【1666】 運命の紅い糸闘争の時間  (joker 2006-07-06 02:26:15)


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 その人物は唐突に現れた。

 いつか見た私服と、白いウエスタンハットを被った姿で現れた。

「や、電動ドリルちゃん。偶然だね」

 選挙の当選発表が終わってまだ1時間も経っていない、このタイミングで、先代白薔薇様 佐藤聖は私の前に現れた。
「なんのようですか」
 唐突の出現に、警戒している私をよそに、全くの無防備な笑顔で、聖さまは近づいて来る。
「『なんのようですか』って、そんなに警戒しないでよ。ただ私は貴方の手際を讃えにわざわざ来たんだからさ」
「…………」
 言葉とは裏腹に、その軽薄そうな表情とは裏腹に、その目は笑っていない。
「まさかまさか、ここまで大業な手段を使うなんて、私も思わなかったよ。まさにチェック・メイト!詰みって感じだね」
「何の事か測りかねますわ」
 全く表情を変えずにとぼけて見せたが、しかし、佐藤聖は止まらない。
「この手なら、祐巳ちゃんもかなり困難になるだろうね。いや、下手したら無理かもしれなくなる。そこまでして、祐巳ちゃんを嫌いになりたいのかな?」
 そして、聖さまは私の前まで近づき肩に手を置く。

「どうなのかな?松平瞳子ちゃん」

 私は黙ってその手を払いのける。
「関係ありません。それに私は祐巳さまのことは大嫌いです」
 あんな優しさ、同情と言うのもおこがましい。
 本当に、最悪だ。
 だから、私は、祐巳さまの妹には決してならない。

********************
 去っていく瞳子ちゃんを見ながら、私は紅薔薇の系譜の厄介さをつくづく思いしらされた。
 全く、蓉子といい祥子といい、なんであんな厄介な人達しかいないのだろうか?祐巳ちゃんは本当に例外的な存在だ。
 だからこそ、私の抱きマクラなのだが。
「……祐巳ちゃんに言った、出番なんてほとんど無い、みたいな事、撤回しようかなぁ」
 史上最強のツンデレを前に、祐巳ちゃんだけでは酷だろう。こういう時こその、祐巳ちゃん専用ヒーロー、佐藤聖だ。
「そうと決まれば、さっそく祐巳ちゃんを抱きしめに行かねば!!」

 最近、祐巳ちゃんのプクプク感を味わってなかったしね。




《道化師のアクトレス後日談 end》


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