【注意】キャラ設定
3 2 1
紅 祥子 祐巳 蓉子
黄 由乃 令
白 志摩子
「いくらお姉さまの言葉でも、従えないものは従えません。」
「なんですって。」
今日も薔薇の館には、祥子と祐巳の声が響き渡る。
由乃は、やってられないとばかりにため息をつくと、妹の令を手招きで呼んだ。
いそいそと寄ってくる令。
「令、お茶入れなおして。」
「はい。白薔薇さまもいかがですか?」
「お願いできるかしら?」
志摩子さんが優雅な手つきでカップを渡すのを、執事のように受け取る令。
最初の頃は我慢できなかったけど、もう慣れた。
「令、さっさとしてね。」
ほら、口だけに済ましている。
ずいぶん忍耐力がついたものだ。自分でもびっくりするくらい。
「あ、はい。」
令は、早足で流しへ向かった。
「何故、素直に首を縦に振らないの。」
「私だって、色々考えがあるんです。」
祥子のヒステリーにも怯まずに応酬。
祐巳ちゃん成長したなー。
去年の春に祥子の妹になってからだから、一年ぐらいしか見ていないけど。
時の流れは早いものだ。
こんなことを思うなんて、年寄りの気分。
「どうしたの、由乃?腰なんて叩いて。」
「ん?あと一年で卒業だなんて、時の流れって一瞬ねって、おばあちゃんの気分なの。」
わざと疲れたような声で言うと志摩子はくすくすと笑った。
「確か、私のほうが由乃より誕生日が早いわ。私はもっとおばあちゃんよ。」
あーそういえばそうだ。
「卒業しておばあちゃんになっても、こうやってお茶を飲めたらいいわね。」
「そうね。」
2人で頬杖をついて、ふーっと息を吐いた。
なんとなくアンニュイな感じ。
いや、今は春だけど。アンニュイってなんか秋な感じ?
「お姉さま、失礼します。」
令が紅茶を置く。
手が震えているのは気のせいだろうか?
そっと顔を見れば、目元が潤んでいるように見える。
私たちの話を聞いていたのだろう。
卒業まであと一年。
令にとっては、あと一年しかなのだろう。
なんて可愛いのだろうか。『私の』令は。
あんまりにも可愛いから、褒美として頭をなでてやろう。
「何でそう頑ななのですか?」
「それは貴女のほうでしょう。」
ひとしきり撫でてやると、令の顔は真っ赤だ。
そんな令も可愛くてもっと撫でてやろうとするが、薔薇さまとして公平やら何やらを守らなくてはいけないので、泣く泣く止めた。
「でさ〜、飽きない?」
「何が(ですか)?」
私に問いにそろってこちらを向く。
こんなとこは息ぴったりなのに。
「最近ずっと押し問答してるけど、何が理由なの?」
志摩子にも聞いたことはあったけど、彼女も知らないらしい。
祥子は「はー。」とため息をつくと
「言ってあげて、祐巳。」
「あ、はい。」
2人は一旦椅子に座ると、冷めかけの紅茶でのどを潤した。
「私の妹についてなんですけど。」
「あー、なるほどね。祥子、そんな焦る必要は無いって。」
「あっと、そうじゃなくてですね、私も妹が欲しいことは欲しいんですよ。」
「じゃあ、何?」
「で、妹をつくるなら、運命的な出会いをした人にしようって。」
「あー、それで祥子が反対してるわけだ。」
「なんで、私が反対するの?」
「それで喧嘩してたんじゃないの?」
「違うわ、私は運命は自分から繰り寄せるモノだって言うのに、祐巳ったら来るのをおとなしく待つって言うのよ。」
「果報は寝て待てって言うじゃないですか。」
「そんな考えで成功した人なんて、ほとんどいないわ。人事を尽くさなければ駄目なのよ。」
