昔、激しい戦争があった。
この学園の生徒、そして親、私を支える台座に寄り添い『皆、さあ、マリア様のもとへ行きましょう、大丈夫怖くないよ、マリア様が包んでくれるよ・・・』
む・無理よ!! 私には何の力もない!! マリアってだれ!! お願い!! 助けて!!
マリア!! マリアって誰、あんた誰よ!! 聞いてるなら答えて!! 力が在るなら、皆を助けなさい!!
時は流れ
私は皆に、普通に『マリア様』と呼ばれている。
なぜだろう?
朝になると、この学園の生徒たちは私に向かい、手を合わせ「今日も心安らかな日を」とか「心通い合う妹を・・・」とか、色々私にいっぱい言ってきた。
実際困った、だって、(自分で言うのもなんだけど、)私の造形は見事だと思う、けど、私はただの石だし、『マリア様』なんて言われても、そもそもマリア、なんてやつを知らない。
知るもんか、ふん!!
その以前に、なぜ? 私の基本は石よ? 私に意思があるのが不思議ね。石だから意思・・・ やばい、くだらな過ぎる。
色んな不思議があるけれど私はここに立っていることしか出来ない。
けど、立っていることしかできない私は、心を込めて願った、私の前に来てくれた可愛い子達の幸せのため。
あ!! そう、そう、でも見返りも在るんですよ。
「マリア様、ご報告します、この子がこの度私の妹になった・・・」
この学園のルール、私にとっては不思議なルールですけど、姉妹になった事の報告をなんとも幸せそうに、これは本当に心安らぎます。
出来ることならば、この2人、そして次の世代まで幸せが続きますように。
いつの間にか、この学園の皆の幸せが私の幸せになっていたんです。
ま、これはこれでいいかな?
また、時は流れ、私は皆に『マリア様』と呼ばれるのも当たり前になっていた。
あら? ちっちゃな子が走ってきます。あ、だめよ、そんなにはしゃいで、ころんだら・・・
ずさーーーー
もう、いわんこっちゃない、大丈夫? 痛くない? ないちゃだめよ? まあ・・・聞こえないか
「だいじょうぶ、なかないよ。」ぐすぐすごっくん。
へ?
「ありがとう、まりあさま」
わたしの声、聞こえるの?
「? 聞こえるよ、何で?」
何でって!? 私、石造よ?
「せきぞう? まりあさまの、みょうじ? あ!! 『せきぞうまりあ』 が、本名?」
そんな事あるわけないでしょ!!
「?」
「まりあさま、本当に綺麗」女の子は私の脇にちょこんと座った。
そりゃどうも、ありがとう、って 何か見えるの!! この子には声以外に、私の別な姿が見えているらしい。
「見える? 何のこと?」
その、石の私以外の姿・・・
「石、お姉ちゃん石なの?」
・・・何なのこの子・・・ とりあえず、私に触れてみて。
「どっち?」
動かないほう
「なんで?」
基本的にはそっちが本体だから。
さわさわ・・・
「お姉ちゃん固いね。」
でしょう?
「なんで?」
なんでって言われても、その、私、さっきも言ったけど、基本的には石だから・・・
「ふーん、でも、石って暖かいんだね。」
そんなわけないでしょ。 って暖かい? な、何言ってるのあなた?
「でも、あったかいよ、、せきぞうまりあさま。」
せきぞうはほっといて・・・
「なんで? みょうじなんでしょう?」
い、いや、その・・・ ハハハ・・
「くすぐったい?」
・・・
そんなんじゃないのよ・・・
「よかった。」
「でも、せきぞうまりあさまは、ながいから、まりあさまって呼ぶね。」
好きによんで、
「あのね、まりあさまはなんさい?」
ごめんなさい、実際わからないの、ず〜〜と、昔からの記憶があるけど、でも、一生懸命忘れようとしてるのよ。
「なんで?」
こわいの・・・
「忘れなくちゃ、だめなの?」
そうね、わすれたいの・・・
「でも、わたしは、まりあさまを忘れないよ」
ありがと、でも、あなたちっちゃいから、大きくなっていく時には私とお話した事、忘れちゃうかも?
