【1960】 やっぱりありえない悲しみにさようなら  (篠原 2006-10-26 21:57:22)


『大きな扉 小さな鍵』より


「乃梨子!乃梨子!乃梨子!乃梨子!」

 名前を叫びながら手を握り締めてきた瞳子の目からは、ぼろぼろと大粒の涙が零れ落ちていた。

「い、いったい、どうしたっていうの?」

 手を握り返しながらもそう応えた乃梨子は。

 (よっしゃあああああああああああああ!!!!!)

 心の中ではガッツポーズ付きで歓喜の雄叫びをあげていた。
 祐巳さまには悪いが、これで瞳子のハートは私のものですよ。
 血を吐くような想いをしてテレビをあきらめ、戻って来たかいがあったというものだ。
 乃梨子は握られた手に確かな手ごたえを感じていた。



 だが、乃梨子は知らない。

 校門で祐巳が待ち構えていることを。


 さあ、舞台は整った。(It's Show time)

 戦いはこれからだ!(Let's Dance! Dance! Dance!)


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