がちゃS・ぷち

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No.3901
作者:こけら柿
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2022-08-01 14:31:44
萌えた:0
笑った:3
感動だ:3

『図書館の妖精祐巳が好きぱんつ履いてない由乃』

 リリアン女学園の敷地内にある図書館。そこにはある噂話がひっそりと囁かれていた。
 それは、「図書館の妖精」の存在。

 「図書館の妖精」は、毎日決まった時間に一人で本を読んでいるという、ある女生徒を指すとのだいう。

 その姿は妖精のように美しいが、まるで人形のように無表情で、何を考えているのか分からない。
 彼女がなぜそのような噂話として語られているのかというと、誰に聞いても彼女の名前も、何年何組に在籍しているのかもわからない。

 ただ、図書館の最上階、しかも本来なら授業中の時間にのみその姿を現すのだという。

 ――そんな噂話を耳にした私、島津由乃は、好奇心から件の図書館の最上階へと向かった。
 しかも、体調を崩して保健室に行くという嘘をついて、授業を抜け出してまで。

 そして、そこで私は、彼女と出会ったのだ。

(……あ)

 人気のない廊下を通り、階段を上りきった先に彼女はいた。

 窓際の席に座って外を見つめる少女の横顔は、とても綺麗だった。
 肩よりも少し長いくらいの髪は艶やかで美しく、窓から差し込む光によって天使の輪が出来ている。
 背筋を伸ばし、行儀よく座っている姿はまさに『お嬢様』といった感じだ。

「……あの……」

 勇気を出して声をかけてみたけれど、反応はない。
 聞こえなかったのだろうか? そう思ってもう一度口を開きかけた時、ふいに少女の顔がこちらを振り向いた。

「……っ!?」
「……何か用?」

 視線があった瞬間、息を飲む。
 パッチリと開いた大きな目、長い睫毛、形の良い唇からは鈴の音のような声音が発せられる。

 この人は、なんて綺麗なんだろう。
 思わず見惚れてしまうほど、目の前の少女はとても美しかった。

「……あなた、誰?」

 少女の声で我に返ると、私は慌てて自己紹介をする。

「ごめんなさい! 急に声をかけたりして……。わ、私は二年松組の島津由乃。あなたは?」

 すると、少女は一瞬目を丸くした後、小さく笑みを浮かべた。

「福沢祐巳よ」

 それが、私と祐巳さんの出会いだった。

***
 それからというもの、私は授業を抜け出しては図書館に通うようになった。

 理由はもちろん祐巳さんに会うためだ。

 彼女はいつも同じ場所にいて、私が行くと必ずそこにいた。

 最初こそ警戒心を抱いていた様子だったが、何度か通ううちに少しずつだが会話が出来るようになったと思う。
 例えば今日は何を読んでいるのかとか、好きな食べ物だとか、本当に他愛もない話ばかりだけど、それでも彼女と話すのが楽しくて仕方がなかった。

 だから、つい忘れてしまっていたんだ。
 自分がどういう立場にいる人間なのかということを。

「……ねぇ、あなた最近ここに通い詰めてるみたいね」
「え?……ああ、うん」

 ある日のこと、いつものように授業を抜け出し祐巳さんに会いに行ったのだが、なぜか機嫌の悪い彼女に呼び止められてしまった。

「……どうして?」
「どうしてって言われても……。だって、祐巳さんと話したかったから……」

 正直に答えると、祐巳さんの眉間にシワが寄る。
 なんだか嫌な予感がする。

「あなた、私のこと好きよね?」
「もちろん!」

 即答した途端、祐巳さんの目つきが変わった気がした。
 気のせいであってほしいけど、でもきっと違う。

「……へぇ。じゃあ、私のお願い聞いてくれる?」
「う、うん……いいよ」

 一体何を言われるのかと身構えていたが、予想に反して祐巳さんの口から出てきた言葉は意外なものだった。

「私の恋人になってほしいの」
「……はい?」

 今なんて言った? 恋人? 聞き間違いでなければ確かにそういったように聞こえたが、しかしなぜそうなるのかさっぱり理解できない。
 困惑していると、祐巳さんはさらに続けた。

「あなた、私と同じ匂いがするもの。それに、見た目も悪くないし、まぁ及第点かしら。だから、付き合ってあげる」
「ちょ、ちょっと待って! 意味がわかんないんだけど!?っていうか、いきなりそんなこと言われても困るし!」
「大丈夫、優しくしてあげるから」

 にっこりと微笑む祐巳さんは、まるで獲物を狙う獣のようだった。

 ――その後、どうやって逃げ出したかは覚えていない。


 そして、気がつけば薔薇の館へと続く中庭に立っていた。

(あれ……?)

