【1667】 なんとなく運命の歯車が愛はどこにあるの  (六月 2006-07-06 22:42:53)


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乃梨子さんが教室に戻ると、このところ一人でお弁当を食べているはずの瞳子さんが居なかった。
瞳子さんの椅子に近寄ると座布団に触れている。かすかに残る温もりを感じたのか。
「温かい・・・」
と呟いた。やってみてからTVドラマみたいでちょっと恥ずかしくなったのか頬が赤くなっている。
乃梨子さんは自分の席に空のお弁当箱を置くと、瞳子さんを探しに教室を飛び出して行った。


「ご覧になりまして、美幸さん」
「えぇ、敦子さん。乃梨子さんは瞳子さんの座布団をお触りになって『温かい』とおっしゃってましたわ」
「しかも、その後にほんのりと頬を染めてらして」
美幸さんと敦子さん(あんどその他)はガッシリとスクラムを組むと。
「禁断の愛ですわ!!」
と雄叫びを上げた。
「私、クラブのお姉さま方から聞いたことがありますの。先代の白薔薇さまは女の方しか愛せないお方だったと」
「今の白薔薇さまも乃梨子さんやつぼみの方々と、かなり親密なご関係だとか」
「乃梨子さんも禁断の愛に目覚めてしまっておられるのね?」
って、代々の白薔薇さまは同性愛者ですか?
「さて、愛する人の座布団に頬擦りして温もりを確かめる、ガチな乃梨子さんに私達ができることは何でしょう?」
おいおい、いつ頬擦りしたよ?
「愛しい人の温もりに頬を染めるガチ薔薇のつぼみを、そっと応援して差し上げることでしょうか」
だから、あれは自分の行動が恥ずかしかったんだろうって。しかし、さっそくガチ薔薇呼ばわりか?
「では皆さん、私達はこれから『ガチ薔薇のつぼみの禁断の愛をこっそりと応援し隊』として二人を見守る、ということで参りましょう」
「「「「「おーーー!!」」」」」
いや、全然こっそりじゃないから。
この学園のノリには慣れたつもりでいたのだけれど、やっぱり慣れたくは無いなぁ、とも思う細川可南子であった。


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