がちゃS・ぷち

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No.3884
作者:ヘススナバス
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2018-10-12 09:31:39
萌えた:1
笑った:0
感動だ:4

『なんだこれちょっと無理がある』

【No:3880】の続き?
マリみてと城下町のダンデライオンのクロス的な何か。


由乃さんの手術も無事終わり、黄薔薇の蕾の姉妹も元に戻った。

祥子様はあんな面倒なこと二度とごめんだわ。とおっしゃっていた。

「それじゃあ黄薔薇宣言の騒動ももう終わりね。」

蔦子さんはそう言った。

「紅薔薇、黄薔薇と来たから次は白薔薇かな?」

茜ちゃんはジュースを飲みながら言った。

「志摩子さんがなにかやるのは想像できないなぁ。」

私は志摩子さんの顔を思い浮かべながらそうつぶやいた。

「でも白薔薇にはもう一人いらっしゃるでしょ?」

「白薔薇様かぁ。祐巳は白薔薇様と仲いいんでしょ?どんな人なの?」

「んーいろいろ面倒見てくれるけどどういう人なのかよくわからないや。あ、セクハラしてよく紅薔薇様に怒られてる。」

「それが不思議なんだよね。」

茜ちゃんがそう言った。

「何が不思議なの?」

「お姉ちゃんがリリアンに入った時に同級生にどんな人がいるのって聞いたことあって蓉子様、江利子様、聖様について話してもらったのよ。」

「それで?」

蔦子さんが話を促す。

「蓉子様と江利子様は今と一致する感じのことを言ってたんだけど聖様は誰か近づくのを拒絶してる感じだって言ってたんだよね。」

「えー…」

私としては後ろから急に抱き着かれたり、お姉様をからかったりしている白薔薇様のイメージしかない。

「だから不思議なのよ。」

「高等部に上がってから何かあったんじゃないの?」

蔦子さんはそう言った。

白薔薇様の過去か…なぜかその時気軽に踏み込んではいけない気がした。


その日の帰り道、お姉様と一緒に帰っていた。
気軽に踏み込んではいけない気がしたが気になったので白薔薇様について聞いてみることにした。

「あの、お姉様。」

「どうしたの?」

「白薔薇様についてなんですが…」

「また何かやられたのかしら?抗議してくるわね。」

そう言ってお姉様は今来た道を戻ろうとしたので私は祥子様の手を慌ててとって引き留めた。

「違います違います!それに白薔薇様だってもう帰っちゃってますよ!」

「そ、そうよね。それで白薔薇様がどうしたの?」

「白薔薇様って昔からああだったんですか?」

「ああってね、あなた…」

なんて言ったらわからないのでそう言ってしまった。

「そうね。ああいった方ではなかったわね。どちらかと言うと人との接触を避けていたわ。」

「やっぱりそうだったんですか。」

「やっぱりってどういうことかしら?」

「実はですね…」

茜ちゃんから聞いたことをそのまま伝えた。

「はぁ…興味本位で探りをいれるのはやめなさい。」

「す、すみませんでした。」

それっきりになってしまい結局白薔薇様の過去はよくわからなかった。


次の日になって薔薇の館で由乃さんと一緒になった。

「由乃さんもう体調はいいの?」

「一応はね。まだお医者さんの許可が必要なこともいろいろあるけど。」

「ところで祐巳さん、いばらの森って何か知ってる?」

「いばらの森?おとぎ話?」

「知らないようね。なんか最近流行っている小説らしいのよ。」

「知らないなぁ。茜ちゃんからも聞いたことないし。」

「茜さんもダメとなると志摩子さんが知っていることはなさそうだし、令ちゃんに聞いてみようかしら。」

そう話しているとドアが開いた。

「ごっきげんよう、お二人さん。」

「ごきげんよう、白薔薇様。今お茶を入れますね。」

「あ、自分で入れるからいいよいいよ。」

そう制され半分浮かせた腰をそのまま落とした。