「白雪姫だって、寝て待ってたら王子様が来たんですよ。」
「シンデレラはお城に行ったわ。」
「さて、志摩子さん。アホ共は置いといて仕事しようか。」
振り返って、なるべくさわやかな笑顔で志摩子さんを見ると、うつむいてる姿。
「どうしたの?」
「難しい問題ね。行くべきか待つべきか。それが問題ね。」
「志摩子、お前もか!!」
某戯曲作家のような口調の志摩子を某武将の口調で返すと、やりかけの書類を突きつけた。
「さっさとやって帰りましょう。」
「怖いわ、由乃。栞にだってそんな言い方されなかった。」
「一番最初のキャラ設定表に無いキャラ出すな!!」
渋々ながら、書類に向かわせた。
その間も、祥子と祐巳ちゃんの無駄な、ほんとーーに無駄な激論は続いた。
そして、祥子は切り札を出した。
「そんな頑固だなんて、良いわ。もう一緒に帰ってあげないから。」
「子供かよ。」
我慢できずに小さく突っ込む。
「えー、そんなのずるいです。嫌です。」
「効果あるのかよ。」
我慢以下略。
「私だって、辛いわ。でも、祐巳のためだもの。」
「・・・。」
突っ込むのすら嫌になった。
「・・・・・・傲慢です!お姉さまのわからずや!」
言い残すと祐巳ちゃんは、部屋を飛び出そうとする。
「あ、祐巳!」
祥子の叫びと、廊下の悲鳴はほぼ同時だった。
全員で慌ててドアの周辺に集まると、祐巳ちゃんは入って来ようとした生徒とぶつかったらしく、2人は絡み合うように倒れていた。
「大丈夫?」
姉である祥子の声に反応して、祐巳ちゃんが体を起こすと、現状を認識したらしい。
「ああ、ごめんなさい。大丈夫?」
その子も意識を取り戻したのか、上半身を起こす。
「いたたた。」
腰を打ったのかさすりながら、周囲を見回す。
祐巳ちゃんが小柄だったのが不幸中の幸いだったようだ。
とりあえず、胸をなでおろす。
が、しかし、その子は祐巳ちゃんと視線が合った瞬間、口元に手を当てて目をそらした。
祐巳ちゃんも、それを見た瞬間同じようにする。
そして、2人とも頬が赤い。
「まさか、祐巳!」
何があったのか察したのか、祥子が悲鳴のような声を上げる。
その声を聞くと、祐巳ちゃんはいきなりその子の両腕をつかんだ。
「貴女、見覚えが無いわ。一年生よね。」
「あ、はい。一年椿組の水野蓉子です。」
「お姉さまはいて?」
「いませんけど?」
「私の妹になりなさい。」
「ちょっと祐巳ちゃんいきなりすぎよ。」
「そうよ、祐巳。」
お、さすが姉。・・・と思った途端。
「私だって、祐巳と会ったのは、曲がり角でぶつかって、鞄を間違えたなのよ。」
「設定が古いわ!80年代か!」
「・・・分かりました。妹になります。」
「受けるのかよ!」
「だって、姉になる人は運命的な出会いをした人にしようって。」
「おまえもか!」
なんか嫌になってきた。
さっきから、私の横にしゃがみこんだ志摩子と令が私が突っ込むたびに
「おーー。」と言う歓声と拍手を送ってくるし。
まあ、良い。
紅薔薇には紅薔薇のスールの関係ってものもあるし。
「ところで、蓉子ちゃん、館には何の用事かしら?」
「猫を追ってきたら着いたんです。」
蓉子ちゃんの言葉に祥子と祐巳ちゃんも声を上げた。
「あら、私もよ。」
「あ、私もそうだった。」
「耳○まか!お前ら全員帰れ!」
「おーー。」パチパチ
「おーー。」パチパチ
まとまりが無い。笑(オキ)
会話のテンポってどこで区切ればいいんですかね。完全に手探りでした。(ハル)