【No:1824】の続編。
乃梨子と祐巳姉ぇがリアル姉妹なラヴラヴ?もののはず。恐らくきっと多分
「ノ〜リィ〜!」
「……ポロッ」
説明。薔薇の館の近くで志摩子さんと一緒にお弁当を食べてたら祐巳姉ぇが現れて、
あまりの驚愕に箸で持っていた玉子焼きが落ちた。以上説明終了。
「さ、志摩子さん。食べよ食べよ」
「え、そ、そうね」
「無視!?志摩子さんまで無視するの!?ひどい!!せっかく手作りお弁当持ってきたのに!!」
だったら余計にヤだよ。料理上手くなったと思ったのに、相変わらずびっくり料理人だったし。
ふと見ると、志摩子さんがオロオロとした視線で私と祐巳姉ぇを見ていた。
「心配しないで、志摩子さん。この人ヒマなだけだから」
「ばれちゃしょうがないけど、分かってるならもっと構ってよ」
「こんなトコで遊んでないで勉強しろ」
そんなふてくされた顔されても困るんだけどな。
(諸事情によりタイトル変更とか)
祐巳姉ぇがガン見してる
Vol.2『鉄人姉ちゃん我慢出来ない』
「あら、祐巳さま。どうしたんですかこんな所で」
なんでいるんだ松平!!そんなに息を切らせて、弁当片手に!!
「あ、瞳子ちゃん!聞いてよ〜。ノリったら私の作ったお弁当食べたくないって言うの」
「そこまで言ってないけどね」
というかわざわざ志摩子さんとの至福の一時を邪魔しにくるからそうなるんだ。
「………はぁ、祐巳さまの、料理。ですか」
おや?いつもの瞳子らしくもない。祐巳姉ぇに対してこんなに歯切れの悪い反応するなんて。
そう思い、私はちょっと明後日の方を見ている瞳子に耳打ちした。
「どうしたのそんな顔して」
「いえ…以前祐巳さまの料理を食べて以来味覚が……ゴニョゴニョ」
あちゃあ…柏木さんと祐麒さんの前例があるのを知らないわけでもないだろうに。
まぁ、瞳子のことだから「それでも!」って思いが強かったんだろうけどなぁ……。
そんなわざわざ苦行を自分から背負い込んでしまった瞳子は置いておいて、私たちは弁当食べようか志摩子さん。
「そうね」
「お〜い!忘れてる忘れてる。1人忘れてる〜」
「瞳子もせっかく来たんですからここで食べることにしますわ」
結局、祐巳姉ぇも手作りお弁当を自分で食べることにしたらしく、せっかくの静かで落ち着いた雰囲気の2人っきりの空間が
見事に崩されていった。おのれ。
「あら、乃梨子。ご飯粒付いてるわよ?」
「え?あ、ごめんね志摩子さ」
「あぁ!ノリケチャップ憑いてるよ!!」
「字が違ぇよ」
「あら、乃梨子さん。後ろになにか憑い…」
「だから字ぃ違うからさ!」
なんなのだろうか、この人たちは(志摩子さんを除く)。
いつもは祐巳姉ぇにベッタリな瞳子も、今日はいっしょに私をイジってくる。
まぁあれだろう。祐巳姉ぇと一緒に。ってのがポイントなんだろう。恐らく。
「うわーん。志摩子さーん、私の時だけ明らかに態度が違うよ〜」
「あら、それくらい心を許してるという事になるんじゃないですか?祐巳さま」
おい祐巳姉ぇ!とりあえず志摩子さんから離れて離れて!!
「じゃあノリでいいや!」
いいや!じゃなくて。だからなんでそこで抱きついてくるのかな。
ほら、瞳子も志摩子さんも変な目で見てるから。というか「いいや」ってのは失礼じゃない?