「それで二人は何の話をしてたの?」

「白薔薇様はいばらの森っていう小説はご存知ですか?」

由乃さんが白薔薇様にそう聞いた。

「うーん、知らないなぁ。」

「そうですか…実は流行ってないのかしら。」

そこでいばらの森の話は終わった。


「あら、祐巳じゃない。」

由乃さんといばらの森について話した日の帰り道、奏様に会った。

「あ、奏様。」

「どう?山百合会には慣れた?」

「うーん、まだわかんないや。」

「まあ祥子さんのことで何かあったら私に言いなさい。ひとこと言ってあげるから。」

「ほんと奏様は怖いものなしだね…」

「ところで奏様、いばらの森って小説知ってる?」

「最近そんな小説読んだわ。」

「え!?どんな内容なの!?」

「気になるなら貸すわよ。」

「じゃあ貸して貰おうかな。」

「そう。じゃあうちに寄りなさい。」

「はーい。」


次の日になって朝蔦子さんがシャッターを切りながら話しかけてきた。

「ごきげんよう。祐巳さん。お姫様は?」

「寝坊してるらしいから置いてきちゃった。」

「また?結局毎朝能力使って登校しているわね。空を飛ぶ茜さんの写真は画になるからいいけど。」

「そう言えば祐巳さん。いばらの森ってご存知?」

「うん。実物も奏様から借りたからこの通り。」

そう言って小説を出した。

「もう読んだ?」

「ううん。まだ。」

「じゃあこれ言っていい物なのか…」

「何蔦子さん気になるなぁ。」

「まあいいわ。その小説ね白薔薇様の過去が書かれているらしいのよ。」



「どうしよう由乃さん…」

今日は生徒会の仕事がないので昇降口で由乃さんを待ち伏せて話しかけた。

「なによ、いつも笑顔満開の祐巳さんらしくない顔ね。」

「いばらの森…」

「あ、まだ令ちゃんに聞いてないわね。なにかわかったの?」

「白薔薇様の過去が書かれてるんじゃないかって…」

「…マジ?」

「マジ。」

「しかも白薔薇様が作者っていううわさも流れているみたい。」

「ど、ど、どうしよう!よりにもよって本人に聞いちゃったわよ!」

「反応を見る限り白薔薇様本人が書いたってことはないと思うけど…」

「祐巳さんどうする…?」

「どうするとは?」

「読んでみるかってことよ。」

「うーん・・・」

「どうしたの祐巳、柄にもなく難しい顔して。」

振り向くとそこにはお姉様と葵様がいらっしゃった。

「お、お姉様。あの、お二人はどうして一緒に?」

「たまたまそこでご一緒してちょっとお話をね。」

「薔薇の館での祐巳の様子を聞いていたのよ。」

そう言って二人は笑った。

なんか恥ずかしくなってくる三者面談の時のようだ。

「ところで祐巳たちは何をしていたの?」

由乃さんと顔を見合わせアイコンタクトした結果話してみることにした。

「実はですね…」

「聖さんは書いてないと思うわよ。」

話した後、葵様がそう言った。

「根拠はあるんですか?」

由乃さんが尋ねた。

「聖さんの様子を見た推論ね。正しくは書けないと言った方がいいかもしれないけど。」

「そうですかーだって由乃さん。」

「うーむ、葵様がそう言うんじゃ何となく納得するしかない威厳が。」

「気になるなら本人に聞いてみてもいいんじゃない?」

「葵様!?」

そう言う葵様に祥子様が慌てた。

「大丈夫よ祥子ちゃん。聖さんはもうそれほど弱くないわ。蓉子さんや志摩子ちゃん、あなたたちのおかげでね。」

「そうかもしれないですが…私は反対です。」

「そっか、祥子ちゃんがそう言うんじゃ無理強いはできないわね。」

そう言って葵様は話を切った。

私と由乃さんは何が何だかわからないまま目をぱちくりさせていた。


いばらの森をかばんにしまいっぱなしになって数日

「佐藤聖さん。佐藤聖さん。至急学院長室にいらしてください。」

そう放送がながれた。

「祐巳!祐巳!本当に白薔薇で何か起っちゃったの?」

茜ちゃんがそう聞いてきた。

「知らない知らない。とりあえず学院長室行ってみる!」