「忘れないもん!!」
本当に?
「うん!! 本当に。 だから、まりあさまもわたしのこと、わすれちゃやだよ。」
わたしも・・・ 忘れるわけないじゃない。
あ、ところであなたのお名前まだ聞いてなかったね、教えてくれるかしら?
「みき!!」
そう、みきちゃん、いいお名前。
「ありがとう」
ばいば〜〜〜い
女の子は元気に帰っていった。
其の時!!
『まったく、こんな依代は前代身門よ!!』光と共に一人の少女が現れた。
ごめんなさい。 見た目は子供、でも、あまりの光の差に、思わず謝ってしまった。
『あなたは、私の分身なのよ!!』
ごめんなさい
『ずるいじゃない!!』
ごめんなさいって!? へ?
『へ? じゃないわ! 私だってあの子とお話したかったのに〜〜〜〜〜〜 むき〜〜!!』
なに言ってるの?この子?
『貴女こそ何言ってるの!! もう!もう!!』
だだをこねる彼女、空中で、じたばたじたばた!!
その、あなた、だれ?
『さっきから言ってるでしょ!! 私は貴女、貴女は私、分身的な存在、解った?』
ぜんぜん解りません、分身って言われても私、石ですよ。
『うるさいの!! そんなこと関係ないの!!』
なんともまあ、わがままプーだ。
『なによ! 自分で呼んでおいて無視するの?』
はて? 呼んだかしら?
『マリア!! あんた誰よ!! 聞いてるなら答えて!!』って言ったじゃない。
ドクン!!
マリア!! あんた誰よ!! 聞いてるなら答えて!!
ドクン!!!
マリア様のもとへ行きましょう、大丈夫怖くないよ、マリア様が包んでくれるよ・・・
ドクン!!!!
いやあああ〜〜〜〜!! だめ!! 私にそんな力はない!! 逃げて・・・ お願い・・・ にげて・・・
『あ、あの、どうしたの、』マリアがそっと手を触れようとした、だが、
触らないで!!
い、いや、皆死んじゃう、来ないで、私には何も出来ない・・・ いや、いや、いやあ〜
『何なのこの力・・・』
あなたなんか知らない!! あなたがどんな高貴な存在だろうが関係ない!! わたしはここに居る、そして、ここの皆を守る、守りたい、
感情が一気に爆発した
守りなさいよ!! 守らせてよ!! あんた、神様なんでしょ!! 皆の母なんでしょ!! だったら皆の・・・ 幸せ・・・ 守ってよ・・・ みんなの思い出・・・ 取らないでよ・・・
『ちょっ、ちょっと混乱しないで、なんか勘違いしてるわよって、ねえ、あなた!?』
まりあは台座の中に閉じこもってしまった、もうマリアが何度呼びかけても出てこない。
『もう!! なんて石頭なのこの子は・・・ は!! もともと石、だったわね。』やれやれ
数年たった。
はあ、はあ、一人の少女が走ってくる。
『お願いだから出てきてよ・・・ ほんとに誤解なんだから、わたしは貴女にお礼を言いに来ただけなの。まったくいじけてないで話を聞いてよ。』
・・・
『ほんとだってば〜〜 こんなこと何年も続けたって不毛じゃない。』
・・・
『お願いだから出てきてよ〜〜 あれ、あの子? 見て、あの子たぶんこけるよ。』
ずさ〜〜〜〜
豪快にこけた。
なにやってるの!! 大丈夫!! 痛くない!! 泣いちゃだめよ!! んもう、ぜんぜん成長しないんだから!!
「ごめんね、大丈夫、泣かないよ。」
『はい、やっと捕まえた。』
やべ!
「マリア様が2人いる・・・ なんで?」みきは目を白黒
・
・
・
・
・
『だからね、覚えていないかも知れないけど、あの時貴女は皆を救ったの、』
そんなの信じられない
『でも、本当よ、あの時私は世界中から助けを求められた、悔しかった、声が聞こえても私は皆を助けられない、 其の時貴女はここを助けてくれた。』
「私のひいおばあちゃんがその一人なんですよ。」
うそ!?
