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時が解決してくれる微笑みはマリア様の主人公補正  No.3892  [メール]  [HomePage]
   作者:  投稿日:2019-05-26 19:10:34  (萌:0  笑:0  感:3
【No:3889】【No:3890】【No:3891】の続き
白き花束〜聖夜の奇跡〜

_駅の構内では クリスマス・イヴの喧騒も消え
ただ冷たい風が体に突き刺さる

「やっぱり…私は振られた…のかな…」
手首に掛けられたロザリオを眺める視界が 歪んでくる…
既に終電も過ぎ、此処に居ても無意味なのは解っているが、
聖は、なぜか動けずにいた…栞が来てくれるのではないかという
淡い期待が 帰る事を拒んでいたのだ。

しかし、駅の職員が見廻りに来るのも時間の問題…
「栞が居ない世界なら…いらない」 弱々しく呟き
やっとの思いで椅子から立ち上がった。

_栞は、駅に向かう途中に 一つの答を出していた。
『もう聖から逃げない』と…
そして、誰から示唆されたものではない『自分の意思を伝えよう』と…

_静まり返った構内に響く足音に、心がざわめく…
「しお…り…栞なの…?」 聖は、よろめく足どりで
足音の主の元に近付いていった


「しおり…しおり!!」 …愛しい人の名を繰り返し
表情が確認できる距離に近づいた聖だが
途端に顔を強張らせた… 栞のすぐ後には…

「お姉さま…なぜ…」
「まったく…どこまで盲目になっているのかしら…」
呆れたように肩を竦める白薔薇様と、
「本当に…駅の方に説明してきた私や、待っている仲間の身にもなって頂戴」
聖に詰め寄りそうな勢いを 白薔薇様に制される蓉子が居た。

この顔触れでは、何かを企んでいる事を疑っても仕方がない。
「…お姉さま…栞に…何を吹き込んだのですか!?」
「あら、姉に向かって…「聖!違うの!」」
会話に割って入ったのは 栞…
彼女の印象からは考えられない 叫ぶような声だった
「お願い、私の話を聞いて?」
「白薔薇様は、ただ私に…リリアンに残る様に説得してくださっただけなの」

「本当に…それだけ…なの?」
聖は 栞と姉を見比べ、疑念と戸惑いが入り交じった、複雑な顔をしている。
「ええ、そうよ?…だから 今から栞さんが話す事は、私たちも預り知らぬ事」
「だから…きちんと話を聞いて、受け止めてあげなさい」

白薔薇様の言葉の後、3人とも 栞が口を開くのを待っていた。
どんなに落ち着いた雰囲気を醸し出していても、
まだ栞は高校1年生
ここで選択を迫るのは酷な話だが、
駆け落ちを実行に移された以上は、この機を逃す訳には行かない…仕方の無い事なのだ。

そして_

「聖…実はね… 私は 黙って貴女の元から去るつもりだったの… 貴女を不幸に誘う様な気がして…
でも…白薔薇様に諭されて、聖との関係から逃げようとした自分自身に気付かされたの」

ここまでは懺悔

「白薔薇様からは、聖の手の届く場所に居てあげて欲しいとしか言われていないわ…だから、ここからは私の意志で決めた事…」

「聖…いえ…聖さま、私を妹にしてください!」

そして、姉妹制度を忌み嫌っていた聖に向けた
栞なりの精一杯の告白だった。

その言葉に 聖が口を開きかけたが、栞は それを制した。
「解っているわ…私達の関係が『姉妹ごっこ』だと見られたくない事も…」
「確かに 姉妹制度に憧れただけのカタチは『ごっこ』かも知れないけれど、10組の姉妹が みんな同じとは限らないでしょう?」

「だから、私達らしい姉妹のカタチを 二人でみつけたいの」

一瞬の沈黙が流れ、やっとの思いで口にしたのは
「本当に…いいの?」 _その一言だけだった。

栞は黙って頷き…そして 右手を差し出した…

ロザリオを首に掛けようとしていた 聖の手が宙を泳ぐ…

「クスッ…だって私達だけの姉妹のカタチを見つけるのだもの、他の人達と同じである必要は無いと思うわ」

そこには 先ほどまでの 弱々しく見えた栞の姿は無かった。
この娘はきっと、覚悟を決めたら 化けるタイプなのかも知れない。

「聖、何をしているの? はやく栞ちゃんの気持ちに応えてあげなさいな」

暫く躊躇していた聖も、白薔薇様の一声で
ようやく意を決した。

「栞の覚悟は解った…姉らしい事は してあげられないかも知れないけれど…改めて よろしく」

_白薔薇様と蓉子に見守られながら
聖の右手に掛けられていたロザリオが、栞の右手に引き継がれる_

いつしか 新たに生まれた白薔薇姉妹の眼には
うっすらと涙が浮かんでいた

「さて、経緯はともかく これで私からの誕生日プレゼントになるかしら?」

そんな白薔薇様の言葉で、思い出したかの様に
蓉子は鞄から 手作りの包みを聖に手渡す
令が 山百合の仲間の為に準備した 手作りのクッキーだ

「聖…まさか自分の誕生日を忘れていたの? これは、山百合会からの誕生日プレゼントよ」
「忘れないで、貴女たち二人を見守っているのは
一人や二人ではないのよ」

_栞が 涙を拭っている時、ふと白薔薇様と目が合ったがその穏やかな笑みには
「聖の事…お願いね」というメッセージが込められている様に感じられた。

「さて、今からは クリスマスパーティーよ、これ以上 みんなを待たせる訳にはいかないからね」

今年の聖夜は、まだまだ続きそうだ__

bqex > 先生、掲示板内リンク貼る時は「.」ピリオドではなく「:」コロンをお使いください。 (No.77415 2019-05-26 22:28:08)
 > 有難うございます!どうやったら前作からのリンクが貼れるのか解らずに困っていたところです( ;∀;) (No.77416 2019-05-27 19:06:11)

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大きい画用紙抱きしめた胸の高鳴りを久々に  No.3891  [メール]  [HomePage]
   作者:  投稿日:2019-05-26 16:08:20  (萌:0  笑:1  感:2
【No:3889】【No:3890】の続き
白き花束〜聖夜の奇跡〜

_やはり、聖と一緒に行く事は出来ない_
駅のホームで待ち続ける聖の姿は、
あまりにも弱々しく 憔悴しきっていた。

栞は、直感的に感じ取っていた…
これ以上 傍に居れば、いつかは繊細な硝子細工の様に
些細な事で 聖は壊れてしまうかも知れない…
一緒に行く行為は、砂上の楼閣に誘う様なものだと…

「この手紙…どうしよう…」
力なく呟いた言の葉は クリスマスソングと行き交う人々の靴音に掻き消される

_かの様に思えたのだが_

「手紙が…どうしたのかしら?」
突然 声を掛けられ 一瞬身構えたが、振り返ると そこには…

「白薔薇様!? それに紅薔薇の蕾まで…どうして!?」

「姉不幸者の駄々っ子のお迎えと、栞さん…貴女と話をする為よ」

その後、白薔薇様と蓉子様に連れられ、駅前の喫茶店に来たのだが

此処で話をするなら、なぜ聖も連れて来なかったのか…
白薔薇様曰く「山百合会メンバーに迷惑をかけた罰と、頭を冷やす為の時間を作る為」…らしい。

4人掛けのテーブルの窓際に座らされ、隣に蓉子様
正面には白薔薇様…
ここまでしなくても、逃げはしないのに…
普段であれば カドが立たない程度に言い返したのかも知れないが、
今は、そんな気力さえ起きない…

白薔薇様が 栞の手紙を読み終えた頃合いに
三人分の飲み物が届けられた。
白薔薇様には コーヒーのブラック
蓉子様には オレンジ・ペコー
そして栞には カモミールティー

カモミールの甘い香りが 張り詰めた心を解きほぐしていく

_そして_
「…栞さんの気持ちは良く解ったわ…
まずは 聖の姉として謝らせて頂戴」

「栞さん、貴女は聡い…そして何より あの聖を受け入れるだけの器を持ち合わせている…
そんな貴女を ここまで追い詰めてしまう結果になってしまって、本当に ごめんなさいね…」

_これで、白薔薇様と蓉子様が 聖に伝えてくれるだろう…
これで…聖との甘い思い出とも お別れ…の筈だったのに…

「ただ…手紙だけで済ませるのは、あまり感心しないわ…こう言った事はね…」

封筒に戻された手紙を、栞の目の前にかざし

「貴女の口で伝えなさい」

破いた__

その行為に驚き、思わず口を挟んだのは
栞ではなく蓉子だった。
「お言葉ですが、栞さんが聖に会えなかったのは_」
「決心が揺らぐ…から顔すら合わせられない…とでも?」

蓉子を手で制しつつ、再び栞に向き直り 話を続ける。

「栞さん、聖と距離を置くと言う意味では、貴女の出した結論は 間違いだとは言えない…
けれど、本当にそれで良いのかしら?」

「このままリリアンを去っても、お互いに残されるのは 喪失感と後悔だけ…
しかも、聖にとっては…別れの言葉も引き留めたい気持ちも伝えられない分 傷は深いものになるわ」

_白薔薇様の言葉に、返す言葉も見つからない…
だが、誘導染みた部分を疑いたくなる…

「やはり、白薔薇様も…他の方と同じ様に
聖と距離を置け…あるいは妹になれと仰りたいのですか…?」

白薔薇様は、一瞬首を傾げたが、すぐに苦笑しつつ否定した。
「ふふ…ごめんなさいね? 私は聖の扱いには慣れていても、
他の薔薇様方とは違って根回し染みた事は苦手なの」
「それに…姉妹になるかどうかは、貴女の気持ち次第であって、誰かに言われてなるものではないでしょう?」

_白薔薇様の言葉の端々から、私たちの事を真剣に考えてくれている事が伝わってくる。
この方であれば…もしかしたら現状を変える道を示してくださるかも知れない_

「私の望みは…どの様な形でも構わないから、
まずは 聖の手の届く場所に居てあげて欲しいの
そして、2人で互いの距離感や周囲を見渡す事を学んでほしい…それだけよ」

「2人で…ですか…」

「そう、貴女たち2人で 一番良いと思えるカタチを探すの」

_そうか…私たちは 互いの事ばかりで、周囲を見渡す余裕を失っていた。
それ以上に、聖が どれほど傷つくかを考えず、
私は聖から『逃げよう』としていただけだった…

その事に気付かせてくれた白薔薇様への申し訳なさと
自分自身の不甲斐なさで、胸が締め付けられる_

「ほら、そんな顔をしないで? 別に貴女を責め立てる為に引き留めた訳ではないのだから」
「それよりも…そろそろ時間だから、行きましょうか」

「え? 時間って…」

「もう終電も過ぎた頃合い…聖の頭も冷えているでしょうし」

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大きい画用紙抱きしめた胸の高鳴りを久々に  No.3890  [メール]  [HomePage]
   作者:  投稿日:2019-05-26 16:06:04  (萌:0  笑:0  感:2
【No:3889】の続き
白き花束〜聖夜の奇跡〜

「さて…私達も行きましょうか、車を持ってくるから、少し此処で待っていてちょうだい」

蓉子は今、校門の前で 白薔薇様を待っている
あまりにも周到で、まるで こうなる事を予見していたかの様な流れに
疑問が次から次へと浮かび上がり、何から質問して良いのか混乱していた。

「なに難しい顔をしているのかしら? 早く乗りなさい」
気付けば、白薔薇様の乗るクラシカルな車が目の前に停まっていた。
往年の名車 シトロエン 2CV… 確かに今時の車からすれば広い訳ではないが、4人は乗れる筈…

蓉子が助手席に乗り込むと、すぐにでも白薔薇様に質問しようとしたが、
「なぜ、江利子に嘘をついたのか…って顔ね」
その一言で遮られた。
曰く「江利子が乗れても、残り2人を乗せられない」
だそうだ。

更に蓉子の頭が混乱するが
「聞きたい事がたくさんある様だけれど、まずは蓉子にお説教よ」

「は…い…」……蓉子の表情が曇る

「まぁ…そんな顔をしなくても、聖の事で責めるつもりは無いわよ」
苦笑いしながら、白薔薇様は言葉を続ける。
「今回の件に限っては、私の読み違いと詰めの甘さが招いた事でもあるけど…
蓉子…貴女は少し、結果を急ぐ傾向があるわね。
時には 相手に考えさせる時間を与える事も必要よ?」

聖への過保護が目立っていたから、まさか見られているとは思わなかった…
「はい……心に刻んでおきます……」
「ふふっ…まぁ いいわ、いずれにせよ あの小笠原祥子を妹に選んだのだから、
その位の覚悟を持っておく方が丁度良いから」

_それにしても…だ。
紅薔薇姉妹の事を気に掛けてなお、白薔薇様の表情は穏やか過ぎる。
聖の事で急いでいる筈なのに、何故 穏やかで居られるのだろうか…

「とりあえず、説教の為に蓉子を連れ出した訳ではないから、貴女の疑問に答えておくわね
もうすぐM駅に着くから 端的にしか話せないけれど_」

_シスター上村…学園長から二人の事を託されていたのよ_

白薔薇様は そう仰った…
確か 栞さんは、幼くして両親を失い
今は学生寮に住んでいる。
学園長は 言わば親代わりだろう。

その学園長が [二人]を託されるとは、
余程の信頼関係が無ければ無理な話…
今回の 周到な行動も頷けると 蓉子は一人で納得した。

「流石は 紅薔薇様が一目置くだけはあるわね、
貴女の頭の回転の速さには感服するわ」
白薔薇様が 呆れとも称賛とも取れない、微妙な笑みを浮かべた所で
M駅の駐車場に到着した。

「さてさて…あの姉不幸者は どこに…」
口にしかけた時、蓉子は何かを見つけ 駆け出そうとしていた
その視線の先には…重い足取りでうつ向いて歩く
リリアンの制服を着た 見覚えのある黒髪…

咄嗟に蓉子の腕を掴み、宥める
「ストップ! まったく…そんな形相で彼女に詰め寄ったら敵意を向けられるか、逃げ出すのがオチよ?…少し落ち着きなさい」

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流れのままに、いつか二人の愛は永遠に  No.3889  [メール]  [HomePage]
   作者:  投稿日:2019-05-26 15:48:26  (萌:0  笑:0  感:2
白き花束 〜聖夜の奇跡〜

