【1262】 くちびる猛チャージ  (OZ 2006-03-16 01:03:16)


私はお茶や、お菓子などで、あまり甘いのを好まない。


「あ、あの、祥子お姉様に召し上がって欲しくて、その、作ったんですけど、分量を間違えてしまって、その、余っても勿体ないので、ゆ、祐巳様もどうです。」祐巳から背けた頬が赤く染まる。

そんな訳で、私と祐巳と瞳子ちゃんの3人で少し、いや、少しではない、かなり甘さが強めなケーキを頂いている。
手作りケーキを持ってきたのは瞳子ちゃん。
生地の分量と砂糖の分量を間違えたのは誰の為かしら?
「う〜〜ん!! 甘〜〜い!! おいし〜〜!!」
かなりの甘党な祐巳は、満面の笑みをしつつ瞳子ちゃんのケーキを食べている。
その顔をチラチラ見つつ、なんとも嬉しそうな、恥ずかしそうな顔をしている瞳子ちゃん。
誰のために作ってきたのかはバレバレね。
 

「祐巳。」
「ふあ? なんですか?」もぐもぐ
「あのね、貴女は紅薔薇の蕾なんだから、もう少しお淑やかに食べれないの?」
「ご、ごめんなさい、お姉様、あんまり美味しくって、つい・・・」
「まったく、そんなに唇にクリームを付けて、子供じゃないんだから。」
「あわわ。」あわてて祐巳はティシュを探した。
「もう、いいから。」私は祐巳の顔に手を伸ばした。
「そ、そんな、お姉様に拭いてもらうなんて・・・」
「いいのよ、だから動かないの。」
「で、でも・・・」
「祐巳。」
「すみません、それでは、お願いします。」
「じゃ、目を閉じなさい。」
「は、はい・・?」
目を閉じた祐巳に顔を近づける


   ぺろん      祐巳の唇に柔らかく、暖かく、甘い感触が走った。


「はい、きれいになったわよ。」

「!! おおおお姉様、その!!??」
「どうかしたの? 唇のクリームを取っただけでしょ?」
「で!! でも!! 」
「でも? なに、嫌だった?」

「 嫌じゃないです ・・・ う、嬉しかった、です ・・・ 」祐巳はそのまま俯いてしまった。

瞳子ちゃんは、ぽかーんと口を開け、石のように固まっている。

瞳子ちゃん、まだまだ青いわね。
祐巳はケーキなんかの甘さより、こんな甘さのほうが好きなのよ。


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