 そこでわが身の違和感に気付く。
 下半身がスース―するのだ。
 恐る恐るスカートの中を確認してみると、そこにはあるはずのものがなかった。

(どうしよう、パンツがない!)

 それはもう、パニックだった。
 まさかこんなことになるとは思わなかったから、当然、替えの下着など持ってきていない。

(あーん! 祐巳さんのバカ!! なんであんなことになっちゃったの!?)

 もしや、先日の授業を抜け出したことが原因だろうか。
 だとしたら、自分のせいということになる。……それとも、祐巳さんにはそういう趣味があるのだろうか。

 落ち着きを取り戻した私は、祐巳さんがなぜこんなことをしたのかを確かめるため、もう一度図書館へと引き返すことにしたのだった。
 ――そして、そこで信じられないものを見たのだ。

「ゆ、祐巳さんっ!!」
「あら、また来たの? 懲りない人ね」

 図書館で会った彼女は、さっきまでと同じように本を読んでいた。
 ただ一つ違っていたのは、彼女の手の中にあったのは本ではなく、私のパンツだったということだ。

「あ、あの、その手に持っているものは……」
「これ? あなたのパンツだけど?」

 そう言うなり、彼女はその手を高々と上げた。

「返して!」
「ヤダ」

 必死に手を伸ばすが、祐巳さんはそれを避けるようにしてさらに高く上げる。

「あんな目に遭ってもまだ私に会いに来るなんて、由乃さんは馬鹿なの?」
「返してくれないと、嫌いになるわよっ!?」
「へぇ、そう」

 その瞬間、祐巳さんの手の動きがピタリと止まった。

「……嫌いに、なるんだ?」
「そ、そりゃ、そうだよっ! 人のものを盗るような人となんか付き合いたくないもの!」
「…………」
「わかったら、早く返し……」
「返さないわ」
「は!? なんで!? あなた、私のことが好きなんじゃなかったの!?」
「ええ、好きよ。でも、それとこれは別」
「なにそれ、わけわかんない!」
「由乃さんが悪いんでしょう? 私を好きになったあなたがいけないの」
「ど、どうして!? そんな理不尽なことって……!」
「うるさい!」

 突然の大声に驚いている隙に、祐巳さんは素早く行動に出た。
 あっという間に距離を縮めると、私を抱き締めるように腕を回す。

「ちょっと……!」

 抵抗しようと暴れるが、相手の方が一枚上手だった。
 祐巳さんは私の動きを完全に封じてしまうと、そのまま顔を近づけてきた。

「やめて!」

 私は、咄嵯に祐巳さんを突き飛ばしていた。
 祐巳さんは少し悲しそうな表情をしたあと、こう言った。

「これでわかったでしょう?もう、授業を抜け出してまで私に会おうとなんて思わないことね」

 そして、私の前から去っていった。

(どうして……)

 結局、彼女が何を考えているのか最後までわからなかった。

 しかし、そんなことは些細な問題だった。
 一番の問題は、私が彼女を好きになってしまったということなのだから。

***
 この出来事を境に、祐巳さんが私の前に現れることは無くなった。

 学校中を回って「福沢祐巳」という名前の生徒を探したが、どのクラスにもそのような名前の 人物はいなかった。

 「図書館の妖精・福沢祐巳」。私がこの半月ほどの間に会っていた存在は何だったのか。
 白昼夢を見ていたとでもいうのだろうか。


 確かなことは、私の記憶の中に今もなお、彼女が存在しているということだけだった。


(コメント)
こけら柿 >実験的にAIのべりすと使用。 がちゃ×AIはこんなことになるんやなぁ。(No.77500 2022-08-01 14:33:25)
joker >キャラ表現さえちょっと修正したらAIでもメチャクチャ面白くなりそう。てかもう自分なんかより面白い(No.77506 2022-09-01 19:12:38)

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