「ひいおばあちゃんが言ってました、あの時、とても暖かい光が皆の身体を包んだんですって、そして、気づいたら静かになっていた『マリア様』はとっても優しく微笑んでいたって。」
そんな!! そんなの・・・ 私じゃ・・・ ないわ。
『いいえ、貴女がやったのよ。』
うそよ!! そんな力私にあるわけないじゃない!!
「でも、時際、母が生きていて、私が今ここに居ることが、全ての証明なんですよ。」
そんな!! そんな!! でも!! よかった、みんな生きてる!! よかった・・・ よかった・・・
リリアンのマリア像の瞳から涙が流れた、その涙を受け取った大地からは花が溢れた。
『ごめんね、この場所は貴女が見ているほうが良いみたい、だから、今後も、お願いできるかしら?』
ええ、私は貴女、貴女は私、ここは私がずっと見てる、なにができるか解らないけど。
『ありがと、「私」。 ほんとに安心したわ。』
またまた時は流れ
その後、彼女にも素敵なお姉さまができ、素敵な妹ができた。その度に報告に来てくれ、色々お話した。
「聞いてよ、まったくあの子ったら・・・」
何言ってるの、貴女はもうお姉様なんでしょう? もう少し大人になりなさいな。
「そんな事いっても・・・」
しっとは、見苦しいわよ。
「し、嫉妬じゃないもん!!」
おねえさま〜〜〜
あら? 可愛い妹さんが走って来るわよ。
「まったく、そんなに走ったらこけるじゃない・・・」
ずさ〜〜〜〜
豪快にこけた。「い、痛いです、お姉様・・・」ぐずぐず
「なにやってるの!! 貴女って子は、大丈夫!! 痛いのはあたり前でしょう!! 泣いちゃだめよ!! んもう、ぜんぜん成長しないんだから!!」
『ぷ!』
「なによ!!」
『いや、あなたから「成長」なんて言葉が出てくるのがなんだかおかしくって、 うぷぷ、』 口を押さえるマリア
「どういう意味かしら・・・ マ・リ・ア・さ・ま・」妹を抱きかかえつつ、ピキピキ(青筋が立つ音)
『そのまんまよ』 再びうぷぷ
まあ、まあ、貴方たち、とりあえず妹さんを助けるのが先でなくって?
ああ〜〜そうだった。
「あ、あの〜〜、お姉様!?」
「ん!? なに?」
「こちらの、お美しいお二人は、どちら様なのですか?」 まだ、少し涙目をしつつ私に聞いてきた。
「見えるの!!」
『見えるの!!』
見えるの!!
三人の答えに目を白黒させながら、「はあ、普通に見えますが・・・ 何か変ですか?」
「あらためて紹介するは、こっちはマリア。 かなりのわがまま小娘よ。 年は、げふんげふん」
『言うわね・・・』
「こっちは、まりあ、言ってみれば私にとっての本当のお姉さん。見たいなもの。」
まあ、うれしいわ
『何なのよ、この差は!!』
ま、まあ、こんなお姉様だけれども頑張ってね、私たちもいつも見ているから、がんばってね。
「そんな感じよ。」
「いやですわ!! 今日から貴女たちは私の敵です!!」 ビシ!!
はい?
『敵って、言ってみれば私神様よ? まりあだってすでに神と同じクラスよ。』
「だからなんです、私はお姉様を、私自身でお守りします!!」
まあ!!カッコイイ!!
「まあ!!カッコイイ!!」
『まあ!!カッコイイ!! じゃ、ないでしょ!!』むき〜〜〜〜
まあ、まあ。 マリア、ここは2人の世界よ、私たちは黙って見守りましょうよ?ね?
『だって〜〜〜〜』
ごめんね、この場所は貴女が見ているほうが良いみたい、だから、今後も、お願いできるかしら?
こう言ったのは貴女よ、ね?
『むう〜〜』
むう〜〜 じゃないでしょ、少し私たちは、この子らに干渉しすぎたような気がするの、だからね、少し見守りません?
