.6046 2006-02-04 01:29:55)
くま一号 >ぐあ。黄薔薇レイニーシリーズ(仮)開幕か。これは凄いことになりそうだあ(No.6047 2006-02-04 02:59:01)
風 >そうですね……。菜々×由乃の姉妹問題、は置いておくとして、菜々が令以外の交友関係を把握した気になっているところ、も見ないことにして、菜々が『親友』を『虚構の関係なんだ』と言い切れるほどの根拠が見えない、のも棚上げして、友人を侮辱された所を由乃が問題にしていないのに違和感。もしかしてそういう設定なのでしょうか?(No.6048 2006-02-04 03:33:59)
ケテル・ウィスパー >見切り発車だったんで穴が多かったですね〜。 『親友』とか『友達』と言う言葉を、口に出して言う回数が多いほど空々しい・・・・・と言う私の殺伐とした考えを菜々に代弁させてますから。(No.6050 2006-02-04 08:51:28)
ケテル・ウィスパー >クリスマス会のフリータイムの時、度々会った事にしてますから会話の端々に多々出てきて・・・・・・ってことで^^;(No.6052 2006-02-04 08:57:10)
ケテル・ウィスパー >『由乃が友達を侮辱されたのに反論していない』のは・・・え〜〜と・・・・・姉(姉妹)>友達 の図式を際立たせるため・・・・とか、後付の理由を言ってみたりして・・・・・。(No.6053 2006-02-04 09:08:56)
マリみて放浪者 >これはすごい話になりそうですね。(傍観者) やつがれには書けません。(No.6054 2006-02-04 10:01:12)
投 >うわ〜、難しそうですね。まず親友問題は当事者同士での解決。(No.6055 2006-02-04 10:33:44)
投 >姉妹は令か江利子で解決かな?いや、もっとこじらせてみるのもアリかも?(No.6056 2006-02-04 10:35:35)
くま一号 >いや、風さん、でもね、菜々にしてみれば、令ちゃんの見合いを「阻止」にあどべんちゅーしたあとがクリスマスでしょ? 印象としてこんなもんだと思います。 これは続けたいなあ(自分で乱入するかどうかは……とりあえずしばらくムリだけど)(No.6061 2006-02-04 11:24:38)
林 茉莉 >風さまのおっしゃる違和感ですが、私は別に感じませんでした。直情径行の由乃んなら一番大切なモノを否定されたことで他のことが吹っ飛んじゃった、というのも不自然じゃ無いように私には思われますから。それ以外に風さまが挙げていらっしゃる事も、このお話が続き物であることを考えればこの先語られる可能性もあるわけだし、少なくとも今の時点で問題にするようなことでは無いように思えます。また仮にこの先語られることが無いとしても、菜々が由乃んの交友関係や祐巳・志摩子との関係を虚構の関係と理解するに至った「経緯」自体が主題にはあまり関係ないことだとすれば、それを敢えて捨象するというやり方もありだと思いますし。(もちろん主題に関係が大いにあることも今の段階では否定できませんが、その場合は今後書けばいい事ですし)(No.6067 2006-02-04 12:39:02)
林 茉莉 >結論として私が言いたいのは続きキボンヌ、評価するのはそれからだ、ということです。(No.6068 2006-02-04 12:39:19)
林 茉莉 >なんか風さまのコメントに対して否定的なことばかり言ってしまってすみません。ただ私の意図は風さまを否定することではなく、風さまのような感想を持つ人もいれば、私のように思うヤツもいるということをケテルさまや続きを書く人に知ってもらいたかったということです。重ねて言いますが風さまの見方を否定するものでは決してありません。もしそう取られてしまったらそれは私の文章の至らなさ故です。その点に関してはどうかお許し下さい。>風さま(No.6069 2006-02-04 12:39:45)
林 茉莉 >と、柄にもなくマジメなコメントしてみました。w(つーか長過ぎるって)(No.6070 2006-02-04 12:40:09)
風 >ええ、菜々の性格や状況は全部棚上げしてるのですが。いえ、設定では入学式の後なので後付けは好きなだけ出来そうですし。>くま一号さま(No.6061)(No.6074 2006-02-04 15:35:28)
風 >書き方がきつかったみたいで。もちろん、ケテル・ウィスパーさまが一人で最後まで書かれるなら、こんな無粋なツッコミは入れないのですが。『問題』になさっているようなので(汗)。
