がちゃS・ぷち

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No.3895
作者:ジャックフロスト
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2020-06-06 04:22:28
萌えた:1
笑った:11
感動だ:0

『オチはいやだ』

祐巳と佑麒が江利子さまの妹と弟になってる話
プロローグ?


私、鳥居祐巳はこの春晴れて高校生となった。

「祐巳ちゃんももう高校生か。入学式終わったら父さんと食事に行くぞ!」

「何言ってるんだ、俺とだよな?」

「俺とだ!」

「俺」

父親と兄3人が言い争っている。

「あの俺も入学なんだけど…」

弟の佑麒がそう口を挟んだ。

「お前はどうでもいい」

4人そろってそう言った。佑麒よ強く生きろ。

「何してるのよ?入学式なのに遅刻するわよ。」

そう言って江利姉が私と佑麒を引っ張り出した。

「まったく毎度毎度」

江利姉はため息をついた。

「まともな男は佑麒だけよ。あんたも若干アレなところあるけど」

「アレってなんだよアレって…」

佑麒もため息をついた。

「まあ祝福してくれてるんだからいいんじゃないかな」

私は苦笑いしながらそう言った。

「祐巳がいてくれてよかったわ。いなかったらあれが全部私に来てたと思うとたまらないわ」

「ははは…私も江利姉がいてよかったよ」

「あ、そうだ。学校では江利子さまか黄薔薇さまって言いなさいよ?」

「はーい」

一応中等部でもしっかりできてたし大丈夫だろう。

「リリアンってめんどくさそうだな」

佑麒がつぶやいた。

「花寺も花寺でめんどくさいかもしれないわよ?」

江利姉が悪い顔をして言った。

「俺は平凡に生きていくんだ。トラブルに突っ込んでいく江利姉とは違うさ」

「そんなこと言ってるやつが案外巻き込まれるものよ」

この江利姉の予想がバッチリ当たるとはこの時の私と佑麒は思いもしなかっただろう。


佑麒とは途中で別れて江利姉と二人になった。

「黄薔薇さまごきげんよう」

「ごきげんよう」

挨拶を返してもらった人はキャーと言って去っていった。

「相変わらずすごい人気だねぇ」

「祐巳もそうなるかもしれないわよ?聖の妹になる?」

「まさか!」

聖さま。時々家に遊びに来て私をからかってくる人だ。

「結構聖も気に入ってるわよ?あなたが居なかったら栞さんのこと乗り切れてたかわからないって言ってたし」

「うーん、私何もしてないよ?蓉子さまと聖さまのお姉さまがいろいろしてたし」

「いるだけで力になることもあるのよ。蓉子が良く言ってるけど姉は包みこむもので妹は支えなんですって。
そういう意味ではもう妹らしいことしたってことになるんじゃないかしら?」

