がちゃＳ・ぷち

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No.662
作者：まつのめ
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2005-09-29 09:52:28
萌えた：1
笑った：1
感動だ：8

『理想すれちがう』

がちゃSレイニーシリーズ。　番外編の番外
水さま作『No.661　１つだけ確かなことは』の続きかもしれない？

「敦子それは違うわ」
「お姉さま？」
　可南子に諭されて複数の姉を持つことや複数の妹を持つことが間違いであることを布教すべく姉の居る聖書朗読クラブの活動場所へ来た敦子であったが。
「確かに今までの姉妹制度は一対一。姉妹のちぎりは結婚のような物でしたわ。でも白薔薇さまはその制度に疑問をもたれたのよ」
「で、でも」
「一人の姉が一人の妹を責任を持って導くということは確かな絆を築くものだし、姉妹双方の成長につながるすばらしいものだわ」
「それならば……」
「でもね、その反面、独占欲のようなものを助長してしまってそれが元で多くの悲劇が生まれたてきたことも事実なの。あなたもいくつか話を聞いたことがあるはずよ？」
　姉の言い分はこうであった。確かに敦子の言うように、多夫多妻制を盾に他人の妹を勝手に自分の妹にするような行為は問題外であると。しかし現在の妹も同意の上で新たに妹を迎えたり、姉の承諾を得た上で別な上級生の妹になるのは問題が無いのではないかと。もちろん独占したければ一対一のままで居ればよいのだし。
「なにも白薔薇さまは全ての姉妹が一対多や多対一になれと仰っているわけでないわよね」
「そうですが……」
「白薔薇さまの提案なさったのは姉妹制度の可能性を広げるもの。このようなことを思いつかれる白薔薇さまはすばらしいお方ですわ」
　きらきらと後光がさして見えるのは錯覚であろうが、彼女は敦子の姉である。
　疑うことを知らない善意の人、敦子を上回る『超子羊』なのは言うまでも無い。

「それはちょっと頂けませんわ」
　それに口をはさんだのはもう一人の『超子羊』、美幸の姉であった。
「もちろん妹の同意を得てもう一人妹を持つのことは賛成ですけど。そうなれば妹同士は違った意味の姉妹となり、今の姉妹制度いわば家族のような形に進化しますわ。つまり家族愛を育むすばらしい関係に。でも妹が別の姉を持つとなると意味が違ってきてしまいますわ」
「それでは、貴方は白薔薇さまのご提案には反対なのですか？」
「いいえ、それはすばらしい提案だと思うのですけど、姉が妹を導くという原則からするとそのまま採用するわけには行かないと思うのですけど」
「そうでしょうか、人にはそれぞれ長所というものがありますから複数の姉から学ぶことでより深い洞察を培うこともできると思いますが」
　ここへ来て、二人の討論に意見をはさむものが出てきた。
「いいえ、わたくしも複数の姉をもつことは反対ですわ」
「わたしは逆ですわ、一人の姉から複数の妹という形で家族を形成するとなると派閥のようになってしまい、争いの元になりますわ」
　子羊達が争っておられる。
　もはや聖書朗読クラブ全体を巻き込んでの乱闘（討論だから乱討？）となっていた。
「あ、敦子さん……」
「美幸さん、どうしましょう」

　『多夫多妻制を盾に他人の妹を勝手に自分の妹にする』等の一般生徒が安易に走っている行為に反対なのはどうやら統一見解らしいのだが、論点はもうそんなところからはるか遠方へ飛び去りつつあった。

