【1131】 つい見てしまう太陽の少女未来の白地図  (OZ 2006-02-15 04:14:24)


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色々あって現在、なぜか閉じ込められてしまった2人


  夢を見ていた・・・ ような気分になっていた




お願い なかないで・・・ 私は・・・ 笑顔の彼方が・・ 好きなの・・・ 瞳子ちゃん・・・




祐巳様は私の膝の上で可愛く寝息を立てている。私はその寝顔に目を奪われている。
ふと、祐巳様の眼が少し開いた。

「おはようございます、祐巳様。 実際は、今晩は、なんですけど」その声を聞いた祐巳は、
「と、瞳子ちゃん!!」ガバッ!!と祐巳は飛び起き。
「瞳子ちゃん!! 泣いちゃダメ!! 私が悪いんだから!! 笑顔が一番!!」祐巳には似使わない形相!! 100面相中の101的、そんでもって瞳子ちゃんに抱きつきジタバタジタバタ!!

  
 まったく 祐巳様ったら・・・


「いやですわ!!祐巳様、いつ瞳子が泣いていたって言うんですの?」 プイッとそっぽを向く瞳子の瞳には、いまだ・・・ 仕方ないが乾ききれてない(ごめん、その、どう表現していいか解らない)モノが光っていた。
「で、でも・・・  およ? 私、寝てたの?」


祐巳はきょろきょろと周りを見渡し、確認した。間違いなく、ここは薔薇の館一階の物置。
鍵が壊れたらしく2人は閉じ込められている。
「はい、ちょっとですけど、とてもぐっすり。」
「あ、あは、は、   ごめんね・・・」
「別に・・・ 構いません・・・」

「でも・・・ さっきの夢、すごくよかったの。」
「祐巳様は、瞳子か泣くのがそんなに嬉しいんですの!?」
「ち、違うって、瞳子ちゃんが泣くのは別、これは夢の話ね、あのね、白地図にどんどん絵が書き込まれるの、ポイント、ポイントに、ここは薔薇の館、ここはお姉様の教室、ここは、ここは、って感で、どんどん色が付けられていく白地図はまるで絵本の様だった、でね、その夢の中では私はなぜか『太陽』として書かれてたの。」
「はあ・・・祐巳様は太陽・ですか?」まあ、解ります、(色々な意味で)
「そして、瞳子ちゃんが なぜか『月』だった、 すごく綺麗な・・・ とは言え、夢だから私たちには全然関係ないんだけれどもね。」

  ・・・

「勝手な夢は構いません、そして月は確かに綺麗です。 けど、なにか私には納得いきませんは!! 月は太陽の光を浴びて輝いているだけではないですか、結局は日陰の存在でしかありません・・・」
でも、祐巳は慈愛に満ちた目で瞳子を見つめた。
「うん、瞳子ちゃんと同じように夢の中の『月』もそう言ってた。 でもね、『太陽』は静かに呟いたの。」

 
 あなたがうらやましい・・・ って


瞳子にはその呟きの意味がまったく解らなかった。
「へ?? どうしてですの? 太陽は大地を暖め、人の身体も暖めてくれる、何しろ皆を照らしてくれる。でも月にはそんなこと出来ません。」
「うん、確かに『月』の光は大地や人の身体を暖めることは出来ないかも、でも、一人ぼっちの心や、孤独な心を暖めることはたぶん『月』の光にしか出来ない、と、夢の中の『太陽』はそう思っていてね、 そして、嘆いているの、『私には大好きな・たった一人も照らせない、暖められない ・・・』って。

瞳子の心は物凄く締め付けられた。




「瞳子ちゃん、先日家に来てくれたこと、本当に嬉しかった。」

「うお!! い、いきなり話を変えるのですね、   あれはたまたまですは!!」 プイ!!
ふふ、「それでもいいの・それでも・・」憂いをおび、なぜか背を向ける祐巳
その背中を瞳子はなぜか直視できなかった、
「ゆ、祐巳さま・・・」
背を向けながら「瞳子ちゃん、よければまたウチに来てくれる?」
「へ? なぜです?」
「だって、ウチのお母さん、瞳子ちゃんのことすっごく気にいってるんだもん。」
「・・・ お母様のため・・・ だけ、ですか? 」
「そ、その、だめ?」
「ゆ、祐巳様は・どうなんですか?」 祐巳沈黙・・・
 もじもじ