クリスマスイブの放課後
薔薇の館では、2学期の慰労を兼ねた
クリスマスパーティーの準備が始まっていた。

例年であれば、楽しげな会話に包まれていた筈の薔薇の館…
今年は、重苦しい緊張感が漂っていた…

すべての原因は、白薔薇の蕾・聖の不在によるもの…

全ての準備が整い、後は開始を待つだけとなっても、まだ聖が現れる様子もなく
ただ重苦しい空気と柱時計の秒針の音だけが
空間を支配する…

__開始時間から 1時間経過__
楽しい時間は あっという間に過ぎるのに
待つだけの時間とは、何故こうも長いのだろうか…

「ふぅ…そろそろ…かな」
そう声を発したのは白薔薇様
聖が来る様子の欠片も無い状況下、自らの妹を差し置いて、どうして楽しめようか。
蓉子と江利子が非難めいた視線を送るが、
白薔薇様は、そんな2人を手で制し 言葉を続ける。

「お集まりの皆様、私の愚妹が 迷惑をお掛けして 申し訳ありません
折角パーティーの準備をしたのに、この状況では素直に楽しむ事など出来ないでしょう…」

集まった全員の視線が白薔薇様に向けられる
まさか、今日のパーティーを中止する訳では無いと思うが…

「そこで提案なのですが、お詫びを兼ねて
私の家に会場を移したいと思うのですが、
如何でしょうか?」

もう既に、守衛さんから注意を受けても おかしくは無い時間帯…
この重苦しい空気を何とかしたかった事も相まって
誰一人として反対する者は居なかった。

「で…この荷物や移動手段は、どうするのかしら?」

「それは、学園長のシスター上村にお願いして、車を出して頂く様に手配してますので、
皆さんは各自 家族に連絡しておいて下さい
…それと…」
紅薔薇様に目配せして 「蓉子を借して頂けるかしら?」

唐突に名前を出されて、蓉子は怪訝な顔をしていたが、
紅薔薇様は慣れているのか「何か考えがあるのでしょうから」と、アッサリしたものだった。

そこからは、行動が早かった。
紅と黄の薔薇様が指示を出し、飾り付けはそのままに、
ケーキやクッキーなどを梱包し 薔薇の館の前で待機していたシスター上村の車に次々と載せて行き、
全員が乗り込めば すぐに出発出来る状態になった。

その間、江利子だけが ずっと複雑な表情をしていたのだが、
長い間 聖を扱いつつ、三人の妹たちを見守ってきた白薔薇様が気付かない訳もなく、
そっと江利子に耳打ちした。
「ごめんなさいね…私の車が4人乗りだったら良かったのだけれど…
その代り いつでも聖を迎えられる様に、会場のレイアウトは任せたわよ」

そんな白薔薇様の気遣いに、
江利子は 心の内を覗かれた様な 感謝したい様な
先ほど迄とは また違う、気恥ずかしさから来る
複雑な表情を浮かべるのだった。
___________________________
SSビギナーですが、初の自力作品に挑んでみました♪
文章力に自信が無く、勢い任せに書きましたので
時系列などに不備があるかも知れませんが、その辺りは許して下さい(^^;

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すぐ来て石焼き芋を頬張る一日の  No.3888  [メール]  [HomePage]
   作者:千早  投稿日:2019-04-18 21:26:45  (萌:3  笑:0  感:0
これは、桜Trickの百合小説です。
登場人物は、高山 春香(たかやま はるか)と園田 優(そのだ ゆう)です。
この話は、高山 春香の視点で書かれています。
(場違いでしたらすぐに消しますから言って下さいね)
〜桜色のお泊まり会〜

私と憂ちゃんの二人でキスをする秘密ができて1年がたって高校二年生になった。
この1年で学校が廃校になる事やコトネちゃんとしずくちゃんの二人の秘密を知ったり美月さんから告白をされたりと色んな事が起きた。
それでも優ちゃんとの秘密が増えていくのが嬉しかった。
でも今日は一つ不安な事があったりする。

「は〜〜……どうしようかな……」

私は、優ちゃんと一緒に帰っている途中に悩み事で小さくため息を吐いた。

「今日は、これでため息を吐くのが10回目だよ。
いったいどうしたのさ」

優ちゃんは、私が何回もため息を吐いたのを心配そうに私を見つめて何か悩み事があるのか質問をした。

「うんとね……実は、今日、親が旅行に行っていて家では、私1人なの。
やっぱり家で一人っきりなのが不安なの。
誰か家に泊まりに来てくれれば安心なんだけれどね」

私は、優ちゃんが泊まりに来てくれないだろうかと頼むように目をうるわせて上目遣いで優ちゃんを見つめた。

「なにさ、はっきりと言えば良いじゃない。
私に春香の家に泊まりに来て下さいってさ」

優ちゃんは、私のはっきりとしない態度を見て自分の腰に両手を当てて一日1人でいるのが寂しいのらば私に泊まりに来るように頼めってズバッと話した。

「えっ、優ちゃんが私の家に泊まりに来てくれるの!?」

憂ちゃんが私が1人で家にいるのが寂しいのらば優ちゃんに泊まりに来るように頼めって言った言葉を聞いて目を輝かせて優ちゃんに詰め寄って私の家に泊まりに来てくれるのか質問をした。

「うん、良いよ、春香の家に泊まりに来てあげる。
でも報酬は、高いぞよ」

優ちゃんは、腕を組んで偉そうに私の家に泊まる報酬が高い事を伝えた。

「はは〜〜いつもの物を用意しておりまする〜〜」

私は、頭を下げてへりくだりながらいつもの物を用意している事を伝えた。

「うむ、楽しみにしておるぞよ」

優ちゃんは、両腕を殿様みたいに組んで報酬を楽しみにしている事を伝えた。

「それならば1度家に帰って泊まる準備をしてから春香の家に行くね」

優ちゃんは、私の少しだけ前を歩くと両手を後ろで組んで私の方を振り向いて泊まる準備を準備をしてくる事を伝えた。

「解った、それならば私もそれ相応の準備をしておくね」

私は、優ちゃんの後を追い掛けるように歩くと優ちゃんが泊まる準備をしている事を伝えた。

「了解、それならばまた後でね、春香!」

優ちゃんは、右手を軽く振り別れの挨拶をした。

「うん、また後でね、優ちゃん!」

私も右手を軽く振り優ちゃんの別れの挨拶に答えた。
優ちゃんは、私の別れの挨拶を見ると嬉しそうにニッコリと笑い自分の家に向かって走り始めた。
私は、優ちゃんが去って行くのを右手を軽く振りながら見送るとスーパーに晩御飯て食べる食材と優ちゃんに渡す抹茶シュークリームを買いに向かった。
買い物をすませると自分の家に向かって食材を冷蔵庫に入れた。
それからしばらくしてから玄関のベルが鳴るの音が聞こえてきた。
玄関の扉を開けると優ちゃんが立っていた。

「いらっしゃい、どうぞ上がって、優ちゃん」

私は、玄関の扉を開けたまま優ちゃんを家に招き入れようとした。

「うん、お邪魔します、春香」

優ちゃんは、大きく頷いてお邪魔しますって私に伝えてから家の中に入った。
優ちゃんが家の中に入ったのを確認してから私も家の中に入った。

「先に私の部屋に行っていてね。
飲み物を取って来るからね。
飲み物は、コーヒーとオレンジジュースとどちらが良いの?」

私は、優ちゃんが玄関で靴を脱いで家の中に上がったのを見計らって優ちゃんの飲みたい飲み物を質問をした。

「もちろんオレンジジュースだよ!
コーヒーは、苦くて飲めないもん……」

優ちゃんは、オレンジジュースが飲みたいと即答するとコーヒーを思い浮かべて苦そうに顔をしかめた。

「解ったよ、オレンジジュースだね。
すぐにオレンジジュースを入れてくるね」

優ちゃんがコーヒーは、苦くて飲めないと言う言葉を聞いて味覚が子供の優ちゃんも可愛らしいと思いクスリと笑った。
私は、優ちゃんにオレンジジュースを入れてくるって伝えてから台所に向かった。
台所でオレンジジュースを二個のコップに入れて冷蔵庫から抹茶シュークリームを出してオレンジジュースと抹茶シュークリームをおぼんに乗せて私の部屋に戻った。

「お待たせ、優ちゃん」

オレンジジュースの入ったコップと抹茶シュークリームを優ちゃんの前に置いた。

「わ〜〜い、抹茶シュークリームだ!」

優ちゃんは、目を輝かせて抹茶シュークリームを手に取ろうとした。

「待って、優ちゃん。
数学のテストで赤点を取ったよね。
だから先に数学の勉強が先だよ」

私は、優ちゃんが取ろうとした抹茶シュークリームを先に持つと数学の勉強が先だと伝えた。

「え〜〜勉強なんか嫌だよ……」

優ちゃんは、勉強が嫌そうに不満を呟いた。

「勉強をしたら私の抹茶シュークリームもあげるから頑張ろうね、優ちゃん」

私は、自分の抹茶シュークリームを優ちゃんに見せて私の抹茶シュークリームもあげるから勉強を頑張る事を提案をした。

「それならば勉強を頑張る!」

優ちゃんは、勉強をしたら私の抹茶シュークリームも食べても良いと言う言葉を聞いて目を輝かせて勉強を頑張ると即答した。

「うん、それでこそ優ちゃんだよ」

私は、優ちゃんの勉強を頑張ると言う言葉を聞いて満足そうに頷いてそれでこそ優ちゃんだと優ちゃんを褒めた。
私は、数学の教科書とノートをテーブルの上に広げた。

「最初は、基礎問題からだよ。
初めにこれを解いて見てよ」

私は、この前にテストででた簡単な問題をノートに書いて優ちゃんに答えを質問をした。

「えっ……と……うんと……」

優ちゃんは、問題の答えが解らずに頭を抱えて悩んだ。

「優ちゃん、この場合は、最初にかけ算をするんだよ」

私は、しばらく悩んでいる優ちゃんを見つめてから優ちゃんに最初は、かけ算をするとヒントを伝えた。

「えっと……これで良いのかな……?」

優ちゃんは、悩みながら不安そうに答えをノートに買いた。

「うん、さすがは、優ちゃんだよ。
答えが合っているよ」

私は、優ちゃんの書いた答えを見て満足そうに頷いてこれが合っている事を伝えた。

「それならば次は、この問題だよ、優ちゃん」

私は、さっきの出した問題と同じ解き方で答えが出るけれども数字と計算の方程式が少しだけ違った計算問題をノートに書いた。

「えっと……う〜んと……」

優ちゃんは、計算問題を問題を一生懸命に解こうとした。

「優ちゃん、さっきの問題の解き方を思い出してね」

私は、優ちゃんが十分くらい悩んだのを見守ってからさっきの問題を思い出してほしい事をお願いした。

「さっきの問題……?
そうか、それならば答えは、これだ!
どうかな答えが合っているかな、春香……?」

優ちゃんは、さっきの問題の解き方を思い出してすらすらと問題の答えを書いた。
優ちゃんは、不安そうに私を見つめて答えが合っているのか質問をした。

「凄いよ、優ちゃん、正解だよ!
次の問題は、これだよ。
難しいけれども優ちゃんに解けるかな?
この問題が解けたら追試は、大丈夫だよ」

私は、優ちゃんの書いた答えを見て満足そうに頷いて答えが合っている事を伝えた。
すぐに難しい計算問題をノートに書いて解けるのか質問をした。

「これは……えっと……うんと……」

優ちゃんは、答えが解らずに自分の頭を触り考え込んだ。

「優ちゃん、この場合は、()の中を先に解くんだよ。
後は、さっき使った問題の解き方と同じだよ」

私は、優ちゃんが10分くらい考え込んだのを見てから優ちゃんに計算問題のヒントを伝えた。

「えっ……えっと……これで良いのかな……?」

優ちゃんは、自信なさげに計算問題の答えをノートに書いて私に不安そうに私を見つめながら答えが合っているのか質問をした。

「どれどれ……うん、凄いよ、答えが正解だよ。
良くできたね、優ちゃん」

私は、優ちゃんがノートに書いた答えを見て合っているのか確認をした。
優ちゃんの書いた答えが合っていると解ると優ちゃんの頭を撫でて答えが合っている事を褒めた。

「えへへ〜〜答えが合っていて良かった」

優ちゃんは、私に頭を撫でられて答えが合っている事を褒められると嬉しそうにニコニコ笑顔になり安心したように微笑んだ。

「はい、優ちゃん、これは、勉強を頑張ったご褒美だよ」

私は、優ちゃんの前に抹茶シュークリームを二つ置いた。

「わ〜〜ありがとう、春香!
いただきま〜〜す!」

優ちゃんは、抹茶シュークリームを見て目を輝かせて私に抹茶シュークリームのお礼を伝えた。
優ちゃんは、すぐに両手を合わせていただきますをした。

「ん〜〜抹茶シュークリームが美味しいよ〜〜」

優ちゃんは、抹茶シュークリームを食べて抹茶シュークリームが美味しくて幸せそうに微笑んだ。

「それならば良かった。
あっ、優ちゃん、ほっぺたに抹茶シュークリームのクリームが付いているよ」

優ちゃんが抹茶シュークリームを美味しそうに食べたのを見て安心したように微笑んだ。
私は、優ちゃんのほっぺたにクリームが付いているのに気がついてクスクスと笑い優ちゃんにほっぺたにクリームが付いていることを知られた。

「えっ、何処にクリームが付いているの!?」

優ちゃんは、私がほっぺたにクリームが付いていることを言われると慌てて顔の全体を両手で拭いてクリームを取ろうとした。

「そこじゃないよ。
私がクリームを取ってあげるね」

私は、優ちゃんのほっぺたに付いているクリームを舐めてクリームを拭いた。

「わっ、何をするのさ、春香!!」

優ちゃんは、私がほっぺたについているクリームを舐められて拭かれると顔を真っ赤にして驚いて声を出した。

「ごめんね、優ちゃん。
つい優ちゃんのほっぺたについているクリームが美味しそうだったから舐めちゃったよ」

私は、悪戯っぽく微笑みながら優ちゃんに謝るとついクリームが美味しそうだったからを舐めたことを伝えた。

「まったくついじゃないよ、春香。
春香は、たまに常識外れなことをするよね」

優ちゃんは、軽くため息を吐いて冷めた眼差しで私をじと〜と見つめて私が常識外れなことをする事を述べた。

「常識外れって酷いよ〜〜
優ちゃんにだけは、言われたくないかもだよ〜〜」

私は、優ちゃんに常識外れと言われるとほっぺたを膨らませて優ちゃんに不満を伝えた。

「ん〜〜美味しかった、ご馳走様、春香」

優ちゃんは、私の不満の声を無視して抹茶シュークリームを食べきると満足そうにお腹を擦りながら抹茶シュークリームのお礼を伝えた。

「うん、優ちゃんが満足ならば良かったよ。
そろそろお風呂のお湯がたまる頃だしお風呂に入ろうよ。
もちろん私と優ちゃんの二人でね」

私は、右手の人差し指で自分のほっぺたを触りながら優ちゃんとお風呂に入りたい事を伝えた。

「良いよ、春香、一緒にお風呂に入ろう。
でも変な事をしないでよね」

優ちゃんは、自分の体を両手で隠してじと〜と私を見つめた。

「もう優ちゃんたらそんな事をしないよ」

私は、自分の両手を前で握り締めて顔を赤らめて変な事をしない事を伝えた。
私と優ちゃんは、お風呂場の脱衣所で洋服を脱いでお風呂場に入った。
私と優ちゃんは、桶にお風呂のお湯をくんで体にお湯をかけた。

