私は、あのホームに立っていた。
それは、約束の場所。あなたとの待ち合わせの場所。
そして、あなたが来なかった場所。
アナウンスと共に入線してくる電車を、なんとはなく目で追いかけながら、
私はそこにいない、でも、きっとそばにいる栞に話しかける。
ねえ、栞、聞いてよ。
あなたがいなくなった後、大変だったから。
でもね、お姉さまが私のことを救ってくれたんだよ。あと、どんなに蓉子がお節介だったか。
そして、そんなお節介にどれだけ私が助けられたか。
ねえ、栞、聞いてよ。
私にも妹ができたの。あなたとは違う。でも、私にとってはあなたと同じくらい、大切な人。
尊敬する人もできたよ。その人の名前は福沢祐巳ちゃん。
後輩なんだけど、いつも前向きで温かく柔らかいんだよ。
道に迷っていた私は、その子のおかげで、大学に通うことになったよ。
ねえ。栞、あなたと見たいと思っていた夢はあの時とぎれてしまったけれど、私はみんなのおかげで、絶望から立ち直れることができたよ。
ねえ。栞、あの時夢はとぎれてしまったけど、二人の関係は、まだ続いているって思っていて良いよね。
ねえ、栞。私はまだ、あなたのことが大好きだけど、あなたは私のことを好きって言ってくるのかな?
ねえ、栞。もう少し、もう少し、経ったら、あなたに逢いに行っていいかな?
そんな素敵な仲間たちのおかげで、私はリリアンを卒業できたっていう報告をあなたにしたいから。
ねえ栞………。
途切れた夢、二人の続き、ある晴れた日の昼下がり、君への想い、今はまだ……。