ここを開いた時、砂森さまの作品【No:1151】とこのタイトルが出ていたため、書いてしまいました・・・・・・。
砂森さま、ごめんなさいm(_._)m
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「のう、兄者、あれはリリアンの白薔薇のつぼみではないか?」
「うむ、弟者、あれはリリアンの白薔薇のつぼみだな」
「のう、白薔薇のつぼみは可愛いな」
「うむ、白薔薇のつぼみは可愛い」
「のう、兄者」
「うむ、弟者」
S駅前のショッピングビルでとある高校生の集団が、なにかを探して右往左往していた。
「ったく、何処行ったんだ?あの二人。
ゲームセンターは隣のビルだって言っておいたのに」
たぬき顔の少年が集団の先頭を大股で突き進む。
「あれだけ大きいから目立つと思うんだけど、見つからないね」
少女のような男の子が、先頭の子の服を摘まみちょこちょことついてくる。
「これだから筋肉バカは使えないんだぐぇ」
「んー、筋肉バカつったのはこの口かな?小林くん」
メガネの少年の軽口を、やけに胸板の厚い少年が力業で封じ込める。
「いきなりネックブリーカーなんかかけるな、高田。死ぬかと思ったぞ」
たぬき顔の少年はその場で喧嘩を始めそうな二人の頭に拳骨をお見舞いして無理やり割って入る。
「ケンカしてないであの二人を捜せよ」
「そうは言うがなユキチ、この上の階は女の子向けの服ばかりだ。さすがに先輩達でも入り込まないだろ?」
筋肉質な少年が指さしたエスカレーターの案内板には、彼らの聞いたことも無いようなブランドの名前がずらずらと書かれていた。
「ま、普通はそうだろ・・・あれ?今降りて行ったの、乃梨子ちゃんじゃないか?」
「おまえ、ほんとに馴れ馴れしい奴だな。
でも、たしかに二条さんと松平さんだったな」
メガネの少年の顔に裏拳を打ち込みながら、エスカレーターを降りて行く人影を目線で追いかける。
「いいなぁ、女の子同士で可愛い服とか買い物してたんかなぁ。羨ましいなぁ」
「服がか?」
「ばか、女の子同士で買い物ってのがだな・・・」
「はいはい、・・・・・・私は可愛い服が着れるのが羨ましいなぁ」
その言葉に全員の動きが止まる。
「なぁ、アリス、俺今の言葉にすごく嫌な予感を感じるんだが」
「ユキチ、まさかそれは無い・・・と思いたいんだけど」
「でも、あの学園祭で女装に目覚めたとしたら・・・」
と、上の階から女の子たちの黄色い悲鳴が木霊した。
『きゃー!化け物〜!!』『いやー!こっちにこないでー!!』
「・・・・・・このまま回れ右で帰るってのはどうだろう?同士諸君」
「・・・・・・それが一番だと思うぞ、同士ユキチ」
「では」
彼らがその場から逃げ出そうとした時、その物体がしずしずとエスカレーターを降りてきてこう言った。
「おう、お前達ここに居たのか」「ここに居たのか」
「「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!!」」」」
一目散に逃げ出す彼らが見たのは。
肩の筋肉に貼りついている白いブラウスを、当然ボタンが留まることもなく無理やり着込み。
辛うじて腰に引っ掛かっているレースたっぷりのローズガーデンワンピース、あるいはジャンパースカートに身を包み。
そこから臑毛と筋肉の鎧に覆われた二本の足を晒した日光月光兄弟だった。
「はっはっは、美しかろう?」「美しかろう?」