「ねえ、優ちゃん、体の洗いっこをしようよ」

私は、タオルに石鹸をつけて泡立てながら優ちゃんと体の洗いっこをしたことを提案をした。

「そうだね……良いよ、せっかくだから体の洗いっこをしようよ、春香」

優ちゃんもタオルに石鹸をつけて泡立てながら述べた。

「それじゃあ、私が先に体を洗うね。
どうかな、優ちゃん。
気持ちが良い?」

私は、優ちゃんの後ろに回って優ちゃんの体を洗いながら気持ちいいか質問をした。

「んっ……あ…………うん、春香、気持ちが良いよ……んん……」

優ちゃんは、私に体を洗われると気持ち良さそうに声を出した。

「それならば良かった。
優ちゃん、痒いところとかない?」

私は、優ちゃんの出しだけ声が色っぽくて変な気持ちになるのを我慢をしながら優ちゃんの体をタオルで洗った。

「んっ……うん、大丈夫だよ、春香……んんっ……」

優ちゃんは、体をタオルで洗われると体が火照ったように赤くなり気持ち良さそうに色っぽく声が出した。

「ねえ、春香……」

優ちゃんの体をしばらく洗うと顔を赤らめて目をうるうるさせて物欲しそうに私を見つめた。

「優ちゃん……」

私は、優ちゃんの言いたい事を理解して優ちゃんの口にキスをした。

「んっ……ゆ……う……ちゃん…………んんっ……」

私は、優ちゃんを求めるように激しくキスをした。

「んんっ…………はる……か……う……ん…………」

優ちゃんも私の気持ちに答えるように激しくキスをした。

「う……ん…………ゆ……う……ちゃん…………んんっ……」

私は、優ちゃんを求めるようにさらに激しくキスをした。

「んっ……は……りゅ……か……んんっ…………」

優ちゃんは、私に激しくキスをされると苦しそうに涙目になり私の体を触った。

「んんっ……ゆう……ちゃん…………う……んんっ……んんんっ…………」

優ちゃんに涙目で私の体を触られるとその優ちゃんの様子が色っぽくて自分の気持ちをぶつけるようにさらに激しく優ちゃんとキスをした。

「やっ……んんっ……まって……んっ……はる……か……んんっ…………もう……んん〜〜っ!?」

優ちゃんは、私にさらに激しくキスをされるとあまりにも激しくキスをされたために気持ちが高ぶって限界を超えて目を回して倒れ込もうとした。

「わっ、優ちゃん、大丈夫!?」

私は、倒れようとする優ちゃんの体を抱き押さえて支えると心配そうに優ちゃんを見つめた。

「は〜〜は〜〜……もう春香、激しくキスをしすぎだよ……」

優ちゃんは、疲れたように息をぜ〜〜ぜ〜〜吐きながら恨めしそうに私を見つめて私に不満の伝えた。

「本当にごめんね、優ちゃん。
つい優ちゃんが可愛らしかったから……」

私は、両手を合わせて優ちゃんに謝った。

「本当に春香は、エロ魔神なんだから……」

優ちゃんは、呼吸を整えると腰に両手を当ててじと〜と私を攻めるように見つめた。

「うっ……確かに激しくしすぎたのは、謝るけれどまエロ魔神は、酷いよ……
それにキスを求めてきたのは、優ちゃんじゃない……」

私は、優ちゃんにエロ魔神と言われて両手をくねくねと弄くり回していじけて言い訳を言いながら優ちゃんを上目遣いで見つめた。

「それはそれ、これはこれだよ、春香!」

優ちゃんは、腰に両手を当てて私を攻めるように見つめてそれはそれ、これは、これだと伝えて

「うっ……ごめんなさい、優ちゃん……」

優ちゃんに攻められるが絶えきれなくて素直に優ちゃんに謝った。

「うん、解ればよろしい!
このまま外にいていた風邪をひくからお風呂に入ろうよ」

優ちゃんは、私が謝ったのを見て満足そうに頷いてからお風呂に入る事を提案すると先に優ちゃんがお風呂に入った。

「うん、そうだね、このまま外にいたら風邪をひくからお風呂に入って体を暖めよう」

私は、優ちゃんがお風呂に入ったのを見て優ちゃんの前に入るようにお風呂に入った。
優ちゃんは、後ろから私の抱き締めると優ちゃんの手が私の胸を触った。

「ひゃん!?」

私は、優ちゃんに胸を触られると少しだけ悲鳴をあげた。

「あれ、春香、胸が大きくなってない?」

優ちゃんは、私の胸を触った感触に違和感を感じて胸を軽く揉んだ。

「ん……ちょっと、優ちゃん……んんっ……辞めてよ……んんっ……」

私は、優ちゃんに胸を揉まれて体を身悶えしながら涙目で優ちゃんを見つめた。

「ん〜〜やっぱりCカップかなでもDカップになった気もするし……」

優ちゃんは、私の辞めてってお願いをするのも無視して胸を揉んだ。

「んんっ……もう……いい加減にしてよ、優ちゃん!」

私は、我慢の限界が来て優ちゃんを力一杯に押した。

「ぎゃふん!?」

優ちゃんは、私に力強く押された為に勢いよくお風呂の壁に頭が当たり悲鳴をあげて気を失った。

「わっ、優ちゃん、ごめんね、大丈夫?!」

私は、優ちゃんが壁に頭が当たり悲鳴をあげて気を失ったのを見て慌てて優ちゃんを体を譲って意識を確かめた。

「どうしよう、優ちゃん、気を失っているのよ……
でもこのままにしているわけにいかないよね……」

私は、優ちゃんをこのままにしておけないと思い優ちゃんを抱えてお風呂場から脱衣所に移動した。
そしてバスタオルで優ちゃんの濡れた体を拭くと下着とパジャマに着替えさせた。
それから優ちゃんを私のベッドに運んでベッドに優ちゃんを寝かせた。
私は、優ちゃんが寝ている間に晩御飯を作る事にして台所に向かった。
晩御飯が作り終わるくらいに優ちゃんが台所に入ってきた優ちゃんに気が付いて優ちゃんの方を向いた。

「良かった、優ちゃん、気が付いたんだね。
もう大丈夫なの?」

私は、優ちゃんに近づきながら体は大丈夫なのか質問をした。

「うん、もう大丈夫だよ、心配をかけてごめんね、春香」

優ちゃんは、自業自得だと思ってなのか申し訳なさそうに自分のほっぺたを触り私に謝ってくれた。

「もう怒っていないよ、優ちゃん。
晩御飯ができたからリビングのテーブルに料理を運んでくれない?」

私は、軽く首を横に振って怒っていない事を伝えた。
それから料理を持つと優ちゃんにも料理をテーブルに運ぶのを手伝ってほしい事をお願いをした。

「うん、解ったよ、春香!
わ〜〜晩御飯は、ハンバーグなんだね!」

優ちゃんは、料理を見て晩御飯がハンバーグだと解ると目をきらきらと輝かせた。
私と優ちゃんは、料理をテーブルに運ぶと席に座った。

「いただきます、春香!」

優ちゃんは、両手を合わせていただきますをした。

「どうぞ、召し上がれ、優ちゃん」

私は、料理の方に両手を向けて食べてほしい事をお願いをした。

「ん〜〜ハンバーグが美味しい〜〜」

優ちゃんは、ハンバーグを食べて幸せそうに微笑んだ。

「それならば良かった。
ねえ、優ちゃん、あ〜〜ん……」

私は、優ちゃんが料理を美味しそうに食べるのが嬉しくてニコニコ笑顔になった。
私は、ハンバーグをお箸で切り取って優ちゃんにハンバーグを向けた。

「あ〜〜ん……ん〜〜美味しい〜〜」

優ちゃんは、私が向けたハンバーグを食べると本当に幸せそうに微笑んだ。

「優ちゃん、もう一口、あ〜〜ん……」

私は、もう一度、お箸でハンバーグを掴むと優ちゃんにハンバーグを向けた。

「あ〜〜ん……」

優ちゃんは、私の向けたハンバーグをもう1度食べようとした。
でも優ちゃんが食べようとするのを避けて自分の口の中にハンバーグを入れた。

「ちょっと、春香、それは、酷いよ!」

優ちゃんは、私の口にハンバーグを入れた事が意地悪をしたと思い不満を伝えた。
私は、優ちゃんの言葉を無視してハンバーグをよく噛むと口移しで優ちゃんにハンバーグを食べさせた。

「んっ……んんっ…………!?」

優ちゃんは、何をされたか理解ができずぽ〜〜としながらされるままになった。

「んっ……どうかな、美味しかったな、優ちゃん?」

私は、優ちゃんにハンバーグを口移しで食べさせると口を離して悪戯っぽく微笑んだ。

「ふあい、おいふいかったれふ……」

優ちゃんは、椅子の背もたれに倒れ込み夢心地のようにふらふらとしてはい、美味しかったですって言おうとした。
でもあまりにも口移しが激しすぎた為にはっきりと話せなかった。

「うん、それならば良かったよ、優ちゃん」

私は、優ちゃんの言葉を聞いて満足そうに頷いた。
私は、優ちゃんの事を気にしないように料理を食べ始めた。
優ちゃんがしばらくすると正気を取り戻した。

「もう春香は、常識外れだよ!
他の人は、あんな事をしないよ!」

優ちゃんは、料理を食べながら不満を私に伝えた。

「ごめんね、優ちゃん、1回だけしてみたかったの」

私は、両手を合わせて優ちゃんに謝り悪戯っぽく微笑んで1度したかった事を伝えた。

「もう春香は、本当にしかたがないんだから……」

優ちゃんは、私の態度を見て深くため息を吐いてしかたがなさそうに苦笑いを浮かべた。

「はい、春香、あ〜〜ん……」

優ちゃんは、私が食べさせたのが羨ましかったのかハンバーグをお箸で掴むと私の方に向けてあ〜〜んをしようとした。

「あ〜〜ん……」

私は、優ちゃんが向けたハンバーグを食べた。

「うん、優ちゃんに食べさせてもらうと何倍も美味しく感じるよ」

私は、優ちゃんに食べさせてもらうのが嬉しくて幸せそうに微笑んだ。

「もう春香は、大袈裟だね……
うん、美味しかった、ご馳走様、春香!」

そうこうしているうちに私と優ちゃんは、料理を食べきった。
優ちゃんは、両手を合わせてご馳走様をした。

「いえいえ、お粗末様でした」

私も両手を合わせてご馳走様をした。
私と優ちゃんは、食べ終わった食器を台所の流しに運んで食器を洗った。

「えへへ〜〜食器を家で一緒に洗っていると優ちゃんと夫婦になったみたいだよね」

私は、優ちゃんと一緒に家で食器を洗うのがなんだか優ちゃんと家族になったみたいで嬉しくてなってニコニコ笑顔になった。

「もう何を言うのさ。
口よりも手を動かすの、春香!」

優ちゃんは、私の夫婦発言を聞いて恥ずかしそうに顔を赤らめた。
照れを隠すように食器を念入りに洗い無駄口を言わない事を指摘をした。

「くすっ、解ったよ、優ちゃん」

私は、優ちゃんの照れた態度で口よりも手を動かすって言葉を聞いてなんだか照れた優ちゃんが可愛らしくてクスリと笑い食器を洗うのを専念した。
私と優ちゃんは、食器の洗うのが終わるとタオルで手を拭いた。

「優ちゃん、まだ夜の八時半だけれどももう寝る?」

私は、優ちゃんにこの後の予定を質問をした。
でも内心優ちゃんがせっかく泊まりに着てくれたのだからもっと遊び相手たいって気持ちもあった。

「何言っているの、春香!
夜は、まだまだこれからだから寝ないよ!」

優ちゃんは、私の寝る宣言を聞いて私に詰め寄った。
そしてまるで私が悪いように攻めるかのように腰に両手を当ててまだ起きている事を話した。

「やっぱりそうだよね。
それならば映画、見ようよ。
実は、優ちゃんとみたい映画があったんだよ」

私は、優ちゃんが寝ないっていう言葉をまだまだ優ちゃんと遊べるのご嬉しくてニコニコ笑顔になった。
私は、前から優ちゃんとみたい映画を思い出して優ちゃんを映画を見るのを誘った。

「良いよ、映画を見ようよ、春香!
でもどんな映画なの?」

優ちゃんは、私の映画を診る誘いを目をきらきらさせながら了承した。
それから優ちゃんは、首を少しだけ傾げてどんな映画なのか質問をした。

「それは、見てからのお楽しみだよ」

私は、優ちゃんに映画の内容を教えたら優ちゃんが見ないと言う出すんじゃないかと思い映画の内容は、秘密にした。


「そうか、春香が秘密にしたいのならなば何か理由があるんだよね。
えへへ〜〜今から見るのご楽しみだな!」


優ちゃんは、今から見る映画が楽しみでニコニコ笑顔になった。
私と優ちゃんは、オレンジジュースを冷蔵庫から出すとオレンジジュースを持って私の部屋に向かった。
私は、映画の入ったBlu-ray DiscをBlu-ray レコーダーに入れると映画がスタートした。
映画の内容は、女性同士の恋愛の話でベッドでキスをしながら愛し合っているシーンが画面に映し出された。
私は、こう言うのが苦手な優ちゃんの事が心配になり優ちゃんの方を向いた。
優ちゃんは、顔を真っ赤にしながら両手で顔を隠してでも指の隙間からじっくりと女性同士の愛し合っているシーンを見つめていた。
私は、照れながらでも無理をして見ようとしている優ちゃんが可愛らしくて胸が締め付けられるようにキュンとした。
私と優ちゃんは、結局ラストまで映画を見てしまった。
優ちゃんは、映画の女性同士の恋愛の内容に私達を事を重ねたように夢心地のように顔を赤らめてぼ〜〜としていた。
私も優ちゃんとのこんな恋愛をしたいと思ってしばらく思いにふけってから優ちゃんの方を向いた。