「って所ですわね」
「ありがとう親友。表情1つでそこまで私の心境を察してくれるなんて、いい親友を持ったよ私は」
だから帰れ。
なんて事をしていると、突然祐巳姉ぇの携帯が鳴り出した。マナーモードって言葉を知らないらしい。
「びっくりしたぁ〜。えっとっと……うあ、聖さんだし…もしもーし」
びっくりしたのはこっちだけどね。
ようやく離れた祐巳姉ぇは電話の向こうの聖さまと軽く会話したあと、立ち上がった。
「ごめん、なんか呼ばれた。というか授業受けろだって☆」
「だって☆じゃなくて。なにやってんだ大学生」
お茶目を演出しているっぽいけど、騙されないぞ。
「いいもーん。聖さんと景さんに甘えてくるから」
……ま、今回はそれでもいいや。聖さまに任せとこう、この甘えん坊を。
「…はぁ〜……なんだか食べた気がしない」
「そうね、楽しい一時だったから時間が経つのも早く感じたわね」
「瞳子も、久しぶりに楽しい昼食でしたわ」
どうやら私の憂鬱さは、大好きな志摩子さんにも大ッッッッ親友と自ら語る瞳子にも通じなかったようだ。
「まったく…なんでわざわざこっちに来て弁当食べるのかなぁ」
「それは、乃梨子が心配だからじゃないかしら。いいお姉さまじゃない」
……まぁ、そうなんだろうけどさ。
「素直じゃないですものね、乃梨子さんってば」
「瞳子に言われたくないよ」
って思ったけど、よく考えると瞳子は自分の欲望に忠実に生きているよな……恐るべし瞳子。
「心配ね……するにしたって、家で一緒にいる時間の方が長い気がするんだけどなぁ」
「そうね…この間の祐巳さまの計画で思ったんだけど、祐巳さまは我慢できない体質みたいだから、学校でも心配なんじゃないかしら」
「確かにそうかもしれないけど、とりあえず場はわきまえて欲しいな……」
はぁと特大の溜息をつくと、瞳子は「憎いねぇ、この幸せ者!」みたいな目で見てきた。
とりあえず、明日瞳子に祐巳姉ぇの手料理をプレゼントしておくことにした。
「私は、祐巳さまが羨ましいわ。あそこまで真剣になれるんですもの……私も、乃梨子と一緒に住めればいいのに…」
し、し、し、し、志摩子さんってばボソッっとなに言ってるの!そんな事されたら私どうすれば…
「……乃梨子さん、アタフタしすぎ」
「う、う、うるさい瞳子!!」
くそう。やばい。このままでは私に鼻血キャラが定着してしまう。なんとかしなくては……
キーンコーンカーンコーン
ナイスチャイム!!
「瞳子、教室戻ろッ!」
「そうですわねぇ。では白薔薇さま、ごきげんよう」
「うふふ、ごきげんよう」
ふーあぶないあぶない。あれいじょう白薔薇空間にいたら命がいくつあっても足りなかったよ。
「乃梨子さんってば、おもしろわね」
「うっさいなぁ。祐巳姉ぇの手料理食らわすぞ」
瞳子が暗い顔して黙ってしまった。
「ご、ごめん。そんなマジで凹まなくても……」
「……あれは、もはや兵器…ですわ。でも、そんなモノが作れる祐巳さまっていうのもまた…」
あぁ……親友がだんだんと深みに落ちていく……
今度、可南子さんと一緒にちょっと説教をしてやらないといけないだろうか。
はぁ。祐巳姉ぇが来てからというもの、落ち着いた生活ってのが遠くなっていく感じがするなぁ。
まぁ四六時中ってわけじゃないけどさ。
さて、とりあえず今日は帰ったら仕返しに私の料理を祐巳姉ぇに食べさせてあげようかな。
菫子さんも絶賛の料理を食べて悔しがる祐巳姉ぇの姿が目に浮かぶよアハハ
……あ、ウソだ。なぜか嬉しそうな顔で私を絶賛する祐巳姉ぇの姿しか思い浮かばないや。