「でも、瞳子ちゃんは祥子様を好きなんだよね?」
「ええ、祥子様は大好きなお姉さまですは。」
「だよね・・・」複雑な顔をする祐巳。
 もじもじ
 もじもじ


「で〜〜〜い!! 祐巳様!! 話を戻します!! もじもじはもういいです!! まったく祐巳様は!! 良いですか、言いたいことがあるなら仰ってください!! 」 瞳子の感情は爆発寸前。 ていうか爆発してますね。
 祐巳は少しびっくり、(心臓が口から飛び出そうだった)そしていった。
「き・・・   ほ・・・   し・・・ い・」顔を赤くして、またもじもじ
「聞こえません!! お願いです!!はっきり・はっきり・・ 聞かせてください・・・」私の声は小さくなっていった。
意を決したのか今度ははっきり、と、までは言えませんけど。
「お、お願い、また来て、お母さんはもとより、瞳子ちゃんが来てくれれば、その、私が、嬉しいの。」
素直に嬉しかった、涙が出そうになった、心が暖かくなっていくのが全身で判る、やっぱりこの人は私にとっては太陽なのですね!? 

でも、反面、確認しなくてはいけないことがあった。 深呼吸を一回、落ち着け。

「有り難うございます、祐巳様、でも、一つ聞きたいことがあります。」
いまだ、祐巳は瞳子に背を向けている。
 ・
 ・
 ・
「祐巳様は、瞳子に何も聞こうとなさらないんですか?」



「祐巳様。」



「聞かないよ。」    
・・・?
「聞こえなかった? 私は聞かないって言ったの。」 祐巳様は私に言った。

「なぜです?」

「なぜって? それは、私が瞳子ちゃんの力になれるか判らないから、瞳子ちゃんが私を必要としてくれるか判らないから、瞳子ちゃんが私をどう思っているか判らないから、 だから聞かない、私はバカだから内容が何なのか判らないけど、聞いたらちょっかいを出すと思う、ううん、絶対出す、でも、それで瞳子ちゃんに迷惑を掛けちゃたら私は・・・ それが怖いの、   ごめんね、ほんと、結局自分勝手だよね・・・」肩が震えている。

夜を照らしていた月が雲に隠れ、物置の中が暗闇になる。

闇の中

「その、違います祐巳様、本物のバカで自分勝手なのは瞳子です、1年前のことを思い出すと自分で自分が憎らしくなるくらいです、祐巳様には何も心配することはございません、祐巳様の夢を借りるわけでは有りませんが、やはり祐巳様はこの学園にとって『太陽』なお方です。」





「本当に?」
「はい、本当に。」
「瞳子ちゃんにも?」
「うえ ・・・ も・ももも!!もちろん・・・ ですは!!」
「でも・・・この前・・・ ロザリオ・・・」 クスン
「もう! 先程も言ったとおり、其の時は私がバカだったからですは。私の事も気持ちの整理が付いたら祐巳様にお話します。」ふん! 
 言った後 は!! うは!? うえ〜〜〜〜
今、私すごい告白をしてしまったんじゃないかしら!!

「瞳子ちゃん」

雲が切れ、再び月の光が物置の中を照らすと、祐巳様は私に向いていた。

祐巳様は私を見つめていた、月の光に照らされた彼女は、その、とても美しくて素晴らしかった・・・

「夢で見たとおり、やっぱり瞳子ちゃんは『月』があってる、私の暗くなった心をこんなにも照らしてくれる、暖めてくれる、だからもう一度、お願いしたい、 彼方じゃなきゃ嫌なの。」

私の心はもう決まっていた、いくら月の光が心にとって暖かいといっても太陽(祐巳様)の暖かさ、慈愛、抱擁(夢だけれど、夢じゃない)には、誰にも勝てない。勝てるわけありません。

「では、言います!」 ごくり
「はい!!」 これまたごくり

「私は彼方の良い姉にはなれないかも知れない、でも、彼方が私の妹になってくれたら私は嬉しいし、幸せ、だ、だから、これを、彼方の首に掛けてもいい?」

祐巳様の首からはずされたロザリオは月の光に照らされ、まるでダイヤモンドのごとき輝きを放っていた。

「お受け・・・します・・・」
「ありがとう、瞳子ちゃん。」


窓越しの月だけが2人を見ていた。











もう一回、ちょびっと続く、はず?


  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「まあ、大体予想していた展開よね。」
 ビリビリバリバリ!! (ハンカチを破っている祥子様)
「落ち着きなさいよ、祥子、ハンカチに罪はないでしょう?」
「で、でも私の祐巳が〜〜〜〜」涙はらはら、ハンカチビリビリ!!
「もう、彼方もこれでおばあちゃんなのよ、しっかりしなさいよ。ね?」

「・・・それもそうね、でも、とりあえず腹いせ第2弾行きましょうか。」
「え?」
「聖様と令が隠れてラブラブって、由乃ちゃんと志摩子と静さんに教えるの。」
   ぶっ!!
「 マジでやめて、お願い!!うそだし!!そんなことないし!!」青ざめる令様
「もう、メール送っちゃった。うふ。」


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