「優ちゃん、映画は、凄く面白かったよね」

私は、映画の興奮が治まらないように顔を赤らめながら映画の感想を伝えた。

「うん、特に結婚式の所とか凄く良かったよね!」

優ちゃんは、興奮したように映画の感想を述べた。

「ねえ、優ちゃん、私達も結婚式をしてみない……?」

私は、ほんのり顔を赤らめ優ちゃんに甘えるように上目遣いで見つめた。

「えっ、結婚式って何をするのさ?」

優ちゃんは、私の言いたい事が解らないようでキョトンとしていた。

「愛を誓う約束をしたりその……キスをしたりかな……?」

私は、あらためて優ちゃんに結婚式での内容を教えるのが恥ずかしくてトマトのように顔を真っ赤にしながら最後まで伝えた。

「愛の言葉にキス……!?
何を言うのさ、春香!」

優ちゃんは、結婚式での内容を聞いて慌てて顔を真っ赤にして私と優ちゃんのする事に反論をした。

「あれ〜〜?
やっぱりお子様の優ちゃんにできないかな?」

私は、優ちゃんが慌てて顔を真っ赤にしたのが可愛らしく思いわざと優ちゃんを馬鹿にするように話して優ちゃんの反応を楽しんだ。

「むっ、誰が子供だよ!
良いよ、結婚式をしようじゃないの!」

優ちゃんは、私の挑発に怒って私に食い掛かるように結婚式をする事を宣言をした。

「えっ、結婚式をしてくれるの!?」

私は、優ちゃんがまさか結婚式をするのを了承すると思っていなくて顔を真っ赤にして声を出して驚いた。

「何さ、春香が先にやろうって言ったじゃない!」

優ちゃんは、私が顔を真っ赤にして慌てたのを見て私のしようとした事だと指摘をした。
私と優ちゃんは、結婚式の内容を考えて互いに顔を真っ赤にして俯いた。
しばらくすると私は、優ちゃんの頭にシーツをかぶせてマリアヴェール変わりにした。
私もシーツを頭からかぶりマリアヴェール変わりにした。

「私は、病める時も健やかな時も喜びの時も 悲しみの時も富める時も貧しい時も死が二人を別つ時まで優ちゃんを愛し続ける事を誓います」

私は、うっとりとしながら優ちゃんを見つめて誓いの言葉を伝えた。

「私は、病める時も健やかな時も喜びの時も 悲しみの時も富める時も貧しい時も死が二人を別つ時まで春香を愛し続ける事を誓います」

優ちゃんもうっとりとしながら私を見つめて誓いの言葉を述べた。
私と優ちゃんは、ゆっくりと自分の唇を相手の唇に近付けて口に誓いのキスをした。

「んんっ……う……んっ……んんんっ……」

私は、優ちゃんを求めるように優ちゃんをキスをした。

「う……んんっ……んんんっ……んっ……」

優ちゃんも私を求めるように私にキスをした。

「んんんっ……ゆう……んっ……ちゃん……んんんっ……」

私は、さらに優ちゃんを求めるように激しくキスをした。

「んっ……はる……んっ……か……う……んんっ……」

優ちゃんも私をさらに求めるように激しくキスをした。
私と優ちゃんは、しばらく互いに求めるようにキスをするとどちらともなく唇を離した。

「なんだかいつも優ちゃんとキスをするのと違う感じがするね……」

私は、恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべて優ちゃんを見つめた。

「春香も同じ事を思っていたんだね……」

優ちゃんも私につられるように恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべて私を見つめた。

「あのね……優ちゃんに渡そうと思っていた物があるんだ」

私は、ある物を思い出して机から小さな箱を出した。

「実は、私も春香に渡したい物があるんだ」

優ちゃんも自分の鞄から小さな箱を出した。
私と優ちゃんは、自分の小さな箱を互いに交換をした。
私は、小さな箱を開けると桔梗の花の模様がついた指輪が入っていた。
私は、桔梗の花の模様がついた指輪を見てびっくりした。

「えっ、優ちゃん、この指輪って!?」

優ちゃんも小さな箱を開けると中に入っていた品物を見てびっくりした。
品物は、優ちゃんに貰った桔梗の花の模様がついた指輪と同じ物だった。

「わっ、春香も同じ物を買っていただなんてびっくりだよ。
私達って似た者同士なんだね」

優ちゃんは、箱の中の桔梗の模様がついている指輪を持って嬉しそうに微笑んだ。

「ねえ、優ちゃんは、この指輪の意味って知っている?」

私は、優ちゃんが桔梗の意味を知ってこの指輪を選んでくれたのか気になりほんのり顔を赤らめて桔梗の意味を質問をした。

「うんん、知らないよ。
ただ桔梗の指輪が綺麗だったから選んだんだよ。
春香は、桔梗の意味を知っているの?」

優ちゃんは、軽く首を横に振り桔梗の意味を知らない事を伝えた。

「桔梗の花言葉は、永遠の愛って意味でプロポーズをする時に桔梗の指輪をプレゼントする場合があるんだってよ。
でも優ちゃんも無意識にこの指輪を選んでくれるだなんて嬉しいな」

私は、桔梗の指輪は、プロポーズする時にプレゼントをすると伝えるとなんだか優ちゃんにプロポーズをしたみたいで恥ずかしそうにほんのり顔を赤らめた。

「えっ、プロポーズ!?
で、でも春香ならばプロポーズされるんだったら良いかなって思うかななんてね……」

優ちゃんは、プロポーズって言葉を聞いて顔を真っ赤にして照れるのを誤魔化すように自分の腕を組んで横を向いた。

「それならば良かった。
ねえ、優ちゃんからもらった指輪を私の左手の薬指につけてほしいかなって思うんだけれども良いかな……?」

私は、優ちゃんに甘えるように上目遣いで見つめて指輪を嵌めてほしい事をお願いをした。

「良いよ、春香の左手の薬指に指輪を嵌めてあげるね」

優ちゃんは、私から指輪を受け取ると私の左手の薬指に指輪をはめてくれた。

「ありがとう、優ちゃん。
今度は、私が優ちゃんの指に指輪をはめてあげるね」

私は、優ちゃんが指にはめてくれた指輪をしばらくうっとりと見つめた。
私は、優ちゃんの方を向いて私が優ちゃんの左手の薬指に指輪をはめるのを提案した。

「うん、お願いね、春香」

優ちゃんは、私に指輪を渡してくれた。
私は、優ちゃんから受け取った指輪を左手の薬指にはめた。

「えへへ〜〜これで優ちゃんは、私の物だよね」

私は、嬉しそうにニヤニヤしながら私の指にはめた指輪を見つめた。

「もうそんなにニヤニヤして気持ち悪いよ、春香!
でもこれで春香も私の物だよね……」

優ちゃんは、私の態度を見てさめた眼差しでじと〜〜と見つめた。
優ちゃんは、それからすぐに自分の指にはめている指輪を嬉しそうにニコニコしながら見つめた。
私は、ふと置き時計を見ると時間が夜の十時だった。

「優ちゃん、十時だけれどももう寝る?」

私は、優ちゃんの方を向いてもう寝るのか質問をした。

「ふぁ〜〜……もうそんな時間なんだ。
それならば寝ようか、春香」

優ちゃんは、眠たそうに口元を押さえてあくびをすると寝る事に賛成をした。

「ねえ、たまには優ちゃんと一緒の布団で眠りたいかなって思うんだ。
その……駄目かな……?」

私は、優ちゃんに甘えるように上目遣いで優ちゃんを見つめて優ちゃんと一緒の布団で眠りたい事をお願いをした。

「もう春香は、一緒に眠りたいだなんてお子様なんだから……
たまには、良いよ。
一緒の布団で寝よう、春香!」

優ちゃんは、私の一緒の布団で眠りたいって言葉を聞いてしかたがなさそうに苦笑いを浮かべた。
でも内心は、私と一緒の布団で眠るのが嬉しいらしくてニコニコ笑顔で一緒に眠る事を伝えた。

「ありがとう、優ちゃん!
それならば早く寝よう」

私は、優ちゃんの一緒に寝ても良いって言葉を聞いて嬉しそうにニッコリと笑い一緒に寝てくれるお礼を伝えた。
私は、布団を広げて優ちゃんが布団に入って来るのを待った。

「うん、そうだね、早く寝よう、春香!」

優ちゃんは、私の寝ている布団の中に入った。

「えへへ〜〜優ちゃんと一緒の布団で眠れるだなんて嬉しいなぁ〜〜」

私は、優ちゃんと一緒の布団で眠るのが嬉しくてニコニコしながら優ちゃんを見つめた。

「何を嬉しそうに私を見ているのさ!
さっさと寝るよ、春香!」

優ちゃんは、私のニコニコ笑顔を見て恥ずかしそうに顔を赤らめてそれを誤魔化すように目を瞑った。
私は、顔を赤らめ恥ずかしそうに目を瞑った優ちゃんが可愛らしくて愛おしそうに優ちゃんを見つめた。
私は、しばらく優ちゃんを見つめていると優ちゃんに話し掛けた。

「ねえ、優ちゃん、まだ起きてる……?」

私は、優ちゃんが起きてるか確かめるように優ちゃんに小さな声で話し掛けた。

「す〜〜す〜〜……えへへ〜〜もう食べられないよぉ〜〜……」

優ちゃんは、寝ていてるらしくて私の返事に寝言で返した。

「優ちゃんは、もう寝てしまったんだね……
優ちゃんの寝顔は、可愛らしいなぁ〜〜……」

私は、優ちゃんの寝顔が可愛らしくて愛おしそうに優ちゃんを見つめた。

「ねぇ、優ちゃん、今日は、私の家に泊まりに来てくれてありがとうね……
これからも私の側にいて下さいね……」

私は、優ちゃんが家に泊まりに来てくれた感謝を込めて優ちゃんの口にキスをした。
この先の事は、何があるのか解らない。
それでこそ優ちゃんと一緒に居られる保証がない。
でも優ちゃんから貰った指輪のおかげで何があっても頑張れる自信がある。
だって優ちゃんから貰った指輪のおかげで気持ちは、優ちゃんと一緒だと理解しているからです。
私は、優ちゃんへの気持ちを確かめるように優ちゃんを抱き締めて目を瞑った。
心の中で優ちゃんとずっと側に居られる事を神様にお願いをしながら眠った。 

〜終わり〜






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あなたの1票が決める  No.3887  [メール]  [HomePage]
   作者:ヘススナバス  投稿日:2018-11-26 23:06:18  (萌:1  笑:9  感:1
【No:3886】の続き(多分)
マリみてと城下町のダンデライオンのクロス的な何か。



