「前回のあらすじ
秘宝クリスクロスを巡って、ランダ?エ?ダーとの激しい戦いをくぐりぬけた黄薔薇ズキャッツアイは、突如、目の前に現れた、怪盗紅薔薇&かしらシスターズに苦戦を強いられる。しかし、菜々のとっさの機転で、スヴェトラーナレイニーを起こし撃退に成功! 無事に秘宝のある星、『AQUA』に辿り着く事ができたのであった。にんにん。
…………っと」
「菜々、こんなところに呼び出して何の用……って、何してるの?」
「あ、由乃さま。今、前回のあらすじをまとめていたんです」
「前回のあらすじって、ただ私が貴女にぶっとばされただけじゃない」
「簡単に言えばそうですね」
「それで、今回は何をやるのよ」
「今回の内容は、写真部にあるとある写真を、とある怪盗より早く盗もうというものです」
「へぇー、意外と楽しそうじゃない」
「それでですね、今回から本格稼働というわけなので、ユニフォームを作りました。これです」
「黄色いジャンパー……」
「背中にはチーム名と決めセリフが書いてあります」
「……なんで私のだけチーム名が『奇薔薇ズキャッツアイ』になってるのよ! しかも決めセリフが『AA上等!』って、どういう事よ!」
「似合っていますよ?」
「却下よ! こんな物!」
「では、これは夏に旅行に行く時まで取っておきましょう」
「……貴女が着るの? それに夏に旅行って事は、もう予定が決まっているって事で……」
「安心してください、由乃さま。所詮、こぼれ落ちた話ですから」
「? まあいいわ。早く仕事を終わらせましょう」
「由乃さま、一つ忘れている事がありますよ」
「何よ、それ」
「掛け声です」
「ああ、あれね。では早速」
「黄薔薇ズー、キャッツ!」
「「ニャー」」
「キャッツ」
「「ニャー」」
「キャッツ」
「「ニャーーーー、メタ盗みだぁーー!!」」
「早速つきましたよ、由乃さま」
「は、早いわね。それで、例の二人はまだ?」
「まだみたいです。ドリルの跡もタヌキの匂いもしません」
「なら大丈夫ね。急いで探しましょう。といっても、どこにあるか分からないけど」
「由乃さま、盗むというのは何も、持ち去らないといけないというわけではありませんよ」
「ははあん? さては菜々、写真を消す気ね」
「そうです。目的は、あの二人に仕事をさせない事ですから」
「ふふふっ、お主も悪よのぉ、有馬殿」
「由乃殿程ではございませんよ」
「でも、どうやってこの大量の写真を消すのよ?」
「それが分からないんです」
「おい」
「どうしましょう? 次期奇薔薇さま」
「……貴女、漢字では読みが同じでも、訳は違うわよ」
「ロサ?クレイジー?」
「だれがキ○ガイよ!」
「それより、由乃さま。遊んで無いで方法を考えてください」
「……菜々、貴女、どこまで私をおちょくれば気が済むのかしら?」
「由乃さま、怖い」
「笑いながら言うなー! 今日こそ正義の鉄拳を食らわしてやるわ!はあぁぁ!!」
(ひらりガシッ!)
「えっ?(拳を交されて、捕まれ――)」
「とうっ!」
「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「あれ? 由乃さま、お腹を押さえて、気分でも悪いんですか?」
「違うわよ! 貴女、今、手首を掴んで、内側に回転して、肘打ちを、みぞおちに!」
「ああ、あれは古武術の技ですよ。一度やって見たかったんです」
「……菜々、今日という今日は許さないわ……。成敗してくれる!」
「望むところです」
「(くっ……、結局何も盗め無かったし、菜々に負けるし、散々な一日だったわ……)」
「(うふふふ、由乃さま、その悶絶する表情、とても素敵ですよ?)」