そう言って私は学院長室に向かった。


私が学院長室に着くとすでにもう人が結構いた。

しばらくしてそこに白薔薇様がやってきた。

「あ、祐巳ちゃんも呼び出し?ていうかなんでこんなに人がいるわけ?何か知ってる?」

そう言われて私はちょっと考え込む。

「その顔は何か知ってるね。まあそれはあとで聞くとして呼ばれてるから行くね。」

そう言って白薔薇様は学院長室に入っていった。

「いばらの森はやっぱり白薔薇様が書かれたのかしら?福沢祐巳さん?」

そう声をかけられ振り返ると新聞部の築山三奈子様がいらっしゃった。

「み、三奈子様!」

「ごきげんよう。それでどうなの祐巳さん?」

「どうと言われましても。」

「祐巳さんは知ってるんでしょ?いばらの森について。奏さんに本借りようとしてたの見たわよ。」

うかつだった。奏様も新聞部の取材対象だったんだ。

「それでどうなの?聖様が書かれたの?」

「…聖様が書かれたものではないと思います。」

「その根拠は?」

「葵様がそうおっしゃられていたので。」

「葵様が?根拠としては弱くないかしら?聖様と特別親しい仲というわけでもなさそうだし。」

「それでも私は葵様を信じています。」

「そう?私としてはもっと客観的な証拠が欲しいんだけど。」

私は背中に汗をかく。

葵様の推論はあっていると思うが、それは今まで葵様と過ごした経験があるから信じられるものであって三奈子様に通用するものではないだろう。

「客観的じゃないけど自供ならできるけどどう?」

黙っていると突然私の後ろの扉があいてにゅっと白薔薇様が出てきた。

「いばらの森を書いたのは私じゃないよ。学院長にもそう言ってきた。」

そう言ったので周りの生徒たちがざわついた。

「学院長室の前で騒ぐのはよろしくないし祐巳ちゃんは返してもらうね。」

私はそのまま白薔薇様に手をつかまれ連れて行かれた。


「あの、白薔薇様…」

「ん?」

「先ほどは助けていただいてありがとうございます!」

私は頭を下げた。

「私が助けるまでもなく祐巳ちゃんならなんとかできたと思うけどね。」

白薔薇様はそう言って笑った。

「いえ、そんなことは…」

「しかしちょっと妬けるね。」

「へ?」

「あの私は葵様を信じていますって言った時の声さ、すごく芯が通って迷いのない声だったよ。葵さんはそこまで祐巳ちゃんに信頼されてるんだなと。」

「私のもう一人のあこがれの人ですから。恥ずかしくて葵様には言ってませんけどね。」

「なるほどね。私は祐巳ちゃんにとってどんな人なの?」

「…笑いませんか?」

「うんうん。笑わない。」

「私にとって白薔薇様は困った時に手を差し伸べてくれるヒーローみたいな人です…」

「ヒーローね…」

「うん、まあそういうのも悪くないか。」

聖様はそうつぶやいた。


薔薇の館に着き白薔薇様がみんなに説明した後、私と由乃さんが残され白薔薇様の過去についてちょっと聞いた。

こうしていばらの森の騒動も一応の終わりを見せた。

ただこの後ヒーローはお姫様といちゃつくのも仕事だよと言って白薔薇様が抱き着いてくるようになった。

お姉様がそれに対して怒る。私はおろおろするだけだけど。

いつもの日常が帰ってきた気がしてちょっとうれしい。


「あなた騒動引き寄せる体質なのかしらね?」

奏様に本を返しにいくとそんなことを言われた。

「いやいや、私は平凡だよ?」

「王族と家族ぐるみの付き合い、超の付くお嬢様のスール、しかもそのお嬢様は紅薔薇の蕾。これのどこが平凡なのよ。」

奏様はため息をついた。

「また何かあるかもね。」

そんな不吉な言葉を残していった。


(コメント)
bqex >マリみて原作通り進むと「長き夜の」か「ロサ・カニーナ」ですがどうなるのかしら。楽しみに待ってます。(No.77412 2018-10-13 22:00:23)

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