がちゃSレイニーシリーズです。
最初から読みたい人はくま1号さんのまとめページか
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このお話は琴吹が書いた「【No:1707】未来の夢クリティカルヒット!」の続きとしてかかれています。
「ふぁぁぁぁ」」
おおきなあくびをする。
あわてて手を口元に当てる。
正直言って眠い。
昨日の夜、可南子さんからかかってきた電話。そして言葉の意味。
『紅の十字架がドリルに巻き付いた』
気になってネットで調べてみたけど、さっぱりわからなかった。
紅の十字架に白百合をあしらった校章をもつキリスト系の学校が引っかかったくらいだった。
ちなみにそのキリスト系の学校によると紅の十字架は誠実または犠牲、奉仕をあらわしているのだそうだ。
あとは、思いつくのはいつのころだったか、日出実さんから聞いた紅の十字架と呼ばれた白薔薇さまがいたらしいということだけ。
なんか、わかりそうでわからない。言うなればくしゃみが出そうででないようなそんな感じ。
結局。深夜帯まで寝付けなくて、今こんな状態になっている。
のろのろと、校門を抜け、マリア様の前にたどり着く。
そして、最近のいつものお願いをマリア様に頼む。
「瞳子と祐巳さまが姉妹になれますように」と。
私にはもう祈ることしかできなかったから。
そうお願いして、ふと、可南子さんのあの言葉が思い出された。
「も、もしかして………」
後に思い浮かんだ言葉を思わず飲み込んだ。
瞳子が祐巳さまの妹になった?
十字架はロザリオのことに違いない。ドリルといえば瞳子の縦ロール。これはすでに原作でもお墨付きをもらっている。
ロザリオが巻き付いたということは瞳子がロザリオを受け取った言うことではないのか。
だとしたら、ここでいう紅とは紅薔薇の事を指しているに間違いないだろう。
私はいてもたってもいられなくなって、教室へと早足で向かった。
ここじゃリリアンじゃなかったら、ダッシュで向かうところなのに。
早く確認しなくちゃ。はやる気持ちを抑えて、私は教室に向かう他の生徒を追い越しながら、教室に向かった。
教室に入ると、すでに瞳子は来ていて、自分の席に座っていた。
「ごきげんよう」
私を認めたクラスメートたちが朝の挨拶を投げかけてくる。
「ごきげんよう」
無礼にならないように、それなりに挨拶を返し、私は鞄もおかずに、瞳子の前にたった。
「ごきげんよう 瞳子」
「ごきげんよう 乃梨子さん」
しばしじっと見つめ合う。
「えっと………」
私が深呼吸して、真実を聞き出そうとする前に、瞳子の方が動いた。
「乃梨子さん。お願いがあるのですが?」
「え? なに?」
瞳子からお願い………すごく嫌な予感がする。
そしてその予感が正しいものだったと私は認識することになる。
「白薔薇さまのロザリオを返していただきたいのですけど………」
「ど、どうして! 瞳子は祐巳さまからロザリオをもらったんじゃないの?」
そういって、瞳子の胸元をじっと見つめる。
そこには瞳子の薄い胸があるだけで、私があるだろうと予想した祐巳さまのロザリオは存在しなかった。
瞳子はその言葉に、ゆっくりと首を振った。
「今の私には祐巳さまの妹になる資格はありません。だって、今の私は、白薔薇のつぼみなのですから」
その言葉は、魔法の言葉だった。一瞬にしてクラスに静寂が訪れてしまうくらい。
私は瞳子の真意が知りたくて、彼女を顔をじっとのぞき込んだ。