「ロサ・カニーナってご存知かしら?」

志摩子さんが挨拶もなしに薔薇の館へ来るなりそう言った。

ロサ・カニーナ…ロサカニ鍋。カニ鍋食べたい。

「祐巳さん絶対食べ物じゃないわよ。」

由乃さんは呆れながら私にそう言った。

「ねえ、ロサ・カニーナってだれ?」

令様が入ってくるなりそう言った。

「少なくとも祐巳の考えているような食べ物じゃないことが確定したわね。」

祥子さまも呆れながらそう言った。

私の頭の中でカニ鍋が人の形になってしまった。

「それでロサ・カニーナさんがどうかしたの?」

由乃さんがそう聞いた。お正月モードが抜け切っていないのか敬語じゃなくなっている。

「えーとたしか…そうだ!立候補するって。」

「へえ、受けて立とうじゃない。」

祥子さまはそう不敵な笑みを浮かべた。祥子さまなんだかんだで勝負事好きだよなぁ。

そう今リリアンは選挙が迫っているのである。それは次期薔薇様を決める大事な選挙なんだけど今年はちょっと大変なことになりそうだ。

基本的には蕾の人たちがそのまま薔薇になることが多いのだけれど…

「お姉様なら大丈夫ですよね!」

「勝負はやってみないとわからないわ。でも負けるつもりはないわよ。」

流石祥子さま!この自信満々な様子なら立ってるだけで票が入りそうだ。

しかしあたしはどうお手伝いすればよいのだろうか。この様子だと1人で何とかしちゃいそうで私は何の力にもなれない気がする。

「祥子さま、令さまより確率的に言えば私が落ちるでしょうね。」

志摩子さんがそう発言した。

「志摩子!」

祥子さまがたしなめるように呼んだ。

「その方が2年生ならむしろ自然なことではないでしょうか。」

「逃げるの?」

「いえ、私を妹に選んでくださったお姉様に申し訳ありませんもの。選挙には出ます。もちろん負けるつもりもありません。」

「ずいぶん消極的な強気ね。」

とりあえずここで議論しても仕方がないので情報を集めてまた集まることになった。


そして次の日私はロサ・カニーナについて調べるために図書館へ来ていた。

どういった薔薇なんだろう。

「むむ…」

検索したいが使い方がよくわからない。蔦子さんに付き合ってもらえばよかったなぁ。茜ちゃんは知らないだろうし。

「そんな難しい顔してどうしたの?福沢祐巳さん。」

「ロサ・カニーナという薔薇について調べたいんですけど使い方がわからなくて…。あ、使わないのに場所独占してすみません。」

後ろから話しかけられて場所を空けた。

「そうね。それにそろそろ遅刻になっちゃうから調べものなら昼休みか放課後にした方がいいわよ。」

「はい。そうします。」

「今日はお姫様やお嬢様と一緒じゃないのね。」

「はぁ。」

前者はきっと茜ちゃんのことで後者は祥子さまのことだろう。

「あら?祐巳こんなところで珍しいわね。」

別の方向からまた声をかけられた。

「あ、奏様。ごきげんよう。」

「はい。ごきげんよう。静もお疲れ様。」

「奏さんも朝から熱心ね。」

「奏様のお知り合いだったんですね。」

「ええ。ところでそろそろ出ましょうか。」

「はい!」

そう言って三人で図書館を出た。

「祐巳さん。ロサ・カニーナってどんな花だと思う?」

静さまが歩きながら尋ねてきた

「そうですね…黒薔薇でしょうか。」

「正解よ。」

静さまは微笑みながらそう言った。そうなのかぁ。そして私はごきげんようと言って教室に向かった。



「静どういうつもりなの?」

私は祐巳と別れた後静にそう聞いた。

「何が?」

「ロサ・カニーナについてよ。」

「祐巳さんが驚く顔が見たいじゃない。」

「はぁ…まったく。」

いい性格してるわ。ほんとに。




「というわけでロサ・カニーナについて調べてるんだよね。茜ちゃん何か知らない?」

「ふーん、私が知ってるわけないでしょ。」

「だよねぇ。」

「そう即座に納得されるとなんか複雑…。」

「ロサ・カニーナについてお調べで?」

茜ちゃんと話していると蔦子さんがやってきてそう言った。

「うん。蔦子さん何かご存じ?」

「名前は蟹名静。2年藤組、出席番号十番。合唱部所属」

「へ?」

「ロサ・カニーナの正体よ。」

「相変わらず凄いね蔦子さん…。」

茜ちゃんが驚きながら言った。

「今朝ひったくり犯を捕まえてた茜さんよりはすごくないわよ。」

「え、なんでそれを!」

「そりゃリリアン生の通学路ですもの。人の目はあるわよ。」

ちなみにこれがその写真ね。と言って蔦子さんが差し出してきた。
それは見事にひったくり犯にタックルをきめた茜ちゃんだった。

「写真まで…」

茜ちゃんはそう言って机に突っ伏した。

「それはそうと蟹名静さまについてはご存じ?」

「ううん。全然。茜ちゃん知ってる?」

茜ちゃんから返事がない。どうやらしっかり見られていたことが恥ずかしかったらしい。

「まあ祐巳さんは知らないわよね。後で由乃さんにでも聞いてみなさいな。」

「うん。そうする。」

蟹名静さまかぁ。どんな方なんだろ。



「それで蟹名静さまって知ってる?」

早速由乃さんに聞いてみた。

「超有名人じゃない!合唱部の歌姫って本当に祐巳さん知らないの?」

「いやー面目ない…。」

「まったく祐巳はどこか抜けてるわね。」

祥子さまがためいきをつきながらおっしゃった。

「冬休みの間にばっさり髪を切ったらしくイメージが変わっていらしたわね。」

志摩子さんが思い出すようにそう言った。

髪が短いのか…

「そういえば奏さんと一緒にいる所をよく見るわね。」

ん?奏さまの友人で静さまという名前、そして髪が短い。

「あー!!!!」

私は思い至ってつい立ち上がって叫んでしまった。

「祐巳!いきなり大声を上げるんじゃありません!」

「あ、はい。すみません。」

「それでどうしたの?」

祥子さまが聞いてきた。

「なんて申してよいのやら…多分その静さまにロサ・カニーナについて調べてると言ってしまいました。」

「それじゃあ宣戦布告みたいになってしまったわね。まあいいでしょう。」

祥子さまはそうおっしゃってくれたけどなんだか申し訳なくなった。

「そう言えば彼女白薔薇さまの妹候補って呼ばれていたよね。」

令さまが仕切りなおすようにそう言った。

私はつい志摩子さんを見た。パッと見特に何もないようだけど実際はどうなんだろうか。白薔薇はミステリアスでよくわからない。

静さまはどうして選挙に出たんだろうか。私には何もわからなかった。


その日の帰り忘れ物をしていたのを思い出したのでみんなには先に帰ってもらい一人校舎に戻った。

「あった、あった!」

忘れ物はしっかり回収できた。しかし祥子さまにもう少し落ち着きなさいとまた呆れられてしまった。なんとか挽回しなくちゃなぁ。と考えていると

「祐巳さん。今帰りなの?」

「あ!ロサ・カニーナ!」

「あら、もうばれちゃったのね。」

そう笑いながら言ったのは渦中の人である蟹名静さまであった。

「ひどいじゃないですか!言ってくれてもよかったのに。」

「わざわざあなたたちの敵のロサ・カニーナですっていうのも変じゃないかしら?」

確かにそれは変だな。

「カナちゃんも言ってくれたってよかったのに…」

「奏さんのことカナちゃんって呼んでるの?私も呼んでみようかしら。祐巳さんを見習ったって言って。」

「あ、やめてください!怒ると怖いんですから!」

この人結構なサドだ。そういうところは白薔薇さまに近いのかもしれない。

「もう遅いしせっかくだから一緒に帰りましょう。」

どうしようか考えたが特に断る理由もないのではいと返事をした。



「ふふ。」

突然静さまが笑った。

「どうしたんですか?」

「このシーンを新聞部にでも見られたら紅薔薇の蕾の妹裏切りか!?って記事が出そうだなと思ってね。」

「まさか!」

「ありえないことはないわよ。いっそ祐巳さん本当にこっちくる?」

「…からかってますよね?」

「正解。」

そういって静さんはまた笑った。

「じゃあ私はこっちだから。また図書館で逢いましょう。ロサ・カニーナの載ってる本も用意しておくから。」

「ありがとうございます。ごきげんよう。」

わたしにとっては敵だけどなんか憎めない方だなぁ。白薔薇さまの妹候補だったっていうのもわかる気がする。




その日帰ってテレビを見ていると臨時ニュースが流れた。

『速報です!新国王を決める選挙が来年の今頃に行われることがわかりました!』

『いやー発表されましたね。私は断然葵様派ですよ。』

『僕は茜様ですね。なんといっても今日もひったくりを撃退したあの正義感が素晴らしい。』

『私は栞様よ!あの愛くるしさたまらないわ!』

『スタジオ内でも白熱してますねー選挙までは毎週支持率を発表していきますので動向に要注目です。あなたの1票が王を決めます!』

「ええ!!!!!」

「いやー総一郎君は祐巳の生徒会選挙にかぶせてW選挙だって言ってたが本当にかぶせてくるとはな。」

「お父さん知ってたの?」

「祐巳もしかして知らなかったの?俺は修さんから聞いたけど?」

そう祐麒は言った。

「え?聞いてない!」

「あーそれじゃ祐巳と茜を驚かすために総一郎おじさん言わなかったんだな。どっちかに言うと必ずばれるから。」

そう言って祐麒は2階へあがって行った。

いやーなんか大変なことになったぞ。

「お母さんは葵ちゃんにしようかしら。」

「父さんは修にするぞ!」

両親は勝手に盛り上がってるが茜ちゃん大丈夫かな?選挙でる気全然なさそうだったけど。

突然ピンポーンと玄関のチャイムが鳴ったので私が出るとカナちゃんがいた。

「あ、祐巳。祐麒いる?」

「2階にいるけど。」

「ちょっとお邪魔するわね。」

そう言って2階に上がっていった。

後をついて行って聞き耳を立てると

『うわ!何急に入ってきてるんだよ!』

『つべこべ言わず私の選挙活動に協力しなさい。あのことばらすわよ!』

『そんな無茶苦茶な…祐巳に頼めばいいだろ』

『祐巳はどう考えても茜派でしょ。』

『祐巳の意志尊重するなら俺の意志も尊重してくれ!』

『そんなのは捨てなさい。』

『ひでえひでえよ。』

ドンマイ祐麒。カナちゃんには勝てないよ。

玄関に戻ると修くんもいた。

「奏は!?」

「祐麒のところ。」

「くそ!先を越されたか。なら祐巳でいいや。奏を王にしないように協力してくれ!妨害工作しまくるぞ。」

選挙の規模は違うけど祥子さまは対抗馬がいても堂々としていたのに修くんは…

「作戦は追って連絡する。じゃあな。」

そう言って帰って行った。選挙って怖いな。来年私の時に何もなければいいんだけど…

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勢い勝負  No.3886  [メール]  [HomePage]
   作者:ヘススナバス  投稿日:2018-10-26 20:23:28  (萌:3  笑:6  感:1
【No:3885】の続き
マリみてと城下町のダンデライオンのクロス的な何か。


「あの、お姉様…私と祐巳は本当に姉妹と言えるのでしょうか?」

「なに言ってるの祥子?」

放課後、薔薇の館にあるビスケット色の扉の前に立つとそんな会話が聞こえてきた。

入るに入れず扉の前で止まってしまった。

「噂をご存じないですか?葵様と祐巳が本当は姉妹なのではないかという。」

「何馬鹿なこと言っているのよ。葵さんも祐巳ちゃんもそんなことする人じゃないでしょう。」

「その噂がでたらめなのはわかっています!でも葵様と祐巳が一緒にいる所を見て…私自身が思ってしまったんです。ああいうのが本当の姉妹なんじゃないかって。」

「祥子…」

「気づいていたけれど見ないふりをしていたのです。祐巳が本当に頼りにしているのは葵様か聖様でしょう。それなら私は何者なのでしょうか?必要ないでしょう。形だけの姉なんて…」

違う!私が心から妹になりたいのは祥子様ただ一人です!形だけなんかじゃない!と叫びたいのに足がすくんで動かなかった。

「あれ祐巳ちゃん?中に入らないの?」

後ろから白薔薇さまの声が聞こえて間髪を入れずドアノブに手を伸ばして開けた。

「祐巳…!」

お姉様があたしに気づいた後、横をすり抜けてどこかへ行ってしまった。

「祥子!!聖、祐巳ちゃんのこと頼んだわよ。」

そう言って紅薔薇さまも出て行ってしまった。

「まったく事情は分からないけど、祐巳ちゃんとりあえず立って涙ふきな?」

そう言われて私は自分が泣いていることに気づいた。

「どうしよう、私のせいだ…わたしのせいで」

どうすればいいの?謝る?そんなんじゃ祥子様の心には響かない。

本当に私は自分では何もできない…いつも周りに助けてもらってばかりで。

これは自分でどうにかしなきゃ。

「祐巳ちゃん?」

「白薔薇さま、今回は自分でどうにかしなきゃダメなんです!そうじゃなきゃ祥子様の心に届かない!」

「そっか。じゃあ私は何もしないよ。」

そう言って白薔薇さまは自分のお茶を入れに行った。

まず何が原因か?私が白薔薇さまや葵様を頼りすぎたのが原因で間違いないだろう。

ではお姉様を頼る?いやそんなの聞いていたのがばれているのだから逆効果だろう。

ええい!もう考えても無駄だ!ここは自分の恥も外聞もなく人助けをする親友を見習うべきだ!

「うおおお!迷わず突っ込む!」

そう叫んで私は薔薇の館を出て行った。

「うーんあのアグレッシブさ。伊達に茜ちゃんの親友じゃないね。ただうおおお!と叫ぶのは女の子としてどうなのよ。」


いろいろ探しているがまだ見つからない。

そんな中見知った顔を見つけた。

「祐巳さん?そんなに走ってはだめよ?」

「志摩子さん!お姉様か紅薔薇さま見なかった!?」

「いいえ、見てないけど。」

「ありがと!じゃあ!」

「あらあら元気ね。」

志摩子さんにお礼を言って離れた。


ちょっとしてまた見知った顔に出会った。

「祐巳何してんの!?」

「茜ちゃん!かなちゃん!」

「ちょっと!祐巳!学校では様つけなさいよ!」

「そんなことよりお姉様か紅薔薇様見なかった!?」

「そんなことって…私たちは見てないわよ。」

「それじゃあ!」

私はそう言ってまた駆け出した。

「あんな祐巳久しぶりに見た気がするなー。」

「まるで能力使った時の茜みたいね。」

そうこう走り回っているうちに古い温室にたどり着いた。

中を見るとお姉様と紅薔薇さまがいらっしゃった。

わたしはダッシュでその扉を開けた。

「お姉様!」

「祐巳ちゃん!」

「祐巳…私にロザリオを返しに来たのね。」

「そんなわけないじゃないですか!お姉様これからわたしのいうことを黙って聞いてください!」

「え、ええ…」

いつもと違う私に若干戸惑っている気がするけど気にしない!

「すきだああああああ!あたしは小笠原祥子様が大好きだあああああ!」

「ゆ、祐巳ちゃん…!?」

「マリア祭でピアノ弾いている所を見た時から祥子様の虜になってしまったんです!わがままで高飛車なところも大好きです!祥子様のことは全部知りたいです!」

「祥子様以外私は姉になってもらいたい人はいません!祥子様を愛しているんだああああ!」

「やめなさい祐巳!」

頭をスパーンとたたかれた。

「もうわかりましたから恥ずかしいことはおやめなさい。」

「あ、はい。」

なんか急に冷静になって恥ずかしくなってきた。

「私が恥も外聞も捨ててこういうことが出来るのは祥子様にだけです。白薔薇さまでも葵様でもないです。」

「わかったからもう2度とこういうのはやめなさいね。ほらタイが曲がっているわよ。」

そう言ってお姉様はタイを直してくれた。

「でもこう言われるのはわるい気はしないわ。あなたのことで悩んでいたのにあなたに解決して貰えるなんてね。」

「お姉様…」

「二人とも私がいること忘れてない?」

二人で声のした方を見ると呆れたような紅薔薇さまがいらっしゃった。

「い、いえそんなことはありません!」

「そうですわ。お姉様のことを忘れるわけないじゃないですか。」

「そう?それならいいけど。解決したんなら薔薇の館へ戻りましょう。白薔薇さまも待ちくたびれてるだろうし。」

そうして3人で薔薇の館へ戻った。

そして次の日…

「なにこれ…?」

蔦子さんが持ってきたリリアンかわら版号外を見て私は顔を伏せた。

そこには、紅薔薇の蕾の妹、愛を叫ぶと見出しがあった。

中身を見ると私が言ったことがそのまま全文記載されていた。

そこに書いてあることを見て茜ちゃんは淑女とは思えない爆笑をしている。

「情熱の赤いバラね祐巳さん?」

「蔦子さん…」

「新聞部はそこらじゅうにいるんだから学園内では気をつけなさいな。」

「ていうかこの走っている写真撮ったの蔦子さんだよね?」

「写真部もどこにでもいるから気をつけなさいな。」

はぁ…と私はため息をついた。

とりあえずクリスマスと終業式に向けて頑張らなくちゃ。


黄薔薇さまや白薔薇さまにからかわれ、櫻田家の人に茜ちゃんが持ち帰ったかわら版のせいで爆笑され、祐麒に呆れられながらもなんとかクリスマスパーティーまでやってきた。

「これ美味しい!」

私はケーキを一口食べて思わず声を上げてしまった。

「令ちゃんなんか張り切って作ってたからね。」

由乃さんもケーキを食べながらそう言った。黄薔薇の妹特製ケーキおそるべし。

「ところで祐巳さん、踊るんだから食べすぎないようにね。」

「あ、そうだった。」

美味しくてつい食べ過ぎてしまいそうだったが由乃さんのおかげで何とかセーブできた。

「じゃあ1年生諸君、よろしくね。」

白薔薇さまがそう言ったので。私たちは小道具を準備し志摩子さんのキーボードでの演奏が始まった。

私たちは余興としてはまあまあな出来だったはずだったんだけど…

「これに比べるとインパクト弱いわね。」

黄薔薇さまはそう言った。これと指差したのは例のリリアンかわら版である。

「あ、そうだこれの再現してよ!」

あ、これはお姉様が…

「何言ってるんですか!黄薔薇さまやるわけないでしょ!」

「えー紅薔薇さまだけ見たのずるいじゃない。祥子はケチね。」

「ケチ!?そういう問題ではありませんわ!」

お姉様と黄薔薇さまの言い争いで無茶苦茶になってしまったクリスマスパーティーであった。

しかし紅薔薇さまも呆れながらも笑顔だし、クリスマスと聞いてちょっと暗い顔をなさってた白薔薇さまも楽しそうにヤジを飛ばしている。

志摩子さんはそんな白薔薇さまを見て微笑み、由乃さんが踊るのを見て涙ぐんでた令様に呆れてる由乃さんとみんなそれぞれ楽しそうであった。

こんな風にみんなが笑顔でいられますようにと私はマリア様に願った。

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諦めるのはまだ早い  No.3885  [メール]  [HomePage]
   作者:ヘススナバス  投稿日:2018-10-20 00:10:35  (萌:0  笑:0  感:1
【No:3884】の続き
マリみてと城下町のダンデライオンのクロス的な何か。



季節はすっかり冬になり私も多少は薔薇の館に慣れたある日。

「クリスマスパーティーをするわよ!」

黄薔薇様がそう宣言をした。

どうやら山百合会ではクリスマスにパーティーをするのが慣習らしい。

「飾り付けは私たち、まあ今日は聖いないけど聖もこっちでいいでしょう。令は祥子と料理を頼むわ。1年生はそうねぇ…余興を用意して頂戴!」

黄薔薇様がなんかとんでもないことを言い出したぞ…私何にも余興なんてできないよ!

