【112】 理想妄想結婚式  (OZ 2005-06-27 21:07:41)


(お姉さま、起きて下さい、 ユサユサ。)
まだ眠いわ、祐巳、
(お姉さまったら、ねえ、起きて下さいよ〜 ユサユサユサ。)
お願い、もうちょっと寝かせて、
(せっかくの朝食が冷めてしまいますよ〜 ユサユサユササ。)

「ああ〜〜!!うるさい!!」
 あまりにも、祐巳が体を揺するものだから、寝起きの機嫌悪さも相成ってついつい声を荒げてしまった。
 私は、重く感じる体を起こし、周りを見渡してみる。

「あ、あら、ここは。」
 
 見覚えがあるとゆうか、なんというか、小笠原グループのホテルの中で私が一番好きなホテルのスイートルーム。

 はて?

 私、小笠原祥子は大学を卒業し3年、今やお父様の片腕的存在、そして祐巳は、私の第一秘書となり働いている。
最初は色々ミスもしたが、今ではなくてはならない、実に頼りになるパートナーに成長していた。

「お、おはようございます!お、おねえ、いやいや、祥子様の方がいいですよね・・・」テレテレ
 顔を真っ赤にして、ものすごく照れながら挨拶をしてくる祐巳、朝からとても可愛いくてよ、でも、なぜ今2人でホテルなんかにいるのかしら?
昨日、仕事が終わった後、私は祐巳をデートに誘ったのよね、一大決心を胸に、うんうん・ん・・・・・決心って!!
 お、思い出したわ!!そうよ、私は昨日、前々から用意していた指輪をバックに潜め、祐巳をデートに誘ったのよ、人生最大の告白をするため、そう、祐巳にプロポーズするため。
緊張を和らげるため、私はバーでいつも以上にワインを飲んだような気がするし『飲みすぎですよ』と祐巳に注意されたのをかすかに覚えている、しかし、その後、今、ホテルに至るまでの経緯がまったく思い出せない、ど、どうしましょう、私は祐巳にプロポーズをしたのかしら?しなかったのかしら?プロポーズしたとしたら、成功したの?しなかったの?ああ、私としたことがなんて大失態をしたのかしら!!
 一人で自問自答しつつ部屋の中をいったりきたり。そのとき背後から、

 「あ、あの祥子様、ほ、本当に本当に、私なんかでよろしいのでしょうか?」と、祐巳が私の顔と自分の手を交互に見て聞いてきた。

 照れている祐巳、『本当に私なんかでよろしいのでしょうか?』と聞いてくる祐巳、私の用意したエンゲージリングを指にはめている祐巳、すべて理解した、私はプロポーズに成功したのだと(覚えてないけど)だんだん胸の奥が熱くなってくるのが分かる。心の中でオッシャー!!とガッツポーズをしつつ、(これからは飲みすぎないようにいたします、マリア様)と深く懺悔した。

 私はそっと、緊張している祐巳の頬に手を伸ばし「お馬鹿なこと聞かないの、あなたでなくてはダメに決まっているでしょう。」
 祐巳は「祥子様、うれしい!!」と、目をウルウルさせながら私の胸に飛び込んできた、もう、なんて愛おしいのかしら。
 私は少し、祐巳の頭をなでた後、あごに手をやり、上を向かせ、そっと涙をぬぐいながら言った・・「世界で一番、祐巳を愛しているわ」と。

 「私も、世界で一番祥子様を愛しています。」私たちの唇は当然のように重なっていった。



 「う〜ん ゆみ〜〜 愛してるわ〜〜 なんて可愛いのかしら〜〜〜 」むにゃむにゃ

 ここは、薔薇の館の2階、学園祭などもろもろの行事が終わり、山百合会の仕事も一段落したとゆうこともあり、皆の労をねぎらうのも込めて、コンビニで色々とジュース等を買ってきて打上をしていた。

 「ゆみ〜〜 もう離さないんだから〜〜 」と祐巳にがっちり抱きついて離さないのは、紅薔薇様こと、小笠原祥子様。

 「ちょっと!!誰よ、祥子にお酒なんて飲ませたのは!!」声を荒げるのは、黄薔薇様こと、支倉令様
 「す、すみません、令様、適当に商品を入れてたら缶チュウハイが混ざっていたみたいで・・・」本当に申し訳なさそうな乃利子ちゃん。
 「まあ、いいじゃない令ちゃん、なんだかんだで、二人とも幸せそうだし、ね? 志摩子さんもそう思うでしょ?」
 「ええ、本当に幸せそう、だから、そんなにしょげなくてもいいのよ、ね、乃利子。」
 「し、志摩子さ〜〜ん。」
 「そうは言っても、ねえ、あれだよ、あれ・・・はあ。」

 令様が目を向けた先には、恥ずかしさもあいまって、顔を真っ赤にして固まっている祐巳ちゃんと、酔った挙句、完全に寝ぼけている祥子、祥子は祐巳ちゃんに抱きつき、好き〜〜とか、食べちゃいたいわ〜〜とか、時折、祐巳ちゃんのほっぺにキスまでしている。
 部屋の隅では、「は、離しなさい!!細川可南子!!」血の涙を流しながら祥子に飛び掛らんとしている瞳子ちゃんと、「瞳子さん、落ち着きなさい!!」それを必死に押さえている可南子ちゃん。

 「ゆみ〜〜 なんてきれいなのかしら〜 」むにゃむにゃ

 「すごく良い夢を見てるのは分かるけど、はあ、」
  ・・・ねえ祥子、ファンが見たら絶対泣くよ・・・

 その頃、夢の中の祥子は天使と腕を組み、一緒にバージンロードを歩いていた、祐巳という名の愛しい天使と。


 世界で一番、祐巳を愛しているわ
 私も、世界で一番祥子様を愛しています


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