【1881】 大人ヴァージョンなドリル百選女優の家  (西武 2006-09-28 23:19:41)


何日か、何週か、何ヶ月か、何年(はないか)か後の薔薇の館でのお話。

「いつぞやは母がお世話になりましたそうで、ありがとうございました」
「え、瞳子ちゃんのお母さん?」
「山百合会選挙の折りに、職員室までご案内いただいたと言っておりましたが?」
「え、ええと。あ、えええ?あの人が瞳子ちゃんのお母さんだったの?まさか、ほんとに?」
「そんなに驚かれるようなことでしょうか」
「だって、髪型もまともだったし、なんだか控えめでやさしそうで、それに…」
「………………………」
「あ」
「…………」
「え、えーと」
「どこから突っ込むのをご希望になりますか?」
「べべべつに、そんなこと、ね、ほら」
「…髪型」
「ちょっと、由乃さん」
「…分かりました。祐巳さま。祐巳さまは母がどんな異常な髪をしているものとお考えだったのですか?」
「いや、異常だなんて。ただちょっと変わって、じゃなくて、珍しい、でもなくて」
「一般的でない、かしら」
「それだよ、志摩子さん」
「いや、フォローになってないし」
「…祐巳さま」
「は、はい」
「まったく、恥ずかしくはないのですか。いちいちみな様の助けを借りなくてはならないなんて。
もう、いいですわ。とにかくその目でごらんになるのが一番です。次の日曜日にいらしてくださいませ。それがよろしいですわ」
「え、それってもしかして」
「ち、違いますわ。ただ母がお礼を申したいと言っていただけで。もともとこのことをお伝えするつもりでしたのに。まったく、祐巳さまがわけの分からないことをおっしゃるからですわよ」
「う、うん。ごめんね、瞳子ちゃん」
「わ、分かればよろしいのですわ」


一つ戻る   一つ進む