「うーん。でも姉妹になるかはまだ分からないや」

「まあじっくり考えなさい」

「はーい」


お祈りを済ませた後薔薇の館に行くというので江利姉と別れた。

歩いていると桜の木があるのを思い出しそこに向かおうとしてると

「ゆーみちゃん!」

「うぎゃ!」

後ろから誰か抱き着いてきた。

「相変わらずだねーこれからこれを毎日聞けると思うとマリア様に感謝したくなるね」

「…聖さまごきげんよう」

「はい、ごきげんよう」

「なんでここにいらっしゃるんです?」

「それは高等部の生徒だからだよ?」

「そういうことじゃなくってですね!」

「わかってるって、さぼりだよさぼり!蓉子が何とかしてくれるって」

まったく悪びれる様子もなくそう言った。

「蓉子さまも新年度早々大変そうだなぁ」

「そうだねー世話焼きが趣味みたいなもんだしいいんじゃないかな?」

「聖さまがそれ言っちゃ…」

「ところで祐巳ちゃんは何してるの?玄関こっちじゃないでしょ?」

「桜を見に行こうかと思いまして」

「それじゃあ行こう行こう!」

私は聖さまに引っ張られて桜を見に行くことになった。

「うわー綺麗ですね。聖さ…ま?」

聖さまは桜を見ないでそこにいる人物を見ているようだった。

「祐巳ちゃんあの子知ってる?」

「確か…藤堂志摩子さんですね」

「そう…」

そう言って聖さまは近づいて行った。

「志摩子、私の妹になりなさい」

「せ、聖さま!」

私はびっくりして大声をあげてしまった。

「白薔薇さま…」

志摩子さんも突然のことに驚いているようだった。

「いやいや聖さま順序ってもんがあるでしょ!」

「え?なんで?向こうも私のこと知っていてこっちも知っているんだしいいじゃない」

「名前だけじゃないですか!もっといろいろ知り合ってからですね」

「佐藤聖3年、白薔薇さま、12月25日生まれ、好きなもの嫌いなものはいろいろ」

「はい次志摩子よろしく」

「え、はい藤堂志摩子と申します。祐巳さんと同じ1年桃組です。好きなものは銀杏やゆり根です」

「あ、私桃組なんだ」

「見に行く手間が省けてよかったじゃない」

「まあ時間がないから行くけど妹のこと考えておいてよ」

そう言って聖さまは去っていった。

「…」

「…」

「とりあえず教室行きましょうか…」

「うん…」

初日からなかなか波乱である。

「それで志摩子さんはどうするつもり?」

「…わからないわ」

「そうだよね」

「私は身軽でいたいのだけれどあの方のことがどうも気になるの」

「身軽…」

うーんどういうことだろう。


入学式も無事終わり帰ろうとした時呼び止められた。

「祐巳、ちょっと来てちょうだい」

「江利ね、じゃなかった黄薔薇さま!」

そのまま薔薇の館へ引っ張り込まれた。

「これ私の妹だからこき使っていいわよ」

「そんな無茶苦茶な…」

「朝、聖がさぼってるの知ってたのに放置した罰よ」

「ええ!それとばっちりじゃ」

「まあめったにできることじゃないしいいじゃない。こっちとしても鳥居江利子の妹だから騒ぎにならなくてちょうどいいのよ」

「騒ぎ?」

「祐巳ちゃんごめんなさいね。」

「いえ紅薔薇さまが悪いわけじゃ…」

「あらそう?私が江利子に頼んだのにそう言われるならありがたいわ」

「なっ!」

「聖は妹いないしサボり魔でしょ?江利子もふらっとどこか行っちゃうし、令は部活あるしでちょっと人手足りないのよ」

「そこで私ですか」

「そう、祐巳ちゃんなら実の妹だし出入りしても不自然じゃないしね」

「さようですか…」

「祥子は初対面よね」

「そうですね。紅薔薇のつぼみの小笠原祥子ですわ。よろしくね祐巳ちゃん」

「1年桃組の鳥居祐巳です。よろしくお願いします」

「期限は聖か祥子に妹が見つかるまでね。よろしく」

「はい…」

そうして私は薔薇の館のお手伝いさんとなってしまったのであった。


そんなこんなで1週間が経った。

「黄薔薇さま…」

「何かしら祐巳?」

「マリア祭って1年生歓迎系のものですよね?」

「そうね」

「なんで新入生側の私が準備しているのでしょうか」

「聖があの1年生のところにフラフラ行っているからよ」

くっ!あの人は何をしてるんだ!