志摩子さんも困った顔をしている。由乃さんは…あ、なんか悪い顔をしてる。なんか嫌な予感が。

「はい、それじゃあ今日は解散!」

紅薔薇様がそう言ってみんなぞろぞろと帰り支度を始めた。

余興かぁ…祐麒や茜ちゃんたちに相談してみようかな。

「ふふふ、祐巳さんお困りですかな。」

「由乃さん何か企んでる?」

「まあね。志摩子さんも聞いてちょうだい。余興については秘策があるのよ。」

「秘策?」

「そう!これよ!」

由乃さんが取り出したのは1枚の紙だった。

「えーと米澤紗千子&桜庭ライトのユニット、サーチライトのデビューシングル発売?」

志摩子さんがそのCDに書かれている文字をそのまま読んだ。

あーそういえば光ちゃんがさっちゃんとユニット組めるって喜んでたなぁ。

「そうよ!これを志摩子さんの伴奏で私と祐巳さんが踊るの!これでいきましょう!」

なんか由乃さんは暴走モードらしく私と志摩子さんには断れる余地はなかった。

私が光ちゃんのパートで由乃さんがさっちゃんのパートらしい。



その帰り道、珍しい組み合わせの人たちにあった。

「あれ?祐巳ちゃん今帰り?」

そこには葵様、栞ちゃん、それに白薔薇様がいらっしゃった。

「ロ、白薔薇様!?なぜここに!?」

「いやーかわいい子が猫と話してると思ったら栞ちゃんでね。葵さんを待ってるって言ってたから一緒に待ってたんだよ。」

「そこに私が合流してここまで一緒に来たってわけよ。」

葵様がそう続けた。

栞ちゃんはソウルメイトという能力でありとあらゆるものと会話できるのだ。

「いやー栞ちゃんはかわいいね!選挙の時はお姉さん栞ちゃんに投票しちゃおうかな。」

まるで酔っぱらいのおじさんだ。

「大丈夫栞ちゃん?白薔薇様に変なことされなかった?」

白薔薇様から栞ちゃんをひったくって栞ちゃんを抱きしめて聞いた。

「ゆ、ゆみお姉さま苦しい…」

おっといけない。つい興奮してしまった。

「ゆーみーちゃーん!先輩に向かってなんてことを言うのかな?」

白薔薇様はそう言ってわたしのほっぺたを両手でつねった。

「い、いはいれす…」

「ほっぺたもなかなか気持ちいもんだね。」

うぅ…ひどい目にあった。

「聖さまは優しくしてくれたよ。あの子もそう言ってたし。」

「あの子?」

「中庭にいるあの猫の事よ。」

葵様がそう言っていつも中庭にいる猫のことを思い出した。

「あ、ランチのことですね!」

「1年生の間ではそういう名前なんだね。」

「聖さんはゴロンタって呼んでたわよね?」

「そうだね。2年だとなんだろう?」

「奏はペペロンチーノって呼んでたわよ。」

「何そのネーミング!」

そう言って白薔薇様は笑った。なんか山百合会以外の人と談笑している白薔薇様珍しい気がする。

「それじゃあここでお別れして帰ろうかな。みんなごっきげんよう。」

そう言って白薔薇様は帰って行った。

「じゃあ私たちも帰りましょうか。」

そうして私たちも帰ることにした。

「あ、そうだ!今日光ちゃんいるかな?」

「多分いると思うけど何か用事?」

「うん、実は…」

今日合ったことを葵様と栞ちゃんに話した。

「由乃ちゃんも面白い子ね。そういう事なら光に教えてもらうといいわね。」



「というわけなんだけど光ちゃん頼めるかな?」

「うん、いいよ。ふふふ、あたしのことを先生と呼びなさい!」

「ありがとう!光先生!」

「しかし祐巳も変なことによく巻き込まれるねー」

茜ちゃんがぐでーっとしながら言った。

「まああそこが変な人の集まりだから当然と言えば当然ね。」

かなちゃんがアイスを食べながらそう言った。

「変って…」

私は苦笑いするしかできなかった。

「確かに山百合会は一癖も二癖もありそうだな。みんな美人だけど。」

修くんが腕を組みながらそう言った。

私的には櫻田家も負けず劣らず個性的だと思うけどかなちゃんが怖いので言わないでおこう。

とりあえず一回踊ってみることにした。

社交ダンスも経験したし何とかなるはず!

その結果は…

「そんなに爆笑しなくても…」

「いやいや!これはあの紅薔薇さまだって大爆笑よ!」

茜ちゃんがお腹をかかえながら笑っている

「余興なんだしこのままでいいんじゃない?」

かなちゃんが顔を机に突っ伏したまま言った。目を見て言いなさいな!

「ゆみ姉これはなんかの儀式にしか見えないって!」

途中で帰ってきた岬ちゃんにもそんなことを言われた。

「輝君!輝君はどう思った!?」

私は一縷の望みをかけて輝君に聞いた。

「ジャッカル落ち着け!あれは悪魔じゃない!」

輝君の特殊能力はリミットオーバーというとてつもないカイリキになれるというものだ。

しかしまだコントロールが難しいらしく母である五月さんにむやみに使わないように言われているらしい。

ちなみにジャッカルというのは右手のことで祐麒が言うには中二病というやつらしい。

ていうか私は悪魔に近いものに見えてたんかい!

「ゆみちゃん…」

「光ちゃん…」

そう私には先生が!

「さすがにこれほどひどいとは思わなかったよーこれはきついかも。」

「え?」

非情な通告がなされたけど諦めるのはまだ早い!ってことで私はがんばります…ダメだったら由乃さんに任せよう。



そんなこんなでいつの間にかクリスマスのパーティーまであと3日になった。

私の余興の方は踊っている本人である光ちゃんのおかげで及第点になった。

今日の昼休みにこっそり由乃さんと合わせたがなぜか由乃さんのキレがものすごかった。

令様にあとで聞いたのだが二人で特訓したらしい。由乃さんに付き合わされる令様も大変だ。

そう思っていたのが顔に出たのか令様は「大変だけどこうやって二人で何かできるってのはすごくうれしいんだ。」っとおっしゃっていた。

手術したからこそできることだから令様の喜びもひとしおだろう。

私もお姉様と二人で何かしたいなぁ…さすがにさっちゃん役で踊ってもらうわけにはいかないけど。

そんな日の放課後、私にとって忘れられない忘れてはならない出来事が起こった。


bqex > 投票ボタンに当てはまる感情がなくて困る。『尊い』とか『癒される』とか欲しいなぁ。続き待ってます。 (No.77413 2018-10-22 22:17:57)

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なんだこれちょっと無理がある  No.3884  [メール]  [HomePage]
   作者:ヘススナバス  投稿日:2018-10-12 09:31:39  (萌:1  笑:0  感:4
【No:3880】の続き?
マリみてと城下町のダンデライオンのクロス的な何か。


