【1080】 勇気をいただきます  (OZ 2006-02-06 00:49:12)


【No:1067】→今回

 私は薔薇の館に着いた

はあ、はあ、「し、志摩子、とりあえず、こっからどうしたらいい?」
   とりあえず、と、いうか、黄薔薇姉妹を何とかしませんと・・・
「うみゅ?」
扉の前には木刀を持った令と竹刀を持った由乃ちゃんが立っていた。
由乃ちゃんは爽やかな笑顔をしつつ、「ごきげんよう、聖様、館に入りたいのですか?」

「入りたいといったら?」私は由乃ちゃんと令を睨む!!
「しっつも〜ん!! 聖様は『祐巳様』を好きなんでしょう?」
「え、ええ、好きだよ、」
「あっそう、でも、私のほうが ・・・ 『祐巳様』を愛してんのよ!!」
「お命頂!!」いきなり竹刀(直線)で突いてくる!!

「てい!!」 ぺシ
由乃ちゃんは私にへろへろっと向かってきたので、ペシっとやり、その後やさしく掴み、やさしく寝かせてあげた。
気を失った由乃ちゃん。
く〜〜、祐巳ちゃんもいいけど、由乃ちゃんもやっぱ、可愛い!! チッスくらいはいいかな? ドキドキ む〜〜〜
       お姉様!!

                      ごう!!

私の目の前に木刀が現れた!! おわ!!いっけね、家来を忘れてた。
「よ、由乃を、かどわかすのは、誰?」
「 令!! 」
「誰であろうと、私の由乃は、私の由乃は、私と、祐巳様の物なの!! でも私は由乃の物!!わかんない!!でもいいの!!」
はあ、はあ、息を荒げながらも言葉を続ける令。
「自分もよく分からなくなってきましたが、なんだか聖様が、ほんとに憎くなってきました・・・ でも、なぜか、苦しいんです!! 怖いんです!!」
ゆらりと木刀を振り上げる令、
こりゃ やばい!!身を固める私、 でも、何も無かった。
「あれ?」よく見ると

「な、なん!?だ!! 動かない、身体が!!」
   お姉様、令様は私が抑えています、だから、行ってください!!
「で、でも・・・」
 大丈夫です、強力な助っ人が付いていますから。
聖の周りに小さな光をもった蛍みたいな、いや、光の粒、そう言って間違いない、でも、この光、何か見覚えがある・・・ いや今はそんなこと考えてる暇はない。

2階の踊り場に着いた

「ハロ〜〜 せ・い・さ・ま・」
踊り場でにこやかな笑顔をしている真美ちゃん
「ま、真美ちゃん、な、なんで?」
「うふふふ・・・ びっくりしました、あれは、え・ん・ぎ・ 私は祐巳様の僕、蔦子さんのあんな攻撃くらいどってことありませんわ。」
「蔦子ちゃんはどうしたの?」
「ここに居ましてよ、聖様、いや白薔薇様!!」 蔦子ちゃんは真美ちゃんにずるずると引きずられながら現れた、最早立つ力も無くなっているようだ。でも、まだメガネは曇っていない。

 お願い・・・    頭の中に声が聞こえた・・・
「カメラちゃん!!」
 殺して・・・    このままじゃ、・・・
「いやだ!! 祐巳ちゃんも、カメ・違う 蔦子ちゃんも助ける、それが、私の使命だ!!」
 みんなをきずつけたくないんです・・・
「まったく、2人とも強情なんですから、私の手には負えませんね・・・ では、祐巳様にお願いしますか。」
「何だって!? 祐巳ちゃん・・・?」

ビスケット扉がゆっくりと開かれる、そこには蓉子と祥子が祐巳ちゃんにぴったりくっ付いている。
「あら?聖ったら未だ祐巳様の僕になってないの? しかも蔦子ちゃんも。」
「いやだわ、お姉様、聖様や蔦子ちゃんが入ったら楽しい時間が減りますわ!!」
「祥子!!蓉子!!」

「祐巳様、すみません、こんな事でお手を煩わしてしまって・・・」
「いいのよ、真美、彼方は良くやってくれた、それに大事なお客様を連れてきてくれたしね。」
祐巳ちゃんはゆっくりと私に近づきつつ、
「聖様、私のことが嫌いなんですか?」
「いいや、好きだよ、できれば、色んな事したくてたまらない。」
「なら、なぜ、私のとりこにならないのです? 蓉子様やお姉様のように?」
「それは秘密、教えて欲しかったら皆を解放して!!」

「ふん!! まあいいでしょう、と、言ってもお2人は私の呪縛からはそう簡単には逃げられませんよ、 聖様、それと志摩子さん。」
   あら? やっぱりばれてました?
「当たり前でしょ、聖様や蔦子さんを覆っている色を見れば一目両全。」
   それなら話が早いですわね、『祐巳さん』から離れなさい
「いや、と、言ったら?」
   実力行使です
「できるかしら?」
   私には強力なお友達がいますから・・・

そのとき、
「祐巳〜〜 いったい何を話してるの?」 がばっと祐巳に抱きつく祥子
「大丈夫です!!お姉様。愛してます!!」 頼むから離せ!! いいところなんだから!! お姉様!!