「あ、そうだ。いいこと思いついた」

「いいこと?」

紅薔薇さまが聞いてきた。

「ふふーん、秘密です!」

私は胸を張って笑顔で言った。

「こういうところは江利子の妹なんだって感じさせるわね…」

紅薔薇さまはあきれたようにため息をついた。

その次の日

「じゃーん!私の友達の藤堂志摩子さんをお連れしました」

「あの、藤堂志摩子です」

志摩子さんはそう言って。

「よろしく。志摩子と呼んでいいかしら?聖もそう呼んでるし」

「は、はい」

「これで聖さまもこっちに来るし私はお役御免ですね!ふっふっふ」

「祐巳ったら大事な友達を放置してどっか行こうなんて非情ね。姉として悲しいわ」

江利姉がそういっておよよよと泣き出した。絶対ウソ泣きだけど。

「うっ」

「今日は令と由乃ちゃんも来てやっとみんな揃うところなのに祐巳ちゃんが帰っちゃうなんて寂しいわね」

紅薔薇さまもそう言った。

「あ、そうだみんなに報告。私と志摩子は姉妹になったから。」

白薔薇さまは突然そう言った。

「へ?志摩子さん本当!?」

「ええ、だから祐巳さんに連れてこられなくてもここに来る予定だったの」

「へー昔の聖だったらグダグダやってめんどくさいことになってたはずなのに成長したもんね」

「なにおうでこっぱちめ!まあ今日は機嫌がいいから許してあげましょう。というわけで志摩子が慣れるまで祐巳ちゃんお世話よろしく!」

「んん!?」

(あ、これ何だかんだ引き延ばされまくるパターンでは?)

チラッとわずかな希望を込めて祥子さまを見た。

「祐巳、あきらめなさい。お姉さま方にはかなわないわよ」

希望はあっけなく打ち砕かれた。

「祐巳さんがいてくれたら心強いわ」

「はい、やらせていただきます!」

「すでに祐巳を尻に敷くとは、志摩子やるわね」

江利姉が変な感心をしている。

情けなくなり私は地面にしゃがみこんでうずくまった。

「ごきげんよう遅れました、って祐巳ちゃん何してるの?」

令さまと由乃さんが入ってきて不思議な顔をした。



「とりあえず改めて1年生に自己紹介してもらおうかしら」

紅薔薇さまがそう言った。

「トリは祐巳ちゃんとして順番はどうする?」

「由乃ちゃんから行きましょうか」

白薔薇さまがそう言って江利姉が答えた。

「ちょ、ちょっと待ってください!なぜ私が最後なんですか?」

「そりゃ話にはオチというものが必要だからだよ祐巳ちゃん」

「面白い自己紹介お願いね」

くっそ!いつか復讐してやる。

「じゃあ由乃ちゃんよろしく」

「島津由乃です、病を患っておりご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。好きなものはスポーツ観戦、時代小説。
好きな言葉は先手必勝。支倉玲さまの従妹であり先日妹になりました。以上です。」

ほうほう、なかなかアグレッシブそうな子だ。

「ほうほう、外見と趣味のギャップが非常によろしい!」

白薔薇さまはそううなずいた。

「次志摩子よろしく」

紅薔薇さまが促した。

「藤堂志摩子です。本日佐藤聖さまの妹となりました。まだ勝手もわからない身分でご迷惑おかけします。
好きなものは銀杏、ゆり根。特技は日舞です。よろしくお願いします。」

「これまたギャップが凄いわね」

「今年はそういう年なのかもよ?次の人ももしかしたらすごいものを隠し持ってるかも」

くっ黄白コンビがハードル上げてきてる。

「じゃあ祐巳ちゃんどうぞ」

「えーうーん、はい!顔は狸だけど名前は鳥居の鳥居祐巳です!」

すっと薔薇様三人を見ると全員3と書かれた札をあげていた。

「なんでですか!判定早すぎでしょう!しかもその札3しか用意してないでしょう!」

見ると全員笑いをこらえていた。

「祥子さまや令さままで!」

「ごめんなさい。あまりにも連携が取れていたものでつい」

祥子さまは笑いながらそう言った。

「祥子を笑わせられたんだから自信もっていいわよ祐巳ちゃん」

紅薔薇さまはそう言った。

「こんな自己紹介2度とやりませんよ…」

とにかく薔薇の館から解放される方法を考えなければ。


(コメント)
たぬたぬ祐巳さま >約1年ぶりに新しい投稿キター。これわ良作の予感(No.77423 2020-06-21 01:36:41)

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