『でも、この子達ともっとお話したい、いきなりなんて・・・』
いずれまた会えます。
『はあ・・・ しょうがない、ここは私が言った手前、貴女の場所なんだし。』
ありがとう
『でも、約束しなさい、私はまたこの子達とお話したい、何年経とうが!!』
はい、解ってますよ。
「じゃあ、少しのお別れ?」
すぐ、会えるわよ。
「私は、一生お会いしたくありません。」 にこにこ
やっぱすごいこの子・・・
『私、嫌いこの子・・・』
時はまたと過ぎ
ふと、私は目覚めた、
あら? ちっちゃな子が走ってきます。あ、だめよ、そんなにはしゃいで、ころんだら・・・
ずさーーーー
もう、いわんこっちゃない、大丈夫?痛くない?ないちゃだめよ? まあ・・・聞こえないか
「だいじょうぶ、なかないよ」
へ?
「ありがとう、まりあさま」
わたしの声、聞こえるの?
「? 聞こえるよ、何で?」
何でって!? 私、石造よ?
「せきぞう? まりあさまの、みょうじ? あ!! 『せきぞうまりあ』 が、本名?」
そんな事あるわけないでしょ!!
「?」
「お姉ちゃん綺麗」女の子は私の脇にちょこんと座った。
そりゃどうも、ありがとう、って 何か見えるの!! この子には声以外に、私の別な姿が見えているらしい。
「見える? 何のこと?」
その、石の私以外の姿・・・
「石、お姉ちゃん石なの?」
・・・何なのこの子・・・ とりあえず、私に触れてみて。
「どっち?」
動かないほう
「なんで?」
基本的にはそっちが本体だから。
さわさわ・・・
「お姉ちゃん固いね。」
でしょう?
「なんで?」
なんでって言われても、その、私、さっきも言ったけど、基本的には石だから・・・
「ふーん、でも、石って暖かいんだね。」
そんなわけないでしょ。 って暖かい? な、何言ってるのあなた?
「でも、あったかいよ、せきぞうまりあさま。」
せきぞうはほっといて・・・
「なんで? みょうじなんでしょう?」
い、いや、その・・・ ハハハ・・
「おかしいの?」
・・・
おかしくありません・・・
「よかった。」
「でも、せきぞうまりあさまは、ながいから、まりあさまって呼ぶね。」
あなたのおなまえは?
「あ!ごめんなさい! わたしは、ふくざわゆみっていうの」
『じゃあ、祐巳ちゃんって呼ぶね。』
マリア!!
『おひさしぶりね、まりあ、ごめんね、なんかここを見てるのが本当に好きになっちゃって、また来ちゃった。』えへ。
えへ。 じゃないです!! マリア!!
「お姉ちゃんたち、双子?」
その、う〜〜ん、ごめんなさい、実際わからないの、でも、ず〜〜と、昔からのマリアと一緒の記憶があるけど。
ガバッと抱きつき『でも、今はもう双子以上なのよ!!』ね?まりあ。
な、なにを!?
「あのね、わたしここのしょうとうぶ(初等部)に通ってるの、お姉ちゃんたちはこうこうぶ(高等部)?」
『そうなの、私たちは高等部に通っていて、いつも祐巳ちゃんを見守っているのよ。』
な、なにを!?
「うれしい!!」祐巳はなんとも輝かしい笑顔をする。
『この笑顔、見ていたくない? ね? ま・り・あ・』ぼそ
卑怯者 ぼそ
『それじゃ、これからの祐巳ちゃんを見守りましょうか』
干渉はだめよ。
『私は我慢できるけど、貴女に我慢できるの?』
どういう意味かしら・・・
『そのまんま。』
ふん!! 大丈夫に決まってるじゃない!!
『ふ〜〜ん あ!! 祐巳ちゃん危ない!!』
な!!なに!!何なの!! どうしたの祐巳ちゃん!!
にやにや
『じゃ、この可愛い子を一緒に見守っていこうか、ね?』
卑怯者・・・