由乃さんの手術も無事終わり、黄薔薇の蕾の姉妹も元に戻った。

祥子様はあんな面倒なこと二度とごめんだわ。とおっしゃっていた。

「それじゃあ黄薔薇宣言の騒動ももう終わりね。」

蔦子さんはそう言った。

「紅薔薇、黄薔薇と来たから次は白薔薇かな?」

茜ちゃんはジュースを飲みながら言った。

「志摩子さんがなにかやるのは想像できないなぁ。」

私は志摩子さんの顔を思い浮かべながらそうつぶやいた。

「でも白薔薇にはもう一人いらっしゃるでしょ?」

「白薔薇様かぁ。祐巳は白薔薇様と仲いいんでしょ?どんな人なの?」

「んーいろいろ面倒見てくれるけどどういう人なのかよくわからないや。あ、セクハラしてよく紅薔薇様に怒られてる。」

「それが不思議なんだよね。」

茜ちゃんがそう言った。

「何が不思議なの?」

「お姉ちゃんがリリアンに入った時に同級生にどんな人がいるのって聞いたことあって蓉子様、江利子様、聖様について話してもらったのよ。」

「それで?」

蔦子さんが話を促す。

「蓉子様と江利子様は今と一致する感じのことを言ってたんだけど聖様は誰か近づくのを拒絶してる感じだって言ってたんだよね。」

「えー…」

私としては後ろから急に抱き着かれたり、お姉様をからかったりしている白薔薇様のイメージしかない。

「だから不思議なのよ。」

「高等部に上がってから何かあったんじゃないの?」

蔦子さんはそう言った。

白薔薇様の過去か…なぜかその時気軽に踏み込んではいけない気がした。


その日の帰り道、お姉様と一緒に帰っていた。
気軽に踏み込んではいけない気がしたが気になったので白薔薇様について聞いてみることにした。

「あの、お姉様。」

「どうしたの?」

「白薔薇様についてなんですが…」

「また何かやられたのかしら?抗議してくるわね。」

そう言ってお姉様は今来た道を戻ろうとしたので私は祥子様の手を慌ててとって引き留めた。

「違います違います!それに白薔薇様だってもう帰っちゃってますよ!」

「そ、そうよね。それで白薔薇様がどうしたの?」

「白薔薇様って昔からああだったんですか?」

「ああってね、あなた…」

なんて言ったらわからないのでそう言ってしまった。

「そうね。ああいった方ではなかったわね。どちらかと言うと人との接触を避けていたわ。」

「やっぱりそうだったんですか。」

「やっぱりってどういうことかしら?」

「実はですね…」

茜ちゃんから聞いたことをそのまま伝えた。

「はぁ…興味本位で探りをいれるのはやめなさい。」

「す、すみませんでした。」

それっきりになってしまい結局白薔薇様の過去はよくわからなかった。


次の日になって薔薇の館で由乃さんと一緒になった。

「由乃さんもう体調はいいの?」

「一応はね。まだお医者さんの許可が必要なこともいろいろあるけど。」

「ところで祐巳さん、いばらの森って何か知ってる?」

「いばらの森?おとぎ話?」

「知らないようね。なんか最近流行っている小説らしいのよ。」

「知らないなぁ。茜ちゃんからも聞いたことないし。」

「茜さんもダメとなると志摩子さんが知っていることはなさそうだし、令ちゃんに聞いてみようかしら。」

そう話しているとドアが開いた。

「ごっきげんよう、お二人さん。」

「ごきげんよう、白薔薇様。今お茶を入れますね。」

「あ、自分で入れるからいいよいいよ。」

そう制され半分浮かせた腰をそのまま落とした。

「それで二人は何の話をしてたの?」

「白薔薇様はいばらの森っていう小説はご存知ですか?」

由乃さんが白薔薇様にそう聞いた。

「うーん、知らないなぁ。」

「そうですか…実は流行ってないのかしら。」

そこでいばらの森の話は終わった。


「あら、祐巳じゃない。」

由乃さんといばらの森について話した日の帰り道、奏様に会った。

「あ、奏様。」

「どう?山百合会には慣れた?」

「うーん、まだわかんないや。」

「まあ祥子さんのことで何かあったら私に言いなさい。ひとこと言ってあげるから。」

「ほんと奏様は怖いものなしだね…」

「ところで奏様、いばらの森って小説知ってる?」

「最近そんな小説読んだわ。」

「え!?どんな内容なの!?」

「気になるなら貸すわよ。」

「じゃあ貸して貰おうかな。」

「そう。じゃあうちに寄りなさい。」

「はーい。」


次の日になって朝蔦子さんがシャッターを切りながら話しかけてきた。

「ごきげんよう。祐巳さん。お姫様は?」

「寝坊してるらしいから置いてきちゃった。」

「また?結局毎朝能力使って登校しているわね。空を飛ぶ茜さんの写真は画になるからいいけど。」

「そう言えば祐巳さん。いばらの森ってご存知?」

「うん。実物も奏様から借りたからこの通り。」

そう言って小説を出した。

「もう読んだ?」

「ううん。まだ。」

「じゃあこれ言っていい物なのか…」

「何蔦子さん気になるなぁ。」

「まあいいわ。その小説ね白薔薇様の過去が書かれているらしいのよ。」



「どうしよう由乃さん…」

今日は生徒会の仕事がないので昇降口で由乃さんを待ち伏せて話しかけた。

「なによ、いつも笑顔満開の祐巳さんらしくない顔ね。」

「いばらの森…」

「あ、まだ令ちゃんに聞いてないわね。なにかわかったの?」

「白薔薇様の過去が書かれてるんじゃないかって…」

「…マジ?」

「マジ。」

「しかも白薔薇様が作者っていううわさも流れているみたい。」

「ど、ど、どうしよう!よりにもよって本人に聞いちゃったわよ!」

「反応を見る限り白薔薇様本人が書いたってことはないと思うけど…」

「祐巳さんどうする…?」

「どうするとは?」

「読んでみるかってことよ。」

「うーん・・・」

「どうしたの祐巳、柄にもなく難しい顔して。」

振り向くとそこにはお姉様と葵様がいらっしゃった。

「お、お姉様。あの、お二人はどうして一緒に?」

「たまたまそこでご一緒してちょっとお話をね。」

「薔薇の館での祐巳の様子を聞いていたのよ。」

そう言って二人は笑った。

なんか恥ずかしくなってくる三者面談の時のようだ。

「ところで祐巳たちは何をしていたの?」

由乃さんと顔を見合わせアイコンタクトした結果話してみることにした。

「実はですね…」

「聖さんは書いてないと思うわよ。」

話した後、葵様がそう言った。

「根拠はあるんですか?」

由乃さんが尋ねた。

「聖さんの様子を見た推論ね。正しくは書けないと言った方がいいかもしれないけど。」

「そうですかーだって由乃さん。」

「うーむ、葵様がそう言うんじゃ何となく納得するしかない威厳が。」

「気になるなら本人に聞いてみてもいいんじゃない?」

「葵様!?」

そう言う葵様に祥子様が慌てた。

「大丈夫よ祥子ちゃん。聖さんはもうそれほど弱くないわ。蓉子さんや志摩子ちゃん、あなたたちのおかげでね。」

「そうかもしれないですが…私は反対です。」

「そっか、祥子ちゃんがそう言うんじゃ無理強いはできないわね。」

そう言って葵様は話を切った。

私と由乃さんは何が何だかわからないまま目をぱちくりさせていた。


いばらの森をかばんにしまいっぱなしになって数日

「佐藤聖さん。佐藤聖さん。至急学院長室にいらしてください。」

そう放送がながれた。

「祐巳!祐巳!本当に白薔薇で何か起っちゃったの?」

茜ちゃんがそう聞いてきた。

「知らない知らない。とりあえず学院長室行ってみる!」

そう言って私は学院長室に向かった。


私が学院長室に着くとすでにもう人が結構いた。

しばらくしてそこに白薔薇様がやってきた。

「あ、祐巳ちゃんも呼び出し?ていうかなんでこんなに人がいるわけ?何か知ってる?」

そう言われて私はちょっと考え込む。

「その顔は何か知ってるね。まあそれはあとで聞くとして呼ばれてるから行くね。」

そう言って白薔薇様は学院長室に入っていった。

「いばらの森はやっぱり白薔薇様が書かれたのかしら?福沢祐巳さん?」

そう声をかけられ振り返ると新聞部の築山三奈子様がいらっしゃった。

「み、三奈子様!」

「ごきげんよう。それでどうなの祐巳さん?」

「どうと言われましても。」

「祐巳さんは知ってるんでしょ?いばらの森について。奏さんに本借りようとしてたの見たわよ。」

うかつだった。奏様も新聞部の取材対象だったんだ。

「それでどうなの?聖様が書かれたの?」

「…聖様が書かれたものではないと思います。」

「その根拠は?」

「葵様がそうおっしゃられていたので。」

「葵様が?根拠としては弱くないかしら?聖様と特別親しい仲というわけでもなさそうだし。」

「それでも私は葵様を信じています。」

「そう?私としてはもっと客観的な証拠が欲しいんだけど。」

私は背中に汗をかく。

葵様の推論はあっていると思うが、それは今まで葵様と過ごした経験があるから信じられるものであって三奈子様に通用するものではないだろう。

「客観的じゃないけど自供ならできるけどどう?」

黙っていると突然私の後ろの扉があいてにゅっと白薔薇様が出てきた。

「いばらの森を書いたのは私じゃないよ。学院長にもそう言ってきた。」

そう言ったので周りの生徒たちがざわついた。

「学院長室の前で騒ぐのはよろしくないし祐巳ちゃんは返してもらうね。」

私はそのまま白薔薇様に手をつかまれ連れて行かれた。


「あの、白薔薇様…」

「ん?」

「先ほどは助けていただいてありがとうございます!」

私は頭を下げた。

「私が助けるまでもなく祐巳ちゃんならなんとかできたと思うけどね。」

白薔薇様はそう言って笑った。

「いえ、そんなことは…」

「しかしちょっと妬けるね。」

「へ?」

「あの私は葵様を信じていますって言った時の声さ、すごく芯が通って迷いのない声だったよ。葵さんはそこまで祐巳ちゃんに信頼されてるんだなと。」

「私のもう一人のあこがれの人ですから。恥ずかしくて葵様には言ってませんけどね。」

「なるほどね。私は祐巳ちゃんにとってどんな人なの?」

「…笑いませんか?」

「うんうん。笑わない。」

「私にとって白薔薇様は困った時に手を差し伸べてくれるヒーローみたいな人です…」

「ヒーローね…」

「うん、まあそういうのも悪くないか。」

聖様はそうつぶやいた。


薔薇の館に着き白薔薇様がみんなに説明した後、私と由乃さんが残され白薔薇様の過去についてちょっと聞いた。

こうしていばらの森の騒動も一応の終わりを見せた。

ただこの後ヒーローはお姫様といちゃつくのも仕事だよと言って白薔薇様が抱き着いてくるようになった。

お姉様がそれに対して怒る。私はおろおろするだけだけど。

いつもの日常が帰ってきた気がしてちょっとうれしい。


「あなた騒動引き寄せる体質なのかしらね?」

奏様に本を返しにいくとそんなことを言われた。

「いやいや、私は平凡だよ?」

「王族と家族ぐるみの付き合い、超の付くお嬢様のスール、しかもそのお嬢様は紅薔薇の蕾。これのどこが平凡なのよ。」

奏様はため息をついた。

「また何かあるかもね。」

そんな不吉な言葉を残していった。

bqex > マリみて原作通り進むと「長き夜の」か「ロサ・カニーナ」ですがどうなるのかしら。楽しみに待ってます。 (No.77412 2018-10-13 22:00:23)

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この事態を回避するくじけない心がほしい  No.3883  [メール]  [HomePage]
   作者:杏鴉  投稿日:2018-09-09 00:13:48  (萌:5  笑:0  感:4
前話を投稿したのは5年程前なのですが……完結できたので久しぶりにやって来ました。


※百合的表現がございますので、苦手な方はご注意ください。

これは以前掲載したお話を別視点から描いたものです。
先にこちら↓をお読みいただかないと、理解しづらい迷惑な代物です。

『祐巳side』
【No:2557】【No:2605】【No:2616】【No:2818】【No:2947】【No:2966】【No:3130】【No:3138】【No:3149】【No:3172】(了)

『祥子side』別名:濃い口Ver.
【No:3475】【No:3483】【No:3486】【No:3540】【No:3604】【No:3657】【No:3660】【No:3722】【No:3727】【No:3751】【No:3811】→これ。





私が泣かせたあの日以来、サチコは祐巳への依存がいっそう酷くなった。
全力で祐巳だけを求めるその姿を私は複雑な思いで見ている。
これまで感じていた憎しみも、怒りも、苛立ちすら今はもうない。
眠る祐巳に口づけるサチコを目の当たりにしても私の心は静かなままだった。

サチコはあれから毎晩、祐巳にキスをしている。
けれど初めて唇を奪ったあの日のような楽しげな様子はもうない。

「私の大切な人にキスしておいて、それはないのではなくて?」

私のつぶやきにも反応せず、サチコは祐巳にしがみついて眠ってしまった。





サチコが怯えている。
祐巳がいないことに怯えている。
べつに祐巳がサチコに愛想をつかしてこの家から出て行ったわけではない。
ただ学校に行っているだけだ。
夕方になれば祐巳はまたここに帰ってきてくれる。
それなのにサチコはベッドの上で丸まり、あの子のいない時間を必死に耐えている。

様子を見に来た母に、祐巳を学校に行かせないよう訴えるなんて暴挙にまででたサチコだったけれど、当然だがきっぱり断られた。
母は一見頼りないけれど、道理をわきまえない娘のワガママを聞き入れるような愚かな親ではなかった。
そしてサチコは絶望の中、ひとりきりで自室に篭っている。
誰も居ない部屋で祐巳の名前だけをくり返している姿は哀れだった。





お風呂上り、祐巳がサチコの髪を乾かしてやっている。
鏡越しに見るサチコは気持ち良さそうに目を閉じていた。
昼間怯えていたのは、よく似た別人ではないかと思える程幸せそうな様子だけれど。
こんなふうに安心した表情をみせるのは、もう祐巳が傍にいる時だけだった。

「もしも祐巳を失ったら、あなたはどうなってしまうのかしらね?」

そんな疑問など無意味だと言わんばかりに2人は仲むつまじく過ごしている。
寄り添うようにベッドに横になり、祐巳が紡ぐ白雪姫の物語にサチコは耳を傾けている。

「たぶん、耐えられないでしょうね……」

他人事のように私はつぶやいた。
透明な壁にもたれてぼんやりと2人を見つめる今の私には、ここに閉じ込められた当初の切迫感や絶望感はない。
既にここから出たいという気持ちすら薄れていた。

どうすればいいのか――
何が正解なのか――
もう、私には分からない。

まるで部外者のように、私はここから2人を見ていた。





――今夜の2人はいつもと少し様子が違っていた。
もう眠る時間だというのに、茶色くした部屋で2人は白雪姫について語り合っている。
やがて王子様と白雪姫の口づけの話になり、

「わたくしのおうじさまは、ゆみなの」

サチコがさらりと告白した。
サチコのくせに生意気な。
そんな気持ちとは裏腹に、私の心臓は速度を上げた。
祐巳はどういう反応をするのだろう。
そんな必要も無いのに私は息を潜め、じっと外の様子を窺った。

やがて――、

祐巳が、

サチコに、

――キスをした。





……もう、認めてしまおう。

私は祐巳に恋をしている。
ずっと前から。
どうしようもないくらいに好きで。
誰にも取られたくなくて。
自分だけを見てほしくて。
その笑顔も、唇から紡がれる声も、すべてをひとりじめにしたかった。
私は祐巳に、そんな幼い恋をしていた。

そしてもうひとつ。

サチコの正体についても、私は認めなければならない。

少し前から薄々気付いていたけれど、わざと考えないようにしていた。
それももう終わりにしよう。
逃げるのは嫌いだから。

サチコ……

あれは、

――私だ。

本心という名の、小笠原祥子そのものだ。
それに気付いてみれば、サチコが私をあれほど嫌うのも納得できる。
自らを否定し、存在すら認めず、無視し続けてきた人間を好きになれるわけがない。
かといって、私という存在が完全に消えてしまうのもサチコにとって不味いのだろう。
だからこそ私の様子を見に、ここまでやってきた。

なんてやっかいな相手だろう。
マイナスの感情しか持っていないのに、けして離れられないなんて。
目の上の瘤とはよく言ったものだ。

ひょっとすると今私が居るここは、元々はサチコが居た場所なのかもしれない。
なんとなく、そう思った。

ここからでも分かる程の甘やかな空気の中で、2人は眠りについている。
それはとても幸せな光景で……
私はどうしたらいいか、いっそう分からなくなった――。





サチコの秘め事は祐巳の知るところとなり、今では2人の秘密となった。
夜ごと交わされる口づけを私はここから盗み見ている。
瞳を閉じ、恥じらいながら唇を寄せる姿をまじまじと見られていると知ったら、祐巳は怒るだろうか。

……それでもいい。
私に……サチコではなく私に感情を向けてほしかった。





「お姉さま。少しお話をしたいのですが、いいでしょうか」

茶色くなった部屋で、祐巳がひどく真面目な顔をしている。
どうしたのだろう?
普段とは違う雰囲気を纏う祐巳の言葉に、サチコも大人しく耳を傾けている。

「私は、お姉さまがずっとこのままだったらいいと思っていました」
「……不安だったんです。
 祥子さまが卒業してしまったら、どうなってしまうんだろうって……」
「こんなふうに、すぐ傍でお姉さまを見つめる事も……」

祐巳の手が、そっとサチコの頬を撫でる。

「こうして触れる事も、二度とできなくなるんじゃないかって……」
「……不安だったんです」

これまで抑えてきたのだろう感情と共に、祐巳の目から雫が零れ落ちた。

「このままずっと二人でいられたらいいと……そう思っていたんです」

ごめんなさい、と言った祐巳の顔がくしゃりと歪む。

「私には王子さまの資格なんてないんです……っ!」

祐巳は両手で顔を覆い、泣き出してしまった。
泣きじゃくりながら、ずっと「ごめんなさい」とくり返している。
その姿に私は胸に杭を打たれた気分になった。

祐巳は、――誠実だ。

自らの過ちに気付き、認め、心からの謝罪をする祐巳は人間として美しい。
祐巳の誠実さに比べて自分はどうだ……

「ねぇ、ゆみ。それっていけないことなの?」
「だいすきなひとと、いっしょにいたいっておもっちゃいけないの?」
「すきだから、ゆみのそばにいたいのに。ダメなの?」

サチコというもうひとりの自分に願望を口にさせている卑怯者だ。

「――このままでいいじゃない」

サチコが甘やかな言葉を祐巳に囁く。
たぶん私だけが気付いている。
サチコの焦りに。

「――それはダメなんです」

サチコの悲しみが流れ込んでくる。
いや……私の、だろうか?