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09/29 10:09 矛盾があったのでセリフ一部修正

（コメント）
まつのめ　＞ああ、がちゃSレイニー初参加がこんななんて。水さんごめんなさい。(No.2792　2005-09-29 09:55:26)
くま一号　＞わーい、みんな乱入歓迎。でもなんか姉妹制度の根幹を問う論争に発展しそうだぞ。いいのか志摩子。(No.2793　2005-09-29 10:04:08)
琴吹　邑　＞逆にこうなれば、山百合会としては、姉妹制度について、改めて考えてもらいたかったと言い訳が立つので、OKなのでは。志摩子がそこまで意図していたかはどうかは知りませんけど。(No.2802　2005-09-29 11:12:11)
風　＞これ588で由乃と桂に物理面から少しだけ考えさせてたのですが、精神論だと相手の考えを認められない平行線の宗教戦争に発展しかねないので途中で止めたんですよね。それにマスコミだと権力を利用した一方的な情報操作と心理誘導になりかねないのでは？(No.2803　2005-09-29 11:58:52)
まつのめ　＞聖書朗読クラブが結論を出して『新しい姉妹はこうあるべき』と布教をはじめたもんだから事態は更に混迷していくのであった。　……とか？(No.2809　2005-09-29 12:48:21)
まつのめ　＞それの是非はともかく、リリアンのお嬢さま方は（一部を除いて）そういった情報操作に弱そうですね。＞情報操作と心理誘導(No.2810　2005-09-29 12:58:02)
名無し　＞話拡散し杉。(No.2814　2005-09-29 13:20:03)
水　＞ああっ、ストッパーが居なくなってしまった（笑）(No.2817　2005-09-29 14:05:32)
水　＞聖書朗読クラブという事で、保守的な人々なのだろうからちょうど良いと思ったのですけどね。(No.2818　2005-09-29 14:13:46)
風　＞リレーの続き物は、先を読みながら先手を打って伏線を張っておかないと、とんでもない事になりますから…。(No.2826　2005-09-29 15:38:44)
風　＞とは言え、矛盾を承知でスルーされたら合わせるしかありませんけれど(笑)。(No.2827　2005-09-29 15:43:48)
くま一号　＞多夫多婦って言葉を使いたくなかったのはだからなんだなあ。なぜいけないか説明できないもん。パンドラの箱半分開いた、かな？(No.2831　2005-09-29 16:55:10)
ケテル・ウィスパー　＞一夫一婦制は男の側から出た物だって知ってました？(No.2832　2005-09-29 16:59:49)
くま一号　＞とはいえ、それもおもしろいかも(No.2833　2005-09-29 17:00:12)
くま一号　＞男が確実に自分の子供に跡を継がせるためってのが定説＞ケテルさん　って、だあからそっちに突っ込むとパンドラの箱、全開するぞー。(No.2834　2005-09-29 17:03:23)
風　＞パンドラ怖いから、リリアン限定にしてね。それで、どちらもいけない、なんて事はないんですね。自分たちの管理が楽かどうかの問題ですから。姉妹の契りをしていない娘は、ある意味、多夫多婦の状態なんですよ。(No.2838　2005-09-29 17:53:44)
くま一号　＞志摩子自身ははっきりしてるんだよね、瞳子ちゃんにロザリオ渡したって妹は乃梨子ひとりって何度も言ってるんだから。ふむ、それを伝えればいいのか。(No.2839　2005-09-29 17:56:08)
まつのめ　＞うわっ、一年生の可南子から敦子へというきっかけは聖書朗読クラブという一集団を動かすにはちょっと弱いかなおもって書いただけなのに大変なことになってる……(No.2840　2005-09-29 18:24:29)
風　＞逆に考えると、多夫多婦状態では、祐巳は瞳子を明確に妹に迎えなくても構わない事になる。今まで通り、その時々によって親しい一年に姉らしい事をしてあげれば済む話になってしまう…。(No.2842　2005-09-29 18:32:27)
水　＞難しい話が展開されてますね…ついていけない…(No.2848　2005-09-29 22:19:08)
水　＞言われてみると確かに可南子と敦子だけでは人を動かすパワーが不足していますよね。そこまでは考え至りませんでした。＞まつのめさん(No.2852　2005-09-29 23:28:02)
篠原　＞原作でスールの契りは婚姻のようなものと言ってるので基本的にはそういうことなのでしょう。そこに良い悪いの意味を求めるのも意味は無いような。その上で、規格外の人間が出てくる可能性はあるのでしょうが。(No.2856　2005-09-29 23:53:20)

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