がちゃS・ぷち

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No.3879
作者:bqex
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2018-05-05 17:55:22
萌えた:0
笑った:10
感動だ:1

『欲しいと思った』

1998年5月10日はマリア様がみてる(無印)が発売された日。
そう、今年は無印発売20周年なのです!
というわけでささやかなお知らせSSでございます。


 薔薇の館。

「ごきげんよう」

 乃梨子は静かにサロンに入ったせいか祐己さまたちはすっかり気が抜けていた。
 だから自然に出したはずの台詞はあまりにも予想外すぎたのかもしれない。

「まんが王の『マリア様がみてる特集ページ』で見たんですけどね――」

 この一言に一同は大きく反応した。

「の、乃梨子ちゃん、待って、待って!」

 お化け屋敷に突如入れられたかのような反応をする祐己さま。

「え!? な、何、もう二度とこういうの来るわけないと思ってたのに!」

 動揺のあまり、立ち上がる由乃さま。

「おおおおおおお姉さま、落ち着いてください!」

 震えてまともにしゃべれない菜々ちゃん。

「こ、こういうときは深呼吸して! ああ、それでは過呼吸になってしまってよ!」

 すっかり動揺が伝線した志摩子さん。

「そ、それで今なんだっていうのよ!?」

 問い詰める瞳子。
 誰も落ち着いてはいない。
 予想外の反応に乃梨子は驚愕したが、この場をなんとかできるのは自分だけだということを心得ていたので、できるだけ冷静に言った。

「あの、別に新刊が出るとか、新エピソードが出るとか、そういう話ではないので、とりあえず皆さま落ち着いて――」

 するとピタリ、と一同は静止し、ちょっとだけ時間をおいてから乃梨子に詰め寄った。

「何今の? すごく紛らわしすぎるんだけど!」

「言っていい冗談と悪い冗談があるでしょう!」

「いま私死にかけましたよ!」

「エイプリルフールは先月よ! カレンダー見直してきたら?」

 深呼吸のつもりが過呼吸になってしまった志摩子さん。
 慌てて一同が処置を施すも可哀想に保健室へ退場となった。
 志摩子さんは心配ではあったが、少し休めば大丈夫とのことだったので、付き添いの乃梨子は四人の待ち構える薔薇の館に戻った。

「皆さまが『まんが王』というワードにそれほどセンシティブになっているとは思いませんでした。私としては『事件です』と言うほどではなかったので、さらりとお伝えするつもりだったのですが……」

 乃梨子は釈明した。

「で、何をお知らせしたかったわけ?」

 由乃さまが怒りをだだもれにした声で尋ねた。

「『マリア様がみてる』20周年を記念して、『マリア様がみてる』シリーズの単行本(20周年の帯のあるもの)の購入特典として20周年記念ブロマイドがつくというお知らせです。お手持ちでない方はこの機会にぜひどうですか、という話です。まあ、私はシリーズ全巻持ってますから今更買う予定はないのですが。ちなみにサンプルイラストは祥子さま、祐己さまのツーショットでしたね」

 淡々とお知らせする乃梨子。
 由乃さまと瞳子はなあんだ、という表情に変わり、菜々ちゃんも乃梨子に非がないことを理解してくれたようだ。しかし。

「……ほ」

「ん?」

「欲しーいっ!」

 祐己さまは全力で叫んでいた。

「祐己さん、落ち着こうか」

 由乃さまが先ほどとは打って変わって冷ややかに突っ込みを入れた。
 今更ツーショットなんて蔦子さまを捕まえればいつだってゲットできるでしょう、と。
 瞳子なんて呆れた顔して、祥子さまを呼びましょうか、とまで聞いている。

「それとこれとは別問題だよ! ひびき先生って今何やってるの? だって、二度と書いてくれないかもしれないじゃないの!!」

 気迫あふれる祐己さまの表情にその場にいたものは全員引いていた。
 その前にひびき先生に失礼だろう、とも口には出さなかったが、全員が思った。

「ねえ、それってまんが王だけ?」

 乃梨子の腕にすがりつくように祐己さまは情報を絞り出そうとする。

「いえ、まんが王の他でもやってるみたいで公式のtwitterでは3月ごろには告知されてたみたいですね。Amazonのkindleでは20%オフセールもやってます」

 追記で申し訳ないが、キャンペーン対象店舗じゃないところもあるので、確認してほしい。

「わかった、ありがとう!」

 ダッシュで薔薇の館を飛び出していく祐己さま。
 静かに見送る一同。

「祐己さん、家に何冊『マリア様がみてる』無印あるのかしらね?」

「この前お邪魔したときは初版と映画化したときのとプレミアムボックスのは確認しましたけど、まだあるかもしれませんね」

 瞳子が生暖かい目で回想する。

「とりあえず、今日は薔薇さま二人がいなくなっちゃったから、解散しようか」

「そうですね」

 静かに帰り支度をし、祐己さまの行く末を案じる一同だった。

「ところで、志摩子さんは?」

「それは私が――」

 志摩子さんの荷物と自分の荷物を持ち、乃梨子は保健室に寄って一緒に帰ろうと思っていた。


 そのころ、マリア像前。

「きゃ!」

「ごめん! 志摩子さん!」

 過呼吸が落ち着き、薔薇の館に戻ろうとしていた志摩子さんは、ダッシュで本屋に直行しようとしていた祐己さまに跳ね飛ばされそのまま保健室に逆戻りとなったのであった。


(コメント)
bqex >今更ですけどtwitter始めました。(No.77409 2018-05-05 17:56:02)
bqex >@bqex_gokigenyouです。(No.77410 2018-05-05 17:56:47)

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