【2153】 もう、遅い・・・悩める乃梨子ちゃん  (キリヤ 2007-02-08 23:06:40)


この話は【No:2149】の続きでパラレルな話です。


私は今涅槃にいる。
現代に蘇ったマリア様こと藤堂志摩子さん。
その志摩子さんが私の腕に抱かれて真っ赤になっている。
昨日まで確かに志摩子さんは私の姉だった。
そう…………昨日までは。





目が覚めるとそこはいつもの部屋だった。
しかしなんだか違和感がある。
肩が重い。
鏡に向かってみると何が違うのかは分かる。分かるのだが私の脳が認識できない。
…あれがでかくなってる……。
し、志摩子さんくらいあるんじゃ……。つまりこれを揉めば志摩子さんの…………ぶふぅ!
ってこれじゃただの変態じゃないか!
と自分にツッコミいれる私の足元は真っ赤に染まっていた。


とりあえずリリアンに向かう私。
どうやら身長ものびたようで制服のサイズが大きくなっていた。
……どー考えてもおかしい。可南子だってまさか1日でこんなには成長しないだろう。
ひとまずリリアンについた私。そのままいつものように教室に向かう私。
「ごきげんよう」
ととりあえずクラスメートたちに挨拶してみるのだが…
「ごきげんよう、白薔薇さま」
ととんでもない言葉が返ってきた。
え? 私が白薔薇さま?
志摩子さんは?
も、もしやあのことがバレて振られたのか?
蔦子さまに頼んで入浴シーンを盗撮してもらったことか? それとも志摩子さんの家に泊まりにいったとき志摩子さんの下着をちょろまかしたことか? はたまた寝ている志摩子さんにキスしたことかいやいやまさか……………。
ってこんなに心当たりあるんか私。と一人ツッコミを一通りしたところで事態が好転するわけでもない。
「どうかなさったんですか?」
と百面相でもしていたのか元祖百面相の祐巳さまにいわれてしまった……………。
「って、祐巳さま!」
と思わず声を荒げてしまった。
「やるじゃん祐巳。現役三年の白薔薇さまにさま付けでよばれるなんて」
「ふぇ?私なにも知らないよ!?というか白薔薇さまとお話するのだって今日が初めてだし」
と百面相を炸裂させる祐巳さま………っていうか祐巳ちゃん?
……おーけーおーけー。まずは状況を確認しようじゃないかジェニファー。ってジェニファーって誰じゃ。

まず私白薔薇さま。祐巳さま一年。
ああきっとこれ夢だそうに違いない。
むぎゅ……痛い。夢じゃない。



「はっ!」
意識が戻るとなぜか三年の教室にいた。
私の隣が由乃さまだった。
……どーいうわけだ?
壮大なドッキリか?
でも、ドッキリであれは大きくならない。
これはパラレルか? パラレルなのか?
「どうしたの乃梨子?さっきから落ち着きないけど」
「え?な、なんでもないで……ないよ」
タメ口でいいのか?
由乃と呼び捨てでもいいのだろうか? 向こうも乃梨子って呼び捨てだし……うわなんかやりずら。
「変な乃梨子」
てかまさか……いややっぱり由乃さまが黄薔薇さまなのだろうか?
一応白薔薇さまらしい私を呼び捨てってことは其の可能性が高そうだ。
…………しかし……。
「どうしたの乃梨子?そんなに私をじろじろ見て」
私がこれだけ成長したのに由乃さまは……。
ぴくっ
「ねえ乃梨子?今とっても失礼なこと考えなかった?」
こーほーこーほーとどこぞの黒仮面のような息をする由乃さま。
「なんでもないよ……由乃」
ととっさにごまかした。
だけど身長だけは伸びてるから余計に無いちちに……。
ぎろり!!
……もうこのことを考えるのはよそう。まだ生きて志摩子さんに会いたいし。
……志摩子さん!?そういえば志摩子さんはどうなってるんだろ。
「ねえ、志摩子さんって何組?」
とわたしがそう言うと由乃さまは心底呆れたような顔をした。
「ホントに今日のあなた変よ。自分の妹をさん付けで呼ぶ姉がどこにいるのよ。志摩子ちゃんが聞いたら泣くわよ?」
な、な、な、なんだってぇっ!
し、志摩子しゃんが私の妹?
パラダイスか? パラダイスなのか!?
志摩子しゃんが私の妹ってことは家に連れ込めたりそのあとまでおーけーってことか?
うっ……!
くっ! なんて火力とパワーだよ!
「乃梨子大丈夫?鼻血でてるよ」
なんだか由乃さまが言っているようだけどもう私には聞こえない。



「志摩子はいるかしら?」
クラスメートにごまかしながら志摩子さんのクラスをきき一時限目が終わり次第、私は弾丸のごとく教室を飛び出し、志摩子さんのもとへ急ぐ。
「乃梨子さまごきげぶふぅ!」
途中どこかでみたようなドリルにぶつかった気もするが今の私を止められる者はいない。
待っててね志摩子さん! あなたの乃梨子が今行きます!



「お姉さまどうかなさったんですか?」
ああ志摩子さん! いいえあえて志摩子と呼びましょう。……はぁはぁ…。
「お姉さま?」
ぶはぁ! くぅ……さすがは志摩子たん。 私の方が今は背が高いから自然と志摩子ちゃんが上目遣いに……はぁはぁ…。
うんやっぱり志摩子って呼ぶことにしよう。
「あ、貴方に愛に…いいえ会いに来たのよ」
「え?」
頬を赤くする志摩子に私は思わず抱きついてしまった。
「あ、あん……お姉さまぁ…」
ぽたっ…ぽたぽたっ……。
私はいま猛烈に感動している!
「お、お姉さま。その嬉しいのですけど次の授業が始まってしまいます」
「ええ……そうね」
くぅ〜! 名残惜しい。
いや、でも妹ってことはいつ抱きついてもあわよくば手が滑ってあんなとこやこんなとこまで触ったりもんだ………。
バタッ。
↑ついに貧血で乃梨子ダウン。
だがその顔はこれから乃梨子が志摩子にするであろう口には出来ないことを夢みているのだろう。乃梨子はとても幸せそうだった。


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