仰る『一番大切なモノ』が何かはわかりませんが、それが『令』のことだとすると、由乃は友人のことをそれほど大切と思っていない。『友人』のことだとすると、そのあと令のことだけで手を挙げるのに違和感。『菜々』のことだとすると、由乃以外を攻撃する菜々に幻滅しないのは何故なのだろう。と考えたんです。
真剣勝負に挑んだ由乃が、自らの仲間や友人、その関係を『虚構の関係』と切りつけられた時に、その場で反撃せず不問にしてしまったこと。それは菜々が令のことを否定する『前』で、そのあと令のことにしか怒っていない。それによって由乃の性格設定はどうなっているんだろう?と。>林 茉莉さま(No.6067)(No.6075 2006-02-04 15:35:51)
風 >友人には種類が多く、それぞれ意味も呼び方も違うのですが。一般的な呼称である友達や親友という言葉の意味を、考えなく過大評価しているように感じます。>空々しい(No.6050)
細かく挙げれば、三友,心友,争友,知友,同友,方外の友など、他に好敵手なども友人の一種と考えられます。それらは『口に出して言う回数』ではなく『使い方』に言葉の意味や重みがあるのではないかと思うのです。雑談の中で使う親友、皮肉を込めて使う親友、応援している時の親友、修羅場の中で使う親友など、全部違うと思います。『好き』とか『愛してる』の使い方も同じ。それは使う相手に合わせる配慮も必要なのかもしれませんけれど。>殺伐とした考え(No.6050)(No.6077 2006-02-04 15:38:06)
風 >私なんかは単純だから、好きな人に『好き』とか『友達』とか、他所でも『親友なんだ』とか言われると内心はすごく嬉しい。まぁそれでも好敵手にはどちらも絶対に言わないし、言われたら逆に気持ち悪い。ついでに三損友は論外。あ、そう言えばこれってセクハラの定義と同じですね(笑)。(No.6078 2006-02-04 16:16:25)
ケテル・ウィスパー >はは〜〜〜〜(平伏してみたりw) たくさんコメントいただきまして、こんなに書いていただいたのは『卒業旅行』の時の18禁ネタの時以来かな? でもね〜、私この先が思いつかないんですよ、どうしましょう^^;(No.6082 2006-02-05 00:01:06)
林 茉莉 >ガンガレ! ところで強制指名ならどなたにするおつもりだったんでしょ?とても興味があります。もし差し支えないようならコソッと教えてもらえませんでしょうか。私だったら神。w(No.6084 2006-02-05 00:52:34)
ケテル・ウィスパー >さ〜〜て、いぬいぬさん? 水さん? くま1号さん? そ〜〜だ、まつのめさんにしよう。 ・・・・・な〜んてね。(No.6085 2006-02-05 01:16:15)
六月 >えー?この先が思いつかないなんて・・・。ここはあの姉妹が挑発して、あの人がかき回して、んで暴走して、結果収まるところに収まる・・・、と思ったんですが。あれぇ?(No.6090 2006-02-05 11:57:18)
一体 >うわー。なんだか凄いことになってますね。わくわく。本当にこの話、続きが気になります。(No.6112 2006-02-06 06:35:41)
まつのめ >まだ顔を出すつもりじゃなかったんですけど、指名があったので。 先が思いつかないのは「おいしいとこ」を封印してしまったからではないでしょうか? 私としてはいきなりロザリオでなくて由乃が「3年生になっても妹が出来なかったら…」と考えてることを菜々が知ったときの反応とかすごい読みたいと思います。 だってクリスマスから入学式までずいぶんありますよね。 選挙もあるし。由乃なら黄薔薇さまになったら絶対菜々に報告すると思う。その時ならもう後が無いし「高校に上がったら妹になって」って言っちゃいそう。言わないにしても「菜々は薔薇さまのつぼみになってみたい?」みたいに。まだ菜々が山百合会の一員になることをどう考えているのか語られていないし。いや「姉を持つこと」についてもか。(No.6133 2006-02-06 12:30:22)
まつのめ >いえ、これはこれでインパクトがあって面白いと思いますよ。 でもリレーとなると話は別。 欲求不満のまま続きを書くなんてできません。 なんか冒頭をパクって平行に書いてしまいそうです。(No.6134 2006-02-06 12:31:51)
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