  今です!! お姉様、光を・・・

「こ、これ? 私、どんな効果も分からないけど、志摩子から『光』を貰ったの。」手のひらに乗せた光が先程よりも眩しく光りだす。
「こ、この、ひ、ひかりは・・・」
祐巳ちゃんの顔が青ざめる・・・
少し聖の身体の回りを飛び回っていた『光』は一点、祐巳の身体の回りを廻りはじめる。


うわああああああ〜〜〜〜
「い、痛い!熱い! いやああ〜〜 助けて!!いやあ!!お姉様!!」
まるで『光』は祐巳ちゃんの身体を焼いていくように
「ゆ!!祐巳!!」
「祐巳ちゃん!!」もはや蓉子も祥子も半狂乱
「祐巳ちゃん苦しがってるよ!! ねえ志摩子!! 大丈夫なの!?」

大丈夫です、私を信じてください

「で、でも・・・」

あの光は、どんな力も『並』してしまう力があるんです。今、痛がっている祐巳さんは、本当の祐巳さんではないんです。


光の中


貴様、何者だ!?
別に、ただ祐巳さんを守りたい、それだけの存在・・・
ほざけ!! たった人間一人を守るためだけに、そんな力が出るわけない!!
でも、私はそのたった一人の人間を守りたいの。
うそだ!! うそだ!! うそだ!! そんなの認めない!!
ふん!! あんたに認められなくってもいいわ!! どうでもいいから!! とっとと、出で行きなさい!!
物凄い光一閃、 邪悪な物は消え去った
私はここまで、さよなら、祐巳さん・・・




祐巳ちゃん・・祐巳ちゃん・・・
ユサユサ身を揺すられ

「お母さん・・・」
「祐巳ちゃん・・・良かった・・・」
私は病院のベットの上にいた。でも、何か変な夢を見ていたような気がする。
「祐巳!!」
お姉様が鬼のような顔をして私を見ている、こ、怖ひ・・・ と、思ったら、いきなり滝のように涙を流しだす。
「祐巳、よかった、本当によかった・・・ 私をこんなに心配させて・・・ 本当におばかなんだから!! 」私は抱きしめられた
「ふえ?」回りを見ると、江利子様、令様、由乃さん、聖様、志摩子さん、蔦子さん、真美さん、皆泣いている
「皆さん、お姉様・・・すみません、ご迷惑おかけしたようで、そして、本当におばかな妹で・・・」私は祥子様をぎゅっと抱き返す

聞くところによると、私は薔薇の館でいきなり倒れ、そしてそのまま一週間ほど病院で寝ていた、とのこと
その後体力も回復したこともあり、私は学園に復帰した。
クラスの皆が寄ってきて色んなやさしい言葉をくれた、嬉しかったけど何か心に穴が開いたように感じて、聞いてみた。

「あの? ところで桂さんは?」

私の言葉に皆、目を白黒している

「だれ? 桂さんって? ねえ知ってます?」
少しムカッと来た、「何言ってるの? 桂さんは、桂さんよ!! 私の友達の!!」
「ねえ? 知ってます? 桂さんって?」
「いいえ、私は存じ上げませんけど・・・ 」クラス中がざわざわしだす。そのとき
扉を開け、志摩子さんが入ってくる、同級生とはいえ突然の白薔薇の妹(しかたないけど正直、紅薔薇の妹の私とはえらい違い、ガックリ。)の登場に皆一斉に静かになる。
「祐巳さんは、まだ病み上がりで疲れていますわ、山百合会としても当分ゆるりとさせてあげたい、だめかしら?」にっこりと微笑む
その、天使のごとき笑顔に誰も何も言えず各々の席に帰る。

「ねえ、志摩子さん、志摩子さんは、桂さん、知ってるよね!?」
「ええ、知っていますわ、でも今は、少し休んでください。」






「志摩子、お疲れ、祐巳ちゃんは?」
「保健室で可愛い寝息を立ててます。」
「よし!! 見に行こう!!」
「その前にお仕事ですよ、お・ね・え・さ・ま・ 」聖の耳をぎゅっと掴む志摩子
「じょ、冗談だよ志摩子、怖いよ、本当にごめん、 そんでもって、やめて、ちくちくするのは」蛍のような小さな『光』が聖にぶつかっていた。
「んで、だれ? その前に、微妙に痛いって、やめて!!」ちくちく

「あのお方です。」目の先には新聞部姉妹がいた。目をピンクにして、姉である美奈子ちゃんを林の中から(一応姉妹なんだから堂々とすればいいのに・・・)うっとり見ている真美ちゃん。
どうやら、真美ちゃんが今回のキャリアーのようだ、でも、
「真美ちゃん、また彼方なの、抗体無いの?」
 ガクッと傾く、聖をちくちくしていた『光』もボトッと落っこちた。


「とは言え、私の初陣だ!! 皆を守りたい気持ちは誰にも負けないつもり!! 志摩子、私に勇気を少しでいいからかして!!」
  志摩子の姿は光に変わり、言った。   
  
  もちろんですわ お姉様

「そして、彼方がいるからこそ私は怖くない!!」聖は『光』に話しかけた。
   
  そんな いやですわ せいさま

「本当だよ、さあ行くよ!!志摩子、桂ちゃん!!」



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