「大切に思ってくれている人たちを悲しませることは、間違っています」

サチコの手を取り、祐巳が頬を寄せる。
やわらかな感触が私の手にも伝わったような気がした。
サチコが抱きしめられると、私も温もりに包まれているようだった。

それはとても懐かしい感覚で……
ここから出ようと思った。

「ゆみはわたくしがおおきくなっても、そばにいてくれる?」

サチコも感じているのだろうか。
この不条理で、利己的で、愛おしい日々の終わりを。

「もちろんです」

涙の残る目を細め、祐巳が微笑む。
薄暗い部屋でもキラキラと輝いて見えて、綺麗だなと思った。

「ごめんなさい祐巳。もう、けして泣かせたりしないわ」

「臆病な私も、卑怯な私も、全てここに置いていくわ」

捨てはしない。
捨ててしまったら、いずれ忘れてしまうから。
忘れてしまったら、いつかまた同じ事をくり返すから。
だから私は置いていく。

祐巳の顔が近付いてくる。
サチコが最後の口づけをねだったからだ。
そう。こうして祐巳のキスを盗み見るのもこれで最後……。
はしたないとは思いながらも、ジッと見つめてしまう。

祐巳が近付いてくる。
初めてしてくれた時と同じ、緊張した顔で。
毎晩していたのに、あなたはちっとも慣れないのね。

本当に可愛い子。

不意に、祐巳が驚いた顔で目を開けた。
それは初めて出会ったあの日と同じ表情で。

「そろそろ祐巳のタイを直したくなってきたわ」

私の独り言が聞こえたかのように祐巳がふわりと笑った。
そして私は透明な壁越しに、祐巳と初めての口づけを交わした。



   ☆   ★   ☆   ★   ☆



気が付けば外に出ていた。
“サチコの外”どころではなく、屋外だった。
もう少々の事では動じなくなっている私は冷静に周囲を見回した。

ここは公園だろうか?
見た事があるような、ないような、そんなあやふやな印象を受ける。
きっと、どこでもない場所なのだろう。

ずっと聞こえていた涼しげな音に目を向けると、大きな噴水が水飛沫を上げていた。
きちんと整備されており、憩いの場として需要がありそうだけれど人気は無い。

噴水沿いに歩いてみると、そこに祐巳がいた。
噴水から少し離れたベンチに座り、静かに目を閉じている。
正面に立ってみたけれど祐巳は私に気付かない。

眠っているわけではないだろう。
毎晩ずっと寝顔を見ていたのだからそれくらい分かる。

祐巳は自分の意思で目を閉じていて、すぐ傍に立つ私にも気付かない。
まるで祐巳が世界を拒絶しているように思えて……
寂しくなった私は知らないうちに祐巳の名を呼んでいた。

祐巳が、すっとまぶたを開ける。
サチコの中に居た時とは違い、私の声は無事に届いたようだ。
けれどそれに喜ぶ暇はなかった。
私の姿を認めた祐巳は眩しそうに目を細めると、――涙を流した。

「……お姉さま」

不思議と、うろたえはしなかった。

「どうして泣いているの?」
「分かりません。でも、どうしてか涙が止まらないんです」
「そう」

今のこの気持ちを何と呼べば良いのだろう?
分からない。
気付けば私の両手が祐巳の頬を包んでいた。

やわらかな頬。
温かな雫。
僅かに震える呼吸。

私は今、祐巳の心に触れている。
このまま融けてひとつになればいいのに、と思った。
けれどそれでは祐巳を祐巳と認識できなくなるから、やっぱり今のままがいいなと思い直した。
そんな益体も無い事を考えているうちに、祐巳の涙は止まっていた。
それでも、ずっと留守番させられていた猫のように祐巳は私の手に頬をすり寄せている。

「今日はずいぶん甘えてくれるのね」
「すいません。なんだかとても久しぶりにお会いするような気がして……」

祐巳からすればそうだろう。
けれど私はずっとあなたを見ていた。
誰よりも近くで、ずっと。

「あら。私はいつだって祐巳の傍にいたわよ? それなのにあなたったら、まるで気が付かないのだもの」

再び祐巳に見つめられた喜びとは裏腹な言葉が口をついて出る。
生来の天邪鬼がそうさせたのか、ただ照れくさかっただけなのかは自分でもよく分からない。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

どこか必死さを感じさせる声に驚いて見る。
ギュッと握られた手の先で、祐巳がまた泣き出しそうになっていた。

「ばかね。べつに怒っていないわよ」

ばかは私だ。
もう泣かせないと誓ったのに。

落ち着かせるように頭を撫でる。
ほっとした後、恥ずかしそうに目を伏せる祐巳が可愛くて、ずっとこうしていたいと思った。
そんな2人だけの時間に割り込んでくるように、それは耳に届いた。

――誰かの泣いている声が聞こえる。

かすかに、けれど確かに。
声の方を向いても姿は見えないが、"そこ"にいるのは間違いない。

……仕方がないわね。

「そろそろ行くわ」
「……え?」

名残惜しいけれど、祐巳に背を向けて泣き声の方へと歩き出す。
祐巳と一緒では恐らくあの子は姿を見せないだろうから。
まったく面倒くさい子だ。

後を追ってくる祐巳を安心させるように振り返り、笑ってみせる。

どうか泣かないで。
大丈夫。すぐにまた会えるから。

「絵本、読んでくれてありがとう。嬉しかったわ」

これは別れの言葉。
幼い私の姉になってくれた祐巳への、別れの言葉だ。
次に会う時は私が姉であなたが妹。そんな日常が戻っているから。

だから、さようなら。
私のお姉さま。

そして、

「――魔法、解いてくれてありがとう」

私の王子さま。





小さな背中が震えている。
私の気配には気付いているだろうが振り返ろうとはしない。
座り込み、顔を隠すようにして泣きじゃくっている。

「――サチコ」

呼びかけてみても返事はない。
ただ、当て付けるように泣き声が大きくなった。

ちゃんと聞こえているんじゃないの。
私は聞こえよがしに大きなため息を吐いた。

泣き声がピタリと止む。
勢いよく振り返ったサチコが憎悪を剥き出しにした目で睨みつけてくる。
そんな涙でぐしゃぐしゃになった顔で睨まれてもちっとも怖くないのだけれど。
黙って見つめ返していると、サチコの食いしばった歯の隙間から低い声が漏れてきた。

「……何しに来たのよ」
「泣き喚いているんじゃないかと思って、心配で見にきてあげたのよ」

いつかの意趣返しをしてやる。
サチコは自分の発言を忘れているらしく、私に怒鳴り声を返してきた。
軽く耳を塞ぎながら、サチコが息切れするのを辛抱強く待つ。
やがてサチコは口をつぐみ、私を睨みつけるだけになった。

「気が済んだかしら?」
「……っ!」

表情が一層きつくなったが、サチコは無言のままだった。

「こんな所で泣いていても祐巳は迎えに来てくれないわよ?」
「……うっ……うぅ……」

サチコは声を押し殺して泣き出した。
もう私に怒りをぶつける事もできなくなっているようだ。
本当に面倒くさい子だ。

「泣くのはお止めなさい」
「……ぁああぁ……っく……」
「あなたも小笠原祥子なのでしょう? だったら、しゃんとなさい!」

ビクッと顔を上げたサチコをまっすぐに見つめる。

「涙を拭いて、お立ちなさい。一緒にここから出るわよ」
「……え?」

ぽかんとしているサチコにハンカチを渡す。
反射的に受け取ったものの、今ひとつ事態が呑み込めていないらしいサチコはまごまごしている。

サチコの手を取り「ほら、急いで」と、立たせた。
振り解かれないのをいい事に、そのまま手を引いて歩きだす。

「……どうして?」
「もういいかげん閉じ込められているのは飽きたわ。さっさと外の世界に戻りたいのよ」
「そうじゃなくて、どうして私も一緒なの?」
「あら、残りたいの?」
「…………」

私の意地悪な言葉にサチコは黙り込んだ。

「祐巳と一緒に居たいのでしょう? だったらここから出なければ駄目よ」
「でも、祐巳は……」
「これまでのような勝手をしなければ、祐巳は私たちの傍に居てくれるわ」
「ほんとう?」
「えぇ。本当よ。だから涙をお拭きなさい」

ハンカチで顔を綺麗にしたサチコは背筋をしゃんと伸ばし、まっすぐ前を向いて歩き出した。
それでこそ小笠原祥子だ。

周囲の景色が白み始める。
この鳥籠のような世界が終ろうとしているのだろう。
やがてどこもかしこも白に染まり、今はもう何も見えない。
それでも私たちは立ち止まらず前へと進んでいく。

「……迎えに来てくれて……ありがとう」

サチコがぽつりと呟いた。
返事をする代わりに、繋いだままの手にギュッと力を込める。

眩い光が私たちを包み、思考があやふやなものになっていく。
意識を手放す寸前、楽しそうな笑い声が聞こえた気がして、私も少しだけ口角を上げた。



   ☆   ★   ☆   ★   ☆



「ごきげんよう紅薔薇さま」
「ごきげんよう」

銀杏並木を歩きながら私は挨拶を返す。
もう二度と取り戻せないのではないかと思っていた日常に、今私はいる。

あの日――、

目覚めた私の傍にサチコは居なかった。
けれど消えてしまったわけではないだろう。
私たちはあるべき姿に戻ったのだ。小笠原祥子という、ひとりの人間に。

不自然に別れていたものが突然元に戻ったことによる弊害か、
たった一晩で10年以上の成長をしてしまったことへの身体的な負担からか、
私はしばらくの間、一連の出来事に関する記憶が曖昧になっていた。

けれどそれも程なくして納まり、今は全てを思い出している。
サチコという、もうひとりの私のこと。
祐巳と過ごした愛しくほろ苦い日々のこと。
あの鳥籠の中で知り、学んだことを。

「ごきげんようお姉さま」

大きく跳ねた鼓動を悟られないよう澄ました顔で振り返る。

「――祐巳。ごきげんよう」

つい頬に触れそうになった手の軌道を修正してリボンの位置を直す。
嬉しそうにはにかむ祐巳は小笠原の家で一緒に過ごしていた頃よりも幼く見える。
私が元の姿に戻った事で、祐巳も妹に戻ったのだろう。

……いつかまた私に見せてくれるだろうか?

祐巳の慈愛に満ちた表情を思い出して、そんな事を考えてしまった。
我ながら欲の深い人間だな、と苦笑する。

「祐巳にはずいぶん迷惑をかけてしまったわね」
「いいえ。そんなことはありません」

あなたが居てくれたから、今の私がある。
春のように私を温めてくれたあなた。
分厚い外套を取り払い、私を変えてくれたあなた。

「ありがとう」

ジッと私を見上げてくる祐巳に、また鼓動が速くなる。
幸い、息が切れる前にマリア様に手を合わせる事ができた。

サチコに閉じ込められている時には、これはマリア様の罰だと考えた事もあったけれど……
私がこれからしようとしている事を知ったら、やはりマリア様は罰をお与えになるかしら?

目を閉じて祈る祐巳の横顔を見つめる。
たとえ罪だとしても、罰を受けるのだとしても、私は――

お祈りを終えた祐巳がそっと目を開ける。
こちらを見た祐巳は、私と目が合うと少し驚いた顔をした。

「ねぇ、祐巳」
「は、はい……っ!」

目を見開いて落ち着きのない返事をする祐巳に、思わず笑みが零れる。
私の言葉を聞いたら、あなたはどんな表情を見せてくれるかしら?

「もしも祐巳が私と同じ目に遭ったら、今度は私があなたの魔法を解いてあげるわ」

これ以上ない程の驚いた顔で固まっている祐巳に背を向け歩き出す。
本当はもっと見ていたかったけれど、噴き出してしまいそうだったので仕方がない。

背後から慌てたような足音が追いかけてくる。
本当に、可愛い子。

「お、お姉さまっ。もしかして憶えていらっしゃるんですか……?」
「さぁ? どうかしら?」

意地悪く顔をそむける私と視線を合わそうとして、祐巳がくるくると周りを駆けている。

「教えてくださいよー」

――ぷいっ。

「もう。お姉さまぁ」
「ふふっ」
「わ、笑わないでくださいよぅ」
「だって、おかしいんだもの」
「むぅ……」

拗ねてしまった。
可愛らしく尖った唇を見てあの頃の日課を思い出す。
さり気なく周囲を確認してみる。
薔薇の館へとつづくこの道には他の生徒の姿はない。

「祐巳」
「……なんでしょうか?」
「持って」

拗ねながら返事をした祐巳だったけれど、鞄を差し出すと「はい」と受け取ってくれた。
条件反射なのかもしれないが、祐巳のこういった素直さには尊敬の念を抱いてしまう。
私にとってはとても難しい事だから。
けれど、今は自分の気持ちに素直になろうと思う。

「祐巳ったら、バタバタするからタイが曲がってしまっているじゃない」

私の言葉に、拗ねていた祐巳の顔が嬉しそうなものに変わる。
近づくと恥ずかしそうに目を伏せてしまった。

手を伸ばす。
タイではなく、祐巳のやわらかな頬に。
不思議そうに顔を上げた祐巳の唇に、私はそっと自分の唇を重ねた。

数秒してから顔を離すと、祐巳と目が合った。
驚きすぎて目を閉じられなかったらしい。
その様子が可愛らしくて、思わず笑みが零れる。

祐巳の顔が見る見るうちに朱に染まっていく。
口からは「あぅあぅ」とよく分からない声を漏らしている。
少し悪戯心を刺激された私は意地の悪い笑みを浮かべて言う。

「何をそんなに驚いているの? この間まで毎晩していたのに」
「あ、あれはだって、魔法を解くためで……」

動転している祐巳は、先ほどの質問に私が半ば答えている事にも気付いていないようだ。

「そうね。私の魔法はもう解けているものね」

頬に触れたままだった手を下し、身体を離す。

「ごめんなさい。もうしないわ」

祐巳は残念そうな顔をした。
……ように見えたけれど、私の願望がそう見せただけかもしれない。



『相変わらず意気地がないわね』



そんな声が聞こえた気がして、心の中で苦笑する。

祐巳に持たせていた鞄を取って、代わりに手を繋いだ。
祐巳はびっくりしたように私を見上げたけれど、すぐに手を握り返してくれたからそのまま歩きだす。

「ねぇ、祐巳」
「はい」

祐巳はなんだか真面目な顔をしている。
何を考えているのかしら?
いつもより大人びて見えるその表情に私はしばし見惚れた。

「お姉さま?」

きょとんとしている祐巳はいつもより幼く見えて、つい笑ってしまう。

「ごめんなさい。なんでもないのよ」

笑いながらそう言うと、祐巳はまた唇を尖らせた。
わけも分からず笑われて不満です、とその顔が言っている。

「ふふっ」
「もう。何がおかしいんです、お姉さま」

答えない私に抗議のまなざしを向けてくるものの、祐巳は手を振り解きはしなかった。

「ねぇ、祐巳」
「なんですか」

精いっぱい怒った顔をつくっている祐巳は可愛い。
少しだけ握った手に力が入る。

「あのね」

サチコだった頃のように言ってみた。
すると祐巳は何かに気付いたように立ち止まり、ジッと私を見上げてきた。
手が震えてしまわないよう、強く握る。

「もしも私が――」

更に強く握ってしまった後で、痛い思いをさせているかもしれないと気付いた。
慌てて力を弛めたけれど……
私の手は今も祐巳と繋がれたままだった。

祐巳の温かな手が、私を掴んで離さない。
その痛いくらいの強さとまっすぐなまなざしが、私の気持ちを後押しした。





「あなたを愛していると正直に告白したら、またキスしてもいい?」





−了−


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